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 熱力学で最初に習ったときからの疑問です。内部エネルギーUが、系が内包しているエネルギーとまず定義されるのですが、それとは違って、圧力Pと体積Vを用いて、
H=U+PV
で定義されるエンタルピーなる量を定義する必要、意味はあるのでしょうか。なぜ、定圧変化では、反応熱を表すのに、内部エネルギー変化でなく、エンタルピー変化を用いるのでしょうか。熱力学第一法則は、
ΔU=Q+W
ですが、定圧変化で
ΔH=ΔU+P・ΔV
ならば、
ΔH=Q
なので、わざわざ内部エネルギーなどを定義する必要がない気が、最初に習ったときからしています。
(1)エンタルピーの意味
(2)エンタルピー変化と熱(Q)の違い
について、ご教示願いします。よろしくお願いします。

A 回答 (6件)

このような疑問を持つということは、あなたが勉学に真剣に取り組み、また、熱力学のセンスがあるということだと私は感じています。

決して「わかったつもり」にならないところに感心しています。

前置きが長くなりましたが、質問に答えます。

結論から言うと、内部エネルギーもエンタルピーも、熱も重要です。
イメージを持ちやすいように具体例で考えてみましょう。

水に等圧下で熱Qを加えたとします。
このとき、どれだけの熱エネルギーが仕事に使われて、どれだけの熱エネルギーが水を温めるのに使われるでしょうか?
それを考えるには上の式で「内部エネルギー」を考えるのは重要です。
じゃあ、なぜ「エンタルピー」を考える必要があるのでしょう?
それにはHは状態量(最初の状態(Pi,Vi)と最後の状態(Pf,Vf)から決定され、その経路にはよらない)がQは状態量ではないことが関係しています。
エンタルピーは
H=U+PV
で定義されます。したがって、
dH=dU+PdV+VdP
  =δQ+VdP
です。ですから、確かに定圧変化を考えるならばQ=ΔHです。
でもそれは、変化を「定圧変化」という経路を定めているからです。
もしそのとき、内部の圧力が変化するならば、それらは異なるものになります。代表的なものとしてカルノーサイクルなんかを勉強されるといいと思います。わからないことがあればまた質問してください。

文章がばらばらになってわかりずらいものになってしまったことをあやらなければなりません。参考にしていただけたら幸いです。熱力学はとっつきずらいですが、その壁を乗り越えるとすばらしい景色が見えてきます。わからないことに途中で挫折される方が多いことを残念に思っています。ぜひ頑張って勉強されて、新しい景色が見えるところまで登っていただけることを期待します。
熱力学や統計力学を楽しめる図書として久保亮五さんの本があります。探してみられるとよいかもしれません。
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この回答へのお礼

 ご回答ありがとうございます。お褒め頂いてうれしく存じます。私は逆に、「みんなそういう疑問が浮かばないのだろうか」と思うのですが…。
> dH=dU+PdV+VdP
>   =δQ+VdP
> です。ですから、確かに定圧変化を考えるならばQ=ΔHです。
> でもそれは、変化を「定圧変化」という経路を定めているからです。
> もしそのとき、内部の圧力が変化するならば、それらは異なるものになります。代表的なものとしてカルノーサイクルなんかを勉強されるといいと思います。わからないことがあればまた質問してください。
 初めて目にする解説です。大変新鮮でした。カルノーサイクルは一通り勉強しましたが、そこにはエンタルピーHは登場しないと思うのですが…。熱力学第一法則ΔU=Q+Wの各項について、計算するのではなかったでしょうか。
> 熱力学はとっつきずらいですが、その壁を乗り越えるとすばらしい景色が見えてきます。わからないことに途中で挫折される方が多いことを残念に思っています。ぜひ頑張って勉強されて、新しい景色が見えるところまで登っていただけることを期待します。
 そうなのです。この壁を、何とか乗り越えたい、と願っているのです。熱力学を分かった気にならないのです。
 久保亮五さん、確か、私が使っていた「バーロー物理化学 第五版」の訳者ではなかったでしょうか、お名前だけは存じています。このまま、勉強を続けていきます。誠にありがとうございました。

お礼日時:2008/11/04 23:50

#3、#5さんの説明は私の説明よりもすっきりまとめてあってよい説明だと思います。

ただちょっと概念的になっちゃってるのが残念ではありますね。

私が愛用しているサイトに
EMANの物理学
というサイトがあります。
とてもわかりやすく話をまとめてあるので、ちょっとしたことを知りたいときには利用されるといいと思います。
その熱力学>エンタルピー
のところにこの質問にばっちりのことが書いてあるのでみてみられるといいかと思います。そこに書いてあるように、私が書いた説明は式をこねくりまわした分かりにくい説明になっていたかもしれません。

ちなみによい例ではなかったかもしれませんが、カルノーサイクルも深く考えればエンタルピーを考えることはできます。余裕があったら考えて見られると面白いかもしれません。
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> 内部エネルギー変化と、エンタルピー変化の測り方は、


> それぞれどういう違いがあるのでしょうか。

ΔUもΔHも、熱量計(カロリメータ)と呼ばれる装置で測ります。どちらを測るにしても、装置で測っているのは、系(測定試料)に出入りする熱量Qです。“熱量”計という名前がついているのは、そのためです。

測定試料を体積一定の容器に密閉して熱量Qを測る装置では、ΔU=Qの関係式がありますから、この装置ではΔUを測っていることになります。このタイプの熱量計としては、燃焼熱測定に使われる、ボンベ熱量計があります。

試料がいつでも一定の大気圧下にあるようにして熱量Qを測ると、ΔH=Qの関係式がありますから、ΔHを測っていることになります。下記URLにある実験は、ΔHを測定している例です。
http://www.tennoji-h.oku.ed.jp/tennoji/oka/2004/ …
もちろん、この例のような実験ではそれほど高い精度は望めませんけど、もっと洗練された装置でも原理的には同じです。

定積でも定圧でもない時には、測定された熱量QはΔUでもΔHでもないです。定積のときだけΔU=Q,定圧のときだけΔH=Qの関係式が成り立ちます。「熱、エンタルピーをそれぞれ定義する必要」は、ここにあります。定圧変化だけを考えているのならば、エンタルピーと熱を同じものと見なせます。しかし、定圧ではない変化を考える時には、系に入ってきた熱Qを系のエンタルピーの増分ΔHと見なすことができませんから、熱とエンタルピー変化を区別して考えなければなりません。

> 測定法について実験器具・実験法の載っているサイト・書籍など

サイト:熱量計をキーワードにしてGoogleイメージ検索してみて下さい。
書籍:丸善から出ている「実験化学講座」に測定の原理から実際の装置まで詳しく書かれています。

> そこにはエンタルピーHは登場しないと思うのですが…

登場しないです。

>「バーロー物理化学 第五版」の訳者ではなかったでしょうか

バーロー第五版は、藤代亮一先生ですね。何故なのかは私にはよく分かりませんけど、この版の訳は、あまりよくないです。あと、これは私の偏見なのですけど、物理の人の書いた熱力学の教科書では、化学熱力学の教科書と比べると、エンタルピーが軽んじられていることが多いように思います。
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Gibbsの自由エネルギー(G)を定義するときに使うからです。


ΔG=ΔH-TΔS
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エンタルピーも内部エネルギーも、系の持っている熱のことです。

おおざっぱな話をするときには、この理解で十分です。

「系の持っている熱」という表現は、直感的には分かりやすいですけど、熱力学的には少し不正確な表現です。というのは、系になされた仕事を熱に変換できることから分かるように、熱は一般には保存量ではないからです。しかし、特別な二つの場合に限れば、熱を保存量とみなすことができます。定積変化では、内部エネルギーを系の持っている熱と考えれば、熱が保存量になります(ΔU=Q)。定圧変化ではエンタルピーを系の持っている熱と考えれば、熱が保存量になります(ΔH=Q)。

(1)エンタルピーの意味
系の持っている熱です。定圧変化の話をするときに便利です。

(2)エンタルピー変化と熱(Q)の違い
定圧変化では同じものです。
定圧変化でなければ、だいたい似たような値になることが多いですが、違うものです。

(1')内部エネルギーの意味
系の持っている熱です。定積変化の話をするときに便利です。

(2')内部エネルギー変化と熱(Q)の違い
定積変化では同じものです。
定積変化でなければ、だいたい似たような値になることが多いですが、違うものです。

なお、上の話では、体積変化以外の仕事がないことを仮定しています。また化学反応で重要になる、化学結合に蓄えられているエネルギー(化学エネルギー)も、「系の持っている熱」に含めています。
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この回答へのお礼

 ご回答ありがとうございます。
 じっくりと読んでみましたが、まだ分かった気になれません。分からない理由の一つに、それぞれの実験的測り方が分からないせいがあります。内部エネルギー変化と、エンタルピー変化の測り方は、それぞれどういう違いがあるのでしょうか。大学でも、教科書で文字でしか習いませんでしたので、意味が分かりませんでした。具体的にイメージできるような理解がしたいです。この「お礼」をお読みになった方、測定法について実験器具・実験法の載っているサイト・書籍などをご紹介くださると助かります。

お礼日時:2008/11/04 23:57

一番わかりやすいのは


気体の塊を熱したときの状態の変化です。
外部から熱を与えますが,この熱は気体自身の温度上昇により
内部エネルギーの増分になるのと同時に,
気体が熱膨張するときに外部に対して仕事Wをします。
UとWで記述すると2つの物理量が必要になりますが,
これをエンタルピーで記述すればひとつで考えることができます。

一般的に地球上での出来事はほとんどが大気圧(つまり等圧)で行われますので,等圧のときの状態変化を直接記述できる物理量があったほう便利なわけです。

たとえば比熱には等圧比熱と等積比熱がありますが,実際に用いられるのはエンタルピーの温度微分である等圧比熱です。
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この回答へのお礼

 ご回答ありがとうございます。うーん、やはり私の謎は謎のままです。
> UとWで記述すると2つの物理量が必要になりますが,
> これをエンタルピーで記述すればひとつで考えることができます。
 それならば、熱とエンタルピーの違いが分かりません。熱、エンタルピーをそれぞれ定義する必要、それぞれの意味が、疑問なのです。
 ともあれ、ご回答ありがとうございます。感謝いたします。

お礼日時:2008/11/04 23:40

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