インフレターゲットは幾つかの目的のために設定すると考えます。
1.中長期の目標インフレ値を設定することで中長期のインフレを安定させる。この場合指標はGDPデフレーターやコアインフレ値を用い、短期的には目標値以上に振れることを許容する。
2.市場にインフレ期待を与えることで消費を喚起し流動性の罠(資産としての現金保有のインセンティブが無限に膨らむこと)を避けることができる。
3.目標達成に対しては中央銀行に政策自由度を与える事ができる。また、政策の失敗を「良いデフレ」といった弁解でごまかすことを否定できるため、中央銀行に対する信頼を回復でき政策に対する責任を明確化できる。
まだ目的はある(触れ幅の小さい安定した経済成長が期待できる、公的負債の軽減を狙う事ができるなど)わけですが、これに対する反対論についてお聞きしたいと思います。
例えば、「必ず」ハイパーインフレになると主張する人がいますが、そういう経済危機を避ける目的で導入するのがインフレターゲットだと思うのですが…。逆にハイパーインフレは生産力過小、需要過大で起きるので、このまま国内産業が衰退していくと本当にハイパーインフレになってしまうと思います。
また、インフレ率をコントロールすることはできないと主張する人もいますが、ヨーロッパのインフレターゲットを導入している国は、実際に高インフレ率を押さえ込み年率2%程度の経済成長を実現することに成功しました。日本ではできずヨーロッパではできる理由が良く分かりません。
デフレ脱却のためにインフレターゲットを使用した例が無いという話もあります。ですが昨年のリーマンショック以降の金融危機に際し、どの国の中央銀行も急速にバランスシートを膨らませ市場に資金を供給しております。その結果日本ではバブル崩壊以降10年かかった不況脱却を1年でできてしまうだろうと言われており、アメリカでは景気回復は2010年末か2011年までずれ込むかといった議論になっています(アメリカはインフレターゲットをおいてはいないものの、デフレファイターであるベン・バーナンキやクルーグマンらがいます)。
日銀にはもう手が残っていないという人もいます。ですがバランスシートを見る限り日銀は他国任せで殆ど何もしておらず、国債買い切りなどの政策について独自の日銀ルールを設定し自分を縛りながら何もできませんと言っているとしか思えません。
以上ですが、どうも反対のための反対論ばかりという気がしてなりません。
もっときちんと整理したいのですが。
A 回答 (5件)
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No.5
- 回答日時:
話を整理してくれ。
>私がインフレターゲット反対論者に問いたいのは、あなた方はデフレを放置して
>良いと思っているのか否かということ。
どこのインフレターゲット反対論者がそんなことを言っているのか?
インフレターゲット反対論者もデフレは克服すべきで意見は一致している。
日銀委員たちもほぼ共通見解。
金融政策や議事録や講演での話を聞いていてもデフレを良しとしていないのは明白。
>仮に自分達に手が無くても行政サイドにこのような方針をとるべきだと提案する
>責任はあった。その責任すら放棄するならば日銀は中央銀行として存在する意味がない。
だからどうして日銀?それならばECBもFRBもBOEも存在する意味はない。現在の先進諸国の中央銀行は行政サイドに方針を提案する責任はないと前中央銀行が明言している。インフレターゲットを導入している国でも同じ。
>円キャリートレードに関しては、これを問題視してデフレを放置すべきかという問題になる。
誰もそんな話はしていない。
円キャリートレードが世界的に起こるほど、世界は日銀のお金ジャブジャブを認識していた。また「問題は日銀がインフレ目標を設定せず、つまり、いずれ十分なインフレにならないうちに日銀は引き締めに回るだろうと見なされたことが問題だと考えられる。」とあるが見当違い。
日銀が急激な金融引き締めを行わないと思っていたからこその円キャリートレード。金融引き締めが起こると見なしているならば、そこで急速な円キャリーの巻き戻しがあると想定しているのだから、円キャリーが活発にはならない。
今、ドルが低金利だがドルキャリーが起こらないのは、景気回復時にはアメリカの金利が上昇が起こると見なされていることもある。
インフレターゲット論とかから全く外れた話になっている・・・
この回答への補足
>どこのインフレターゲット反対論者がそんなことを言っているのか?
インフレターゲット反対論者もデフレは克服すべきで意見は一致している。
日銀委員たちもほぼ共通見解。
金融政策や議事録や講演での話を聞いていてもデフレを良しとしていないのは明白。
ならばなぜ手をつけないのか。
現実において、仕方が無いというのは何もしないのと同じ。
責任ある立場の人間は仕方が無いなど言ってはならない。それは責任放棄だからだ。
「デフレを良しとはしていない」が「1%のインフレはもっと悪い」と思ってるんだろ?
ゼロインフレを目指したら-1%デフレになったでござる。
円キャリートレードはどうも円キャリートレード神話みたいな話になってるので割愛。
日銀は出来ることをやりつくした説に対する反論。
・あれ?量的緩和ならぬ量的引き締めやってんじゃないの?
http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20090321
http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20090323/1237780 …
日銀が買ってるのは短期国債(と現金の交換)という話(金利がゼロ近傍だと短期国債≒現金なので流動性には殆ど影響しない)。
買うならば長期国債を買わねばならない。
・そもそも日銀券ルールの根拠が曖昧。
日銀券ルールとは、日銀の保有する長期国債の残高は、発行銀行券の範囲内に抑えなければならない、というもの。
これは戦前戦中の国債増発とその買い切りが戦後にハイパーインフレとなったという反省のためと言われるが、資金流動性やGDPの衰退を犠牲にしてでも守らねばならないルールなのか、という点。
また、日銀の使命の一つに「物価の安定」があるが、これはどうも時代ごとに定義が変わるらしい。1995年以降は1%のインフレも許されないということになっている(としか思えず)、0%を維持しようとしても下方バイアスによって必ずマイナス(デフレ)になるという状態である。
No.4
- 回答日時:
はじめまして.よろしくおねがいします.
私は現状日本でインフレターゲットを設定するのは危険だと思います.その理由は端的にいえばNo.3さんの回答の最後に書いてある
>これでもデフレ対策が不十分?金融緩和をしてもカネが回らないとデフレは克服できない。
これが最大の理由です.
わかりづらいので多少補足.今日銀がインフレターゲットを設定したとします.(2%ぐらいが妥当かな?)しかし日本は現在デフレです.(なんか今日のニュースで過去最悪http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090828-00000 …とか)そうすると日銀は物価を上昇させるために当座預金の量を増やす,つまり市場に出回るお金を増やすことになります.
さてここで問題になるのが「銀行はそのお金をどこに投資するの?」という問題です.現状日本の民間企業はお金を借りてくれていません.むしろ借金返済に走っている始末,投資対象ではない状況です.(ここらへんは日銀資金循環統計がソース.いや感覚的にも明らかですね)
とするとどこに銀行は投資するの?結局国債に金が集まるだけでしょう.それどころか株式に大量にお金が流れ込み株式がバブルを起こしかねないかもしれません.(まあ,日本の銀行はそうならない気がしますけど)これでは実態なき景気回復,なんらかのツケを将来喰うことになります.
(まとめ)
民間企業が融資を受けない今,銀行にジャブジャブお金を渡しても国債にお金が行くだけ.もし効果がでてインフレ率の調整に成功しても実態なき回復(株式市場の回復など)になり実態経済との乖離が生ずる.
とまあここまで書いたのですが別に私はインタゲを反対しているわけではありません.むしろNo.3さんが指摘しているように民間企業に投資をさせるような努力をするのは日銀の管轄外.政治のほうの役割です.
政府が民間企業に投資をさせるよう需要を増やす努力をする.つまり財政政策ですね.これと組み合わせることによってインタゲは効果を発揮するのではないでしょうか?結局不景気にせよ好景気にせよ政府の財政政策と中央銀行の金融政策の両輪がうまく作動することによってでしか経済は動かすことができないでしょう.
日銀はここまでうまくやってくれていると思います.あとは政治のほうがどう動くかでしょうね.
この回答への補足
その通りでしょう。
日本でなぜ投資意欲が湧かないかと言えば、ぶっちゃければ政治力の無さ、リーダーシップの無さに起因すると考えられる。
日本では政府の財政政策が語られるたびに半可通が「財源はなんだ」と言ってくる。
その時政府はきりっと言わなければならなかった。
「心配しなくて良い、日銀が金を出してくれる」
と。
市場に金がジャブジャブだと言うならば、政府はこう言うことも出来るはずだ。
「使い道が無いなら我々がそっくり使ってあげよう。社会保障費がかさんで困っているんだから」
と。
日銀は市場にマネーを供給したがインフレにはならなかったと言う話があるが、問題は日銀がインフレ目標を設定せず、つまり、いずれ十分なインフレにならないうちに日銀は引き締めに回るだろうと見なされたことが問題だと考えられる。
何しろ平成バブル退治からこっち、余計な事しかやらない連中なんだから。
クルーグマン先生曰く
「経済が必要としているマイナスの実質金利を生みだすために中央銀行はインフレの発生を容認する、という主張に説得力を持たせ、金融政策を有効にするには、中央銀行は無責任な行動をとる、と信頼できる形でコミットしなければならない」
http://japan.pimco.com/LeftNav/Featured+Market+C …
「フリー・ランチはないとバーナンキ氏は言いました。しかし、私もアメリカ国民も、何も食べないわけにはいきません。ケインズが言うように、長期的にみれば誰もが死ぬ運命にありますが、正統派に強いられる拒食症で若くして死ぬ理由はどこにもないのです。」
No.3
- 回答日時:
>金融緩和によってインフレ懸念が過熱し過ぎたら引き締めを行えばよい。
>ところがこれではインフレ過熱を抑えるために用いられる
>べきなのだと主張する人が同時にインフレ過熱は抑えられ
>ないのだとも言っていることになる。
解釈がおかしい。または極端な主張をする人の意見を挙げている。具体的に誰がそのようなことを言っているのか?
常識ある経済学者達や財務担当者はそんな無責任に「インフレ懸念が過熱し過ぎたら引き締めを行えばよい。」などとは言っていない。
「インフレ懸念が過熱しすぎたら引き締めを行うべきだ」であって、「行えばよい」ではない。この2つの表現には天と地ほどの差がある。金融引き締めで簡単にインフレ率をコントロールできるなんて考えている経済学の専門家はほとんどいない。そんな単純だったら各中央銀行は苦労しない。
「がんになったら治療すべきだ」と「がんになったら治療すればいいじゃん」では全く意味が違う。これを同一に考えるのは見当違い。
>>デフレ時の経済回復政策とインフレターゲットはある瞬間は似る
>>ことがあるかもしれないが、全くの別物。それを混同するのは
>>株式と債券は同じというくらい目茶苦茶。
>目茶苦茶である理由が説明されていない。
>デフレ時の経済回復政策として徹底的な金融緩和が必要だ
>というのであれば、日本の場合失われた10年の間、いや
>時期に20年になるが、単に金融緩和が足りなかったので
>デフレ退治ができなかったということになる。
とある環境下で一時的に金融緩和というアクションが同じになったとしても、一緒とは言わない。
インフレターゲットは金利引き下げだけでなく、高インフレ時の金利引き上げも含む。一方デフレ時の経済回復のための金融政策は金利引き下げだけ。一時的な環境で2つが一致したからといって同一視するのは間違い。
がんでも肺炎でも免疫力を高める治療を行う。免疫を高める治療(金融緩和)が共通しているからと言って、がん治療と肺炎治療が同じという人はいない。
反自民党政策や免疫治療で共通しているからと言って、民主党と共産党を同一視するのか?
民主党と共産党、がん治療と肺炎治療、インフレターゲットと景気後退対策、ある側面や局面で共通することがあるからといって同じとするのか?ふつうは同一とは言わないのが一般的。一緒にするのは目茶苦茶。
>インタゲは導入しないとしても、日銀の使命として断固として
>デフレと戦うと表明させねばならなかった。
なぜに日銀が関係するのか?またデフレと戦うと表明すればいいなら、インフレターゲットは不要ともいえる。質問はインフレターゲット反対論の話であって、日銀にこだわる意味が分からない。
また、蛇足な日銀の話に踏み込むと日銀の方針がどうデフレ対策になっていないのかも疑問。
FRBやECBは最近になってこそ金利を下げて市場に資金を供給しはじめたが、日本はずっとやっている。長きに渡ってゼロ金利と言われる低金利で市場に資金を供給し続けてきた。そのおかげで市場にジャブジャブお金があふれて円キャリートレードなる言葉まで生まれるほどになった。海外投資家も低金利な縁で資金調達して投資。アイルランドでは低金利な円建て住宅ローンが大流行。
昨今の金融危機以降マネタリーベースも上昇中。P買取までやっている。
これでもデフレ対策が不十分?金融緩和をしてもカネが回らないとデフレは克服できない。ここは日銀の対象外。
国債買い切りも他国と国債の入札状況や発行残高が違い、簡単にヨーロッパの国々と一緒にできない。
この回答への補足
まず、何があってもデフレは克服されねばならない。日銀はそのためのオプションを用意する責任があった。仮に自分達に手が無くても行政サイドにこのような方針をとるべきだと提案する責任はあった。その責任すら放棄するならば日銀は中央銀行として存在する意味がない。
デフレは資産を持つ者に有利に働き、同時にマネー流動性が悪化し消費が減速することから一般の勤労者にとっては減収や失業といった形で不利に働く。
ならば所得税率強化や相続税強化、そしてベーシックインカム等により持つ者から持たざる者へ還流するような政治的手法をとらねばならない。
金融政策と財政政策は両輪で行われねばならないというのはインフレターゲット支持者に一致したところ。
私がインフレターゲット反対論者に問いたいのは、あなた方はデフレを放置して良いと思っているのか否かということ。
私は絶対に否と思っている。
なぜならデフレは経済を停滞させイノベーションを阻害し果ては国富を喪失させるため。日本政府が財政赤字で苦しんでいるのもデフレを放置したため。GDPがちっとも増えないんだから税収が増えなくて当たり前。
イノベーションを阻害するというのは経済が停滞すると新規事業を起こしても育ちにくくなるため。
規制緩和はデフレとインフレ両方の側面を持つけれど、決まったパイの中に新規業者が参入してもパイ配分が変わるだけで最悪共倒れになる惧れすらあり、農業や介護業はまさにその状態になりつつある。
円キャリートレードに関しては、これを問題視してデフレを放置すべきかという問題になる。
トレードで資金を調達した側の問題を日銀の量的緩和のせいにされているようにすら思える。
円キャリートレードをそこまで問題視するなら、日本はデフレ不況をデフレ恐慌にしてでも金利引上げを行うべきだったということになる。
なお、キャリートレードは為替と金利の不均衡を利用しているので、これをデフォルトとして取り扱う時点で間違いとも言える(過剰差益を期待しているのでヘッジしておかないと必ずクラッシュに巻き込まれる)。
No.2
- 回答日時:
>「必ず」ハイパーインフレになると主張する人がいますが、
>そういう経済危機を避ける目的で導入するのがインフレ
>ターゲットだと思うのですが…。
その通り。ハイパーインフレを避けるために導入する手段がインフレターゲット。ではデフレの時に使うのが正しいのか?
高熱が出ているときに使うのが解熱剤。低体温の時に解熱剤を使うのか?それで本当に体温がコントロールできるのか?
>では、今各国の中央銀行がバランスシートを膨らませているのは日銀からすれば
>ハイパーインフレ誘導で愚か者の所業だということになるわけですか?日本の
>ようにデフレを甘受し経済の贅肉を落とした方が良いと?
>問題はこの大前提がまるで当然のことのように主張されていながら、現実に現在
>行われているBS拡大について何も答えていないということです。
なにも答えていないんですかね?これは今の経済学会でも最もホットな議論の一つで経済学会で意見が割れているところですが。世界各国のバラマキを非難する著名経済学者や政治家も多数いるし、バラマキを支持する著名経済学者や政治家もたくさんいる。
>あるいは、各国中銀は1929年の世界恐慌、そして日本の平成バブル不況の教訓から
>学んでおり、その解はインフレターゲット政策から得られたものではないと主張
>されるかもしれません。ですが対応は同じ、BSを膨らませ資金流動が止まらない
>よう資金を供給し続けるという対応です。
デフレ時の経済回復政策とインフレターゲットはある瞬間はにかよることがあるかもしれないが、全くの別物。それを混同するのは株式と債券は同じというくらい目茶苦茶。(債券と株式もある期間だけを切り取るとリターンは同じになるかもしれないが、だから同一とは言わない。)
>ヨーロッパのインフレターゲットを導入している国は、実際に
>高インフレ率を押さえ込み年率2%程度の経済成長を実現
>することに成功しました。
インフレターゲットのおかげだろうか?
前FRB議長のグリーンスパンも言っているが、昨今は世界的な低インフレ時代だった。これはインターネットなどの技術の発達と中国などの新興国の安価な労働力が継続的に供給されるようになったことが原因とも言われている。
インフレターゲットを導入していないアメリカでも高インフレを押さえ込んで経済成長を実現してきた。
>昨年のリーマンショック以降の金融危機に際し、どの国の
>中央銀行も急速にバランスシートを膨らませ市場に資金を
>供給しております。その結果日本ではバブル崩壊以降10年
>かかった不況脱却を1年でできてしまうだろうと言われており、
>アメリカでは景気回復は2010年末か2011年までずれ込むかと
>いった議論になっています
その結果、強大なバブルの種を蒔いたとか、ドル崩壊の危機とか叫ばれている。
世界各国がやっているから正しいとは限らない。ヒトラーの躍進も世界各国が行った政策の結果。あれが正かったのか?
経済政策においても世界各国がやっているからといって正しいとは言えない。(当然間違っているともいえない)
ようするに上手くいくかもしれないが、より悲惨になるかももしれないという劇薬。そんなリスクを犯すべきかという議論はあってしかるべき。
この回答への補足
>その通り。ハイパーインフレを避けるために導入する手段がインフレターゲット。ではデフレの時に使うのが正しいのか?
ここで矛盾が生じます。
金融緩和によってインフレ懸念が過熱し過ぎたら引き締めを行えばよい。
ところがこれではインフレ過熱を抑えるために用いられるべきなのだと主張する人が同時にインフレ過熱は抑えられないのだとも言っていることになる。
>デフレ時の経済回復政策とインフレターゲットはある瞬間はにかよることがあるかもしれないが、全くの別物。それを混同するのは株式と債券は同じというくらい目茶苦茶。
目茶苦茶である理由が説明されていない。
デフレ時の経済回復政策として徹底的な金融緩和が必要だというのであれば、日本の場合失われた10年の間、いや時期に20年になるが、単に金融緩和が足りなかったのでデフレ退治ができなかったということになる。
>ようするに上手くいくかもしれないが、より悲惨になるかももしれないという劇薬。そんなリスクを犯すべきかという議論はあってしかるべき。
問題は、日本は既に詰みかかっているということ。
私は、とるべきリスクは10年前に取るべきだったと考える。日本は非常に分の悪いカードゲームのテーブルについているが、10年前であればまだテーブルの上の掛け金はそれ程積み上がっていなかった。
ところが10年の時間が経ったことによって、その間蓄積できたはずのインフラ、非熟練労働を強いられた若者達の訓練機会の喪失など、どんどん掛け金が積み上がってしまっている。
私は別に、絶対にインタゲが必要だと言っている訳ではなく、日銀が「理性」によって金融政策を行うならば全く不要だとも思っている。ところが過去20年の間、僅かでもインフレ傾向が現れれば金融引き締めを行ってしまうので、もうお前らの理性は信用しないって言っている訳。
「議論はあってしかるべき」その通り、だが10年遅い。
クルーグマンは1998年に論文を発表しているのだからその時に議論を行うべきであったし、インタゲは導入しないとしても、日銀の使命として断固としてデフレと戦うと表明させねばならなかった。
これまでの様子を見る限り、インフレになるくらいならデフレの方がマシと思っているとしか言えず、もしそうだとしたら日銀は日本の国富を500兆円かそれ以上喪失させた国事犯とも言える。
No.1
- 回答日時:
インフレターゲットについては、元々高インフレの国がインフレを緩和するためのものであって、インフレを刺激するものではない、したがってデフレ対策として使うのに妥当性があるかどうかについては全く未知数である、というのが大前提にあります。
したがって実際の政策について考える必要があります。が、現実のインフレターゲット論の主張する政策は、
> 国債買い切りなどの政策
などとあるような政策ですが、基本的に日銀法で禁止されています。なぜ禁止されているかといえば、戦中にこれを行って大インフレとなり、日本では預金封鎖を含む大規模な政策を行わざるをえませんでした。この反省から、原則的に禁止するということになっています。
また、国債を大量に買うという政策は、確かにインフレを生みますが、それが持続的な成長につながるかどうかは未知数であり、もっともあり得るのが不況+インフレというスダクフレーションの招来です。
この回答への補足
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090629
>インフレターゲットについては、元々高インフレの国がインフレを緩和するためのものであって、インフレを刺激するものではない、したがってデフレ対策として使うのに妥当性があるかどうかについては全く未知数である、というのが大前提にあります。
では、今各国の中央銀行がバランスシートを膨らませているのは日銀からすればハイパーインフレ誘導で愚か者の所業だということになるわけですか?日本のようにデフレを甘受し経済の贅肉を落とした方が良いと?
問題はこの大前提がまるで当然のことのように主張されていながら、現実に現在行われているBS拡大について何も答えていないということです。
あるいは、各国中銀は1929年の世界恐慌、そして日本の平成バブル不況の教訓から学んでおり、その解はインフレターゲット政策から得られたものではないと主張されるかもしれません。ですが対応は同じ、BSを膨らませ資金流動が止まらないよう資金を供給し続けるという対応です。
>なぜ禁止されているかといえば、戦中にこれを行って大インフレとなり、日本では預金封鎖を含む大規模な政策を行わざるをえませんでした。この反省から、原則的に禁止するということになっています。
これは反省ではありません。
歴史学ぶところは「適切な目標を設定し野放図な拡大も引き締めも行わない」ということです。
これはいわば飼い犬を外に出して遊ばせていたら道路に飛び出して自動車にはねられてしまった、この反省から犬は一切外に出すべきではないと主張するようなものです。この反省から導くべきは犬を外に出すときは道路に飛び出すと危険である事をしつけ、また首輪とリードをつけて連れ出す事であるということです。
>国債を大量に買うという政策は、確かにインフレを生みますが、それが持続的な成長につながるかどうかは未知数であり、もっともあり得るのが不況+インフレというスダクフレーションの招来です。
「未知数である」と言い続ければ何一つできなくなる。日銀はお役人根性で、何かやって困った事になると汚点になるから一切やらないということなのかもしれませんが、それに付き合わされる国民からすればたまったものではないでしょう。
何より現在の日本は明らかに需要不足です。ワーキングプアに持ち家を持たせるだけでも相当な需要が期待できるのではないですか?
追記として、インフレは貨幣価値を毀損するという反対に対しては「毀損するのではない、一定率で毀損させるのが目的なのだ」と答えます。
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