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義務者行方不明の場合の抵当権の抹消登記において、弁済期から20年を経過している場合に、「被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額」を供託することが条件になっています。一方、弁済期から20年経過していない場合には、「被担保債権および弁済期の最後の2年分の利息その他の定期金」を完済することが条件となっています。抵当権の被担保債権の範囲は「満期となった最後の2年分」(民法375条1項)となっていますので、弁済期を20年経過した場合には、なぜ弁済期後の利息等まで供託しなければならないのでしょうか?その根拠を教えてください。
抵当権の消滅時効は20年ですから、弁済期から20年経過すれば消滅時効を援用して抵当権の抹消登記ができると考えられないのでしょうか?

A 回答 (4件)

>そうすると、民法375条の規定を超える債務が残存している場合であっても、全額でなく、限定的な債務の弁済となるように思えます。



 立法時の資料を調べたわけではないので、私見になりますが、これも実体法と手続法とを分けて考えるべき問題だと思います。
 
 すなわち、元本+利息・損害金の「全額」を弁済しなければ、抵当権は消滅しないというのは、実体法上の問題です。(抵当権の不可分性)
 一方、例外的に抹消登記の「単独申請」を認めるとしたら、どのような書類を添付させるべきかというのは、きわめて手続的な問題です。
 登記官は形式審査権の範囲内で登記を受理すべきか否か判断しなければなりません。そのため、申請人に要求する添付書類は、形式的、定型的な内容の物に限らざるを得ません。そのため、「被担保債権および弁済期の最後の2年分の利息その他の定期金」という形式的な要件にしたのでしょう。これならば、登記簿を見て、その額を計算することができます。あとは、算出された金額が受取証書に記載されている金額と一致しているか否か審査すれば良いことになります。
 しかし、受理された抹消登記が、有効な登記かどうかは別問題です。実体上、抵当権が消滅しているから、当該抹消登記が有効なのであって、抹消登記が受理されるから、実体上、抵当権が消滅するのではありません。
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#1ですが#2の回答を読んで、書き忘れがあることに気づいたので追加します



>抵当権の被担保債権の範囲は「満期となった最後の2年分」(民法375条1項)となっています

これが誤りです。375条の規定はあくまで、抵当権者と目的物に利害関係を持つ他の債権者との関係で制限を定めたものであって、抵当権者と抵当権設定者との関係では375条の適用はなく、設定者には物からの全額弁済が請求できます。

そのため抵当権を消滅させるためには、「満期となった最後の2年分及び元本」を支払ったのでは足りず、「被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額」が必要であり、供託する必要があります。

#1にも書いたとおり、一部弁済していた分についても、供託が必要なのは個人的には少し疑問ですが。
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この回答へのお礼

丁寧なご説明ありがとうございます。前段は「完全弁済」の場合、後段は「そうでない場合」の抵当権抹消登記の条件であり、前段は弁済期から20年経過の如何にかかわらず適用される。即ち、20年経過していても、完全弁済を証明できる場合は、前段の適用が可能と理解しました。
ところで、前段では、「被担保債権が消滅したことを証する情報として、令別表26ハで定める者を提供したとき」と規定されています。この別表によれば、「被担保債権および最後の2年分の利息その他の定期金」の完全弁済となっています。
そうすると、民法375条の規定を超える債務が残存している場合であっても、全額でなく、限定的な債務の弁済となるように思えます。抵当物についての他の利害関係人がいない場合でも、該当するように思えます。後段の場合にのみ全額を供託するとしているのは、他の利害関係人が存在しないと割り切っているのでしょうか?

お礼日時:2011/01/10 14:13

 多分,ミソは,「完全な弁済」という言葉なのでしょうね。



 休眠でない抵当権設定登記を抹消するときは,被担保債権の全部が消滅していることの証明が必要ですが,それは,最後の2年分プラス被担保債権の元本の金額を払ったという事実とは違います。単なる弁済は,法定充当の規定により,費用→利息・損害金の発生の古い方から→元本の順に充当されますから,「最後の2年分プラス被担保債権の元本の金額を払ったという事実」だけでは,被担保債権の全部を完全に弁済したことにはならないのです。

 すなわち,その金額で被担保債権を消滅させたというためには,支払った金額を,元本と,最後の2年分の利息損害金に充当させる旨の,弁済充当の合意が必要になるわけです。

 休眠抵当の場合には,債務弁済の証明ができませんので,被担保債権を全部消滅させる必要があり,合意弁済充当は考えられないため,当然,被担保債権の全額(最後の2年分に限られない利息損害金を含む)の供託が必要になるわけです。

 次に,消滅時効援用による抵当権設定登記の抹消は,抵当権自体の消滅時効よりは,被担保債権の消滅時効を援用する方が,弁済期から10年で済みますので,時間的に有利です。

 ただし,この場合には,不動産登記法が特に定める手続を使うことはできませんので,抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟を提起し,その勝訴の確定判決による登記となります。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。消滅時効については、債権との附従性を失念していました。なお、完全弁済の点ですが、令別表26ハで「被担保債権および最後の2年分の利息その他の定期金」と規定されている点が、それを超える債務が残存している場合でも、債務全額でないように思えるのですが、後段の場合の「全額の供託」との関係が今一つ理解できていません。教えていただければ幸いです。

お礼日時:2011/01/10 14:19

質問文を拝見したかぎりでは、少し混乱している風に見受けられます。

弁済期から20年を経過する前後で手続きが変わると理解している様に書いておられるが、そうではないです。

抵当権の抹消登記に関する単独申請の特則として、不動産登記法70条3項前段による手続きと、後段による手続きがあります。(他にもありますが)

前段による手続きとは、登記義務者の所在が知れないが、既に完全に弁済していて、被担保債権が消滅しており、実体法上抵当権が消滅している場合に、単独申請できることを定めたものです。(弁済期からの期間は当然問わない)

この場合は、完全な弁済があったことを証する情報を提供する必要があります。

後段による手続きとは、登記義務者の所在が知れないが、弁済も終わっていない、つまり実体法上抵当権は消滅していない(している可能性もある)が、弁済期から20年が経過していれば、ある一定の要件のもと、抵当権の抹消登記を単独でできると定めたものです。

後段の申請の要件の一つに、被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭を供託することが必要です。もし仮に、既に債権の一部を弁済していたとしても、左記の全額に相当する金銭を供託しなければなりません。

>抵当権の消滅時効は20年です

民法396条で、抵当権はその担保する債権と同時でなければ時効によって消滅しないと規定されています。また一般的な債権の消滅時効は10年ですが、時効の中断事由として、請求・承認などがあります。そのため弁済期から20年たったからと言って、必ずしも被担保債権が消滅時効にかかっているわけでなく、抵当権も消滅時効にかかっているわけではありません。そのため、抵当権設定者の「単独申請」で登記官が消滅時効を認めるわけにはいかないでしょう。
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