微小電極(UME)はマイクロメートルオーダーに電極面積を小さくした電極ですが、
これのサイクリックボルタンメトリーをとると電極の種類によらずS字型のカーブを描く
という話を聞きました。
これは一体なぜなのでしょうか?
S字型のカーブを描くのは電気二重層の充放電電流が小さくなるからという話なのですが、
電極面積が小さくなると電気二重層の充放電電流は小さくなるでしょうけど、
ファラデー電流も小さくなると思うのですが、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
電極の種類によらずCVの波形がほとんど同じになるそうなのですが、
ではこの流れる電流というのはファラデー電流ではない、ということなのですか?
どなたか教えて下さい。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
> No4で示してくださった図の上の図で、
> これはマクロな電極と同じくCVの掃引速度によってその電流量は増加するのでしょうか?
ある程度以上に遅い掃引速度では,掃引速度に依存しません.もちろん容量電流は変化しますが.また,掃引速度が速くなって,1次元拡散の影響が大きくなってくれば速度に依存するようになります.
> マクロな電極の電流は時間が経つとゼロになるのに対して、
> UMEは定常状態電流というものが流れ続けると本に書かれています。
>
> この定常状態電流と上で述べた電流量というのは一致するのでしょうか?
>
> 一致するとしてその理由も教えて頂けないでしょうか?
一致します.くどいようですが,定常状態に達した拡散層は,そこに至るまでの過程はともかくとして同じ状況になるからです.拡散限界条件での定常状態は,電位をどのように変化させたかには依存しません.あたりまえですが,電極反応が拡散限界でおこっているという状況は同じで,この条件で「定常」に達しているのですから,同じ状況に辿り着かない方が不思議です.
No.5
- 回答日時:
> つまり溶液に溶けたレドックス活性種の酸化還元反応の見た場合には
> c80s3xxx様が示して下さったUMEのような波形になるけれども、
> 電極材料そのものの酸化還元や,溶媒からの水素吸脱着とかの挙動はもちろん電極材料に依存するということなのでしょうか?
そうです.
> 金や白金をUMEのように微小化してCVをとった場合、波形はどのようになるのでしょうか?
吸着水素の生成とか酸化物生成とか,あるいはその逆反応とか,そういうプロセスは,溶存種の拡散に支配されません.圧倒的に大量にある水に対しておこるわけなので,マクロ電極でピークになる理由も拡散の問題ではなくサイトが満杯になる(あるいは空になる)ことによります.なので,この場合はミクロもマクロもないはずです.ただし,細線化する関係で,素材の純度を落とさざるをえない場合があり,それが理由で純度の高いマクロ電極と異なる波形がでるかもしれません.
後もう一つだけお聞きしても良いでしょうか?
No4で示してくださった図の上の図で、
これはマクロな電極と同じくCVの掃引速度によってその電流量は増加するのでしょうか?
マクロな電極の電流は時間が経つとゼロになるのに対して、
UMEは定常状態電流というものが流れ続けると本に書かれています。
この定常状態電流と上で述べた電流量というのは一致するのでしょうか?
一致するとしてその理由も教えて頂けないでしょうか?
よろしくお願い致します。
No.4
- 回答日時:
あなたは実際にUMEの測定結果を見たことがあるのでしょうか?なにか,いくつかのことがごっちゃになっているように思えるのですが.
S字型ってのは,たとえば添付の図のUMEと書いた方のような形のことですよね?マクロ電極のCVとの形の違いは,すでに説明したように拡散モードの違いです.
> 電極の種類によらず
というのは意味がよくわかりませんが,そもそも充電領域で溶存種の CV を取っている場合,電極材料による違いは電荷移動の速度定数の違いで,それがある程度大きい (速い) 場合はそもそも電極材料によってボルタモグラムの形は変わりません (もちろん,電極材料によっては電荷移動速度に Butler-Volmer 式自体が適用できない場合とかもありますが).電極材料そのものの酸化還元や,溶媒からの水素吸脱着とかの挙動はもちろん電極材料に依存しますが,これは溶液内拡散過程は重要ではないので,そもそも図のようなS字にはなりません.また,そのような挙動については,マクロだろうがマイクロだろうが,電極素材が変われば変わります.
ありがとうございます。
つまり溶液に溶けたレドックス活性種の酸化還元反応の見た場合には
c80s3xxx様が示して下さったUMEのような波形になるけれども、
電極材料そのものの酸化還元や,溶媒からの水素吸脱着とかの挙動はもちろん電極材料に依存するということなのでしょうか?
例えば、
Au(111)やPt(100)といった代表的な電極のCVをとった場合
http://www.aist.go.jp/aist-idea/download/patent/ …
のようにいくつも波形が出てきますが、金や白金をUMEのように微小化してCVをとった場合、波形はどのようになるのでしょうか?
レドックス活性種を溶液を含んでいる場合には,
示して下さったUMEのような波形になるのだと思うのですが、含まない場合にはどのようになるのでしょうか?
No.3
- 回答日時:
> 例えば白金のCVをとるとピークは一つではなく複数出てくるわけですが、つまりいろいろ反応が起きていることを意味するわけですが、
> これがUMEになるとピークがなくなってしまうのはなぜなのでしょうか?
表面そのものに起因する反応はなくならないと思いますが.
> ディスク電極みたいに面でしか溶液と接することが出来ない電極を微小化して、
> マイクロオーダーにするとどうなるのでしょうか?
その話をしていたつもりなんですけどね.
図参照.
ありがとうございます。
そういうことなのですか?
金属によらずCVカーブはS字型になるわけですが、
それにも係わらず表面そのものに起因する反応はなくならない、というのはどういうことなのでしょうか?
CVカーブに表れるS字は反応による電流ではないということなのですか?
No.2
- 回答日時:
電気二重層はまったく関係なし.誰がどういう説明をしたのか知りませんが.
また,残念ながら,微視的になるとどうのという#1の回答もまったく意味がありません.拡散定数はこのくらいのスケールでは巨視も微視もへったくれもなく同じです.
電極を小さくして,同じ時間スケールの電解を行うと,拡散層が広がってくるために,半無限1次元拡散挙動から半無限の球状拡散 (対称性があるので,数学的には2次元拡散だが,イメージ的には四方八方からの3次元的な拡散のイメージ) に変わるため.
定性的には,電極に近づくにつれて反応物が濃縮されるような効果が出てくるので,電極近辺での濃度勾配が時間によらない定常状態に到達するため,電流が「時間に」依存しなくなる.
マクロ電極のCVで電位を上げていくと電流が減少してくる領域が出るのは,その領域では電位を上げていることにはもはや何の意味もなく,時間が経過していることに対応して拡散層が広がっていくことを反映している.UMEではこの拡散層の経時的広がりがおこらない (定常状態に達する).
一方,帰りの曲線が行きの曲線と重なることも,拡散層の問題.つまり生成物が外へ逃げる方向の拡散も同様の3次元的な拡散になり,外に行くにつれて急激に薄くなるために拡散散逸が効果的に行われ,結局,蓄積が事実上おこらないために,往復の状態が同じになってしまう.
このような解釈の妥当性は,たとえばUMEで超高速掃引をおこなった結果や,拡散定数が極端に小さくなる高分子固体電解質での測定に適用した例と比べるとよい.拡散層が広がらないため,マクロ電極となんらかわらないCVになる.
ついでに Szabo の式というのも調べるとよい.大きさと経過時間の相対的関係が,電極周囲の拡散挙動において重要であることがわかるはず.
ありがとうございます。
2つお聞きしたいのですが、
・つまりファラデー電流をともなう電子移動反応の過程の中で律速であった拡散が促進されることでS字型カーブになる、
ということだと思うのですが、
例えば白金のCVをとるとピークは一つではなく複数出てくるわけですが、つまりいろいろ反応が起きていることを意味するわけですが、
これがUMEになるとピークがなくなってしまうのはなぜなのでしょうか?
・それと三次元的に溶液と接することが出来るUMEであれば、
拡散が促進されることは理解出来ますが、
ディスク電極みたいに面でしか溶液と接することが出来ない電極を微小化して、
マイクロオーダーにするとどうなるのでしょうか?
この場合挙動はマクロと同じになるのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
充分な知識を持ち合わせていないので、あんまり信じない方が良いかもしれませんが、
流体は微視的になればなるほど「見かけの粘度」が上がります。
つまり拡散電流は少ないはず。
ファラデー電流と拡散電流の差については知りません。
私は米国で「拡散」と習って帰国してからは電気化学のペーパー書いてないから術語は弱い、(恥;
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