代価弁済(民法378条)に関する質問をさせて下さい。
(1)代価弁済の手続について
代価弁済(民法378条)とは、抵当権設定者(債務者)から抵当不動産の所有権等を譲り受けた第三者が、抵当権者(債権者)の請求に応じて、その代価を弁済した場合に、抵当権が消滅し、代価弁済の範囲で、抵当権者の有する被担保債権も消滅し、抵当権の担保がない一般債権として存続する制度だと考えていました。
例えば、債権者Aが、債務者Bに対して、2,500万円の債権を有しており、債務者Bから不動産X(時価3,000万円)について抵当権の設定を受けた後、第三者Cが、Bから不動産Xの所有権を500万円で取得した場合は、第三者Cは、債権者Aから提示された金額(例えば、2,000万円)を弁済したときは、抵当権は消滅し、債権者Aは、担保のない500万円の債権を引き続き有することになると考えていました。
この点について、ネット等において、「代価弁済は、第三取得者が本来抵当権設定者に支払うべき売買代金を抵当権者に支払う制度」のような記述があったのですが、ここにいう売買代金、つまり代価弁済における「代価」とは、第三者が債務者から不動産を取得した売買代金(上述の例では500万円)ではなく、「抵当権消滅の代価」(2,000万円)であると考えて良いのでしょうか?
また、この場合、第三者Cは、不動産所有権取得代金500万円と、代価弁済代金2,000万円の合計2,500万円を負担することになると考えてよいのでしょうか?
(2)代価弁済・抵当権消滅請求と567条2項の費用償還請求
(1)が正しいとの前提でお伺いします。
第三者Cが債権者Aに対して弁済した場合は、「費用を支出してその所有権を保存したとき」(567条2項)として、債務者Bに対して、弁済した価額の償還を請求することができるのでしょうか?
もし、仮にできるとすると、第三者Cは、不動産Xの所有権を500万円(抵当権設定分を割り引いた価格)で取得したにもかかわらず、その抵当権設定分の代価は、債務者Bに対して費用償還を請求できることになり、結果として、抵当権の負担のない所有権を実質上500万円で取得することになります。
そうだとすると、第三者Cが資金のない債務者Bに対して現実的に償還が可能などうかは別として、少なくとも、法律上は、第三者Cの二重得になるような気がします。
また、債務者Bに対する費用償還請求が可能であるとすると、法定代位も可能になるように思いますが、ネット等でみると、法定代位はできないとの記述がありました。
一方で、567条2項の費用償還請求ができないとすると、567条2項(費用償還請求)や3項(損害賠償請求)は、一体どのような場合に適用されるのか具体的なイメージがわきません。
そこで、教えて頂きたいのですが、代価弁済や抵当権消滅請求によって債権者に弁済をした場合は、以下のどれに該当するのでしょうか?
(1)費用償還請求(567条2項)が可能で、かつ法定代位(500条)も可能である
(2)費用償還請求(567条2項)が可能だが、法定代位(500条)は不可である
(3)費用償還請求(567条2項)が不可である
以上の点についてご回答よろしくお願い致します。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
>
http://www.re-words.net/description/0000001698.h …上記URLの事例では、「債権者Aが債務者Bに3,000万円を融資し、不動産Pに3,000万円の抵当権を設定したとする。その後Bがこの不動産Pを500万円で第三者Cへ売却したとする。本来この不動産Pの時価評価は3,500万円だが、3,000万円の抵当権が付着している分だけ売却価格が下げられているとする。このとき債権者Aは、第三取得者Cに対して「Cは抵当権の代価として2,800万円をAに支払え」と請求することができる」となっていますが、それは代価弁済の説明になっていません。
「BがCに時価3500万円の不動産Pを贈与した。抵当権者Aは第三取得者Cに対して、「2800万円を払えば、抵当権を解除(放棄)する。」と言った。」という事例と違いがありません。
>「代価弁済の効果」の項目-代価弁済(378条)では、抵当権者の請求した提示額を払います。
例えば、抵当権者が第三取得者に対して「売買代金3000万円のうち、金2800万円を代価弁済してくれないか。」と言うことはもちろん可能です。
>さらに、代価弁済時の担保責任について費用償還請求が可能とする記述が前記HPにあります。(「第三取得者は代価弁済した範囲で売主に求償権を取得します。(567条2項)」)
売主は買主に対して売買代金債権を有していることを忘れてはなりません。代価弁済は、売主に売買代金を支払う代わりに抵当権者に払うのですから、抵当権者に代価弁済することにより売買代金を支払ったと看做す旨の合意を売主と買主がしているのが通常でしょうし、そのような合意がないとしても、売買代金債権と費用償還請求権と相殺すれば済む話です。
再度のご回答、本当にありがとうございます。
なるほど、ご提示させて頂いたHPの方に記述の誤りがあるということですね。
勉強になります。
しかし、代価弁済とは、何とも不思議な金の動きをするものですね。
代価弁済のメリットが不動産の時価が被担保債権の額よりも下回る場合という意味も何となく分かった気がしますが、それにしても、ややこしい制度な気がします・・。
ご回答ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
>例えば、債権者Aが、債務者Bに対して、2,500万円の債権を有しており、債務者Bから不動産X(時価 3,000万円)について抵当権の設定を受けた後、第三者Cが、Bから不動産Xの所有権を500万円で取得した場合は、第三者Cは、債権者Aから提示された金額(例えば、2,000万円)を弁済したときは、抵当権は消滅し、債権者Aは、担保のない500万円の債権を引き続き有することになると考えていました。
「代価」弁済なのですから、売買代金である金500万円を抵当権者であるAに支払います。しかし、Xの時価は金3000万円なのですから、Aは金500万円で代価弁済に応じるメリットはありません。また、CもAに対して、金2500万円を第三者弁済すれば、抵当権は消滅しますから、代価弁済による意味がありません。代価弁済の意味があるのは、不動産の時価が被担保債権の額よりも下回る場合です。
>第三者Cが債権者Aに対して弁済した場合は、「費用を支出してその所有権を保存したとき」(567条2項)として、債務者Bに対して、弁済した価額の償還を請求することができるのでしょうか?
代価弁済の場合、売主に売買代金を支払う代わりに抵当権者の求めに応じて抵当権者に支払うことによって抵当権が消滅するのですから、担保責任の問題にはなりません。また、時価3,000万円の不動産を金500万円で売る場合、Cが抵当権消滅請求等により所有権を保存したとしても、Bは担保責任を負わない旨の担保責任免除特約がBとCとの間でなされるのが通常だと思われます。
>また、債務者Bに対する費用償還請求が可能であるとすると、法定代位も可能になるように思いますが、ネット等でみると、法定代位はできないとの記述がありました。
費用償還請求は売主の担保責任の問題です。一方、法定代位は、求償権者がその有する求償権を実質的に確保できるようにするための制度ですから、両者は全く別物です。
例えば、債務者がBではなくY、つまり、Bは物上保証人兼人的保証人の場合で考えてみてください。買主Cは売主Bに対して担保責任を追及できる場合だとしても、第三取得者であるCは人的保証人Bに対して代位できませんから(民法第501条2号)、Cは、Aが有していたBに対する保証債権を行使することはできません。
ご回答ありがとうございました。
実は、代価弁済の「代価」が売買代金(500万円)だという記述と抵当権者が任意に設定する(例えば、2,000万円)という記述が両方ありまして、例えば、後者については以下のHPがあります。
http://www.re-words.net/description/0000001698.h …
http://tokagekyo.7777.net/brush_echo/teitou-b-an …
(「代価弁済の効果」の項目-代価弁済(378条)では、抵当権者の請求した提示額を払います。)
さらに、代価弁済時の担保責任について費用償還請求が可能とする記述が前記HPにあります。(「第三取得者は代価弁済した範囲で売主に求償権を取得します。(567条2項)」)
そして、これを求償の問題としている以上、500条の文言上、法定代位の問題を扱わざるを得なくなるような気がしました。
このように、自分で調べた限り、記述があやふやなのですが、上述のHPの説明が誤りだと考えて良いのでしょうか?
念のため、ご回答頂ければ幸いです。
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