No.1ベストアンサー
- 回答日時:
【NMR】
結晶を作らずに液体のままで測定が可能!
->最近は固体NMRもあるけど...
高濃度のタンパク質溶液が必要
->タンパク質は高濃度でアグリゲーションを起こすことが多く測定できない
放射性同位体が非常に高価!
->培養液に対し数mg/L程度精製できるような高収率なタンパク質でないと研究室が破産する
【X線】
NMRほどは高濃度のタンパク質溶液でなくても構わない
結晶化条件の探索をしなければいけない
->最近はロボットで何百という条件を自動でやってくれるけど
重原子置換をしなければならない
->MAD法が適用できれば問題ないけど
あくまでも結晶状態での構造
->って言ってもNMRとの構造とほぼ同じ
なかなか結晶になってくれない
->高度好熱菌由来のタンパク質なら結晶化しやすいと言われるが...
おおまかにこんな感じでしょうか。NMRはよっぽど収率のいいタンパク質(無細胞系も含む)でないと難しいです。あと勇気もいるかな。精製に失敗したらそれだけで数百万円の損失ですから。
No.2
- 回答日時:
既にnitscapeさんがほとんど説明されていますので補足的に。
<NMR(主に溶液NMR)>
まず、水溶性タンパク質しか解析できません。つまり、膜タンパク質の構造解析は可溶化しない限り、不可能です。
さらに分子量の制限があります。今のところ30~40kDa程度まででしょうか。
そもそもNMRでは、一方向へかけた磁場中に試料を置きます。これにより空間の対称性が崩される、すなわち、分子の向きの区別がついてしまうのですが、分子が小さければ回転運動により、磁場と分子の相対配置が平均化されます。
つまり、分子運動が磁場の方向性を打ち消す程度のものでないと構造情報が得られません。
ちなみに、固体NMRでは、磁場の方向性を平均化するために試料管を磁場から54.7度傾けて(磁場方向をz方向とすると、試料はベクトル(1,1,1)の方向に向くことになります)、高速回転させる技術を使っているため、分子回転が遅い巨大分子、および膜タンパク質や繊維タンパク質などの不溶性タンパク質の解析が可能です。しかし、その回転速度に限度があるため、完全な平均化が出来ず、また回転数が高くなると、試料へかかる遠心力効果も考慮する必要があると思います。現在では緩和時間を考慮したさまざまな手法が開発されており、低分子なら厳密な構造解析が可能となっています。しかし、タンパク質の構造解析への応用はまだ出来ていません。
ちなみにタンパク質の構造解析に関しては、放射性同位体を使うことはまずありません。
通常は安定同位体(15N、13C、31Pなど)で、解析できます。
でも高価であることは確かですが。
<X線>
X線では、良質な結晶が得られれば、巨大分子でも解析が可能でしょう。
これは結晶生成条件検索が重要な課題となります。
この回答へのお礼
お礼日時:2002/12/21 23:10
回答どうもありがとうございました。このサイトを使用して以来思うのですが、専門家によるアドバイスは大変参考になりますね。教科書では原理などを勉強したつもりでしたが、まだ知らないこともたくさん有るようです。
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