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先日も質問させていただいたのですが、
お答えを得られなかったのでまた同じ内容ですみません。
ニーチェとワーグナーがトーマスマンに与えた影響
を誰か教えていただけるとうれしいです。

A 回答 (4件)

おそらく求められている回答にはなっていないと思いますが。



ご承知のように、トーマス・マンはショーペンハウアー、ニーチェ、ワーグナーの影響を受けている、とされています。
ただ、この影響、というのは、~の影響を受けて、××を著した、などという単純なものではないんです。

たとえば『ブデンブローグ家の人々』の中で、自身をモデルとしたトーマスが、ローエングリンを聞いて陶酔し、さまざまに思いをめぐらせる場面がある。

あるいは、『魔の山』はハンスがスイスの山の上のサナトリウムで七年を過ごして山を下りるまでの話なのですが、これは当然、ニーチェのツァラトゥストラが下敷きになっています。
また後期の『ファウスト博士』には、ニーチェの生涯に材を取っている。

トーマス・マンの作品いずれにも、ニーチェやワーグナーが織りこまれているんです。
ですから、影響に関して論じようと思ったら、膨大なものになっていきます。

おそらく大学の授業の年間テーマでしょうから、これを期にninoarashiさんもご一読されてはいかがでしょうか。
おそらくは、薄いから、という理由で『トニオ・クレーゲル』を読む人が多いんですが、最初は『ブデンブローグ家の人々』の方が読みやすいかと思います。

直接の答えになっておらず、申し訳ありません。
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こんにちは。

ニーチェ、ワーグナー(ヴァーグナー)、マン。
いずれも十九世紀を代表する知の巨人たちです。
それぞれ一人を研究するだけでも優にライフワークとして成立します。
そうなると自ずと他の二人のことも研究せざるを得なくなるでしょうけれど。

今の日本では、政治・経済は知らないでは済まされないでしょうが、
文学や音楽、哲学は嗜好品のごとき扱いを受けがちなので、
アンテナを意識的に張っていなければ素通りしてしまう分野です。

ニーチェはいいとして、これまでワーグナーを聴いたことがなく、
マンも読んだことがないのなら、さぞかし途方に暮れていることでしょうね。
しかしこれらに親しむことが「教養」というもの。
まだまだ彼らは死んだ存在ではありません。
ちゃんとした百科事典を繰れば、それぞれの項に交友関係も載っているはずです。

この三人の関係の中核をなすのは、もちろんリヒャルト・ワーグナーです。
「ライトモティーフ(Leitmotiv,示導動機)」のことはご存じですか?
ワーグナーが創始したオペラの形「楽劇」で大々的に採用されている技法です。
ストーリーを縦糸に、このライトモティーフを横糸にして
壮大な音の絵巻物は繰り広げられていきます。

トーマス・マンの作品には、このワーグナーのライトモティーフの
技法が援用されているのです。
また、ワーグナーの作品そのものに題材を求めた「ヴェルズングの血」
(「ヴァルキューレ」)や「トリスタン」(「トリスタンとイゾルデ」)という作品もあります。
「ブデンブローク家の人々」のハンノー少年は「ローエングリン」の
芸術に魂を奪われ、生きていくための力さえ失い没落していきます。
「リヒャルト・ヴァーグナーの苦悩と偉大」にも当たってください。

「魔の山」は読まれたのでしたっけ?
ゼテムブリーニとナフタの二人の中にニーチェとワーグナーを見出だすのも
いいかもしれませんね。もちろん、マンはすぐに見透かされるような形で
二人を描いてはいませんが。

フリートリヒ・ニーチェについては通り一遍しか知りません。
しかし、「神は死んだ(Gott ist tod.)」という台詞は
どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。
この台詞によって神の統治する中世に愛惜の情をもって終止符を打ち、
理性の支配する近代の誕生を宣言したのがこのニーチェなのです。

キリスト教の神に代わって、理性にのみ従って行動する「超人」を
提唱したニーチェが己の理想を見たのが、ワーグナーの楽劇
「ニーベルングの指環」の主人公(??)ジークフリート。
彼は熱心なワグネリアン(ワーグナーの崇拝者)として楽匠に近づき、
そしてワーグナーも彼を温かく迎えました。
二人は一生の知己として切磋琢磨しあうかに見えました。

ところが、二人の蜜月関係は長くは続きませんでした。
ワーグナーの二重人格、つまり崇高な芸術家としての顔と
俗物的実務家としての顔との乖離に幻滅を覚えたニーチェは、
アーサー王伝説とキリストの血を受けた聖杯伝説に取材した
「パルジファル」をワーグナーが発表したのを機に
ついに公然と反ワーグナーの烽火を上げるに至ります。
「ワーグナーは十字架に拝跪した」と言って。
袂を分かって以後はワーグナーのことを「デカダン」「詐欺師」「役者」と
口を極めて罵るに至るのですが、それも終生ワーグナーの引力にとらわれて
離れられなかったニーチェの因果な運命です。

何か一冊だけ読むとしたら、参考 URL にも挙げられている
三富明「ワーグナーの世紀」(中央大学出版部)がとっつきやすいでしょう。
http://www2.chuo-u.ac.jp/up/isbn/ISBN4-8057-5139 …
もちろん、興味がおありなら他の本もぜひどうぞ。

後はここに挙がったタームをキーワードに検索してみてください。

さらに言えば、ワーグナーの楽劇にはショーペンハウアーの厭世哲学が
影を落としています。作曲家にももともとショーペンハウアーを
受け入れる余地があったからこそ、ニーチェでさえワーグナーの
ショーペンハウアー受容のありようには異議を唱えてはいません。
テーオドール・アドルノやヴィトゲンシュタインなどの
ワーグナー研究から探るのも面白いでしょう。

偉そうに書いてしまいましたが、私自身何も分かってはいないことを
痛感しています。長文失礼しました。
http://www.museum.pref.mie.jp/miekenbi/hillwind/ …
http://www.waseda.ac.jp/themecollege/aesthetics/ …
http://musashi.syllabus.ne.jp/syllabus/tT2G76001 …
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/1373/th …

参考URL:http://www.seinan-gu.ac.jp/~akao/mann/,http://ho …
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先の回答で指が滑ってしまいました。



>ニーチェ、ワーグナー(ヴァーグナー)、マン。
>いずれも十九世紀を代表する知の巨人たちです。
マンは十九世紀生まれですが、業績を残したのは二十世紀です。失礼しました。
ちなみにニーチェが死去したのは1900年です。

#「児童福祉士」は「児童福祉司(任用資格)」ということになると思いますが、
# これについては参考 URL も見てください。

参考URL:http://www15.big.or.jp/~welfare/ans/welfare_job/ …
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この回答へのお礼

お答えありがとうございました!!
詳しく書いていただき参考になりました。
「魔の山」はビデオ、本を見ましたが…
何度か読んでみないと難しいです(;;)
春学期のテーマでしたので小論文を書きました。
本当にありがとうございました(^^)☆

お礼日時:2003/08/14 19:25

#1です。



訂正です。

>『ブデンブローグ家の人々』の中で、自身をモデルとしたトーマスが、

トーマスではありません。
#2でnightowlさんが書いていらっしゃるように、ハンノーが正解です。
間違って記憶していました。

nightowlさんがあげられたURL、おもしろいところが多かったです。勉強になりました。どうもありがとう!
トーマス・マンは日記の中で、確か、ワグナーをモデルにした作品を構想しているようなことを書いていたと思います(これも本が手元にないので、例によって記憶だけで書いているので、正確ではありません)。ワグナーばかりか妻コジマ、リストやもちろんニーチェなども登場する壮大な物語のようで、構想だけで亡くなったことが惜しまれます。彼の手になるコジマが見てみたかった。
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この回答へのお礼

お答えありがとうございました!!
夏休みですし「ブテンブローク家の人々」も読みたいと思います(^^)
コジマとワーグナーは歳の差カップルでしたよね?
2人の物語は映画で見ました。
実に多くの影響が物語になっているんですね~(゜゜)
春学期のレポート、無事に書くことが出来ました。
本当にありがとうございました!!

お礼日時:2003/08/14 19:30

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