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励起準位の電子は留まっていられる時間は10^{-9}秒と短く、基底状態に帰る際は発光を伴うのに、準安定準位の電子は10^{-3}秒程と長く、かつ直接基底状態の準位には戻れず、発光を伴わない(衝突でのみ基底準位に戻る)と教科書に書いてありました。なぜ、準安定準位に留まる時間が長く、そのうえ、基底準位に戻る際には発光して戻らないのでしょうか? 教えてください。 

A 回答 (3件)

準安定準位から基底状態への遷移がなんらかの理由で禁止されているからです。



こういう状況は励起状態が1重項状態、準安定準位が3重項状態でよくおきます。

3重項状態から基底状態に戻るには、スピンを反転が必要になります。これを起こすのが難しいので、遷移があまり起こりません。

つまり3重項状態は光れないのです。
光れなければ、いつまでもその状態に留まっていなければなりません。だから長寿命なのです。

反対に1重項は簡単に光れるので寿命は短い。
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この回答へのお礼

コメント、ありがとうございます。

化学が好きでなかったので最初はよくわからなかったのですが、色々調べて理解しました。
パウリの排他原理がミソなんですね。
イメージできた感じです。

ありがとうございます。

お礼日時:2006/10/13 23:08

追加します。


スピン多重度が違う、という場合の他に、最低励起状態からの垂直遷移が禁制な場合に光らなくなって熱失活することがあります。

アゾベンゼンが有名な例です。
アゾベンゼンの最低励起状態はn-pi*励起状態で、窒素のローンペアがアゾ基のパイスター軌道に励起された形になっています。
しかし、分子を考えてみれば分かりますが、これは軌道が直交していますので本来禁制です。
さて、アゾベンゼンを励起しますと、いわゆるKasha則に従い、最低励起状態までおちてきます。しかしながら、ここから基底状態に落ちようとしても禁制遷移なので発光できません。
しかたがないので、励起エネルギーのほとんどは熱失活で失われ、アゾベンゼンは基底状態に戻ります。
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leo-ultraさんにのっかってコメントしますが、三重項の励起状態から一重項の基底状態におちるときの発光をリン光と呼びます。

この過程は本来スピン禁制で遅いため、リン光はゆっくりと長時間光り続けます。
しかし、室温でリン光を発するものは多くありません。
励起三重項状態の寿命が長いため、励起状態でいる間に溶媒分子などと衝突したり、分子内の振動にエネルギーが移動し、せっかく持っている励起エネルギーを振動エネルギーや熱エネルギーとして失ってしまうためです。これを無輻射失活といいます。
低温にすることでこの過程を防ぐことができるため、低温ではアントラセンやナフタレンなどのリン光を見ることができます。
具体的には、ある種の混合溶媒に溶かし、これを液体窒素で固めたグラスマトリクス中でよく観察します。

一方、イリジウムや水銀、金など重い金属が入った錯体は室温でもリン光が見えることがあります。
これは、金属の重原子効果によって三重項から一重項へのスピン反転が加速されるため、熱失活よりもリン光の発光の方が早くなるためです。
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この回答へのお礼

回答、ありがとうございます。

スピンの反転の原理を知ることができて感謝しています。

あとは衝突によって基底状態に戻る際のスピンの反転が?です。
が、調べる際のキーワードがわかったので頑張って調べてみます。

追加の回答もありがとうございます。これも調べて理解してみようと思っています。

ありがとうございました。

お礼日時:2006/10/13 23:35

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