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スターリングラードへの日本軍派遣(第二次大戦のif)

小室直樹、日下公人、共著の「太平洋戦争こうすれば勝てた」という本を読みました。
この本の中で小室直樹氏はドイツのスターリングラード侵攻を日本は助けるべきだった述べています。

真珠湾奇襲の後、日本海軍はイギリスと戦ったわけですが、そのままインド洋に腰を落ち着け、イギリス東洋艦隊を全滅させ、インド洋、紅海経由で援軍を送り込むという戦略のようです。

スターリングラードでドイツが敗北したのはルーマニア軍、イタリア軍の陣地が破られたためで、そこに5万でも10万でも日本軍がいて助太刀していたら、という事らしいです。

また日下公人氏はイランからソ連へという案を述べています。
これについては小室直樹氏はイギリス東洋艦隊が全滅したら、イギリス勢力下の国は何もできないとか、中近東の国々は弱いと言っています。

そこで幾つか質問なのですが、

(1)紅海周辺はイギリスの勢力圏ですが、日本が南雲機動部隊を主力とする艦隊を派遣したとして紅海、スエズ運河の制海権、制空権を握り地中海までの連絡線・補給線を長期確保できる可能性は高いでしょうか?低いでしょうか?

(2)日本艦隊が紅海方面に来た場合、北アフリカ戦線のドイツ軍、イギリス軍にどの程度影響がでるでしょうか?

(3)インド洋・紅海・スエズ運の制海権・制空権、補給線の確保はひとまず置いておいて、河小室直樹氏の案どおり日本軍10万人がスターリングラードに派遣されていたら、あの酷い敗北は防げたか、もしくはもう少しましな結果になる可能性はあったでしょうか?

(4)イラン経由での日本軍のソ連侵攻の成功の可能性は高いでしょうか?
イランもイギリスの勢力圏で簡単にはいかないと思うのですが。

(5)日本艦隊の主力部隊が長期にわたりインド洋、紅海方面に派遣された場合、アメリカ軍は太平洋でどのような作戦を行ってくるでしょうか?
また珊瑚海海戦やミッドウェー海戦が行われないでしょうからアメリカの空母群は健在なわけで、それに対し太平洋に残る日本艦隊(小型で低速な空母なら数だけはアメリカに劣らずあるようですが)で、アメリカ艦隊に対抗できるでしょうか?

(6)太平洋に残された日本艦隊には、対アメリカ、対オーストラリアでどのような作戦が可能でしょうか?

以上。ご意見をお聞かせ下さい。お願いします。

A 回答 (4件)

その本を読んだことがありませんので、何とも言えませんが・・・。



太平洋地域に軍を派遣し、尚且つ中国戦線、対ソ連牽制のための関東軍維持等々で、スターリングラード
派遣なんて不可能でしょう。もしも、日本がスターリングラードへというなら、北進論を採用して、
なるべく、アメリカとは事を構えないことが前提となるでしょうね。それでも、無理だと思いますが。

(1)低いですね。その前に、イギリス東洋艦隊だけではなく、インドのイギリス勢力を一掃しなければ
なりません。ですから、その時点で不可能に近いと思います。第一、そんなことしている間に、
アメリカが態勢を整えて、太平洋というより日本近海にやって来ます。南雲機動部隊の駐留だけでは、
どうにもなりません。

(2)恒常的に駐留するなら、日本海軍の艦載機の航続距離は長いですから、それなりの支援ができたかも
しれません。しかし、撃墜機の補充など兵站の面で困難な作戦となり、結局短期的な作戦で終り、
あまり結果は期待できないでしょう。

(3)変わらないと思いますよ。第一ドイツの敗北も、同盟軍が弱かっただけではなく、深入りしすぎて、
兵站がズタズタにされ、更にはソ連の冬にやられたようなもんですから。それに、ノモンハンからも
分かるように、当時の日本陸軍の装備では、ソ連には敵わないでしょう。派遣できたとしても、恐らく
10万人犠牲が増えるだけじゃないでしょうか。

(4)中国から中央アジア、インド一帯を勢力下において、尚且つ紅海を抑えたなら可能ですが、それを
達成すること自体が不可能ですね。

(5)まず、真珠湾の帰り道に落されたウェーキ島を奪還するでしょう。それからクェゼリン→トラック
→マリアナ→フィリピンと進軍するでしょうね。もしくは、レーダー早期警戒システムなどありません
から、いきなり東京を爆撃するかもしれません。それも、ドゥーリットル隊の東京空襲以上の規模で。
しかし、もし中国を屈服させていたら最初に記した方法で来ると思います(降りる場所がないですから)。
留守番をしている艦隊では、ちょっと対抗が難しいですね。この時期はレーダー照準システムが
実用化されていないので、上手く夜間砲雷撃戦に持ち込めばそこそこ戦えるかもしれませんけれど。
最初は善戦できたとしても、結局は物量で負けてしまうでしょうね。

(6)まあ、防御一辺倒ですね。やって来るアメリカ艦隊をモグラ叩きのように叩いて行って、主力が
帰って来るのを待つくらいじゃないですか。でも、その前に、アメリカは態勢を整えているでしょう
から、たとえ主力が戻って来ても、既に戦力の差がある・・・なんてことも起こり得ますね。

アメリカ、イギリス、ソ連を同時に敵として戦うなんて、日本には到底不可能なことでしょう。
そんな広大な地域で戦線を維持するだけの国力はありませんから。
第一、その状態では、スターリングラードに送る兵力を捻出する余裕すらないと思います。
日本がアメリカと同じくらいの資源と工業力をもっていたら話は違ってくると思いますけれど、
あの当時の状態をデフォルトとして考えるなら、不可能ですね。
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この回答へのお礼

的確で含蓄ある回答有り難うございます。
とても参考になりました。

お礼日時:2010/05/23 01:49

その本は、ヤオイさんのUFO本と同じようないわゆる「トンデモ本」です。

私も読みました。バカバカしくて評論する気にもなれません。例えば、サイパンで地下飛行場を作ればよかったなんていってますけど、大型機械を持たない当時の日本軍でどうやって地下飛行場を作るのか。それより、レーダーを持たない日本軍ではどのみち奇襲を受けるのは逃れられないことに気づきさえしません。ま、しょせん経済の専門家でも軍事については素人だということがよくわかる一冊です。

1)無理です。当時の日本はインドネシアを占領してその資源を有効活用するほどの輸送船さえ持っていませんでした。そのうえ、1943年頃からアメリカの潜水艦にその輸送船がボカスカ沈められて日本の戦争経済は破綻します。インド洋方面に輸送船を割いたら、メインとなる太平洋方面がお留守になります。

2)全く影響しないでしょう。なぜなら、日本海軍がそこに進出してもそれは一時的なものであり、長期間イギリスの補給線を脅かすことはできないからです。
また最も重要なことですが、当時の日本海軍は艦隊決戦至上主義でした。貧乏な日本軍は輸送船という「しょぼい相手」に貴重な魚雷や砲弾を使うつもりは毛頭なかったのです。

3)あのですねえ、東部戦線いうたら「鉄と鉄の壮絶なぶつかり合い」なんですよ。日本軍の主力の対戦車砲は37ミリ砲と47ミリ砲です。37ミリ砲はドイツのラインメタル社製のライセンス生産品なのですが、これの性能が低くて本家のラインメタル製の性能からかなり劣っていたのです。その37ミリ砲は東部戦線じゃ「ドアノッカー」と呼ばれて全く使い物にならなかったのです。
特に日本軍は大砲の性能が低くて、これは製鉄の技術が低かったせいなのですが、同じ口径でも独ソ米軍の大砲に比べるとまず射程距離が短い。おまけに砲弾の火薬量も少ない。なぜかというと、技術が低いから重い砲弾をズドンと飛ばすと砲が壊れる。壊れないためには軽い砲弾を使うしかない。つまり威力が小さいのです。おまけに、砲弾の数が絶望的に少ない。大量生産の技術がなかったのです。
東部戦線ときたひにゃ、大口径の大砲がボカスカ撃ち合うようなところです。10万だろうが、100万だろうがドイツ軍基準では「頼りにならん」にしかなりません。

4)それができればとっくにウラジオストックは占領できていますよ。ていうか、小室氏らはノモンハンの実態を全くご存じないのでしょうね。

5)そもそも、なぜミッドウェー作戦が行われたか。ドゥーリットル隊が東京に空襲をしたからです。米艦隊がその気になれば日本近海に易々と来てしまうという脅威がミッドウェーを決行させたのです。もし日本艦隊の主力がインド洋方面に向うなら、その隙を突いて日本本土を攻撃するだけの話です。東京は無理でも、茨城、仙台などを奇襲することは簡単です。なにせ日本にはレーダーがないから。

6)史実の展開が「攻勢限界点を超えたもの」でした。では、守りを固める「絶対国防圏作戦」はレーダーを持たないので奇襲される(トラック島は奇襲を受けて全滅しました)ことと、日米の国力の差を考えると時間が経てば経つほど日本が不利になることから無理。
かといって「攻め続ける」ことは国力からして無理。つまり「攻めても体力が尽きるし、守れば体力の差が出る」というわけです。

だから、「太平洋戦争、どうしても勝てない」なのです。いっておくけど、アメリカは「日本とほぼ単独で戦い、ヨーロッパに派兵し、ソ連とイギリスと中国に膨大な物資を支援して戦争に勝った」のよ。それでいてプライベートライアンみたいに「三兄弟がみんな戦死したら可哀相だから、二人死んだら一人は後方勤務につかせる」なんて余裕があったのですよ。
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この回答へのお礼

確かに疑問点の数多くある本だとは思いますが、アマゾンのレビューを見るとけっこう高く評価してる人もいるようです。現在5人がレビューを書いていて、そのうち3人が5つ星、1人が4つ星、1人が1つ星となっとります。考え方、捉え方は人それぞれという事でしょうか。
回答有り難うございました。

お礼日時:2010/05/23 01:47

スターリングラードへ10万なんていう素人でも無理とわかるような、非現実的なことをしなくとも。



当時、まったく戦争に参加していなかった陸軍最強部隊である関東軍を日露不可侵条約を破棄して越境させれば、効果は同じですが?

こちらのほうが現実的です。日本が攻めてこないという前提のもとにソ連軍はドイツ軍に対し部隊を増強しつずけられたわけですから。

ただし、関東軍はノモンハンでこっぴどくやられてから、かけ声ばっかでほんとにソ連とやる気があったかどうかは妖しいところです。
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この回答へのお礼

なんでも小室氏によると日ソの条約の範囲は極東だけなので、あちらの方から攻めれば条約違反にならずに戦争できるのだそうです。
日下氏は「分散思考の金メダルもの」と小室氏の考えを持ち上げておりました。
回答有り難うございました。

お礼日時:2010/05/23 01:38

(1)インド洋やアラビア海沿岸に日本軍の補給用の港湾がありませんから、艦隊を派遣しても、艦隊運営を維持できません。


また、ミッドウエーのような小島でさえ補給的に維持できないという状況では、とても大艦隊を運用できる港湾の維持は不可能です。
少なくとも、占領後1年程度は、物資の蓄積をおこないませんと、まともに港湾として機能しませんから、その時には完全にスターリグラードの戦いは終結してしまっています。

(2)日本艦隊は、どんなに頑張ってもスエズ運河を通過できませんから、地中海には進出できません。

(3)ドイツ軍は、日本軍の兵站も負担しなければなりません。
日本の装備とドイツの装備が異なるため、すぐに日本軍の武器は使用不能になり、武器一式をドイツが負担し、10万人の食料も負担しなければならなくなります。
そのため、ドイツ軍の兵站が実際以上に負担を負い、史実よりも早い段階で崩壊した可能性のほうが高いと思われます。

(4)日本軍がイランで軍事行動を起こせるほどの補給部隊を持っていません。
もしそれができるくらいであれば、ニューギニアやインパールでもっとマシな戦いができたでしょう。

(5)・(6)どうなったのかは、アメリカの考え方しだいでしょう。
日本軍の主力がインド洋にいったのであれば、簡単にインドネシアやシンガポールが奪回され、日本軍の派遣艦隊は、全滅することは必然です。
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この回答へのお礼

なるほど、参考になりました。
回答有り難うございました。

お礼日時:2010/05/23 01:30

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