プロが教えるわが家の防犯対策術!

こんばんは。このカテゴリーでよいのかどうか自信がありませんが、質問させて頂きます。

いま肝炎ウイルスやノロウイルスの検査法について調べています。が、ネットで検索しても以下の4つの検査法について、その原理と違いについて明確に説明しているものを見つけることができませんでした。
 ・PCR法
 ・RT-PCR法
 ・リアルタイムPCR法
 ・LAMP法
これらの検査法の違いについて、簡単に教えて頂ければ助かります。またはそれぞれの検査法の原理を説明しているHPを教えて頂ければ、同じく助かります。特に当方はRT-PCRは「リアルタイムPCR」と思いこんでいたために、かなりの衝撃を受けています。

どうぞよろしくお願いいたします。

A 回答 (2件)

 原理の説明をなるべく簡単にしてみます。


 これもPCRが判れば、後は芋づる式に理解できると思いますので、まずPCR法の説明からします。

 PCRは目的の遺伝子(標的遺伝子ともいう)を増幅する手法なのですが、具体的には標的遺伝子のある特定の配列に相補的(Aに対してTというような)に結合する「短いDNA鎖」を用意します。これをプライマーと言います。
 そのプライマーはフォワードとリバースの2カ所設定します。

 そのプライマーとDNA合成酵素(Taq)、さらにTaqがDNAを合成する際の材料となるdNTPという試薬を検体DNAと一緒に小さなチューブに入れ、サーマルサイクラーという機械で温度をかけてやります。
 すると、ある温度でプライマーと検体のDNAが特異的に結合し(これをアニールという)、次に72℃にするとTaqが働いてプライマーが結合した場所からDNA鎖を合成します。すると2本鎖のDNAができあがるので、次に94℃でそれを1本鎖に解離してやります。
 次いでまたアニール温度にして72℃にして94℃、というサイクルを繰り返すと、先のサイクルでできたDNAが新たな反応の鋳型になって、次々と連鎖的にDNAが増幅される、というのがPCRです。
 ここでアニール温度だけ明示しませんでしたが、これはプライマーの配列によって異なります。DNAの塩基配列は、AとT、CとGという2種の相補的結合は、「結合する力」がちょっと違いますので、プライマー配列がどの程度のGC含量かによって、アニールの至適温度が異なるためです。だいたい45~65℃くらい、私はほとんどのPCRを55℃に固定してやってました。55℃で上手くいかないとアニール温度を変えてやってみる、といった感じです。

 次にRT-PCRですが、これはRNAウイルスの遺伝子検出や細胞内のmRNAの検出等に用いられます。
 要するに、RNAをそのままPCRで増幅することもできなくはないのですが、DNAが「最も安定な化学物質」であるのに対し、ちょっと化学構造が違うだけのRNAは「極めて不安定な化学物質」ですので、そのままPCR
をやってもなかなか上手くいきません。
 なので、逆転写酵素というものを使い、RNAを一度DNAに逆転写してやって、そのDNAを検体に改めてPCRをする、というのがRT-PCRです。
 なのでこれは単にPCRのひとつのバリエーション、という捉え方で良いと思います。私達も「このウイルスのRNAをPCRで取ってみたんだけど」みたいな会話の中では、別にノーマルPCRとRT-PCRを区別していませんし。

 ここまでがいわゆる「普通のPCR」の説明です。

 LAMP法というのは、このノーマルPCRの「特異性がちと低い」、「専用の機械が必要」、「反応後に電気泳動で増幅を目視しなければならない」といった弱点をカバーするために考えられた手法です。
 これは私も実際にはやったことがないので原理もいまいちうろ覚えなのですが、プライマーを複数箇所に設定してそれを一定温度で反応させ、反応物によって濁度が変わることで判定する、というものです。
 つまり複数プライマーによって特異性の問題をクリアし、一定温度での反応によって「汎用機器での使用」を可能にし、電気泳動の手間も省略できる、という方法です。

 リアルタイムPCRは、文字通り「リアルタイム」に産物が増幅されるところを確認できる手法です。
 つまり、PCRの反応物(産物)が増幅されると蛍光色素が発色する仕掛けをしておき(この仕掛けには複数の手法があります)、ノーマルPCRのサーマルサイクラーに分光光度計を足したような専用の機械で、その蛍光発色を「リアルタイムに読む」というものです。
 結果として、「元の検体にどのくらいの遺伝子があったか」という定量を、ノーマルPCRより遙かに容易に高精度にできる、という利点があります。そり他にも電気泳動をしなくて良いので多検体処理が容易、というのも利点です。
 100や200検体のPCR反応そのものはたいして手間も時間もかからないのですが、その産物を電気泳動にかけて判定するのが大変です。なのでリアルタイムPCRという手法が出現して初めて「多検体のPCR」が現実的になった、ということが言えます。

 また、特異性についても、「複数の発色させる方法がある」と書きましたが、そのケミストリーによって異なるのですが、ノーマルPCRよりは段違いに特異性を高めることができます。

 ただ、LAMP法は産物のDNAが相互にある構造をとってしまうし、リアルタイムPCRは増幅する対象を極端に短くしないとうまく行かないので、「PCRで増幅した産物をさらに解析する」という用途には使いづらいです。この分野だとまだノーマルPCRが最も適しています。
 ノーマルPCRだと増幅する遺伝子の長さは、ある程度自由自在ですから、「診断のための検出系」なら、目的ウイルスの「あまり変位しない領域」を設定すればいいし、「遺伝子の型別等の解析をする」目的なら、変位する領域を挟んだプライマーを設定すれば良いわけです。プライマーまで変異領域に設定すると、解析以前に「増幅できない」ことになりかねないですが。
 リアルタイムだと増幅範囲を短くしないといけないので、「変異領域を増幅するのだけど、プライマーはその外に設定」なんてことはまず無理ですから、必然的に「検出系」の用途が主になります。

 プライマーの設計自体は簡単です。目的の遺伝子の配列さえ判っていれば、適当に20塩基対ほどのDNAを設計すれば、とりあえずプライマーとして使えます。確かにそれで増幅できるか、また目的以外の遺伝子に当たらないか、という検証は必要なので、「モノにする」にはそれなりの苦労がありますが。
 プライマーの合成自体は外注に出すのですが、1塩基対あたり安いのだと50円くらいからできますから、20塩基対のプライマーをフォワードリバース両方合成しても2000円くらいでとりあえずやってみることはできます。
 リアルタイムの場合は、試薬がまだ少し高いのと(RT-PCRと同じくらいにはなってきましたが)、TaqMan法(「発色させる」方法のひとつです)の場合はプローブの合成が少し高い、というくらいです。
 LAMP法は、複数のプライマーを、しかもその産物がある構造を取るように(うろ覚えな上に調べるのもさぼっていてすみません)設計しなくてはならないので、かなり敷居が高いです。既に既報で確立している系を実施するのは簡単ですが、自分で系を作るのは難しいですね。

 というわけで、原理についてかいつまんで説明しましたが、参考になれば幸いです。
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この回答へのお礼

非常に詳しくて分かりやすい回答ありがとうございます。LAMPは機械を見たことしかありませんので、今度実際にやってみたいと思っています。

お礼日時:2008/01/28 19:47

PCRやLAMPは、目的の遺伝子があるかないかだけを判定するだけで量が分からないのでリアルタイムPCRをします。

PCRはDNAを増幅できますがRNAを増幅できないので逆転写酵素でRNAをDNAにしてからPCRをします。これがRT-PCRです。ですから、リアルタイムPCRとRT-PCRは全く別です。RCRとLAMPは増幅方法が違うだけで目的は同じです。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。RT-PCRはRNAを逆転写してDNAにしてからPCRをするんですね。

お礼日時:2008/01/28 19:46

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