中学3年の参考書に、「水酸化ナトリウム水溶液を加えて水の電気分解をしたあと電源をはずして、電極に電子オルゴールを接続すると、生じていた水素と酸素が化合し、水ができるとき、電気エネルギーが生じるので、オルゴールがなる。」という記述があります。初歩的な燃料電池の説明と言うことで、他の何冊かの問題集にも同様の記述があるのですが、この場合の両極での反応はどのような原理によるものなのでしょうか。両極に発生した酸素と水素が直接化合することは考えられないと思うのですが?中学生に説明したいと思うのですが,良く分からなくて困っています。よろしくお願いします。
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
ご質問の趣旨は、中学生に理解できる水準での説明でしょうから、次のような説明かと思います。
水酸化ナトリウム水溶液を電気分解すると、次の反応が起こります。
陽極:2OH- → H2O + 1/2O2 + 2e-
陰極:2H2O + 2e- → 2OH- + H2
全反応:H2O → 1/2O2 + H2
そして、陽極および陰極のごく近くの水酸化ナトリウム水溶液中には、それぞれ、電気分解で発生したO2およびH2が溶解しています(これらは、それぞれ溶存酸素および溶存水素と呼ばれます)。
ここで電源をはずすと、電極の近傍に溶解しているO2およびH2が、燃料電池の活物質になって、それぞれの電極で起電反応を起こします。
つまり、この陽極および陰極の間に外部回路(=電子オルゴール)を接続すると、次の起電反応(電気分解の逆反応)が、それぞれの電極で起こります。
正極(電気分解時の陽極):H2O + 1/2O2 + 2e- → 2OH-
負極(電気分解時の陰極):2OH- + H2 → 2H2O + 2e-
全反応:1/2O2 + H2 → H2O
なお、電極のごく近くの溶存酸素および溶存水素の濃度は、電気分解の直後の過飽和状態によって、それぞれのガスの飽和溶解度の数倍ないし数十倍になっているものと思われるものの(この過飽和状態が起こることは論文で報告されています)、これらの溶存酸素および溶存水素は大量に存在するわけではなく、また、この実験では、これらのガスが外部から継続的に供給されるわけでもないので、この燃料電池で発電出来る電気量は大きくありません。ただ、消費電力が極めて小さい「電子オルゴール」を負荷に用いるので、その電子オルゴールを鳴らす程度の発電は可能と思われます。
次に、中学生への説明には難しすぎますが、この実験では、実際には、次の現象も、負荷を接続したときの起電反応に寄与していると思われます。
まず、水酸化ナトリウム水溶液中での電気分解時の陽極に金属を用いる場合に、その金属陽極の表面で金属の電解酸化反応が進んで、鉄陽極ではFeOOH、ニッケル陽極ではNiOOHのような高級酸化物が生成し、これらの高級酸化物が、電池の正極活物質として起電反応に寄与することが考えられます(後者は、実際に論文で報告されています)。
また、水酸化ナトリウム水溶液中での電気分解時の陰極に金属を用いる場合に、その金属陰極の表面で金属の電解還元反応が進んで、鉄陰極では鉄の水素化物、ニッケル陰極ではニッケルの水素化物が生成し、これらの金属水素化物が、電池の負極活物質として起電反応に寄与することが考えられます(後者は実際に論文で報告されています)。
つまり、上の説明で、電気分解時の陽極および陰極の両方に金属ニッケルを用いると、それぞれの電気分解で生成するNiOOHおよびニッケル水素化物を活物質とする電池の起電反応は、「ニッケル水素電池(=ニッケル金属水素化物電池)」の起電反応と、本質的に同じものです。ただし、鉄やニッケルの水素化物は極めて不安定なので、放置しておくと、自発的に分解して水素を放出し、容量を失っていくので、実用的なニッケル水素電池では、もっと安定な金属水素化物を生成する水素吸蔵合金が用いられています。
No.6
- 回答日時:
濃淡電池に似ていますがちょっと定義が違うと思います。
確かに短絡すれば極初期に電流が起こりますが、それは完全な一次電池と考えていいと思います。
また、ガスのH2の活性は低い(通常直接反応するのは
フッ素だけです)のですが、これを(8)属触媒(電極)でH+
としています。本来なら白金を用います(効率の問題)
が教材としての観点からパラジウム、ステンレス(鉄の
合金)を使用しています。ステンレスならオルゴールを
ならすのは無理かもしれません。
水酸化ナトリウムを用いているため「アルカリ型」と
思われますが、食塩でもできます。
No.5
- 回答日時:
ネルンストの起電力の式に.陰極側・陽極側のphの違いからくる水素イオン濃度の違いで.3-4番の方の電気化学方程式を解いてください。
これで水素イオン濃度の違いによる濃淡電池が形成されますから。
ガス状になった水素・酸素の活性はほとんど0(水への溶解度から沖合い1cm程度の範囲に存在可能な量がすべて反応したとしても.総反応量が足らないはずです)と近似できます。
電気分解によって.電極付近の水素イオン濃度が変化して.水素イオン濃度差による濃淡電池が形成したと考えたほうが楽でしょう。
No.4
- 回答日時:
水溶液中につっこまれている電極の電位差が電池の起電力となることに注意してください。
ちょっと確認。
電極の電位は電子の電気ポテンシャルです。
化学種の化学ポテンシャルは濃度等として顕在します。
で、イオンの電気化学ポテンシャルは電気ポテンシャルと化学ポテンシャルの和になります。
電気分解後のオルゴールのついていない状況を考えてください。
電気分解後の電極間には起電力が発生しています。
つまり、電極間に電位差=電気ポテンシャルの差があります。
両極を挟む水溶液中にはOH-が豊富であると考えられますが、OH-の電気化学ポテンシャルに勾配があれば、流速が発生します。つまり電流が発生するわけです。
しかし、オルゴールをつないでいないので電流は発生していないはずです。
ということは、電気化学ポテンシャルは一応、均一とみなせると考えられます。
No.3の方の式を拝借して・・(ぉぃ)ついでに変形して・
A極 2 H2 + 4 OH- ⇔ 4 H2O + 4e-
C極 O2 + 2 H2O + 4e- ⇔ 4 OH-
上記のような平衡が両極でなりたっているとみると、
H2Oは多量に存在するため、そのポテンシャルの差はほぼ無視してよく、OH-のポテンシャルの差は前述の通りないと推定。
すると、電極の電気ポテンシャルの差はe-のポテンシャルの差ですので、それを補うものはH2とO2の化学ポテンシャルの差になるわけです。
つまり、電気分解によって発生したH2とO2の気体の存在が、両極の電気ポテンシャルの差を生み出しているわけです。
で、「酸素と水素が直接化合することがない」点についてなのですが、両極が同じ様に「水素と酸素」に接触すると、その雰囲気での化学ポテンシャルの差はなくなりますので、電気ポテンシャルの差もなくなります。
ということで真相は「酸素と水素が直接化合できないから起電する」のです。
回答ありがとうございます。化学が専門でない私にはちょっと難しすぎるようですが〈 電気分解によって発生したH2とO2の気体の存在が、両極の電気ポテンシャルの差を生み出しているわけです 〉とのことで、何となくそういうものかなと納得しました。ありがとうございました。もう少し勉強してみます。
No.3
- 回答日時:
電気分解されたときに電気エネルギーが加えられていますので、逆に水を精製する結合となると電気エネルギーが発生しますね。
2H2+O2 → 2H2O+e(電気エネルギー)
このエネルギーでオルゴールが動きますね。
電気分解された水は
H2O→H+ + OH-
ですね。
ここで、H+ は電極側で泡状のガスになってますのでH2ですね。
2H+ → H2 - 2e(電子2個分)
一方の電極では水が出来ます。
H2 + 2OH- →2H2O + 2e(電子2個分)
こういう動きで電子のやり取りがなされ、電気が流れる。
という説明はいかがでしょうか?
回答ありがとうございます。お礼が遅れてすみませんでした。電気分解と電池の電極での電子のやりとりはお示しいただいた式でだいたい納得できるのですが、電池の場合の
H2 + 2OH- → 2H2O + 2e
の式で、この反応を → の方向に動かす原理はどのようなことでしょうか?発生した水素がもう一度OH- と反応するあたりの仕組みがよくわかりません。もう少し勉強してみます。
No.2
- 回答日時:
実際に可能であるようです。
参考URLの記述では、電極はパラジウム(触媒)で、水溶液中の反応のようです。
旧帝大の入試問題で、同様の仕組みの燃料電池が出題されたことがあると思います。
参考URL:http://www.kenis.co.jp/exp/exp101.html
回答ありがとうございます。参考URLは以前から参考にさせていただいていたので、パラジウムの触媒作用での反応については「なるほど」と思うのですが、この問題の場合は両極ともステンレス電極を使用と書いてあるものもあり、電気分解に使った電極にそのまま電子オルゴールをつなぎ換えるだけのようですので、少し原理が違うのかな?と思います。
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