プロが教える店舗&オフィスのセキュリティ対策術

AEDが普及している現在、公共の施設でよくみかけるようになりましたが、実際のところVTやVfは必ずしもAEDのあるところのみで発生するものではないと思います。
そこで、家庭内コンセントから人体をショートさせることによって不整脈をとめることはできないのでしょうか?
電圧などの詳細に対して詳しくないので、専門家の方々からの意見を伺いたいです。
たとえば、低周波マッサージ器などを強いモードで流すなど・・・
おそらく結論としてはCPRをしながらAED到着を待つということだとは思うのですが、AED代替えとなる可能性のあるものに関してヨロシクお願いいたします。

A 回答 (1件)

 まずは、AEDと家庭用の電源の違いをみてみます。


一般的に臨床では、コンデンサに蓄えた電荷を放電する、直流除細動によってVfを除去します。
直流除細動では、高圧電源によってコンデンサを充電し、一気に放電することによって、150~400J程のエネルギを印加します。
電気回路の知識のある方向けに申しますと、LCR放電の過渡応答の波形ということになります。
さて、そのAEDの放電波形ですが、単相性AEDとよばれる基本的なタイプのAEDでは、
http://j-pulse.umin.jp/push3/aed-kikuchi/chap-06 …
の図3の左側のようなかたちをしています。
つまり、AEDの電圧波形は、放電開始時に急峻に立ち上がり、一峰性のピークを形成(若干の振動が起こる場合もある)します。
このときの最大電圧は5000V前後にもなり、かなり高い電圧となります。

 一方、家庭用の電源は、実効値100V・最大値141Vで、東日本は50Hz、西日本は60Hzの正弦波交流です。
正弦波交流は、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1% …
の一番上の波形で、名前からもわかるように数学的にはsin(またはcos)で表される波形で、同じような波形がずっと繰り返されていることがわかります。

 さて、家庭用の電源のピーク電圧は141Vで、直流除細動の5000Vには遠く及びません。
そもそも除細動は、興奮のタイミングの同期が取れなくなってしまった心筋に、強制的に電気的刺激を印加し、興奮のタイミングを同期させるものです。
ということは、家庭用の交流では、最大電圧が小さい上に、繰り返し繰り返し刺激が加わってしまい、興奮のタイミングを同期させるには不適です。

 ちなみに、従来用いられてきた臨床用の除細動器とAEDの最大の違いは、ECGの自動解析機能です。
従来の臨床では、医師が心電計を見て、除細動を行うか否かを判断していました。
AEDはECGを自動的に解析し、除細動が不要な症例に対しては、除細動を行わないように設計されているのです。
しかし、家庭用の電源ケーブルでは、ECGの解析を行えません。
すると、除細動を行う必要のない患者さんに対して、とんでもないエネルギを与える可能性も出てきます。
正常に動いている心臓に対して家庭用の電源を直結してしまえば、それこそ命に関わってしまいます。
(家庭でも、電源コンセントからの感電事故は少なくありません)
ECGを自動的に解析できるからこそ、AEDが有効なわけです。

 質問者様がおっしゃっております低周波治療器は、印加している電圧がそれほど高くないうえに、交流波形(正弦波交流ではありません)を用いておりますので、Vf除去の効果は期待できません。
もちろん、ECGを解析することなど不可能です。

 ちなみに、心臓表面に直接電極を貼り付けた場合、体外からの除細動ほど大きなエネルギは要しませんが、現実的ではないのでここでは考えないこととしました。
(心停止を伴う心臓手術の際、心拍を再開させるために、心臓表面に電極を当て、小さいエネルギを印加することはあります)
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この回答へのお礼

大変親切にご回答していただき感謝しております!
もやもやしていたものから解放されてなんとお礼を申し上げたらいいのか。
図解リンクまで貼っていただき、非常によくわかりました!
本当に、ありがとうございました。

お礼日時:2009/10/29 18:46

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