・・・ってありますか?
要するに、客観的に「~である」か「~でない」か? とか、真か偽か? とかいうことより、自分にとってそれが必要な事かどうかが重要だという趣旨の言葉がありましたら、出典も含めて教えて下さい。
これは哲学的な言葉になりますが、カントが「神の存在」やら「霊魂不滅」やらを客観的に認識することは出来ない事とし、道徳目的の実践的要請として認めたように、ものごとを外から眺めてどうのこうの言うのは意味なしとし、それが実際的に有用かどうかで認識する態度を表すものです。
趣旨としてはぴったしカンカンではなくても近いものでもよいです。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
No.4ですが、ご丁寧な「お礼」をいただき、痛み入ります。
>ついでに彼の天皇観についても知りたいですね。
安吾の天皇観(論)は彼の鋭い批評精神の産物であり、私も大いに学ぶところがありました。
「私は天皇制に就ても、極めて日本的な(従って或いは独創的な)政治的作品を見るのである。天皇制は天皇によって生みだされたものではない。天皇は時に自ら陰謀を起したこともあるけれども、概して何もしておらず、その陰謀は常に成功のためしがなく、島流しとなったり、山奥へ逃げたり、そして結局常に政治的理由によってその存立を認められてきた。社会的に忘れた時にすら政治的に担かつぎだされてくるのであって、その存立の政治的理由はいわば政治家達の嗅覚によるもので、彼等は日本人の性癖を洞察し、その性癖の中に天皇制を発見していた。それは天皇家に限るものではない。代り得るものならば、孔子家でも釈迦家でもレーニン家でも構わなかった。ただ代り得なかっただけである。」(「堕落論」昭和21・4)
「日本人の性癖」というのは、藤原北家による摂関政治以来、現在の民主党政権に至るまで脈々と受け継がれてきた、日本特有の権威(迎合)主義ということでしょうね。
権威の実質や中身なんてどうでもよく、とにかく世俗を超越した、神話的な権威さえ備えていれば、別に「天皇」でなくても、その他の誰でも良かったのですから。
そう、安吾としては、秀吉が聚楽第への天皇の行幸に感涙にむせんだことと左翼知識人たちがレーニンを崇めたこととでは、どこがどう違うのか?と言いたいのでしょうね。
「天皇制というものも武士道と同種のもので、女心は変り易いから「節婦は二夫に見まみえず」という、禁止自体は非人間的、反人性的であるけれども、洞察の真理に於て人間的であることと同様に、天皇制自体は真理ではなく、又自然でもないが、そこに至る歴史的な発見や洞察に於て軽々しく否定しがたい深刻な意味を含んでおり、ただ表面的な真理や自然法則だけでは割り切れない。」(同前)
天皇制も武士道も女性の貞操観も、それ自体としては不条理でバカげてはいるが、そこに内在する人間固有の「深刻な意味」を否定することはできないし、とても形式論理なんかでどうこうあげつらえるような代物ではないということでしょうね。
「人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。
戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。だが人間は永遠に堕ちぬくことはできないだろう。なぜなら人間の心は苦難に対して鋼鉄の如くでは有り得ない。人間は可憐であり脆弱ぜいじゃくであり、それ故愚かなものであるが、堕ちぬくためには弱すぎる。人間は結局処女を刺殺せずにはいられず、武士道をあみださずにはいられず、天皇を担ぎださずにはいられなくなるであろう。だが他人の処女でなしに自分自身の処女を刺殺し、自分自身の武士道、自分自身の天皇をあみだすためには、人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ。そして人の如くに日本も亦堕ちることが必要であろう。堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。政治による救いなどは上皮だけの愚にもつかない物である。」(同前)
安吾の健全な批評精神は、われわれ人間が「堕ちぬくためには弱すぎる」と鋭く見抜いていますよね。
本当は徹底的に「堕ちきること」で、はじめて「自分自身の天皇をあみだす」、つまり本当の意味での「自分自身を発見し」得るのに、そこに到達するにはわれわれはあまりにも「弱すぎる」が故に、結局、われわれ日本人は「天皇を担ぎださずにはいられなくなるだろう」と、安吾はなんと敗戦直後に自信をもって予言したわけです。
安吾に言わせれば、ニーチェが「神は死んだ!」と獅子吼したにもかかわらず、神はずるくも人々の弱さの中に寄生し、執念く生き延びてきたように、天皇も日本人の弱さを住み処とする限り、今後も執念く生き続けるだろうということになります。
No.4
- 回答日時:
あらゆる人間的価値の原拠は切実な「生活の必要」を措いてほかにないとする坂口安吾は、『日本文化私観』の中で以下のように語っています。
多くの日本人は、故郷の古い姿が破壊されて、欧米風な建物が出現するたびに、悲しみよりも、むしろ喜びを感じる。新らしい交通機関も必要だし、エレベーターも必要だ。伝統の美だの日本本来の姿などというものよりも、より便利な生活が必要なのである。京都の寺や奈良の仏像が全滅しても困らないが、電車が動かなくては困るのだ。我々に大切なのは「生活の必要」だけで、古代文化が全滅しても、生活は亡びず、生活自体が亡びない限り、我々の独自性は健康なのである。なぜなら、我々自体の必要と、必要に応じた欲求を失わないからである。
なお、これが発表されたのが太平洋戦争たけなわの昭和18年だったこと、当時は国民のほとんどが国粋主義者となり、日本精神とか伝統文化とかを盲目的に尊崇したり、称揚したりしていたことを考え合わせると、安吾の批判精神の強靱性、健全性に驚かざるを得ません。
御回答ありがたく拝見しました。安吾の作品は正直、不連続殺人事件と復員殺人事件くらいしか覚えておりません。詩の方はダダイズムの「おじさんはね、おじさんはね・・・」とかあったような。東洋大学で印哲を学んでいたのでしたね、彼の書斎はほこりが積もっていたのですね。そんな写真を見ました。しかし思想的には意外にもまともというかリベラルだったのですね。変人かと思っていましたが。ついでに彼の天皇観についても知りたいですね。
No.3
- 回答日時:
【蓼食う虫も好き好き】
【名より実を取る】
【挨拶より円札】
【花の下より鼻の下】
【一中節より鰹節】
【亀の甲より年の甲】
【手の中の雀は屋根の上の鳩より良い】
なんか段々ズレてきたような(-_-;)
すみません…
御回答を感謝します。こういうことわざみたいな答えを求めていたのですが、なんかズレてるような・・・「挨拶より円札」とか「花より鼻の下」とかダジャレじゃないですかね。
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