No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>ダイオードの逆バイアスのときの電流は、少数キャリアによる拡散電流、
>によるものでしょうか、それともドリフト電流によるものでしょうか?
条件を限定するとその通り
>それと、その時の電流が逆方向飽和電流と考えていいのでしょうか??
条件を限定するとその通り
手元に資料ありませんので、以下記憶です。
低注入水準で逆バイアスのダイオードの電流は拡散電流と発生再結合電流の2つがあります。
今問題にしているのは
Io(exp[qVa/kT]-1)
のようなので、これは拡散電流です。
近似では、p型で空乏層から十分離れた熱平衡の領域でのキャリア密度npo、空乏層端のキャリア密度npo・exp[qVa/kT]を境界条件として解くのだったと思います。
逆バイアスVaが十分大きく、exp[qVa/kT] << 1 の状態で流れる電流が逆方向飽和電流です(空乏層端のキャリア密度が0に近似できる状態)。
空乏層外のドリフト電流を無視できる理由は、少数キャリアに対し無視できないほどに電界があると、多数キャリアによるドリフト電流がとんでもないほど流れてしまうからだったような。
No.4
- 回答日時:
imoriimoriさんの明快な説明には感銘を受けました。
私も最初はドリフト電流だと思いましたが、shippo_ppk さんの回答を見て改めて古い教科書を引っ張り出してみると、これは拡散電流ですね。
ドリフト電流とは、キャリアが電界により引っ張られて流れる電流、拡散電流とは、pn接合両端のキャリア濃度勾配によって流れる電流です。
電子は常に周辺の熱エネルギーによってランダムな準位まで励起され、ランダムな時間後に正孔と再結合する、発生再結合を繰り返しています。
これを統計的に見たときに、濃度n0の電子の中でpn接合の障壁Vbを越える電子の濃度はn0exp(-qVb/kT)です。
これと、p型層内の少数キャリア(電子)濃度npとの差から連続の式を解くと、印加電圧Vのときの電流密度J=Js[exp(qV/kT)-1)]の式が導かれます。
そしてVが-∞に近づくときの電流密度Jsが、逆方向飽和電流です。
但しこれは理想的な話で、実際は空乏層内で熱励起され発生するキャリアによる発生再結合電流が多いようです。
逆バイアスのときは空乏層内の強い電界でキャリアが加速されるので、これはドリフト電流といってもよいでしょう。
このとき空乏層内では再結合がなくなって発生だけとなりますが、印加電圧が大きくなると空乏層が広がるので、発生電流も大きくなって飽和しないとのことです。
# ある値を超えるとブレークダウンを起こして電流が急増しますが。
# 空乏層以外では電界はないので、ドリフト電流はありません。
No.2
- 回答日時:
なるほど、かなり高いレベルでお悩みなのですね。
私では危なっかしいですが、行きがかり上ということで以下へ私流解釈。IV特性の式は、「拡散係数を使って、拡散電流の式から」だけではなく、ドリフト電流の項も一緒に入っています。
I=C exp[qV/kt]の式だと拡散電流だけにした粗い近似ですが、普通は教科書的にはI=C (exp[qV/kt]-1 )の形ですよね。この-1が少数キャリアのドリフト電流から由来する項でつまりは-Cが飽和電流。
実態はともかくモデル上は教科書的には次のようにしてIV特性を算出する流れが普通だと思います。
(1)順バイアス エネルギー障壁が低くなる。多数キャリアの拡散が楽に起きる。拡散電流はVに対し指数関数的である。少数キャリアによるドリフト電流はある。
(2)逆バイアス エネルギー障壁が高く拡散は殆ど起きないがゼロではない。拡散電流の式は順バイアスと同じ指数関数である。少数キャリアによるドリフト電流はある。
(3)ゼロバイアス エネルギー障壁は中くらい。多数キャリアの拡散(かなりある)は同じ指数関数で存在。少数キャリアのドリフト電流もある。ゼロバイアスでは電流ゼロでなければおかしいから、両者ちょうど相殺し正味ゼロの電流。
さて、少数キャリアのドリフト電流はエネルギー障壁に関係はない。ドリフト電流だから少数キャリアがどれだけ生成するかだけで決まる。この電流はバイアスに依存しない定数である。上記のどのバイアス状態でも同じだけ存在する。
IV特性の式は、ということで拡散とドリフトと両方入れると、
I=C1 exp[qV/kt] +C2
第一項が拡散。第二項が少数キャリアのドリフト電流(向きは逆、(3)のV=0でI=0からC2=-C1)。
従って
I=C1 (exp[qV/kt]-1)
No.1
- 回答日時:
少数キャリアがエネルギーレベルの坂を転がり落ちていくわけですので、ドリフト電流としか(私には)考えられませんが。
。。逆方向電流ではありますが、飽和しているとは限りません。ちょっとした逆バイアスでは逆バイアスを深めれば電流は増えます。十分深い逆バイアスで飽和したとき飽和電流と呼ぶわけで。(もっとも、これはモデルの話で、実際のダイオードはなかなか飽和しませんが。)
この回答への補足
回答ありがとうございます。大変参考になりました。
もう一つ気になることがあるのですが、
IV特性の式は、拡散係数を使って、
拡散電流の式から導き出しているみたいですが、
なぜその式は逆バイアスの時も成り立っているのでしょうか??
逆バイアスの場合、
電流は少数キャリアのドリフト電流によって発生するとしたら、
IV特性の式と関係ないような気がするのですが。
よろしくお願いします。
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