日本語を勉強中の中国人です。
手元に日本の作家の随筆集があります。井上靖の『元旦のこと』から抜粋した随筆を拝読しました。気に入りましたので、『元旦のこと』という本を探してみました。でも、この名前の本はないようです。拝読したのは一つは人生を長い階段にたとえる文章です。もう一つは生と死に対する考え方です。天山の山ひだの中の小さい湖、イミククル湖の畔りに眠っている十九世紀の探検家のことを語りました。「生と死がばらばらにならず、美しいピンで留められている感じである」という結論を出されました。とても気に入りました。この二つの文章はいったい井上靖のどの本から抜粋したのでしょうか。もとの本をぜひ読みたいです。
井上靖をご存知の方にお伺いしたいのですが、井上靖はどんな感じの作家でしょうか。普通どんな文章を書かれるのでしょうか。だいたいの作風を教えていただければありがたく思います。最近、初めてこの方の作品に触れましたので、もう少し井上靖の作品に触れてみたいと思います。お勧めの作品はありませんか。
井上靖について何でも結構ですので、よろしくお願いいたします。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
No.2です。
お礼及び補足、拝見しました。大変失礼しました。ひとさまにお奨めする作品のむつかしさを実感しているところです。
現代小説をということですので、乏しい読書経験を探ってみました。
氏の初期の短編の中から「猟銃」及び「闘牛」はいかがでしょうか。
初期といっても作者40歳前後に書かれた、すでに円熟した好編だったと記憶しています。
「猟銃」は同題の散文詩(実際に書かれたもの)が発端となり、ある人物から手紙が届きます。
ここから小説らしい展開が始まります。お読みになってのお楽しみとしておきます。
「闘牛」はいっそう人物描写、心理描写の際立った作品で、芥川受賞作にふさわしい内容です。
日本の敗戦後間もない時期のものだけに、時代性があり、そういう意味から古めかしい作品かもしれません。
「あすなろ物語」は6編からなる短編連作で、作者のいわば「詩と真実」が描かれています。
一編ごとに主人公の年齢に相応した異なる女性が登場してきます。
特に前半3編は少年の抒情が横溢し、子供が読むにも適した内容で、私は小学六年の時これを読んで感銘した記憶があります。
長編では「氷壁」はいかがでしょうか。
長いがすらすらと読め、恋愛とサスペンスに満ちた、いまだ山岳小説を代表する作品ではないでしょうか。
もう何度もTVドラマや映画にもなったはずで、つい先ごろにもNHKで、より現代風な設定に仕立て直して放映されたと聞いています。
晩年の短編では「石濤」が記憶にあります。
石濤は清初の山水画に傑出した画僧と聞いています。ここは質問者様のほうがはるかに詳しいでしょう。
小説のほうは、死が間近に感じられだした老齢の心境が綴られています。
私としてはこんなところです。
参考に資するところありましたら、ご覧になってください。
再びありがとうございます。井上靖にとても詳しい方ですね。お勧めの現代小説の中から、自分に合うのを探してみたいと思います。たくさん紹介していただきまして本当にありがとうございました。大変参考になりました。
No.3
- 回答日時:
「しろばんば」が、好きで、好きで、何度も読み返しました。
伊豆の天城(あまぎ)の山中が舞台で、特殊な生い立ちを背負った少年の物語です。
「しろばんば」が、何を意味するかは、お楽しみにとっておきましょう。
しろばんばに登場する、洪作少年が、生い立ちに近いと思います。
先生の生家は、残っていますので、お訪ねになるのもよろしいかと、思います。
文学館もあります。
歴史もの、山岳ものも得意とされていたようです。
それにしても、美しい日本語を使われますね。
ご親切に回答していただき誠にありがとうございます。これはいいですね。大変参考になりました。探してみます。
励ましていただき本当にありがとうございました。日本語はまだまだ下手で、これからも頑張ります。
No.2
- 回答日時:
私も、『元旦のこと』という文章がどの本にはいっているか存じません。
ただ、ご質問の内容から、氏の文章の格調の高さ、清冽な抒情に感銘を受けられたのだろうと判断し、
それならいっそ、散文詩を読まれてはいかがだろうかと提案してみたくなりました。
井上靖は中国、中央アジア、日本を舞台にした歴史小説や
現代日本を描く現代小説を多く手がけた作家(小説家)。
と同時に散文詩らしい散文詩の書き手としても高名で、詩作は生涯にわたって貫かれました。
最近の散文詩はしばしば、散文の文章と比較してみた場合、
わざと奇妙なゆがみやねじれ、軋みを生じさせる効果を狙っていますが、
氏の散文詩は表面上、散文と変わりません。
つまり文章の格調は高いまま、抒情はいっそう豊かに濃縮されている、そんな印象をもたらしてくれます。
詩はご存知の通り、効果的な語句のくりかえしをする一方、思い切った省略、イメージや論理の飛躍があったり、
精緻微細な表現ニュアンスの斬新に工夫を凝らし、言葉はより多義的に使用されます。
日本語を学んでいらっしゃる方に必ずしもふさわしいものとは言えません。
けれども、質問者さんは以前、短歌や俳句のご質問をなさってましたね。
あれらの短詩型の定型詩は日本人にもかなりむつかしいものを多く含んでいます。
それに比べれば相当に味わいやすいと思い、あえてお奨めしてみます。
散文の、随筆などと比べても一編一編はよほど短く、丹念にお読みになる場合にも適しているかも。
「井上靖全詩集」というのが新潮社の新潮文庫から発行されています。
これが比較的入手しやすいのではないかと思います。
ご参考まで。
ご親切に回答していただき誠にありがとうございます。俳句と短句はぜんぜんだめなものです。文学常識についての質問を聞いただけです。文法やルールなどがぜんぜんわからないと思います。手元の随筆に井上靖の『詩集・北国』から抜粋した野分という詩がちょうどありました。読んでみましたが、単語が難しいし、文が切れない長文も多くて難しいと感じました。普通の構造の文章のほうが一番ありがたいのですが……お勧めのを心がけます。
本当にありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
随筆は読んだことが無いのですが、井上靖の小説は大好きです。
一般には、歴史、特に仏教と関係のある歴史に関する著作が多いようです。従い、中国も非常によく登場します。歴史の滔々たる時間の流れを表現することに優れた人で、読んでいると数十年から数百年の時の流れを自ら歴史の証人として体感したような気分に浸れます。
以下の作品が代表作だと思います。(個人的嗜好が混じってますが)
「天平の甍(てんぴょうのいらか)」:奈良時代に遣唐使で大陸に渡った留学僧たちの運命の変転を描いた物語。
「敦煌」:敦煌の洞窟に仏典を運び守ろうとした青年の物語。
「おろしや国酔夢譚(おろしやこくすいむたん)」:ロシアに漂流しエカチェリーナ2世に謁見して帰国した江戸時代の商人大黒屋光太夫の数奇な運命を描いた物語。
「蒼き狼」:チンギス・ハーンの生涯を描いた物語。
早々とご回答を頂きまして誠にありがとうございます。歴史小説がお上手な方ですね。随筆を拝読して、人生に対する考え方がすばらしいと感じました。恥ずかしいですが、仏教がよくわかりませんので、たぶん難しいと思います。できれば、一冊目は仏教と関係がない気軽に読めるのから入りたいのですが……お勧めの名前を心がけます。
本当にありがとうございました。
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