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ビアスの小説をいくつか読んだのですが、理解できないものがいくつかあります。

例えば「空飛ぶ騎手(宙を飛ぶ騎馬兵)」、父は南軍、息子は北軍なのでしょうか?わからないので西川正身の訳と大津栄一郎の訳と両方読んでみましたがますます混乱してきました。というのは、「アウル・クリーク橋の一事件(アウル・クリーク鉄橋での出来事」のラストシーンで西川の訳は「首の挫けた彼の死体はアウル・クリーク橋の横木の下で、ゆるやかに右へ左へと揺れていた」となっていますが、大津の訳では「首の折れた、彼の死体はアウル・クリーク鉄橋に流れ集まった材木の中で、右に左にゆっくりと揺れていた。」となっていて大津の訳では川に浮いているように解釈できるからです。
また「人間と蛇(男と蛇)」で蛇の正体を西川は剥製、大津はぬいぐるみとしています。他に「生死不明の男(行方不明者のひとり)」も最後に時間を言う意味と「ふさわしい環境(環境が肝心)」でマーシュはなぜブリード屋敷で死んでいたのか、チャールズ・ブリードはなぜ自殺したのかがわかりません。
書いてみるとほとんどわからないことだらけです。私の読解力がないのでしょうか?それとも訳が悪いのでしょうか?

A 回答 (3件)

こんばんは。


わたくしの手元には、旧版のほうの西川訳しかないので、大津訳との比較についてはお答えできないのですが、
ご質問のうちのいくつかについては、ご参考程度の回答ならできるかもしれません。
(参照ページを付記しますが、旧版・西川訳のほうでご覧下さい。)

■>「空飛ぶ騎手」父は南軍、息子は北軍なのでしょうか?
そういうことになっていますね。
舞台となっているヴァージニア州は、南軍に属します。父のほうは当然のごとく南軍兵として参戦するのですが、息子は”叛逆者”となる決意をするのですね。
(P.8父のセリフ「ヴァージニアは、叛逆者のお前から・・・」 P.10ドルーズの語り「自分は不名誉な役割を演じたが・・・」など)
南北戦争については詳しくないのですが、簡単にその一面を捕らえれば、
南部はプランテーション農業を発展させていて、安い労働力が多く必要なので奴隷制を支持していた。
北部は工業化が進み、奴隷制を人権問題と認識し、その廃止を訴えていた。
そこで、新たに開拓される土地(西部)をどちらの政治で治めるかで争っていた・・・ってな戦争だったのかな。と思うのですが、
従って、出身州が南北どちらに属するかに関わらず、個々人の思想や理念に基づいて、参戦する軍を選ぶ”叛逆者”が少なからずいたのではないでしょうか・・・。
ここで言えば、息子は反奴隷制の北軍に参加したかった。父はそういう息子の勇気と決意を受け止めながら(P.8「自分の義務と信ずることを・・・」)、自身は南軍に参加した。のでしょう。
おそらく父は、信念を持って行動できる息子を立派だと思っていたのではないでしょうか。
ちなみにビアスの出身地オハイオ州は北軍で、ビアスも北軍で参戦しています。

■>「アウル・クリーク橋・・・」
これは、大津訳との比較ができないのでわかりません。
ただ、「ぶらさがっていた」のか「川に落ちていた」のかによって、ペイトンがどの時点で死んだのか?の解釈が違ってくる可能性はありますよね。
◇「ぶらさがっていた」のならば、落ちて首が紐に締め付けられた時に死んでいる(P.24の冒頭の時点)のに間違いないです。
◇「川に落ちていた」のならば、上に加えて、紐が切れたというところ(P.24後半)まで本当で、そこで溺死。その後銃撃されるところ(P.27~)まで本当で、撃たれて死亡。その後の大砲による大波(P.29冒頭)により溺死。と、4つは想像されますが・・・
原文の最後の1行が、訳者の解釈に違いが出るようなあいまいな表現だったのかもしれませんね。
個人的には「ぶらさがっていた」ほうが、わかりやすく、説得力があると感じます。
まさにいのちの半ばの「一瞬の間」に経験する夢の体験なのですし。

■>「人間と蛇」
これも、訳の比較ができないのでわかりません。 新訳のほうで変更された理由として考えられるのは、
◇剥製のほうがリアルで怖いが、ぬいぐるみのほうが主人公の「間抜け度」が高く、より悲惨な話に感じられるので。
◇ドルーリング博士が”オフィオファガス”を手に入れたと妻に自慢するのは、それがぬいぐるみである、というかわいらしいジョークであって、剥製では妻だって怖がるではないか!と思われるので。
◇両目が靴の止めボタンなら、ぬいぐるみです。剥製にそんなもの付けません。
・・・ってところでしょうか。

■>「生死不明の男」
これは「アウル・クリーク橋」と同じで、生死の狭間の一瞬でめくるめく体験をしてしまう、というお話だと思われます。
彼はまず砲弾を受けた建物の下敷きになる(P.39の終~P.40の始)。実はこの時点が、後半P.51の始めのほうで中尉が1回目に時計を見た時刻です。6:18。「建物が崩れ落ちる騒音のような・・・なんということなしに時計を見た」
その後、その崩壊現場に着いて死体を発見する。6:40。この間20分という短さですが、中尉はひからびたような死体の状況から「死後一週間」と思うのです。
下敷きの男は、この20分の間に、いつ発射されるかわからない銃口の恐怖の中で、あらゆることを考え、行動し、凝縮された時間を体験し死後一週間もたったかのようにやつれ果てたわけです。
顔や髪は「じっとりぬれている」というあたりが、実は先ほどまで生きていたことを示しているのですが、中尉はそこまで考えないのですね。あっさりしたひとなので。
P.50の後半「だが、銃はそのなすべきことを・・・」の時点で死ぬわけですが、この時、銃弾は出なかった。
つまり、恐怖の極限で、「弾が出たに違いない」と思い込んだ瞬間、心臓が止まったんですね。

■>「ふさわしい環境」
ごめんなさい。このお話は、わたしもわからないんです・・・
今回読み返したらわかるかと期待してみたのですが、わかりません。

以上、長くなってすみません。ご参考になれば幸いです。
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この回答へのお礼

こんにちは
詳しいお答えありがとうございます。明後日から入院することになってしまい、ryka様のお答えとともに小説を読み返すのは先になってしまいそうです。ビアスの小説がわかりにくいのか、翻訳がわかりにくいのか、むずかしいところですね。

お礼日時:2002/10/21 20:08

「悪魔の辞典」は見つかったけど「In the Midst of Life」(でしたっけ)は見つかりません。

困りました。
30年も前のことで記憶が欠落しています。
どこかに必ず有る筈なのですが……
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英文の原典で確認されたのでしょうか?


西川訳と大津訳のテキストは判りますか?

30年前くらいに求めたのが書庫に一冊あったと思います。探してみますので……

この回答への補足

こんにちは、ありがとうございます。英語の原典は確認していません。(研究社で西川の注釈のものがあるらしいのですが)西川の訳は絶版になっている岩波文庫(いのち半ばに)で大津のものは現在発売になっている岩波文庫のもの(ビアス短編集)です。ご回答楽しみにしています。

補足日時:2002/10/20 01:41
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