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何度もすみません。質問の仕方が悪かったのでまた質問させてください。要するに私が聞きたいのは
[A・V・s]=[N・m]となるのはどうしてかということです。
どちらかが先に定義されて、後からどちらかが単位が合うように定義されなければいけませんよね?
実験では確かにこれが正しいことが確認できますが、そもそも電圧とか電流の大きさというのは、[Nm]の単位にあわせて実験的に定義されたということでいいでしょうか?

A 回答 (8件)

とりあえず、高校程度の知識と仮定してお答えしますね。



磁気が関係しない電磁気の関係式を挙げれば、
(1)E ∝ q/r^2
(2)dV/dx ∝ -E
(3)I ∝ dq/dt
(4)P ∝ IV
(5)F ∝ qE
くらいでしょうか。

とりあえず、この比例関係のうち、(1)のみを比例定数に次元付きのkを充てるとして、
(つまり、この段階でMKSのほかにもう一つ基本次元が増えると言うことです)
電場Eに[V/m]の単位を割り当てることとしましょう。
ここで、電流Iの単位[A]を用いて[V] = [A・J・s]で表せるとします。
残りの3式の比例定数は無次元量の1としましょう。

さて、
(2)dV / dx[m] = -E[V/m]
より、電圧Vの単位が[V]であることが分かります。
(3)I[A] = dq/dt[s]
ですから、電荷qの単位は[C] = [A・s]とするのが妥当です。
ここで、
(4)P[W] = I[A]V[V]
より、仕事率Pの単位は[W] = [A・V]となります。
即ち、[V] = [C・J], [A] = [C/s] ですので[W] = [C^2・J/s]です。
ところが、力学で既に仕事率の単位は決まっており、
[W] = [J/s] = [N・m/s]となるわけですが、
これに矛盾しないかというと、
(5)F[N] = q[C]E[V/m]
ですが、[V/m] = [C・J/m]ですから、[N] = [C^2・J/s]です。
従って、[W] = [N・m/s]に矛盾しません。

ここで、(1)の比例定数を無次元量の1にするという選択もできました。
つまり、Coulombの法則から直接に電荷の単位を組立単位として決定するという方法です。
しかし、SI単位系はそのような手法をとらず、
[A]を基本単位として独立に定義しました。
そのしわ寄せが(1)の比例定数kに現れており、
(つまりCoulomb力の比例定数ですが)
この定数は実験により計測されるべき値です。

また、SI単位系はしわよせをすべてCoulombの法則にまとめたので、
この比例定数さえ計測すれば、
あとは矛盾なく電気関係のすべての単位が決まります。
また、直接この比例定数を計測しなくても、
他の物理現象を計測して、その結果から間接的にこの比例定数を出すこともできます。

ですから、
>そもそも電圧とか電流の大きさというのは、[Nm]の単位にあわせて実験的に定義されたということでいいでしょうか?
という問の答えとしては、
まず[A]を実験的に定義して、
(SIの定義は「無限に長く、無限に小さい円形断面積を持つ2本の直線状導体を真空中に1メートルの間隔で平行においたとき、導体の長さ1メートルにつき2×10-7ニュートンの力を及ぼしあう導体のそれぞれに流れる電流の大きさ」、実際はもう少し複雑な事情がありますが)
それから他の単位を物理法則に基づき矛盾なく定義し、
最後にしわよせとなるCoulombの法則の比例定数を計測するという手法をとっています。
ですから、理念としてはまず[A]ありきで、
それさえ実験的に決まれば、
ほかの単位はすべて決まってしまうと言うことです。
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この回答へのお礼

大変よくわかりました。詳しく書いていただきありがとうございました。

お礼日時:2008/03/23 09:44

>そもそも電圧とか電流の大きさというのは、[Nm]の単位にあわせて実験的に定義されたということでいいでしょうか?



正しいと思います。

1800年 ボルタによって、異種金属を接触させると「電気」が流れが起きることが発見されました(ボルタの電池)。これが電流の発見とされています。
1820年 エルステッドが電流の周りで磁針が振れることを発見しました(電流の磁気作用)。
1820年 アンペールが、エルステッドの実験から、力学の作用反作用の法則から2本の電流の間には磁力による相互作用が働くはずと考え、2本の電流の間に働く斥力または引力を見出しました。
1822年 アンペールは、2本の電流の間に働く力を数学的に明らかにしました(アンペールの法則)。これをもって、電流が定量的に定義された、とされています。電流の向き(プラスからマイナス)を決めたのもアンペールです。
すなわち、電流は力学的な法則から、力学的な諸量で表されるよう定義された、ということができます。

単位自体は、次のような経過を取ります。
 現象を説明するための仮の指標として使われる
 → 関係者の間で共通の指標として使われる
 → 広く一般に指標として使われる
 → 関係者間の機関の約束事として、単位とすることが決められる
 → 国際的な標準を取り決める団体において、単位として決められる
この過程において、理論的、実験的な不都合は是正され、他の基本パラメータとの数式上の関係が修正されていきます。また、数値としての定義をどこに置くかも修正されていきます。

公的な単位としては、1908年の万国電気単位会議によって決議されたものが始まりのようです。
現在の単位は、1948年の第9回国際度量衡総会(CGPM)で決定されたものです。

参考URL:http://www.ijinten.com/contents/ijin/ampere.htm
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御質問の趣旨は


別々の分野で確立してきた量の単位の間の関係についてだろうと思います。どの量が先に決まってあとから定義されたのがどれで、どういう風につながりが出来て・・・
ということです。

ややこしいのは最初に決まっていた量が後から「精度を上げるため」に定義しなおされることがあるということです。精度の高い測定が出来るものが一番基礎にすえられますから決まっていく順番が初めに決まったもの異なってしまうということも起こります。
前の質問(QNo387704)のANo3に長さの単位mの例が出ています。地球の子午線の長さを基準にして人間のスケールに近いものとして1mを決めています。現在の「~原子の出すスペクトル~の波長の~倍」というのは「精度を上げるための再定義」です。

熱量としてスタートしたcalと力学的エネルギー、仕事としてスタートしたJとが同じエネルギーであるということで1cal≒4.2Jの換算係数が決まります。こういう半端な換算係数がついているものは別々に発展してきた量だという事の現われだと思います。この換算係数は実験で決まります。

1W=1J/sとか1W=1VA、1A=1C/sのように係数が1のものは定義式と考えていいでしょう。
ここでJは力学的なエネルギーの方から決まってきます。電気のほうではV,A,Cです。AとCは1A=1C/sで決まっています。
VとAはどちらが先でしょう。私はVが先だと考えます。Vが決まればAは決まってしまいます。
力と電気量を結びつけるクーロンの式、電流と力を結びつけるアンペールの式はどちらも係数が半端です。そういう半端な式を出発点にして係数が1になる1W=1VAをつくるというのは不自然です。
SIのアンペアの定義は再定義(後付け)です。

電圧の1Vという単位はボルタ電池のボルタに由来するというのはよく知られています。でも多くの人が名前だけだと思っているようです。でも1Vという電圧の大きさ自体ボルタ電池に由来するのです。ボルタ電池は出力が安定しませんので実用的にはダニエル電池です。(私が作ったものでソ-ラーモーターを回したことがあります。ボルタ電池では数分しか回りません。ダニエル電池では数時間回ります。)起電力は約1Vです。ダニエル電池1つ分、2つ分という風につなげば1V,2Vという電位になります。オームの法則を見つけるためにはこの安定した電圧が必要だろうと思います。本当はダニエル電池にちなんで1D,2D、・・・となっていても良かったと思うのですがダニエル電池はボルタ電池の改良型だという風に受け取られていましたので1V,2V,・・・となりました。(電池の構造、仕組みはボルタ電池とダニエル電池で異なります。)
今多くの電池が使われていますが起電力はどれも1~3V付近です。化学反応を利用した電池である限り、ボルタ電池の電圧と近い所にあるのです。自動車用の12V,24Vというのは2Vの電池の組み合わせです。

かなり以前のことです。電荷の単位としてcgsesuが使われていました。クーロンの法則の比例係数を1とする単位です。
F=q2/r2
Fを1dyn(=10^(-5)N),rを1cmとしたときのqの単位です。力学的な場面の中に出てくる電気現象である限りCを使わなくても構わないという立場です。物理量の依存性が知りたい場合であれば係数は簡単な方がいいということです。固体物理の教科書でも量子力学の教科書でもこの表現でした。電気量のC,電流のAと結び付けなくてはいけなくなったときに初めて換算係数を使うのです。
回路の中を電流が流れるという場面ではV、Aが使われていましたから力学的な場面と電流現象的な場面とが使い分けられていた事になります。いまのSI単位系ではそういう使い分けを排除しているのです。
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電磁気の単位系は、なかなか悩むところであります。



まず、1mはなれた電線の、1mあたりの引き合う力が、2×10^-7Nのときに流れる電流が1Aと定義されます。
アンペアが定義されれば、同時に1クーロンが定義されます。(1秒間に流れる電荷量と定義する)
1ボルトというのは、1クーロンの電荷を、移動させるのに、1ジュール消費させる必要がある電位差です。これがボルトの定義です。1ジュールは、1N×1mによって定義されるものです。

こうして、電位差V間に流れるクーロン量(電位差×電流×時間:A・V・s)は、エネルギー(N・m)ということになります。
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>力と電気量を結びつけるクーロンの式、電流と力を結びつけるアンペールの式はどちらも係数が半端です。

そういう半端な式を出発点にして係数が1になる1W=1VAをつくるというのは不自然です。
>SIのアンペアの定義は再定義(後付け)です。
という回答がNo.3にありますが、
SIの[A]が再定義であることは確かにその通りのようですが、
(元の定義を詳しく知らないのですが)
Coulombの法則の比例定数を1/4πε_0
Grassmannの法則の比例定数をμ_0/4π
(こちらの法則はあまり有名でありませんが、
Coulombの法則に類似する磁力に関する法則で、
Ampereの法則はここから導けます)
とすると、cを光速として、
ε_0μ_0c^2 = 1 の関係が成立します。

ここで、アンペアの単位の定義というのは即ち、
μ_0/4π = 10^(-7) とする定義に外ならないのです。
こちらを決めると光速が別途に決まっているので、
Coulombの法則の比例定数は決まってしまいます。
(前の回答で、
>他の物理現象を計測して、その結果から間接的にこの比例定数を出すこともできます。
と書いたのは、実は光速を測定することで間接的に導出するということです)

なぜ10^(-7)ではなく1にしなかったのかというのは、
過去に用いられていたアンペアとできるだけ近い値にするという歴史的事情なのですが、
ともかく10^(-7)というそれなりにきれいな値になっていることからも、
電磁気の単位がアンペアありきで決まっていることが分かります。
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#4です。


#5に書かれている様にアンペアーを基準にして電磁気の単位が全て決まっているというのは確かです。MKSA単位系と言われているものです。クーロンの法則の係数を1/4πε0とするのはMKSA有理単位系と言われているものです。ε0の絶対値にはあまり意味はありません。ここで4πを含めたものをε0とすれば別の所にお釣りが来る事になります。有理単位系ではε0=8.854×10^(-12)[C2/Nm]となります。クーロンの法則は力学的な量と電磁気的な量とを結びつけるものです。別々の世界で発展してきた量を結び付けていますから半端な数字になります。MKSだけで記述されている世界とAを足さないと記述できない世界です。calとJの換算が半端な数字になったのと似ています。
クーロンの法則だけを問題にする場合であれば
F=kQQ’/r^2 
としてもかまいません。
高校の教科書にはこの式が出てきます。k=9×10^9[Nm/C2]という数値が載っています。

>なぜ10^(-7)ではなく1にしなかったのかというのは、過去に用いられていたアンペアとできるだけ近い値にするという歴史的事情なのですが、

「2×10^(-7)という数字が決まる前に既にアンペアという単位は使われていたという歴史的事情がある」と書かれています。質問の趣旨はこの最初のアンペアの決まり方についてだと思います。
その点について私は「ボルタ電池に絡んでの電圧の定義が先だろう」と書きました。ボルタ電池(ダニエル電池)1つ分の電位として1Vが決まっているのです。後でどういう風に基準が変わろうと1Vが1.1Vになる程度の違いしか出てこないはずです。
2という半端のない数字で電流を定義しているのはそれ以前の電流、電圧の基準がそれほど細かいものではなかったからでしょう。でもこの2を1にするということは出来ません。ボルタ電池の起電力が2Vになるような基準の変更は出来ないのです。2×10^(-7)という数字がついていることが再定義であるということを表しています。
熱量のcalの定義が水を基準にしたものであるというのは水の比熱が1であるということとつながっています。一番の基にある定義ではややこしい数値はついてこないはずです。

電流を決めれば後は全て整合的に決まってくるというのは単位系というものが成り立つ限り当然のことです。でもそのことを質問しているのではないだろうと考えています。
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質問の趣旨が力学単位との整合だと解釈したので、


とりあえずSIの単位に関して私は回答しました。

http://www-lab15.kuee.kyoto-u.ac.jp/~kitano/emf/ …
によると当初はアンペアは電気分解を用いて、
ボルトは電池の起電力を用いて定義されたようですが、
アンペアとボルトの定義を独立にしてしまうと、当然力学と単位系が整合しません。
(まあ先にありますように1J=4.2calのような比例定数を付けても良いのですが)
そういうわけで、SIでは力学の単位系と整合を取るために、
アンペアだけを定義したわけです。

ちなみに、これをGrassmannの法則を用いて定義すると、
真空中に1m離れた平行に同じ強さの電流が流れる導線間に働く力を、
それぞれの導線の長さで割って、
その長さを双方0に近づける極限を取ると、
(要するに各導線の長さで微分するわけですが)
その値が10^(-7) N/m^2になるとき、
各導線に流れる電流は1Aであるということです。

これが、Grossmannの法則の比例定数が μ_0/4π = 10^(-7) ということで、
これを無限に長い導線に沿って積分すると、
働く力が 2×10^(-7) N になるということです。
即ち、2という値はGrossmannの法則の比例定数を10^(-7)と定めたことから本質的に導出されるわけで、
1でも3でも4でも良いというわけでは決してないということに注意が必要です。
(というか、SIにおけるアンペアの定義は
本質的に μ_0/4π = 10^(-7) を定義したことに外ならないわけですが)
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理科年表に載っている年表で調べてみました。



1785-89 電気・磁気のクーロンの法則(クーロン) 
1799    ボルタ電池(ボルタ)
1800    水の電気分解(カーライル・ニコルソン)
1820    電流の磁気作用(エルステッド)
1820    電流計(シュワイガー)
1820    電磁石(アラゴー)
1820    アンペールの法則(アンペール)
1820    ビオー・サバールの法則(ビオー・サバール)
1826    オームの法則(オーム)
1827    電磁誘導(ファラデー)
1832    自己誘導(ヘンリー)
1833    ファラデーの法則(電気分解)(ファラデー)
1836    定常電池の製作(ダニエル)
1840    電流の熱作用の法則(ジュール)
1843    熱の仕事当量(ジュール)

(1)#3で「オームはダニエル電池を使ってオームの法則を見つけた」と書きましたが間違いです。ボルタ電池でやられていることになります。ビオ・サバールもアンペールも全てボルタ電池です。

(2)ボルタ電池1つ分の電圧ということで電圧の単位が決まります。これ以外に単位の決まる量は一切ありません。電流についてのいくつかの法則も全て比例定数の決まらないもののはずです。
だから比例定数を1にする単位系(絶対単位系)が提案されたのです。参考サイトの中にウエーバー(1840年ごろ)とあります。

(3)それまでに実用単位として電流の単位が決まっていたと書いてありますが「?」です。「電流は一定時間に電気分解される物質の量」で決められていたと書いてあります。これはファラデーの法則によるものです。電気分解される物質の量と直接結びつくのは電気量です。電流一定でなくても構いませんので動作の不安定なボルタ電池でも構いません。電流が一定であるとすれば時間当たりの電気量で電流の推測が出来ます。でも当然のことながら単位まで決めるものではありません。銀を利用した電量計が使われていました。これでも「銀~gを析出させることのできる電気量」ということ以上のことは分かりません。この測定には精度があります。他の量を決めるための基準にすることは出来ただろうと思います。(現在、1モルの銀を析出させることのできる電気量(=電子1モルの電気量)はF(ファラデー)と呼ばれています。物理化学定数の1つです。)

(4)抵抗も基準が決まっていたと書いてあります。実用単位という言葉が一緒に書いてありますからその当時既にオームという単位が使われていたのかのように思ってしまいます。
「規準」には2つの意味があります。書かれているのは「比較の基準」のはずです。数値を決める規準ではありません。1840年当時にはアンペアーもオームも使われてはいないはずです。

(5)1W=1VAというのもずっと後のものです。1840年,1843年のジュールの仕事よりも前にこの式が出てくるということはありえないです。アンペアーという呼称は1881年に決まったと書いてあります。推測ですがこのときにこの式に合うようにアンペアーを決めたのではないでしょうか。ボルトが決まっていてアンペアーが決まればオームが決まります。係数が1になっているのはそう決めたからでしょう。

(6)ジュールの「電流の熱作用」(1840年)ではダニエル電池(1836年)が必要だろうと思います。時間の入ってくる実験はこれが最初です。ある時間安定した電流が流れる電池がなければこの実験は成り立ちません。温度計の精度から考えるとある程度以上の時間が必要です。

この回答への補足

大変よくわかりました。詳しく書いていただきありがとうございました。他の方々もたくさん答えていただいてありがとうございました。結構理解が進んだと思います。

補足日時:2008/03/23 09:45
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