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窒素ガスが充填された高圧ガスボンベ(7m3)を使って作業をする場合、高圧ガス保安法のどの部分が対象となりますか?

A 回答 (2件)

こんにちは。

私は高圧ガス製造保安責任者(乙種化学)の資格を(一応)保有している者です。
最初に高圧ガス保安法の条文が書かれたページを紹介しておきます(参考ページ[1])。なお以下の記述では、特に断らない限り圧力はゲージ圧(大気圧との差圧)です。高圧ガス保安法の記法に従っています。

まず作業自体についてのチェックポイントですが
(1)高圧ガスを製造する工程が作業に含まれるか
(2)何らかの装置を使う場合、装置内に(元ボンベ以外の)高圧ガス容器を抱いているか
です。高圧ガスの定義は高圧ガス保安法(以下、法)の第二条にありますからご覧ください。
高圧ガスの製造とは、何らかのガスを圧縮して高圧ガスにする行為のほか、圧力を下げて異なる状態の高圧ガスにする行為も該当します。加熱による加圧も確か該当したと記憶しています。ただし圧力を下げた結果、高圧ガスの定義から外れた状態のガスになるなら高圧ガス保安法上の「高圧ガスの製造」にはなりません。
高圧ガスの製造行為に該当する作業を行う場合、その製造量(1日あたり)に応じて第一種製造者または第二種製造者となり、申請(第一種)または届出(第二種)が必要です(法五条)。また当該の作業での高圧ガス製造量が小さくても、同一事業所内で他に高圧ガスを製造していて第一種製造者に該当していたりするといろいろと細かい規制を受けます。その際は事業所で、有資格の製造保安管理技術者や保安係員が選任されているはずですので(法第二十七条の二)、その方に相談して指示を仰いで下さい。

それから装置内に高圧ガス容器を抱いている場合について述べます。具体的にはボンベからのガスを、高圧ガスの状態のままどこかにいったん溜めてそれから使用するような場合が該当します。このような容器については製造時の検査と、その後の定期検査が必要になります(法四十一条~四十九条)。No.1のご回答で法四十四条の説明がありますがこれは基本的に装置(容器)メーカの責務ですので、容器を自作する場合を除いてユーザ側には関係ありません。
また高圧ガス容器に該当しない場合でも、容器の大きさと内圧によっては労働安全衛生法上の第二種圧力容器に該当し、定期自主点検が必要になります。
余談ですが実験装置などで窒素ガスやアルゴンガスを使う場合、ボンベのバルブの直後に減圧器を入れ、1 MPa以下に圧力を下げてから各部にガスを供給することが一般的です。(1 MPa以下に下げることで高圧ガスに該当しないようにしている)

消費行為だけでもガスの種類によっては届出が必要になりますが(法第二十四条の二)、これはシランやアルシン、液化酸素などの危険度の高い高圧ガスのみが対象で、窒素の場合は該当しませんから今回は検討しなくて大丈夫です。

次に貯蔵の問題に触れたいと思います。用いるガスが窒素のように危険度の低いガスであったとしても、300 m^3以上のガス(ボンベでの貯蔵も含まれる)を保管する場合は「貯蔵所」としての届出を都道府県知事に行う必要があります。さらに1000~3000 m^3以上(ガスの種類とその比率により異なる)になると申請が必要です(法第十五条~第二十条の三)。従ってヘリウムや窒素だけであったとしても、無制限にボンベを置いてよい訳ではありません。作業自体が高圧ガス保安法上何らの制限にかからないものであったとしても、貯蔵量の規定は別途考慮しなくてはならないということです。
h_i_r_o_b_o_wさんお勤めの工場の「置場」がどのくらいの規模で、制限量までどのくらいの余裕があるか分かりませんので確実なことは申し上げられませんが、置場の担当者の方と一度相談することをお勧めします。(置場のガスの量だけでなく、建屋内のガスの量まで考慮(合算)する必要があることもあります。置場の担当者の方で分からなければ後述のように都道府県庁の担当者に訊いてください)

今回のご質問に関しては、作業の詳細・装置の構造や、h_i_r_o_b_o_wさんお勤めの工場が高圧ガスに関して現在どのような状況なのかが完全に分からないと断言はできないこと、何卒ご理解ください。また私も単に装置ユーザの立場の人間であり、全ての作業や工程、基準に通じているわけではありませんので、万全を期すために最終的には作業地の都道府県庁の担当者に確認されることをお勧めします。(高圧ガス保安関連の管轄は都道府県です)

高圧ガス保安法上の規制に該当しなくても、定期的に装置の点検を行って記録を残したり、必要な安全装置(例えば酸素濃度計)を設けたりといった行為は行うべきことは申し上げるまでもありません。私は窒素ガスを使った実験をしていますが、酸素濃度計を設けた上に濃度計自体も月に一度動作チェックをして作業の安全を図っています。

[1] 高圧ガス保安法 http://www.houko.com/00/01/S26/204.HTM
[2] 高圧ガス保安法に関する説明 東京都の例 https://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/hoan/hanbai/t …
[3] 高圧ガス保安法に関する説明 三重県の例 http://www.pref.mie.jp/SHOBO/gyousei/koatsu/
[4] 高圧ガス保安法に関する説明 岡山県の例 http://www.pref.okayama.jp/seikatsu/bosai/hoan_g …
[5] 高圧ガス保安協会(参考になりそうな情報は意外に少ない) http://www.khk.or.jp/

参考URL:http://www.houko.com/00/01/S26/204.HTM
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最低このくらいが触れてきます。


(定義)
法)第二条  この法律で「高圧ガス」とは、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一  常用の温度において圧力(ゲージ圧力をいう。以下同じ。)が一メガパスカル以上となる圧縮ガスであつて現にその圧力が一メガパスカル以上であるもの又は温度三十五度において圧力が一メガパスカル以上となる圧縮ガス(圧縮アセチレンガスを除く。)

(適用除外)
法)第三条  この法律の規定は、次の各号に掲げる高圧ガスについては、適用しない。

八  その他災害の発生のおそれがない高圧ガスであつて、政令で定めるもの

(適用除外)
施行令)第二条
3  法第三条第一項第八号 の政令で定める高圧ガスは、次のとおりとする。
一  圧縮装置(空気分離装置に用いられているものを除く。次号において同じ。)内における圧縮空気であって、温度三十五度において圧力(ゲージ圧力をいう。以下同じ。)五メガパスカル以下のもの
二  経済産業大臣が定める方法により設置されている圧縮装置内における圧縮ガス(次条の表第一の項上欄に規定する第一種ガス(空気を除く。)を圧縮したものに限る。)であって、温度三十五度において圧力五メガパスカル以下のもの

(容器検査)
法)第四十四条  容器の製造又は輸入をした者は、経済産業大臣、協会又は経済産業大臣が指定する者(以下「指定容器検査機関」という。)が経済産業省令で定める方法により行う容器検査を受け、これに合格したものとして次条第一項の刻印又は同条第二項の標章の掲示がされているものでなければ、当該容器を譲渡し、又は引き渡してはならない。ただし、次に掲げる容器については、この限りでない。

http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX …

この回答への補足

という事は、ヘリウムガスの場合は何本あっても大丈夫という事なのでしょうか?

でも、うちの工場は置場があって、本数の制限があります。

ヘリウム以外も置いていますが。

補足日時:2004/03/29 22:20
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