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新型インフルエンザの感染ルートとされている「接触感染」。
このウイルスって、たとえば、テーブルに付着したり、繊維(衣服)に付着した場合、どれぐらいの時間、生きてるものなのでしょうか?
(つまり、どれぐらいの時間、感染力があるのでしょうか?)
もし、ご存知のかたがおられましたらご教示ください。

#病院に行って医者に聞け、という回答はいりません。

A 回答 (2件)

 獣医師でウイルスに専門知識を有する者です。



 まず新型インフルエンザですが、「新型」ではありますがそれは抗原性状が人類がこれまで経験したことがない、という意味で新型なのであって、ウイルスの性質は通常のインフルエンザウイルスと何も変わりません。

 また、インフルエンザの感染経路は、感染者の咳やくしゃみなどによって空中に散布された飛沫に含まれるウイルスを吸入することによる「飛沫感染」が主体です。ご質問のような接触感染もありますけどね。

 インフルエンザウイルスに限らず、全てのウイルスは栄養を取り入れて代謝し、自らの生命を維持するといった「生命活動」をしません。というよりそのようなシステムを持たないのでできません。
 ウイルスは遺伝子とそれを包む殻のみという、シンプル極まりない構成なので、自らの遺伝子をコピーしてそれを包む殻を生産する、すなわち「自己増殖」すら単独ではできません。生きた細胞内に侵入して、細胞に自分の遺伝子を読ませて複製させ、殻を生産させて初めて増殖が可能なわけです。

 つまり簡単に言うと、ウイルスは生きた細胞内でしか増殖できず、増殖以外の生命活動を行わない(実はその増殖も細胞にやらせている)微生物、ということになります。

 ですので、環境中、すなわちご質問のようなテーブルや衣服に付着したような状態のウイルスは、時間と共に壊れていく一方の「モノ」に過ぎません。

 ウイルスの生死は「細胞に感染できるかどうか」で判定します。感染しないと唯一の生命活動である増殖ができませんから。
 その感染も、細胞をむりやりこじ開けて侵入できるわけもないので(それならば細胞膜を溶かす、という生命活動をしていることになる)、細胞に付着して細胞の方から取り込んでもらうことになります。

 「付着」と書きましたが、単にくっくつだけでは細胞は取り込んでくれません。細胞のレセプター(受容体)にウイルスの抗原が結合することによって細胞が取り込んでくれるわけです。もちろんそのレセプターは細胞がわざわざウイルスのために用意したものではなく、細胞外との様々な物質のやりとりのためなどに用意されているものです。
 このレセプターとウイルスの関係は、「鍵穴と鍵」に例えられるように、あるウイルスは特定のレセプターにしか結合できません。
 例えばHIVは血液中の白血球、それもTリンパ球にしか感染できません。

 ま、狂犬病のように「全てのほ乳類に感染できる」ウイルスもありますが(これはすなわち、全てのほ乳類の細胞が持っているレセプターを標的にしている、ということ)、たいていのウイルスはある特定の動物の特定の器官にしか感染できません。インフルエンザウイルス(ヒト)の場合は、ヒトの上気道粘膜、というわけです。(豚はヒト型のレセプターを持っているので、ヒトインフルエンザにも感染する)

 話が横道にそれましたが、テーブルや衣服に付着したウイルスの生存期間は、「テーブルに付着した飛沫の量」、「その飛沫に含まれるウイルス量」、「気温や湿度」、「紫外線の照射量」等に影響されるので一概には言えません。
 ウイルスの死滅速度は、「これこれの条件で1時間処理したら90%が死滅した」というような表現をします。
 元が1万個あれば99%死滅しても100個残ってますし、元が1億個あれば100万個残ることになります。

 また、飛沫の量が少なければ、少ない時間では飛沫の水分が全て失われますから、元が高濃度にウイルスを含んでいても死滅速度は速くなりますし、飛沫量が十分多ければ気温や湿度の影響を受けにくいゾーンができますから、死滅速度は遅くなります。

 ですので、質問の回答は「せいぜい数時間」というところでしょうけど、条件によってかなりの幅があると考えて下さい。
 例えば洗濯して天日干しにしている衣服にウイルスが付着しても、極めて短時間でウイルスは死滅してしまうでしょうが、同じ「洗濯物を干す」環境でも、夜間の室内で干していれば、それも気温が十分低ければ、朝まで感染能を保っているかもしれません。
 テーブルにしても、窓際と壁際では違うでしょうし(紫外線照射量が異なる)、夜間と日中でも違うでしょう(紫外線照射量に加えて気温も違う)。
 その飛沫を排泄した感染者が感染初期の潜伏期間中かバリバリの発症中か、または快復後のウイルス排泄期間中かで「飛沫中のウイルス量」が大きく異なってきますから、生存期間もまた違ってきます。

 というわけなので、「せいぜい数時間」というのが精一杯の回答です。

 なお、ここまで読んでいただければお判りかと思いますが、ウイルスは「宿主動物」がいなければ生存できない微生物なので、地球温暖化によって氷が溶けて云々は噴飯モノの与太話です。
 また、人類が滅亡すれば「ヒトインフルエンザウイルス」も共に滅亡します。まあ豚で生き残るかもしれませんが。
 「A型インフルエンザウイルス」では、元々カモなどの水禽類が自然宿主なので、人類の存亡には関わりがない話です。ヒトのインフルエンザウイルスも、元々はカモのウイルスが変異して「ヒトのレセプターに高い親和性を持つようになり、ヒトの間で流行するようになったウイルス」ですから、インフルエンザウイルスの単なるひとつのバリエーションに過ぎません。

 ちなみに今回の新型インフルエンザウイルスは、誕生して間がないウイルスだと判っています。おそらくこのウイルスが生まれたのは、今年に入ってからです。
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この回答へのお礼

とても丁寧に専門的知識でご回答いただきましてありがとうございました。
大変、勉強になりました。感動しました、ありがとうございました!

お礼日時:2009/07/25 18:11

はじめまして、よろしく御願い致します。



本来、インフルエンザウイルスは何年も前に地球上にあります。

それが、地球温暖化によって氷が溶けて、ウイルスが流れてきます。

色々、免疫などと戦い強いインフルエンザウイルスだけが残ります。

結果として、人間が全滅してもインフルエンザウイルスだけは生き残ると思われます。
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この回答へのお礼

早速のご回答ありがとうございました。

お礼日時:2009/07/25 18:08

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