No.3ベストアンサー
- 回答日時:
普通一般に「僧」と言えば「(一人の)お坊さん」という意味になっていますが、「帰依僧」といった時の「僧」という言葉は、「修行者の集まり」を指す言葉で、誰か特定の個人を意味するものではありません。
もともと「僧」という言葉は、「サンガ」というサンスクリット語に由来していて、これを音写した「僧伽」という言葉を縮めたものです。翻訳では「和合衆」などとも呼ばれますが、「サンガ」とは本来、対等な人々の集まりや、その集団内での交流・交友などを意味する言葉でした。複数の川が合流することも「サンガ」ですし、早くから商業が発達したインドでは、同業者の互助的な組合組織もサンガと呼ばれました。
原始仏教教団は、以前からあったこの言葉を自らの呼称に借用したわけですが、サンガの意味するものが、「対等な人間関係」や「対等な人間関係の実践されている集団」というところにあって、決して特定の個人を指すものでなかったことは重要なことだと思います。
例えば、律によっても異なりますが、原始仏教では、ある集団がサンガとされるには最低でも5人程度の修行者が必要とされました。また、原始仏教以来、出家を志すものは師僧の面前でまず帰依三宝を誓うのが伝統ですが、その際でも「帰依僧」という言葉は、目の前の師僧ではなくて、自らがその一員となろうとする集団に対して表明されてきました。
このようなサンガを表していたはずの「僧」が、仏教の中国伝来以降、むしろ個人を指すように変化してきました。ちょうど、本来なら複数の人間を指すはずの「兵隊」という言葉が、「兵隊さん」というように一人の人間の呼称になったようなものですが、「僧」の場合は、複数の意味が区別されずに残ってしまったことが誤解のもとになっているのだと思います。
いずれにせよ、「帰依僧」とは、誤解を恐れずに書けば、個人を越えたところにある集団の清浄性のようなものに対してなされるもの、といってもいいのではないかと思います。修行とは内省的なものが中心ですから、もちろん個人的なものではあるわけですが、その修行を可能ならしめる集団の力は、お釈迦さん自身も非常に高く評価されていました。
例えば、『雑阿含経』という古い経典には、アーナンダがお釈迦さんに対して「清い仲間と共にあることで修行の目的のほぼ半分は達成されたといってもいいのではないか」という旨の質問をしたところ、お釈迦さんがこれを否定して、「清い仲間と共にあることは梵行の全てである」と答えた逸話が残っています(「善知識経」)。
上下関係やエゴの発露がなく、戒にそった生活をする集団の一員であることが、既に法を体現しているのだ、というわけです。ここにはまさに、「勝友」つまり「すぐれた仲間」としてのサンガの意義が尽くされています。このお釈迦さんの態度を受けて、伝統的な仏教教学では、サンガという意味の僧は、仏と同じく法の現れの形態であって、仏法僧の三宝の実質は結局ひとつだ、という意味で、「一体三宝」と言っています。本来「僧」は、このような意味に理解すべきものと思います。
道元さんも、この伝統的な意味に厳格にのっとって「帰依僧」を説いています。また、祖師の優れた言行はそれ自体として非常に評価しながらも、自身を含めてやみくもに人格的な崇拝をすることを非常に嫌い、むしろ軽蔑した人です。「高僧を信じてその力にすがる」とはどのようなことを指していらっしゃるのか不明ですが、本来の僧の意味に照らして再度ご検討されてはどうかと思います。
ご不明の点は、補足して頂ければ時間のある時に対応させてもらいます。
No.2
- 回答日時:
たとえば、たった一つの赤色を知った人は、無数の赤色を同時に知ったことになる。
同様に、たった一つの智慧(仏智)を理解した人は、無限の智慧を身につけたのである。 かれは、ただちに仏となる。 そして、それは誰に頼ることなく自分自身で為し遂げることがらである。 たとえ如来といえども、他の人を解脱させることはできない。人をして覚りに導く法の句(=善知識)は、浄らかな人の口から世に現れ出る。 それは、それを発したかれ自身気づかないことであるが、法は確かにかれの口から世に出現したのである。(ゆえに、かれを善知識と名づく。) その成り立ちはさておき、そのような浄らかな人々の集いが世に存したとき、その形体と形式にかかわらず、それをひとしくサンガ(僧伽)と呼びならわす。
仏とは目覚めること、法とは正しいこと、僧(僧伽)とは清浄という意味である。 こころある人は、仏によって覚りの実在を識り、法によってまさしく解脱し、僧(僧伽)によって自らの歩む道を浄めかし。
***
No.1
- 回答日時:
経典に出てくる僧と現代の僧は、区別したほうがいいですよ。
私は勝友の読み方も意味も判らないけど、釈迦の説いた仏法と日本の仏教は違います。これは、サンスクリット語の原典を中国で漢訳したことによる解釈の相違から来ているというのが、近年の常識です。もっとも、サンスクリット語の原典だって古代インドで粗製濫造されたものが混入しているとのことなので、余計です。仏教学にくわしい中村元教授の著書によれば、釈迦の弟子で一番最初に悟りに至った弟子は、覚えが悪く釈迦の説法の最中に外で掃除をしていた弟子だったそうで、頭の良い弟子ほど悟りには至らなかったようです。釈迦の経典の中で私が気に入っているのは、ある若い王が釈迦に向かって、「お前は、その若さで悟りを開いたといっている様だが、うそではないのか?」と言ったとき、釈迦は王に「小さいからといって侮ってはならないものが四つあります。火と毒蛇と王様と僧侶です。」と諭したそうで、ゆるぎない自信が伝わってきます。そもそも経典は、釈迦の講演記録であり、今の坊さんは信者が知らないことを良い事に、葬式の時に勝手なお経を読んで(坊さんも、経典は読めるけど意味は知らないのかも)法外なお布施を頂戴していくかたがたであり、あなたが不信をいだくのは当然ですよね。
この回答へのお礼
お礼日時:2006/09/17 11:19
大変分かりやすく教えて頂きまして有難うございました。「僧は勝友なるが故に帰依す」とは、個人の僧の
事ではないという事ですが、私は個々の僧に対して尊敬出来ない人があるので、教えを請うた次第でした。
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