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今、「入門機器分析化学 症野利之 脇田久伸編著 三共出版 」で、サイクリックボルタモメトリーを学習中です。電気化学は全く専門ではなく、四苦八苦していますのでお助けください。実は物理系なので頭の中には常にI-V測定があります。それと何が違うのか、というのが一番の疑問点で、中々納得いかない点です。

まず、
1・単電位走査サイクリックボルタンメトリーとはこの本によると三角波の電圧をかけ、電流を測っているように書いています。つまり試料溶液中の二電極間の単なるI-V測定だと考えていいのでしょうか?
それともやはりこれもポーラログラフの様に二電極間の電位をポテンシオスタットによって調整しているのですか?

2.私の記憶では二電極だけではなく、参照電極も必要だった気がするのです・・が、必ずしもボルタンメトリーに参照電極は必要ないのですか?

3.サイクリックボルタンメトリ-は必ず0電位で0電流を示さないですよね?つまりまるでヒステリシスのように膨らんだデータになりますよね?あれの原因はぼんやりと電圧の掃引速度が速いため、非定常状態であるからだと思うのですが・・・正しいですか?つまり非常にゆっくりと電圧を掃引すると行きも帰りも同じ電流が流れる?二電極間の電位が0の場合はやっぱり電流も0ですか?

4.もしも3.が正しいとした場合でも私にとってはえらくゆっくりした掃引時間なのに(10mV/secから100V/secくらいだと本には記載)・・・。と思ってしまいます。そこでこのようなヒステリシス現象は試料の酸化還元が非常にゆっくり進むために起こるものであると考えれば良いですか? 例えば試料を入れずに何か塩を溶かし込んだ電解質溶液によるイオン電流だけならこのような現象はおきないのでしょうか?

もし良い文献、ホームページ等がありましたらお教えくださいませ。願いいたします。

A 回答 (2件)

まず,方法論のことを「サイクリックボルタンメトリー」,得られるチャートを「サイクリックボルタモグラム」と呼びます。

またこれらの差を意識せず,両者を単に「CV」とも呼びます。

> つまり試料溶液中の二電極間の単なるI-V測定だと考えていいのでしょうか?

電位をかけて電流値を読みとるという点では,例えば抵抗器等の I-V 測定と同じですが,サイクリックボルタンメトリーは溶液の抵抗値やオーミック性を測定するのが目的ではなく,溶液中の荷電粒子の(1)酸化還元,(2)泳動,(4)対流や拡散による電流を測定するのが目的です。

> 参照電極も必要だった気がするのです

必要です。先ほど挙げた(2)を測定したい場合,重要なのは電位差なので二電極で十分です。しかし,実際の測定でもっとも重要なのは(1)です。酸化還元電位の測定は電位の相対値が重要なのではなく絶対値が必要なので,いわゆる“アース”に相当する電位基準の電極を使用します。これが参照電極です。“アースを含め三電極”と考えれば易しいかと思います。なお,参照電極は電位の基準を与えるだけであり,酸化還元反応には参加しません。

> つまりまるでヒステリシスのように膨らんだデータになりますよね?

ヒステリシスの原因は,電極表面に形成される電気二重層による影響で,電気二重層がコンデンサーと等価な挙動を示すためです。ヒステリシスは掃引速度や試料の有無とは無関係に発生します。

> 非定常状態であるからだと思うのですが・・・

サイクリックボルタンメトリーでは,電極のごく近傍しか酸化還元反応を起こさず,よってバルク全体が変化することはありません。電極近傍とバルクとの間には常に濃度差があり,拡散があり,泳動があり…,という感じで常に非定常状態です。

> このようなヒステリシス現象は試料の酸化還元が非常にゆっくり進むために起こるものであると考えれば良いですか?

電極上での酸化還元反応自体は,サイクリックボルタンメトリーの時間スケールから見れば一瞬の出来事です。掃引速度依存性は,主として電極表面に溜まった生成物の拡散速度(場合によっては分解速度)によって起こります。

> 試料を入れずに何か塩を溶かし込んだ電解質溶液によるイオン電流だけならこのような現象はおきないのでし> もし良い文献、ホームページ等がありましたらお教えくださいませ。

玉虫令太先生の電気化学の本は,昔から定評があると思います。

この回答への補足

まずは、ご回答どうもありがとうございます。色々と書いていただいていることをフォローしてからお礼を、と思っていたのですが、時間も能力も足りないのでとりあえず。
私が質問したかった「ヒステリシス状の・・」というのは補足回答で指摘されている通り「酸化還元電流」のモノなのですが、どうも私が一番知りたかったのはコンデンサーと等価な挙動を示すようなI-Vだったので、ずいぶんヒントになりました。

本日 玉虫令太 始め、コリタ 吉沢四郎 等の電気化学の本を手に入れ、初めて電気化学の本を眺めてみたのですが、今の私の知識では私が知りたいと思っているレベルの理解度を得るには程遠いと感じました。よって、ちゃんと勉強してみようと思います。 どうもありがとうございました。 お教えいただいたソフトも使ってみようと思います。

補足日時:2002/07/29 20:22
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補足です。



> つまりまるでヒステリシスのように膨らんだデータになりますよね?

というのは,試料の酸化波および還元波のことを言っていたのですね。誤解しておりました。わたしが説明した電気二重層云々の話は,非常に電流の小さな角型ヒステリシスのことです。

試料の酸化還元による電流がピークを持ち,掃引するにつれて減少していくのは,電極表面に生成物が滞るのが原因です。「なぜヒステリシスか?」という質問に対し,私は「電極表面における複雑な溶液ダイナミクスがそうしている」という程度でしか理解しておりませんが,CV のダイナミクスをシミュレートするフリーウェアを紹介しますので(参考 URL),実際にダイナミクスを体感していただくのが最も早いかと思います。

参考URL:http://www.vector.co.jp/soft/win95/edu/se147344. …
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この回答へのお礼

遅くなりましたが、あれから色々と勉強いたしました!
どうもありがとうございました。
シュミレートソフトも使ってみました。
面白いですが、簡単な物質を指定することも出来ないので、ちょっと素人向けのソフトじゃないですね。残念。でもなんとなく雰囲気はつかめました。

これからまた勉強しようと思います。どうもありがとうございました。

お礼日時:2002/09/02 19:16

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