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ブラックホールの「事象の地平面」や「特異点」や「ホーキング輻射」について教えてほしいです。
またブラックホールに吸い込まれてしまったらどうなるのでしょう。ウィキペディアのノートにブラックホールが存在しないと書かれていたのですがそれもよくわかりません。
あまり物理をよく知らないので分かりやすく教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

A 回答 (14件中1~10件)

 ブラックホールとは何かと言う事を説明します。


 物体を上に向けて放り投げると、重力の働きで、高度が高くなるに従って、上昇速度が遅くなっていき、やがては速度が0になり、その後地面に落ちてきます。
 重力はその源(この場合は地球)から離れる程弱くなるため、放り投げられた物体の上昇速度は、地面の近くに物体がある間は早く減速し、上昇した高度が高くなるほど、同じ時間内に減速する度合いは小さくなります。
 そのため、物体を放り投げる速度を速くしていくと、上昇する高度が高くなるほど重力が弱くなり、減速する度合いもどんどん小さくなっていき、ついには高度無限大まで上昇しても、上昇速度が0にならなくなります。
 高度無限大まで上昇しても、上昇速度が0にならないと言う事は、つまりは永遠に落ちて来ないと言う事です。
 この永遠に落ちて来ない様になるために必要な最低速度の事を「脱出速度」と言い、その値は地球の場合では1秒間に約11.2km進む速さになります。
 重力はその源から離れる程弱くなるため、脱出速度もまた重の源から離れる程、遅くてもよい事になります。
 又、永遠に落ちて来ない様になる事を指して、「重力を振り切る」という表現が使われる事もあります。
 逆に言うと、その高度における脱出速度未満の速度しか持たない物体は、重力を振り切る事が出来ず、重力源から離れる事が出来なくなります。
 重力はその源の質量(重さの事)が重いほど強くなります。
 又、重力源の質量が同じでも、重力源に近いほど、重力は強くなります。
 従って、重さの割に半径が小さい星ほど、その表面における重力は強くなります。
 重力が極端に強ために、脱出速度が光の速度より大きくなる場合、その天体からは光が出て来なくなります。
 アインシュタインの相対性理論によると、物体は光より速く動く事は出来ませんし、情報が光より早く伝達されることもありません。
 つまり、その様な天体に「脱出速度が光の速度に等しくなる距離」より近づくと、光を含む何物であっても、2度と戻っては来れなくなります。
 光さえ戻って来ないのですから、その天体を照明で照らしたり、レーダー電波を当てても、何も見えませんし、その他のいかなる手段を使っても、「脱出速度が光の速度に等しくなる距離」より内側の様子を知る事は出来ません。
 光が出て来なくなり事により、真っ黒に見えるであろう事から、この様な脱出速度が光の速度に達した天体を、「ブラックホール」と呼びます。

 又、回転していないブラックホールの場合における「脱出速度が光の速度に等しくなる距離」の事を、シュヴァルツシルト半径と呼びます。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
とても分かりやすかったです。

お礼日時:2009/11/05 19:21

 尚、もしも私の回答内容の様な、定性的な話は既に御存知で、数式も交えたもっと高度な事を、知りたいと言うような場合には、他の回答者の方が言われている様に、理科系の難しい大学の理学部で学ぶ必要があります。



 逆に、私のものを含めた今回の御質問に対する数々の回答内容の中に、「ここの所が判らないので、もう少し詳しく教えて欲しい」というような部分がありましたら、ログインを済ませた後で、各回答の下にある「この回答に補足をつける(質問者のみ)」と言う文にカーソルを合わせてから、マウスの左ボタンをクリックすると、質問したい内容に関する説明や質問内容の追加を行うための、書き込みが出来るページに移動する事が出来ます。
 又、同様にして「この回答にお礼をつける(質問者のみ)」と言う文ををクリックすると、各回答に対するお礼の文面を書き込む為のページに移動する事が出来ます。
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 回答番号:No.10では書き忘れましたが、重力の存在する所では時間が進むのが遅くなる現象は、ブラックホールに落下して行く物体にも当てはまります。


 時間の進む速さが1億分の1になっている場所では、物体が1秒間に発したり反射したりした光のエネルギーは、ブラックホールから離れた場所には3年以上掛かって放出されます。
 光は波の性質を持っているので周波数というものがありますが、時間の進む速さが遅い、ブラックホールの近くから発せられた光を、ブラックホールから離れた場所から見ると、周期がゆっくりとなって見えるため、可視光線の中では高い周波数を持つ青い光や、中くらいの周波数を持つ黄色い光が、周波数の低い赤い光や赤外線、及び電波等になって見えます。
 光が赤くなる方に周波数がずれて見えるので、この現象を(重力の)赤方偏移と呼びます。
 これらの効果の結果、ブラックホールに落ちて行く物体の様子を遠くから眺めると、ブラックホールまでの距離が離れている間は落下速度が加速して行きますが、事象の地平面に近づくと逆に遅くなり始め、物体の色が赤っぽくなり、暗がりの中に入った様に暗く見え難くなります。
 事象の地平面に近づくほど、より遅く、より赤く、そしてより暗くなって行き、事象の地平面に到達する頃には、暗くて全く見えなくなり、落下は完全に停止しますが、そうなるまでには無限の時間が掛かります。

 但し、これは事象の地平面の外から見た場合の話で、ブラックホールに落ちて行く宇宙船から見た場合は、様子が違って見えます。
 回答番号:No.12では、星の収縮により事象の地平面が生じるまでには、無限の時間が掛かるという話をしましたが、落ちて行く宇宙船から見ると、宇宙船の時間の進み方も無限に遅くなって行きますから、宇宙船が落ちるに従って星の収縮は急速に進み始め、事象の地平面となるべき位置には特に変わったものは見えず、星は事象の地平面となるべき半径よりも更に縮んで行く様に見えます。
 そして宇宙船は、(素粒子の流れに分解された後で、)星が収縮して生じた特異点に、有限の時間内に衝突する事になります。
 従って、少なくともブラックホールに落ちて行く立場にとっては、特異点は存在し、ひいてはブラックホールも存在する事になります。
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>ウィキペディアのノートにブラックホールが存在しないと書かれていた


 
 どうもその項目は、ウィキペディアからは削除されてしまった様なので断言は出来ませんが、おそらくCase Western Reserve大学の物理学者達、Tanmay Vachaspati、Dejan Stojkovic及びLawrence M. Kraussから成る研究チームが、2007年に発表した説に関するものと思われます。
 この説に関しては、私は主旨を日本語訳した文面を見ただけで、詳細は判らないのですが、おおむね次の様なものだと、私は理解しております。

 アインシュタインの一般相対性理論によると、重力の存在する所では時間が進むのが遅くなります。
 (実験や観測により、時間が進むのが遅くなる事は確認されています)
 重力が強いほど、時間の進み方は遅くなり、脱出速度が光の速度に等しくなる事象の地平面では、時間が完全に停止してしまいます。
 回答番号:No.7で述べた様に、ブラックホールは恒星が重力崩壊し、脱出速度が光の速度以上になるまで収縮する事によって生まれます。
 (ここまでは、従来から殆どの物理学者達によって、実際にそうなるであろう事が、信じられている現象です)
 ブラックホールが出来る時の重力崩壊の際には、光速に近い速度で恒星が収縮しますが、収縮が始まってからブラックホールになるまでには、わずかながら時間が掛かります。
 収縮して重力が強くなればなるほど、時間の進み方は遅くなりますから、重力崩壊中の星を外から見ると、収縮が始まって事象の地平面に近い大きさまで収縮すると収縮速度が鈍り始め、事象の地平面の大きさに近づくほど収縮速度が遅くなり、いつまで経っても収縮の途中の状態で、ブラックホールになるまでには無限の時間が掛かる事になります。
 そのため、ホーキング輻射(回答番号:No.9参照)による、質量が軽くなっていく効果の方が、収縮による重力の増加を上回り、星はブラックホールになる前に質量を失ってしまうので、ブラックホールが生まれる事はない。

 と言う主旨の説です。
 この説には反対意見も少なくなく、現在の所、定説とはなっていない様なので、正しいのか間違っているのかは不明です。
(私の印象では、この説を間違いとする意見の方が、優勢の様に思えました)

 尚、ホーキング輻射と言う現象が存在する事は、少なくない人数の物理学者達によって信じられてはいる様です。
 しかし、ホーキング輻射と言う現象は、実際の観測で確認されている訳ではありません。
 又、回答番号:No.7で述べた様に、恒星から生まれるブラックホールは太陽よりも重くなりますが、そのくらいの質量を持ったブラックホールの、ホーキング輻射による温度は、絶対温度で100万分の1度単位で計れる程度しかなく、現在の宇宙の背景放射(ビッグバンが起きた時の熱が、宇宙の膨張により薄まって冷えたもの)である絶対温度で2.7度よりも極端に低いため、ブラックホールが失う質量よりも、ブラックホールに入って来るエネルギーの方が極端に多く、ブラックホールは肥り続けている筈です。(宇宙膨張が進んで背景放射の温度が、ブラックホールの温度より冷たくなれば話は別です)
 それに、Case Western Reserve大学の物理学者達の説では、ホーキング輻射が実在しなくとも、高重力下の時間の遅れによる重力崩壊の無限遅延だけで、ブラックホールの存在を否定できます。
 そのためか、この説に関する議論は、後半のホーキング輻射に関る部分よりも、前半の時間の遅れによる重力崩壊の無限遅延の部分を、主な論点として行われている様です。
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 ウィキペディアには、トミマツ・サトウ解が物理的には生じないと考えられている、と記されています。


 先述の様に、特異点には物理学が通用しないので、特異点が関るとその結果はどうなるか、或いは、過去に特異点が関る事があった場合には、特異点が関る前はどうなっと言った事が推測出来なくなります。
 原因となる始めの状態と、結果となるその後の状態が、どのような関係で結ばれるのか判らなくなります。
 これは物理学にとって大変不都合な事です。
 幸い、通常のブラックホールには事象の地平面があるため、内側で何が起ろうと、その影響(これも一種の情報です)が外側に及ぶ事はありませんから、物理学者は特異点を無視して現象を扱う事が出来ます。
 しかし、通常のブラックホールもの以外の特異点の中には、事象の地平面で隠されていない、剥き出しの特異点(これを「裸の特異点」と呼びます)があるかもしれません。
 そこで、不都合を避けるために、ロジャー・ペンローズと言う物理学者が考えたアイデアが、宇宙は裸の特異点が存在出来ない様なつくりになっているのではないか、と言う仮説です。
 この仮説は、「"裸"の特異点」が表沙汰になる事を、宇宙が禁止している様である事から、「宇宙検閲官仮説」と名付けられています。

 トミマツ・サトウ解には裸の特異点が存在するため、宇宙検閲官仮説に反しています。
 そのため、「トミマツ・サトウ解は物理的には生じない」と考える人も居ます。
 しかし、宇宙検閲官仮説はあくまでも仮説に過ぎないため、正しいのか間違っているのかは判っていません。
 そして、トミマツ・サトウ解以外にも、ライスナー・ノルドシュトロム解(の電荷が限度を超えた場合)やワイル解等の裸の特異点を伴う解もある事、特殊な状況における重力崩壊の様子をコンピューターシミュレーションした場合に裸の特異点が生じる例がある事、等から宇宙検閲官仮説は間違っている可能性もあります。
 このため、「宇宙検閲官仮説が間違っていて、トミマツ・サトウ解は存在可能」とする考えと、「宇宙検閲官仮説が正しくて、トミマツ・サトウ解は存在不可能」とする考えのどちらが正しいのかは断言する事は出来ません。
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>ブラックホールに吸い込まれてしまったらどうなるのでしょう。



 ブラックホールに限らず重力はその源から離れる程弱くなるため、落下中の物体の(重力源から遠い)上側の部分と比べて(重力源に近い)下側の部分の方が、より強い重力が掛かります。
 そのため、下側の部分の方がより速く落下しようとし、上側の部分はおいて行かれそうになりますから、物体には上下に引張る力が働きます。
 この様な力の事を「潮汐力」と言います。
 ブラックホールは重力が極端に強いので潮汐力も強力となり、事象の地平面に近づいた物体はバラバラに引き千切られ、更に落下すると原子さえも引き千切られ、素粒子の流れになってブラックホールに飲み込まれます。
 同じ長さを持つ物体でも、半径の小さいブラックホールに落ちる場合と比べて、半径の大きなブラックホールに落ちる場合の方が、ブラックホールの中心までの距離と比べた、上下の距離の差の割合は小さくなります。
 又、普通の物体の質量は体積に比例しますが、ブラックホールの質量は半径に比例するので、ブラックホールは大きくなるほど、密度が急速に小さくなります。
 (太陽の1億3500万倍の質量を持つブラックホールは、火星の公転軌道よりも大きく、小惑星帯に近い半径を持ち、密度は水と同程度です)
 このため、大きなブラックホールほど、事象の地平面やその外側における潮汐力は弱くなり、銀河の中心核にあるブラックホールくらいになると、人間が引き千切られる事なく、事象の地平面を通過出来る可能性があります。
 事象の地平面の内部では、強大な重力により時間の進む方向が傾いて、特異点に向かって時間が流れていると言われています。
 時間の流れとは逆方向に動く事は出来ませんから、ブラックホールに吸込まれた物体は、特異点に向かって落ちて行くしかありません。
 事象の地平面を無事に通り抜ける事が出来ても、特異点に近づくに従って潮汐力は無限に大きくなって行きますから、ブラックホールに吸込まれた物体は、いつかは素粒子に分解される事になります。
 こうして素粒子に分解された物体は、特異点まで落ち込み、無限大の重力で更に押し潰され、体積0まで圧縮されて特異点の一部になります。
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 ホーキング輻射の説明には、常識では理解出来ない面もありますが、ある程度は「常識には反するが、世界とはこの様になっているのだ」と考えてスルーして下さい。


 特殊相対性理論によると、エネルギーと質量は同じものだとされています。
 実際に、高エネルギーの光を使うと、何も無い真空中に、質量を持った素粒子を、生み出す事が出来ます。
 この時、電気的に中性で何も無い所から、電荷などの様々な性質を持っている素粒子が生まれる訳ですから、辻褄を合わせるために、普通の粒子と共に、全く逆の性質を備えた反粒子が、ペアとして産まれます。
 例えば、光子が消滅して、代わりにマイナスの電気を帯びた電子と、プラスの電気を帯びた陽電子が、ペアになって生まれる時、両方の電荷を合わせると、プラスマイナス0で、元の真空と比べて電荷の値は変化せずに済みます。
 この粒子と反粒子は、質量以外は全く逆の性質を持っていて、この2つが衝突すると、お互いに打ち消しあって消滅し、持っていた質量はエネルギーに変わります。
 この粒子と反粒子のペアの事を「粒子対」と言い、粒子対がエネルギーから生まれる反応を「対生成」、消滅してエネルギーになる反応を「対消滅」と言います。

 さて、量子力学では、不確定性原理と言って、関連した複数の物理的な値を、全て正確に測定する事は出来ないとされています。
 例えば、電子の1つに注目して、ある瞬間における、電子のある位置と動いている速度を、測定するとします。
 この時、電子の位置の測定精度を2倍にすると、電子の速度の測定精度が半分になってしまい、逆に速度の測定精度を2倍にすると、電子の位置の測定精度が半分になってしまいます。
 電子の速度を極めて正確に測定すると、今度は電子がどこにあるのか判らなくなります。
 この不確定性原理は、時間とエネルギーの関係についても当てはまります。
 真空のエネルギーは、1秒間の平均値を測定するする場合のように、人間が知覚出来るような時間スケールでは、値が変化していない様に見えますが、千兆分の1秒のその又千兆分の1の様な、短い時間の平均値を測定しようとすると、不確定性原理のために、エネルギーの値が正確には測定出来なくなります。
 エネルギーの値が決まらないと言う事は、1秒間の平均値と比べて、高いエネルギーでも低いエネルギーでも良いという事です。
 時間を短くすればするほど、エネルギーの上下幅は大きくなり、一瞬であれば素粒子の対生成も可能なエネルギーが得られます。
 しかしこうして得られたエネルギーも、次の一瞬には真空のエネルギーの値が、マイナスに落ち込む事で埋め合わされます。(そうでないと1秒間の平均値が変わってしまいます)
 生まれた粒子と反粒子の質量も含めた、真空のエネルギーが減るのですから、粒子対は対消滅を起こして消滅してしまいます。
 この様な事が宇宙の全ての空間で繰り返される事で、時空の微小な領域で粒子と反粒子の対生成・対消滅が絶えず起こっているわけです。
 この様な粒子対は一瞬しか存在しないため、測定装置などで見つける事が出来ないので、仮想粒子対と呼ばれます。

 仮想粒子対の対生成・対消滅はどこででも起きていますが、事象の地平面の近くの時空では生じた粒子と反粒子のペアの片方が、対消滅する前に事象の地平面の内側に落ち込む事があります。
 ある物体を低い所に置いた場合と、高い所に置いた場合を比べると、高い所に置いた場合の方が高いエネルギーを持っていますが(同じ重さの物を、違う高さから落とした場合を想像すると、判り易いと思います)、この様なエネルギーの事を位置エネルギーと呼びます。
 反粒子(又は粒子)が落ちると言う事は、その反粒子(又は粒子)がブラックホールから見て高い所から低い所へ移ったという事で、その反粒子(又は粒子)の位置エネルギーが減少すると言う事です。
 元々、真空と比べてエネルギーが0の状態から生まれた粒子対の、片方の持っているエネルギーが減少すると言う事は、エネルギーが真空と比べてマイナスになると言う事です。
 全体のエネルギーを真空と比べて0のままに保つためには、粒子対のもう一方の片割れである、事象の地平面の内側に落ち込まなかった粒子(又は反粒子)のエネルギーが増えなくてはなりません。
 この時増加するエネルギーは、粒子対の対生成を起こして余りある程になります。
 このエネルギーで、粒子(又は反粒子)は仮想的な存在から、実在の粒子(又は反粒子)になります。
 生じた粒子(又は反粒子)の殆どはブラックホールに落ちてしまいますが、一部の粒子(又は反粒子)はブラックホールの引力を振り切って(事象の地平面の外側なので不可能ではありません)、宇宙に飛出します。

 ブラックホールから飛出して来る粒子や反粒子の、持っているエネルギーの大きさは各々異なっていて、エネルギーの違いによって、飛出して来る素粒子の数が、どのように変化するかを計算すると、その変化の仕方は熱を持った物体から放出される電磁波と同じである事が判りました。
 熱を持った物体から電磁波が放射される事を「輻射」又は「熱放射」ということから、ブラックホールから粒子や反粒子が放出される現象の事を「ホーキング輻射」又は「ホーキング放射」と呼びます。

 ホーキング放射で出て来た粒子(又は反粒子)のエネルギーは、元々その粒子(又は反粒子)と共に対生成した反粒子(又は粒子)の、エネルギーがマイナスになる事で得られたものです。
 そのエネルギーがマイナスになった方の反粒子(又は粒子)が、ブラックホールに落ちたわけですから、ブラックホールのエネルギーは減少する事になります。
 前述の様に、エネルギーと質量は同じものですから、エネルギーが減ると言う事は質量が軽くなると言う事です。
 質量が軽くなると、脱出速度も遅くなりますから、事象の地平面の半径も小さくなり、ブラックホールの見掛けも小さくなります。
 これが「ブラックホールの蒸発」と呼ばれる現象です。

 ブラックホールの半径が小さいほどホーキング放射は強くなりますから、ブラックホールの蒸発速度は時間と共に激しくなりますが、ブラックホールの内部に落ち込んだ物質は既に特異点にまで圧縮され、重力が無限大になっているため、いくら軽く小さくなったとしてもブラックホールでなくなる事はありません。
 10億t(ヒマラヤ山脈と同程度)の質量を持つブラックホールは、原子核中の陽子と同じくらいの大きさで、激しくエネルギーを放出しますが、それでもまだ消滅には至りません。
 蒸発を続けたブラックホールが、最後には完全に消滅してしまうのかどうかは、まだ良く判ってはいません。
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 特異点とは、


 前述の様に、ブラックホールの元となった恒星の物質は、重力崩壊を止める方法が無いため、どこまでも収縮して行きます。
 どこまでも収縮すると言う事は最後には、質量はあるのに直径が0の、一点にまで圧縮されると言う事です。
 直径が0と言う事は体積も0で、その密度は無限大になります。
 また、重さの割に半径が小さいほど、表面における重力は強くなりますから、質量はあるのに直径が0の点では、重力の強さが無限大になります。
 この様な無限大の重力は、一般相対性理論を始めとする、物理法則に当てはめようとすると、色々矛盾が生じて来るため、現代の物理学では取り扱う事が出来ません。
 物理法則が通用しない特異な点と言う事で、密度と重力の強さが無限大になる点を「特異点」と呼びます。(正確には時空の曲率が無限大の点の事です)
 特異点には、ブラックホールのもの以外にもあります。
 宇宙は膨張を続けている事が知られていますが、この事は時間をさかのぼって考えると、過去の宇宙は現在よりも密度が高く、宇宙の始る瞬間では、宇宙の全質量が1点に集まっていて、密度が無限大であった事を示します。
 これも密度が無限大になる点ですから、ブラックホールの中心と同様に特異点です。
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 どうして宇宙にブラックホールが誕生するのかと言うと、



 恒星(太陽の様に、輝いている星の事)は質量が大きいため、自分の重力によって自らを圧縮しようとする力が働いています。
 一方、内部で起きている核融合反応のエネルギーで、膨張しようとする力も働いています。
 この2つの力がバランスしているため、恒星はその大きさを保っているのです。
 恒星の内部で核融合反応が進むと、反応前の元素と比べて重い元素が作られ、出来た重い元素は重力により恒星の中心に集まり、核(コア)を形成します。
 恒星のは無限に大きい訳ではありませんから、更に核融合反応が進み続けると、核融合反応に使える燃料もいつかは枯渇して、恒星の一生にも終わりが来ます。
 その場合の終わり方は、恒星の質量によって、いくつかのパターンに分かれます。

 質量が太陽の8倍未満の恒星の場合、核が重くなるにつれて、核よりも外側にある層が膨張し始め、恒星の中心からより離れた(重力の弱い)所まで膨張した外層のガスは、恒星の重力を振り切って、宇宙空間に流れ出します。
 そのため恒星は外層を失って核だけとなり、燃料となる外層のガスを失って、エネルギー源がないため、重力によって収縮します。
 あるレベルまで収縮すると、エネルギーが無くとも、電子の縮退圧という一種の圧力が働き、それ以上収縮しなくなります。
 縮退圧というのは量子力学的な概念で、電子のような物質を構成している素粒子は、複数の粒子が同じ状態にいることは出来ない事により、多数の電子を1点に圧縮しようとすると反発力が発生する現象です。
 不正確な表現を承知で大雑把に言うと、原子核と原子の間は真空で何も無いスカスカの空間ですが、圧力を加えて原子を押し潰すと言う事は、電子を限られた空間に詰め込むと言う事です。
 あるところまで詰め込むと、電子が存在可能な場所が電子で満杯となり、それ以上電子を詰め込む余地が無くなり、星を構成している物質は、それ以上圧力が上昇しても収縮しなくなります。
 こうして出来た高密度(1cm角の立方体の重さが数百kg)の物質の事を縮退物質と言い、縮退物質で出来た星の事を「白色矮星」と言います。
 白色矮星は、星の最後の姿の一種で、直径は地球と同じくらいですが、重さは太陽と同じくらいもあります。

 質量が太陽の8倍以上の恒星の場合、電子の縮退圧でも圧力を支え切れなくなり、恒星の核は重力に負けて一気に収縮する、重力崩壊と言う現象を起こします。
 電子の縮退物質が更に収縮すると、電子は原子核中の陽子に吸収されて中性子となり、恒星の核は元々原子核中に存在した中性子と合わせて、殆ど中性子だけで出来た物質となり、今度は中性子の縮退圧で、それ以上の収縮を止める様になります。
 重力崩壊で一気に収縮した中心部には、恒星の外層の物質が落ちて来ますが、中性子の縮退圧で撥ね返されて、強力な衝撃波を生じます。
 この衝撃波により、恒星の外層は吹き飛ばされ、後には1cm角の立方体の重さが10億t程度もある、中性子の縮退物質で出来た核が残ります。
 この現象を「II型超新星爆発」と言い、残った中性子の縮退物質で出来た星を「中性子星」と言います。
 中性子星の直径は10km程で、質量の下限値は太陽の1.44倍以上で、上限値ははっきりとは判っていないものの、太陽の約3倍前後と言われています。

 更に重い恒星(はっきりとは判っていませんが、質量が太陽の30倍前後以上)の場合、中性子の縮退圧でも圧力を支え切れず、恒星はどこまでも重力崩壊を続けます。
 星の半径が小さくなり続ければ、その表面における重力も強くなって行き、ついには「ブラックホール」となります。
 恒星がブラックホールになる時には、爆発が起きて外層の物質の一部を吹き飛ばす場合もありますし、爆発しない場合もあります。
 一部の漫画等では、ブラックホールが出来るといきなり周りの星や宇宙船を吸込み始めたりする場合がありますが、ブラックホールになったからと言って質量が増えたりはしませんので、恒星の半径よりも離れた場所では重力が急に強くなったりはしません。

 巨大ブラックホールは、より小型のブラックホール同士が、衝突・合体を繰り返した事で巨大化したものと考えられています。
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 事象の地平面とは、


 前述の様に、「脱出速度が光の速度に等しくなる距離」の外側から、内側を見る事は出来ませんし、その内側で起きた事柄(事象)が外側に影響を及ぼす事もありません。
 又、地球は丸いため、地平線の向こうは見る事が出来ません。
 地平線は「線」ですが、「脱出速度が光の速度に等しくなる距離」の外側と内側の境界は、球面(実際は回転楕円体の表面になります)と言う「面」です。
 外から見た場合、その向こうが見えず、内部の事象を知る術がない事から、「脱出速度が光の速度に等しくなる距離」に存在する境界の事を、「事象の地平線」あるいは「事象の地平面」と呼びます。
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