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『この作品、ある意味で、津田功介が藤谷果穂と二人乗りの自転車で踏切事故にあって死ぬのが、リアルなエンディングなのだ。
あの二人のリアルな死で、この物語の一つのリアルな構造が終わる。
その時、物語の空間が強くなり、突然、間宮千昭が未来人であると告げられる。
つまり、そこからSFという比喩がようやく始まる。
作為のなかで死のリアルさと、幻想の過去の可能性としてのSFは、きちんと意識的にこの物語のなかで多層化される。

この多層性のなかで、紺野真琴は間宮千昭を恋人として選び得たかもしれない失われた過去にいる。
ここでも時間が死と遭遇している。
間宮千昭は、時間の秘密を犯した重罪であり、きっちりとは描かれていないがそれは死罪と見てよい。
「今」という時間は、恋を選べずに、津田功介と藤谷果穂を殺した罪と間宮千昭の死だけが残されるようにできている。

物語のこの屈曲点から、物語としての最終部に向けて、ドラマツルギーによる転換が始まる。
リアルな人生の、こうした悲惨な時間という意識構造に立ち向かい始める。
私たちは過去のなかで選び得たものを最上のものとすることができるのではないか、と。
これはニーチェ哲学の最上命題だ。
多様な希望に満ちた過去からその最悪な今につながるルサンチマンとしての自分の今のあり方を、きちんと今選びなおすこと。
もう一度あの時間を生きるとしても、同じ選択をすること。
今の人生に是と言うための過去を選択しなおすこと。

映画では、紺野真琴は間宮千昭を恋人として選び直す。
それは同時に過去の恋人を失うことでもある。
そこで失われた恋人として、「また未来で会おう」と約束する。
それは、未来としてのこの今のこの時間に、最善の選択をすることだ。
そして、それが今という時間を変える。

映画のこの、ラブシーンのように見えるトリックは、「タイム・トラベラー」の視聴者だった私にはよくわかる。
ケン・ソゴルと芳山和子の約束そのものだからだ。
恋人は再び別の人間として未来に現れるということ。

人は若い日の恋愛のなかには生きてはいけないけど(そこには死があるし)、そこから組み上げた最上の未来のなかで定まった未来の恋人を選び出すことはできる。
その確信のなかに生きていたことが、過去の時間のすべてを変える。
それが大人の物語だ。』


私は「タイム・トラベラー」は見たことがないので、ケン・ソゴルは知りません。
ラブシーンのように見えるトリックを分かり易く教えてください。

A 回答 (1件)

「タイム・トラベラー」というのはずいぶん前のNHKのドラマで、「時をかける少女」が原作です。


原田知世主演の映画「時をかける少女」と同じストーリーですよ。

原田知世演じる高校生芳山和子と、同級生深町一夫(未来人で、本名はケン・ソゴル、実際は11歳!?)の最後を思い浮かべてもらうといいと思います。
自分の正体を和子に明かし、再会を約束して、ケン・ソゴルは未来へ帰っていきます。
それと同時に、彼についての記憶はみんな消えてしまいます。
和子の記憶からも。 

映画では、10年くらいたってから再会しているシーンがあるのですが、原作ではたしか再会していなかったと思います。
アニメ「時をかける少女」に登場している主人公のおばさんは、この芳山和子が大きくなった姿ですね。

トリックを、という質問の回答にはなっていませんが、参考になさってください。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。

お礼日時:2009/02/17 12:43

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