日本語を勉強中の中国人です。下記の文字の意味はなんとなくわかるのですが、もう少し解説していただけないでしょうか。
「文学とは、多くの場合自己形成の環境を主観から客観へ解きほぐす作業だということができるだろう。日本の文壇の特異な風土をつくってきた「私小説」への偏好は、フィクションの流動や歴史の想像的解釈によって描くノヴェルの領域を決して高く評価しようとはしなかった。振りかえってみれば、そこに芥川賞を純文学の領域を権威たらしめた存在理由があったといえよう。」
1.「文学とは、多くの場合自己形成の環境を主観から客観へ解きほぐす作業だということができるだろう」はどういう意味でしょうか。
2.『風土をつくってきた「私小説」』は文中でどういう意味でしょうか。特に「風土」の意味がよくわかりません。
3.文中の「ノヴェル」はノーベル文学賞のことでしょうか。それとも西洋の小説を指すのでしょうか。
また、質問文に不自然な表現がございましたら、それも教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
質問1
文学とは作業だ。と書いてるんですが、文学は名詞なので変です。
文学作品を読者が読むことを作業だと言ってるのか、文学作品を作家が作る(書く)ことが作業だと言ってるのか、はっきりわかりません。
読者が読むことを意味しているなら、文学作品を読むことで客観的な視点からもアイデンティティー(自我、自己同一性、世界観)を確立できる、といったような意味だと思います。
作家が作品を作ることを意味しているなら、文学作品とは作家がアイデンティティーを確立してきた体験を文章にしたものだ、といったような意味だと思います。
おそらく後者の意味だと思います。
質問2
風土の本来の意味は「土地の気候・地形・地質など」です。
質問文の場合は文壇を取り巻く状況、風潮、といった意味です。
「日本の文壇の特異な風土をつくってきた「私小説」への偏好」
は、
「日本の純文学作家や評論家達(文壇)が私小説に偏向したために、日本の文壇には特異な風土がつくられた」
と言い換えることができますね。
明治時代から昭和初期にかけて、自己体験を書いた作品ばかりが評価されていたのです。それを日本の文壇の特異な風土と言ってます。
質問3
ノヴェルは小説です。ノーベル賞とは関係ありません。西洋の小説に特定しているわけでもありません。
実体験を書いた「私小説」と対比させて、私小説ではない小説(フィクションの流動や歴史の想像的解釈によって描かれた小説)のことを意味しています。
ちなみに芥川賞の芥川龍之介は、私小説作家ではありません。「フィクションの流動や歴史の想像的解釈によって描かれた小説」を書いています。
No.5
- 回答日時:
>1.「文学とは、多くの場合自己形成の環境を主観から客観へ解きほぐす作業だということができるだろう」はどういう意味でしょうか。
「自己形成の環境」=自分が成長していく様子。「主観」=自分から見ること。「客観」=他人から見ること。
つまり、「自分の成長を、他人が見ているみたいに書く」=文学、という意味。
>2.『風土をつくってきた「私小説」』は文中でどういう意味でしょうか。特に「風土」の意味がよくわかりません。
「風土」=特徴、とくちょう。「私小説」=作者の体験(生活)を小説にしたもの。「自分の成長を、他人が見ているみたいに書く」と同じ。
>3.文中の「ノヴェル」はノーベル文学賞のことでしょうか。それとも西洋の小説を指すのでしょうか
ノヴェル=ノベルとも書く。ノベル=小説。
結論:
「文学とは、自分の成長を他人が見ているみたいに書くことだ。「私小説」は日本の文学界の特徴だ。「私小説」はフィクションや歴史小説を高く評価しなかった。それが、芥川賞が文学界で権威がある原因だ。」
日本語の勉強、がんばって!
No.4
- 回答日時:
「そこに芥川賞を純文学の領域を権威たらしめた存在理由があったといえよう。
」は、正確な引用でしょうか?「を」が重複していますが、「権威たらしめた」の目的語が「芥川賞」と「純文学の領域」のふたつということになり、文章の構造としておかしく、文意も通じないように思います。
ご指摘どうもありがとうございました。原文をもう一度確認させていただきました。大変申し訳ありませんが、入力ミスがあります。訂正いたします。「そこに芥川賞を純文学の権威たらしめた存在理由があったといえよう」が正しいです。これ以外は原文と一致しております。
No.3
- 回答日時:
1)文学とは、多くの場合自己形成の環境を主観から客観へ解きほぐす作業だ
自分は何者か、世界は何なのかを考えるツールとして、文学は文字と文章を使って自分自身にはじまり他人にも、ついには誰にでも理解できるような環境を作るという方法を取ります。いわゆる表現ですね。そういったことを言っているのでしょう。
2)『風土をつくってきた「私小説」』は文中でどういう意味でしょうか
>日本の文壇の特異な風土をつくってきた「私小説」への偏好
と解釈するべきです。日本の近代の文学者達(彼らはお互いに親しく付き合うことが多くその多少閉鎖的な集団を文壇といっていました)とその作品群がかもしだす雰囲気、歴史的な傾向は「私小説」という形式を好んだ(たくさん書かれた)ことから作られてきた というような意味だと思います。
3)文中の「ノヴェル」はノーベル文学賞のことでしょうか。それとも西洋の小説を指すのでしょうか。
>フィクションの流動や歴史の想像的解釈によって描くノヴェル の領域を
とかかれていますので、ノヴェルとはここでは日本の作家が作ったものを含む「物語的な小説」をさす言葉のようです。
No.2
- 回答日時:
1、書くことで精神疾患を治癒せんとする心理学療法もありますね。
書くことで、主観から客観への移行に繋がるとは、そういう意味合いがあります。2、時代環境とか、時代状況という意味でしょうね。
3、レシ(物語=ロマン)とノヴェル(小説=フィクション)という分割法の一方という意味です。そして、フランス文学においては、レシには私小説的なニュアンスがあって、たいていの作家のデビュー作はレシになります。レシによって、いわば、自己紹介し、その後、ノヴェルを書くというのが、一般的なフランス作家の流れです。
掲げられた私小説に対する文章について、一言。
私小説とは、架空の物語を排除して、リアリティとは何かを突き詰めた結果、生まれたものなのです。真実の追究なのですね。小説=フィクションという西欧の流儀に異を唱える為に、あえて、リアリティ重視という意味合いで「私」小説としたのですね。そして、嘘の無い世界を描くからこそ、「純」文学と吹聴できたのです。で、私小説を書くために、故意に、破天荒な私生活を送り、悲惨な目に合い、悲しく苦しい思いをして、それを(私)小説にしたのです。読者は、ああ、馬鹿な奴が居るなぁとか、自分も結構、大変な目に合っていると思って居たが、自分より大変な思いをして居る馬鹿が居るんだと、安心感のようなものを与えられたりしていたのですね。私小説は、たいてい、ハッピー・エンドとはなりません。人生は、全てハッピー・エンドになる筈も無く、そういう意味でも、リアリティがあるということになっていました。大正私小説は、そうして、隆盛を迎えていたのです。
そういう伝統は今も生きていて、今日でも、変わらず、私小説、または、私小説的なものが芥川賞を取りますし、私小説の伝統は、一向に衰えていません。時として、日本文学は終わったなどと言われるのは、私小説的なものの衰退が眼に見えて現れたときですよね。
文学一般が「主観から客観へ解きほぐす作業」だとしても、私小説は、あくまでも主観に留まります。客観的真実などはありえず、あるのは、個々人の立場、視点に立っての一つの事実だけなのです。こういうことは、近年のヨーロッパ思想、哲学での見解と合致しています。
No.1
- 回答日時:
1.「文学(小説を書く・詩を書くなど)は自分自身の意識を高めるために自分本位じゃなく、他人の目を通して行えるようにすること」くらいの意味では?
2.「風土」だけをここできっちゃうと意味不明になるので、「日本の文壇の特異な風土」と解釈しましょう。
日本文学の特徴に「私小説(作者が自分自身の生活体験を綴つづりながら、その間の心境や感慨を吐露していく小説。大正時代に流行った)」というものがあり、それが西洋の想像力で書かれることの多い小説と日本の筆者が主体になることが多い小説の差がでている…という感じでしょうか。
小説家自身が体験したことを小説として(ある程度のフィクションを入れつつ、現実に即したような話)書くことが日本文学は多いのです。俳句・短歌も自分の気持ちを入れることが多いですよね。
3.「ノヴェル」は素直に「小説」のnovelです。日本の小説と対比させようとしているのでしょう。
純文学と呼ばれているのは空想ではなく、主に小説家自身の心情が出ている物(私小説)が多いのです。
ただ、最近は純文学とそれに対する大衆文学はあまり区別されていないように思えます。
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