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水素型原子の1s電子の軌道は角運動量量子数l=0で確率密度分布はある距離のところに角度方向は均一に分布しています。原点の確率密度は0に漸近していますがクーロン力で近づく電子を押し戻す力はどう理解すればよいのでしょうか。

古典的イメージではクーロン力と遠心力でバランスが保たれていると思うのですが、それにはとにかく回らなくてはなりません。遠方で確率密度が小さくなるのは直感的に理解できますが角度関数が定数である1s軌道の古典的力学的イメージは径方向に固有振動していると考えれば良いのでしょうか。

これは勉強していない私の全くの想像ですが周囲からマイナス電荷を持つ電子雲が均一に近づくためお互いに反発しあって原点に近接できず押し戻されるのでしょうか。ご専門の方またはお詳しい方のご指南をよろしくお願いします。(当方学生時代にシュレディンガー方程式を勉強したときは式を追っかけるのが精一杯で物理的意味は殆ど分かりませんでした。)

A 回答 (5件)

>つまり動径方向にのみ振動した固有状態が出来ていると考えてよろしいのでしょうか。


「振動した」の意味をつかみかねているのですが、1s軌道は膨らんだりしぼんだりする軌道ではないので、普通の意味では「振動」はしていません。
1s軌道は、動径方向の運動量演算子の固有関数の重ね合わせで記述できるとは思いますが、それだけのことです。
確率の流れj=(1/m)Re(ψ~(h/i)∇ψ) (m=電子の質量,ψ~=ψの複素共役,h=プランク定数/2π)
を計算してみると、r方向への流れはない事が分かります。

・・・という事を書いていて思いましたが、1s軌道がz軸周りに回っているかどうかってのは、本来、この確率の流れで論じるべきことだったのかもしれません。1s軌道におけるφ方向の確率の流れを計算すれば、確かに、φ方向には回っていない、という事が分かります。

>この説明も大変分かりやすいのですが少しニュアンスが異なるように思います。私は縞模様のない波動関数の説明には前半の回答の方が何となく分かりやすいのですがコメント頂ければ幸いです。
1sの「状態」を古典的に(重ねあわせとか量子力学的な事も使っているが)、無理矢理解釈したものなので、そんなに深い意味はないですし、正確な描像ではないです^^;

>波動関数から計算した確率密度は球座標ではヤコビアンr^2が掛かるためご指摘のように原点近傍にいる確率は実際のところ0であると思っています。この0になる物理的理由はやはりクーロン力が働くためエネルギーが低くなりすぎそれを補う回転運動を期待できないと考えてもよろしいでしょうか。
繰り返しになりますが、s軌道の場合、波動関数は原点で有限の値をとるんです。つまり、ある確率で、原子核のすぐそばに来れるんです。(これはp軌道などとは大きく違う性質です)
r^2をかける云々というのは、「電子がr~r+drの位置にいる確率」を考えた場合の話です。この確率はr≒0で確かにゼロに近くなりますが、単にr~r+drの間の球殻の体積がゼロに近づくから、というだけのことです。(小さな体積の中に電子がいる確率は小さいですからね)
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#1です。


1s軌道の古典的なイメージということでボーア半径との対応が何故成り立つのか、角運動量=0では困るのではないかという質問かなと推測して書いたのですが。違っていたようですね。
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原点の確率密度は0に漸近していますがクーロン力で近づく電子を押し戻す力はどう理解すればよいのでしょうか。


>mV^2/r

クーロン力と遠心力でバランスが保たれている。
(ラザフォード本人が将来破綻する理論だと気がついている。)

>1s軌道の古典的力学的イメージは径方向に固有振動していると考えれば良いのでしょうか。

らしいね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC% …
ここいらやってみて。^_^
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この回答へのお礼

ご紹介頂いたURL大変参考になりました。初期の量子論では電磁放射を伴わない固有状態を電子の波動性を用いて作り出すことに成功していることを思い出しました。

お礼日時:2007/02/04 23:07

>原点の確率密度は0に漸近していますが


1s軌道の波動関数Ψ(x,y,z)(or Ψ(r,θ,φ))は原点で有限の値ですよ。(|Ψ|^2は原点で最大となる)
電子が原点付近にいる確率は、ほぼゼロですけどね。

>クーロン力で近づく電子を押し戻す力はどう理解すればよいのでしょうか。
しいて言えば、電子を押し戻す力は、「量子力学的な力」という事になるでしょうか。この「力」を古典的に捉えるのは無理でしょう、多分。
不確定性原理の観点から言えば、電子を狭い領域に閉じ込めると、運動エネルギーが大きくなってしまうので、電子自身はある程度広がろうとします。一方、原子核は電子をひきつけて、電子を原子核に閉じこめようとするのですから、この2つが「つり合った」所で落ち着きそうですよね。

>古典的イメージではクーロン力と遠心力でバランスが保たれていると思うのですが、それにはとにかく回らなくてはなりません。遠方で確率密度が小さくなるのは直感的に理解できますが角度関数が定数である1s軌道の古典的力学的イメージは径方向に固有振動していると考えれば良いのでしょうか。
1s軌道というのは、l=0の状態ですので、そもそも「遠心力」は働いていません。(遠心力のポテンシャルはl(l+1)に比例します)
ですので、古典的には「回っていない」状態になるんですかね。r方向にのみ運動している状態です。古典的にはz軸上を運動してみたり、x軸上を運動してみたり、いろんな事がありうるわけですが、1s軌道というのは、そういう状態を一様に重ね合わせた状態なんでしょうかね。

>周囲からマイナス電荷を持つ電子雲が均一に近づくためお互いに反発しあって原点に近接できず押し戻されるのでしょうか。
そのような効果があっても小さいはずですし、本質的なものではないかと。

この回答への補足

ご丁寧な回答ありがとうございました。感謝いたします。

>不確定性原理の観点から言えば、電子を狭い領域に閉じ込めると、運動エネルギーが大きくなってしまうので、電子自身はある程度広がろうとします。一方、原子核は電子をひきつけて、電子を原子核に閉じこめようとするのですから、この2つが「つり合った」所で落ち着きそうですよね。<
このコメントには直感的ですが納得いたしました。これは回転をしなくてもある径方向のところに大きな存在確率を持つ理由になっていると感じました。つまり動径方向にのみ振動した固有状態が出来ていると考えてよろしいのでしょうか。

後半のご回答によりますと
>古典的にはz軸上を運動してみたり、x軸上を運動してみたり、いろんな事がありうるわけですが、1s軌道というのは、そういう状態を一様に重ね合わせた状態なんでしょうかね。<とご説明いただきました。
この説明も大変分かりやすいのですが少しニュアンスが異なるように思います。私は縞模様のない波動関数の説明には前半の回答の方が何となく分かりやすいのですがコメント頂ければ幸いです。

波動関数から計算した確率密度は球座標ではヤコビアンr^2が掛かるためご指摘のように原点近傍にいる確率は実際のところ0であると思っています。この0になる物理的理由はやはりクーロン力が働くためエネルギーが低くなりすぎそれを補う回転運動を期待できないと考えてもよろしいでしょうか。(古典的イメージを意識しすぎ(笑)ですか)

ご回答により大変理解が深まりました。今一度コメント頂ければ幸せです。よろしくお願い致します。

補足日時:2007/02/04 22:51
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>古典的イメージではクーロン力と遠心力でバランスが保たれていると思うのですが、それにはとにかく回らなくてはなりません。



質問されているのはクーロン力と遠心力のバランスという古典的なイメージと角運動量=0(角運動量量子数 l=0 の古典的なイメージ)との食い違いについてのものですか。

量子力学はよく分かりません。ご質問のポイントの確認だけさせて頂きます。

推測ですが「角運動量量子数 l=0 を古典的に角運動量=0と対応させる」ところに問題があると思います。

よく教科書では角運動量量子数の値をノード(節)の数に対応させていますね。回っている回っていないではなくて周り方が問題になっているのではないでしょうか。ノード=0では角度方向に均一な運動になります。これで1s軌道が等速円運動に対応することになります。
元々量子力学で静止状態というのは考える対象に入っていないと思うのですが。

詳しい方お願いします。

この回答への補足

早速お答え頂きましてありがとうございます。ご指摘のようにl=0の軌道なのになぜ中心に向かって落ち込まないのか不思議ですということです。

量子論で言う角運動量=0を古典的な角運動量=0と直接対応させることには私も問題があると思いますが、軌道角運動量を論じる限りに於いては核の周りの回転運動と関係付けられるのではと考えました。遠心力の発生を期待しての話です。

私も静止状態は考えておりません。それは量子力学でも古典力学に於いてでもです。あくまで固有状態を古典的にどうイメージするかに悩んでいます。

ご指摘の”角度方向に均一な運動”という所には異論があります。運動すると必ずドブロイ波長が対応し、波動関数に縞模様ガ現われるからです。1s軌道は不思議です。

補足日時:2007/02/04 21:50
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