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下記にどうコメントすればいいのか悩んでいるうちに締め切られてしまいました。
【「先生にお電話をいただきました」と「先生にお電話を差し上げました」】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9278130.html

 基本的には、コメントNo.9のかたが書かれているとおりだと思います。
 当方が気になっているのは「先生にお電話をいただきました」の「に」の働きです。

『日本国語大辞典』にさえピッタリのものがないのですから、フツーの国語辞典に見当たらないのが当然です。
https://kotobank.jp/word/%E3%81%AB-590835#E5.A4. …

 ちょっと調べてみると、下記のサイトに関係しそうな記述がありました。
〈⑤恩人〉です。〈「Nから」とも言える〉は、〈「Nから」のほうが一般的〉だと思います。

http://www.geocities.jp/niwasaburoo/07kakujosi.h …
==============引用開始
7.3 に

 用法の広い格助詞です。基本的な意味は何らかの意味での「点」を示すことでしょう。
形容詞文にも多く使われます。「受身」や「使役」という「ボイス」にも使われます。
①〜④(略)
 
⑤恩人  「Nから」とも言える 
     人にもらう/借りる/教わる

⑥〜⑪(略)
==============引用終了

「恩人」はちょっと違う気がしますが、「恩恵等を授けてくれる人」を「恩人」と短縮してもいいかもしれません。
 たしかに「人にもらう」は使われる気がします(自分では使いません)。「先生に電話をもらう」は「人にもらう」と同じ用法でしょう。

 疑問点が2つあります。
1)個人的な語感では「先生に電話をもらう」に異和感があります。これが「先生にお電話をいただきました」だと異和感が強くなる気がします。気のせいでしょうか。
2)仮に「見知らぬ人にいたずら電話をもらう」だと、「恩恵」ではありません。むしろ「迷惑」でしょう。これも「先生に電話をもらう」と同じように使えるのでしょうか。

A 回答 (7件)

「に」


個人的には、大辞林の
一 ⑦ 動作・作用の起こるみなもとを表す。 「人-ぶたれる」 「盗人(ぬすつと)-金をとられる」
という用法がわかりやすいです。
注釈で 【 時間的・空間的な位置や範囲を示すのが本来の用法 】という記述がある。
http://www.excite.co.jp/world/j_dictionary/ITEM- …
「電話をもらう」を動作と呼ぶか作用と呼ぶかは難しいところですが、いずれにせよ、「そのような状況になった源」といったニュアンス。
庭氏の場合の、
⑤恩人  「Nから」とも言える 

⑪受身の「元の文」の動作の主体
をひとつにまとめたようなものですかね。

>1)個人的な語感では「先生に電話をもらう」に異和感があります。これが「先生にお電話をいただきました」だと異和感が強くなる気がします。気のせいでしょうか。

そうした表現が使われるシチュエーションの頻度の問題ではないかと思います。
先に「から」の用法を大辞林で確認しておきますと、
一 ⑤ 動作・作用の出どころを表す。 「君-聞いた話」 「おやじ-おこられた」
となっています。
注釈は、【 起点・原因を表すようになるのは中古以降の用法 】 。
http://www.excite.co.jp/world/j_dictionary/ITEM- …
電話というのは、「相手が起点となって自分に掛かってくるもの」という動的な移動のイメージが基本的な感覚としてあると思われるので、「先生から電話をもらう」と言うパターンが多いかもしれません。
そもそも「もらう」という言葉自体が動的な移動のイメージを持っているわけですが、電話は特に、その要素が強いでしょう。
子供がお菓子を持っていたら、母親は「誰にもらったの?」と言うパターンが「誰からもらったの?」よりは多いように思う(答えとしては、「お姉ちゃんにもらった」など)が、「○○に電話をもらう」よりは「○○から電話をもらう」というパターンが多いのかもしれない、ということ。

辞書注釈を比較して大雑把に言うなら、
「に」は「単なる点」を表わし、「から」は起点を表わす。
ということでしょう。
電話の場合は、「先生が起点になって電話をかけて、かけてきたその電話を自分がもらった」と捉えれば(また、このパターンが多いとは思うのですが)「先生から電話をもらう」と表現する。
ただ、自分が電話をもらったという状況になった源(=点)を指し示したい場合には、「先生に電話をもらう」と表現すると思います。
つまり、前者は「誰から誰に」という動線が重視されており、後者は「かけてきたのは誰か」という一点が重視されているわけです。

>2)仮に「見知らぬ人にいたずら電話をもらう」だと、「恩恵」ではありません。むしろ「迷惑」でしょう。これも「先生に電話をもらう」と同じように使えるのでしょうか。

「見知らぬ人がいたずら電話をかけてきた」など、相手の行為自体として表現すると思います。
「もらう」という表現は、自虐表現(つまり、敢えて恩恵表現として使う)でないかぎり、まず使わないでしょう。
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この回答へのお礼

コメントありがとうございます。

 すでに書いたように、当方はWeb辞書には「先生にお電話をいただきました」のニを説明できる記述はないと考えています。

>庭氏の場合の、
>⑤恩人  「Nから」とも言える 
>と
>⑪受身の「元の文」の動作の主体
>をひとつにまとめたようなものですかね。

 違うと思います。庭先生がわざわざ別にしているのを、無理矢理ひとつにまとめるのはどうなのでしょう。
 詳しくはNo.2へのお礼に書きます。

 後半の説明がまったく理解できないのは、当方の理解力不足でしょうか。

お礼日時:2016/05/30 20:42

もともと、この問題で hakobuluさんの回答に反応したのは、わたしなので、責任上顔を出さざるを得ません。


>「に」
個人的には、大辞林の
一 ⑦ 動作・作用の起こるみなもとを表す。 「人-ぶたれる」 「盗人(ぬすつと)-金をとられる」
という用法がわかりやすいです。

 以前も同じことを申し上げた記憶がありますが、「大辞林」の間違いです。例文を見る限り「受身形」の動作主を表す例です。内容がよく似ているので有名な「大辞泉」もこれは真似せず、「受身形」「使役形」の例としてあげているものです。他の辞書も同様です。

 古い辞書ばかり気にしていて、「日本語文法」を見忘れていました。「に」=「から」-「恩人」にはびっくりしました。
「から」は起点であり、「に」は帰着点である。(ものの移動)
「から」は起点であり、「まで」は限度。(長さや重さ)
のように対比的に使われるのが一転して同じ使い方になる。日本語文法ではこうした考え方があるのだろうか。
 「に」やる・上げる 「に」くれる・くださる 「から」もらう・いただく
こういう授受動詞(やりもらい動詞)の場合、基本的には「やる」(敬語ーあげる・差し上げる)・「もらう」(いただく)の動作主は話者です。しかし、ものの動きは 反対です。
 「やる」はわたし<から>あなた<に>、「もらう」はあなた<から>わたし<に>というように動きます。
 「日本国語大辞典」の説明で、
(8)話したり会ったり与えたりなど、ある動作を行なう相手を表わす。の中には入れられなかったのですが、どの大きな辞書でも説明がありませんでした。

 ところが、探していたら見つかりました。
『明鏡国語辞典』です。
≪使役や受身、やりもらいなどの表現とともに使って≫もとの動作・作用の主体を表す。
 ア、≪受身や授受の表現とともに使って≫動作をしかけてくる側の物事を表す。友達に(=から)もらう。先生に(=から)教わる。
 【語法】ものや精神作用などが向けられるときは「から」とも。

 とあります。「受身・使役」についてはほとんどの辞書で早くからいわれていましたが、「授受表現」というのははじめて聞きました。取り分け、「もらう・いただく」を説明に取り込んのは、はじめてのことになります。
 一応、最初から誤用とは言っていませんでしたが、なぜ説明されないのかが不思議でした。しかし、「に」=「から」のままでいいのかどうかは、気に掛かります。
 次の名古屋大学のサイトは参考になるでしょう。

https://www.lang.nagoya-u.ac.jp/~sugimura/achive … p.40

https://www.lang.nagoya-u.ac.jp/~sugimura/achive … p.50~51
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この回答へのお礼

コメントありがとうございます。

 あの書き方では伝わらないかもしれない、と思っていました。
 ちゃんと書いてもおそらく伝わらなかったようです。

 まず『大辞林』に記述には不備があると思いますが、「間違い」ではないでしょう。
==============引用開始
【一】⑦動作・作用の起こるみなもとを表す。 「人-ぶたれる」 「盗人ぬすつと-金をとられる」
==============引用終了

 これはニの典型的な働きにひとつでしょう。「みなもと」という言葉が曖昧ですが、要は庭先生のサイト(以降は「庭サイト」と書きます)の
〈⑪受身の「元の文」の動作の主体(→「25.1 受身」)
     親に叱られる   雨に降られる   スリに財布をすられる 〉
 のことでしょう。「迷惑の受身」などという表現を見たことがあります。
 ただ、これを「先生にお電話をいただきました」にニの働きといっしょくたにするのは無理があります。
 単純に言ってしまえば、「親に叱られる」以外は「から」にできません。
「使役形」というのは「子供に行かせる」の類いでしょうか。これも当然「先生にお電話をいただきました」とは違います。庭サイトの⑩使役の対象でしょう。

『明鏡国語辞典』の記述をもう少しひいていただけませんか。
 おそらく、「使役」「受身」「やりもらい」を分けていると思います。
「先生にお電話をいただきました」は「やりもらい」の例でしょう。
 必然的に「(=から)」になるはずです。
「恩恵」に限定できるのかがちょっと疑問で、
「先生にお目玉を{もらう/食らう}」
「先生にお叱りの言葉をもらう」
 あたりも愛の鞭と考えれば「恩恵」ですかね。

「ニ」の用法が多彩なせいか、いろいろな問題がからんでくると思います。

お礼日時:2016/05/30 21:05

#1です。


今回のご質問に大いに関連するでしょうから、#2さんのご回答を受けて、少しおじゃまします。

(OKATさんへ)
1.
前回質問での#9のコメントは、NO.7さんへの反論だと思いスルーしていましたが、私の回答(NO.6)に対するものだったのですね。以下、
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9278130.html
の#9のご回答内容について。

>「先生に」の「に」は『動作の対象を表す「格助詞』とおっしゃていますが、「動作」とは「いただく」のことでしょうか。

『動作の対象を表す「格助詞』と言ってるのは、
B.「空港に着いてから、先生にお電話を差し上げました」
の項目です。
『(差し上げる という)動作の対象を表す「格助詞』
ということです。
A.「空港に着いてから、先生にお電話をいただきました」の「に」については、
「先生に」の「に」は、動作の源を表わす格助詞。
と記しています。

>「先生にお電話をいただく」の言い方では、「に」の説明が難しくなります。

とのことですが、
前回に引き続き、今回も回答させていただきましたように、
一 ⑦ 動作・作用の起こるみなもとを表す。
という大辞林の語釈が極めて簡潔であり、また適切でしょう。
「自分が電話をもらうという状況」になった源、といったニュアンス。
そういう状況が現出した源には、電話を掛けた先生という存在があるわけです。
適切かどうかは感覚の違いになるかもしれませんが、少なくとも、
>「大辞林」の間違いです。

は見当違いのご見解でしょうね。受身の例しか挙げてない大辞林も良くないのですが、「源」で広範に対応できている点で優れていると思います。
プログレッシブ和英中辞典(第3版)の「動作主」という用法も面白いかもしれません。
https://kotobank.jp/jeword/%E3%81%AB

>しかし、説明しにくいから誤用だと言ってるわけもありません。事実使って入る人がある程度います。

「~にもらう」「~にいただく」という表現が、いかにもイレギュラーであるような感覚をお持ちなのだと思いますが、私は、全くそんなことはありません。きわめて自然で良く使われる表現という印象を持っていますし、ちょっと不思議な気持ちになっています。
詳しい方は理屈から入ってしまいがちで、ご自分でも普通に使われていた表現だと思うのですけどねえ・・。
「○○にもらった○○」
良く見聞きしません?

> [に頂いた、にいただいた]は、合わせて、27件。
 [から頂いた、からいただいた]は、合わせて、196件

わたしの検索結果もお示ししておきますので、ご参考まで。
「にもらった」(196件)
「に貰った」(81件)
合わせて277件。
「からもらった」(314件)
「から貰った」(68件)
合わせて382件。
これにOKATさんの検索結果を合わせると、
「にいただいた にもらった」(304件)
「からいただいた からもらった」(578件)
となります。
約2倍近い差はありますが、それほど珍しい表現ということにはならないでしょう。
尤も、感覚的になじまない方にとっては、たとえ大多数が使っていても、それは不自然な日本語だと感じてしまうとは思いますが。
わたしは、どちらも(辞書語釈が示しているように)全く正しい表現だが、#1でお示ししたように、それぞれ用法が異なる、という立場です。

2.
>≪使役や受身、やりもらいなどの表現とともに使って≫もとの動作・作用の主体を表す。
 ア、≪受身や授受の表現とともに使って≫動作をしかけてくる側の物事を表す。友達に(=から)もらう。先生に(=から)教わる。
 【語法】ものや精神作用などが向けられるときは「から」とも。

『明鏡国語辞典』の内容を教えていただきありがとうございます。
ただ、使役と受身は分けて考えないと混乱するでしょうね。(明鏡では分けているのでしょうが)
前者は対象(下記の②)ですし、後者は源(下記の③)ですから。
この意味で大辞泉の、
10 受け身・使役の相手・対象を表す。「犬―かまれた」「巣箱を子供たち―作らせる」
という分類の仕方は、どうなのかなという印象。
【語法】に関しては、「向けられる」の解釈次第ですが、#1で述べたことと近いようにも(勝手に)思っていて、単なる「もとの動作・作用の主体そのもの」ではなく、両者の関係性に着目する場合、といった意味なのでしょう。
あと、ちょっと気になったんですが、「物事を表す」の「物事」とは(例文中で)具体的に何を指しているんでしょうね。

3.
URL も大変参考になりました。
杉村泰氏が「に」には、
① 存在の場所・時点の表示。
② 一方向性を持った動きの着点の表示。
③ 被動的行為の動作主の表示。
という3つの用法がある。
と言い切っているのがわかりやすい。
今回の場合は③に該当するわけですが、細かな分類以前に本質をこのようにキッチリと押さえておくことは重要だろうと思います。
その意味で、同氏が言うところの、「これらは全て〈着点〉という一つのプロトタイプ的意味に還元することができる。」という文言も興味深いものがあります。
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#1です。



> 違うと思います。庭先生がわざわざ別にしているのを、無理矢理ひとつにまとめるのはどうなのでしょう。

A.
分類は大雑把すぎると、具体例を想起しづらくなりますし、逆に細分化しすぎると煩雑で理解の妨げになると思います。
庭氏の場合、
⑤恩人 「Nから」とも言える 
     人にもらう/借りる/教わる
⑪受身の「元の文」の動作の主体(→「25.1 受身」)
     親に叱られる   雨に降られる   スリに財布をすられる
の二項には、共通の要素があるのではないでしょうか。
その要素が(結果的に)大辞林の
⑦ 動作・作用の起こるみなもとを表す。
ではないか、と考えた次第。
・先生に教わる。⇒「教わる」という状態(事態)がわたしに実現した源として「先生」を指定している。
・先生に叱られる。⇒「叱られる」という状態(事態)がわたしに発生(実現)した源として「先生」という存在を指定している。
このような構図です。
大辞林としても、無理矢理ひとつにまとめているわけではないと思います。
たとえば、今回のケースでも、
・見知らぬ人にいたずら電話をもらう。⇒「いたずら電話をもらう」という状態(事態)がわたしに発生した源として「見知らぬ人」を指定している。
という解釈が可能になります。
細分化は学習者に対する親切心から発しているわけですが、細分化しすぎると、こうした弊害も生じがちで、今回の1311tobiさんのような疑問につながってしまうのでしょう。
同様に、
③対象 「到着点」と同じ方向性がある
     人にかみつく   人に頼る 仕事に慣れる
という項目も、
④相手 対象の「Nを」がある場合 「到着点」と同じ方向性がある
     人にものをあげる/文句を言う/手紙を書く 
⑩使役の対象 (→「25.2 使役」)
     子供に行かせる   国に補償金を払わせる 
と一緒にして、「動作・行為の対象」とでもしたほうがスッキリするでしょう。使役行為自体も動作なので、わざわざ分けなくても理解できるはずで、一例として注釈すれば済むのではないでしょうか。
庭先生、項目を11から8に減らしてみてはいかがですか。

B.
こうしたことは日本語に詳しい方ゆえに生じる問題のようで、OKATさんが紹介してくださった杉村泰氏の論文でも、似たような指摘ができます。
① 存在の場所・時点の表示。
② 一方向性を持った動きの着点の表示。
③ 被動的行為の動作主の表示。
という3つの用法に大分類している点が本質を掴んでいるのではないかと#3では申し上げましたが、彼は、これをさらに21項目に細分化して説明しています。
その中で、たとえば上記②の例として、
c.彼に会う/話す。<行為の相手>
j.彼に恋をする。<精神的行為の相手>
k.彼についていく。<随伴の対象>
l.政府は構造改革に取り組んでいる。<行為の対象>
をわざわざ分けています。
これなども一括して「動作・行為の対象」としてまとめるほうが理解しやすいのではないでしょうか。
大分類がわずか3項目なので大雑把すぎたと感じて、小分類(あるいは例文)が過度に丁寧になりすぎたのかもしれません。

C.
個人的感覚としては庭氏の分類のほうが、用法としてわかりやすい。
ただ、先述しましたように、若干の統合があると更にわかりやすくなると思います。
また、本質としての大分類である杉村氏の3項目も貴重でしょう。
そこで、この両者を合体させてみました。(大分類=3、小分類=8)
下記は、杉村氏の大分類に、一部を統合した上で庭氏の小分類を当て嵌めたものです。■印を新たな小分類名にしていますが、庭氏の元の分類名・例文を特定するため番号は元のママ表記してあります。
なお、1311tobiさんご指摘のように、「⑤恩人」という注釈は無用で、たとえば「与える人」などとするほうが良いでしょう。
ただ、これらは「分類」ではなく、あくまで例文の注釈として記すのが妥当だと思います。

1. 存在の場所・時点の表示。
  ①目的地・到着点 家に帰る
  ②存在の場所  家にいる
  ⑥時点 時間の一点(長くても) 2時に会う
2. 一方向性を持った動きの着点の表示。
  ■動作・行為の対象
人にかみつく(③対象)人にものをあげる(④相手) 子供に行かせる(⑩使役の対象)
  ⑧基準 親に似ている
  ⑨変化の結果 赤に変わる
3、 被動的行為の動作主の表示。
  ■動作・作用の起こるみなもと(大辞林の語釈)
 人にもらう(⑤恩人) 親に叱られる(⑪受身の「元の文」の動作の主体)
  ⑦原因 物音に驚く

こうした分類にすると個人的にはスッキリするのですが、杉村・庭両氏には、勝手にカスタマイズしてしまったお詫びを申し上げておきます。
分類の仕方は多様であって(というか、多様であるほうが)良いと思いますが、今回のカスタマイズも、その一環として提示させていただきました。悪しからずご了承くださいますようお願いいたします。
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文法は帰納法で出来上がるものです。

だから実際に使用されている例が、かなり有力な使用法になってしまうと、そを認めざるを得ません。それにしても非常に意味の異なる格助詞「から」と「に」という、格で言えば「位格(に)」と「奪格(から)」と名称の異なる助詞、別の言い方をすれば「起点」と「帰着点」という反対の関係に見える二つの助詞が、どちらでもいいという使い方がされていれば、どうしてそうなるのか、説明するのが「専門家」でしょう。
 その点、紹介したURL
 https://www.lang.nagoya-u.ac.jp/~sugimura/achivehttps://www.lang.nagoya-u.ac.jp/~sugimura/achive …
で、
 「に」と「から」は、(6)のように「に」が〈着点〉、「から」が〈起点〉を表すことが明確な場合には説明に困らない。しかし、(7)のように「に」も「から」も「本」の出所をマークする場合、なぜ「から」だけでなく「に」も使われるのかを説明するのは難しい。
(6)彼がアメリカ{に/から}来た。
(7)彼{に/から}本をもらう。
 この点について、日本語教育では「~にもらう」と「~からもらう」をパラフレーズに説明することがある。しかし、このように説明すると、後々「てもらう」構文を導入するときに「に」と「から」の文法性の違いが説明できなくなる。

(8)私は彼{に/から}送って(貸して/言って/教えて)もらった。
(9) 私は彼{に/*から}掃除して(作って/書いて/会って)もらった。
 これに対し、「に」と「から」を区別して考えると、(8)と(9)の文法性の違いが説明できる。「から」は移動の〈起点〉を表示するため、(8)のように情報や物の移動を伴う動詞につく。一方、『「に」は主体から相手に向かって情報や物、恩恵を得ようと差し出す手の〈着点〉、すなわち密着性の〈着点〉を表示するため(8)のみでなく移動を伴わない(9)でも使えると説明できる。』

従って、「~にもらう」、「~に~してもらう」は「~に聞く」や「~に求める」のように主体から相手に向けて働きかけをする表現の延長として、「~からもらう」、「~から~してもらう」は「~から受け取る」のように情報や物が主体の方に移動してくる表現の延長として説明できる。
 また、「に」は〈着点〉、「から」は〈起点〉に焦点が当たるため、「捨てる」は「(場所)に」、「拾う」は「(場所)から」と共起する。
 上記の『 』で囲んだ部分が説明の中心になると思います。
 それにしても、「もらう・いただく」という授受動詞は厄介なことばですね。「敬語」でも「(さ)せていただく」で、よく問題になります。
 なお、「明鏡国語辞典」では「受身・使役・授受動詞」はまとめて扱っています。「大辞泉」「広辞苑」はいずれも「使役・受身」をまとめています。「日本国語大辞典」ではつぎのように、分けています。
 (12)使役動詞で示される動作の働きかけが及ぶ対象を表わす。
 (13)受身表現での動作の主体を表わす。
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この回答へのお礼

昨晩遅くに返信コメントを書いたのですが、例によって文字数制限に引っかかって心が折れました(誤用?)。
 改めてリンク形式しようかと思ったいたら、No.7のコメントが……。
 書き直してリンクを張ります。
 とりあえず、「前段」の話でお茶を濁します。
【「先生ニお電話をいただきました」 二の特殊用法?〈1〉】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12166419612.html

お礼日時:2016/06/02 22:36

#4です。



たとえば「目的」という分類が含まれていなかった点、また分類基準などについて、前回のカスタマイズには不備がありました。
教えていただいた杉村氏・庭氏のサイトに、大辞林、大辞泉の用法を加えて検証した上で、再度の統合を試みてみます。(敬意・強意などを除いた一般的な用法について)
もっとも着目したのは杉村氏の大分類で、これに当てはめる形で統合(場合により分割)すると全体の構図が理解しやすくなるだろう、という方針で行ないました。
小分類は庭氏の表記を一応の基準にさせていただきながら、再構成した形になっています。
個々の分類を拝見した場合、専門家といえど、必ずしもすべてが網羅されているわけではないようで、辞書語釈を絡めることで、そこを補うのが、今回の目的のひとつでもあります。(むろん、辞書が見落としている要素もある)

「に」は無意識的に使われているわけですが、そこには一定の(無意識的)基準が存在するはずで、その仕組みを言葉として明記するのが文法なのだと思います。
OKATさんおっしゃるように、文法はたしかに帰納の結果なので、専門家の間でも、視点次第で用法の分類など多様にならざるを得ないのでしょう。
たとえば杉村氏は、「我が家は学校に近い」⇒「存在の場所(距離的な位置)」と分類していますが、庭氏は、「駅に近い」⇒「基準」に分類している、など。(これは庭氏の分類のほうがわかりやすい)
こういったわけで一素人のわたしの分類がアテになるはずもありませんが、少なくとも、個人的には、このように分類すると極めてスッキリしてわかりやすくなる、という所を記させていただいた次第です。

なお、杉村氏の小分類は21項目に及んでいて、個々の実例を確認したい場合に非常に有意義になると思います。
ただ、今回は、意味的な構造を重視して、たとえば、
3-b 私に子供がある。(所有者)
3-c 姉にバイオリンが弾ける。(能力の主体)
などは、
3-b 「子供がある」という状態の存在している場所=私。
3-c 「バイオリンが弾ける」という能力の存在している場所=姉。
という解釈で「存在の場所 」という分類に統合しています。
結果として、大分類3、小分類10 となりました。
個人的な感覚による部分が大きいので万人に納得できる分類は、おそらくないと思うのですが、とりあえず。

1.存在の場所・時点の表示。
  (ア)存在の場所
 家にいる[庭氏②]
 アパートに住む[大辞林②]
 庭に池がある[大辞泉2]
  (イ)時点
 二時に会う[庭氏③]
 五時に起きる[大辞林①]
 三時に間に合わせる[大辞泉1]

2.一方向性を持った動きの着点の表示。
  (ウ)目的地・到着点
 家に帰る[庭氏①]
 家にたどりつく[大辞林④]
 家に着く[大辞泉3]
  (エ)動作・行為の対象
 人にかみつく[庭氏③] 人にものをあげる[庭氏④] 子供に行かせる[庭氏⑩]
 君に見せてやろうか[大辞林③]
 紙上に発表する[大辞泉1] 友人に伝える[大辞泉6]
  (オ)動作・行為の目的
 魚釣りに行く[大辞林③]
 迎えに行く[大辞泉5]
  (カ)基準
 親に似ている・駅に近い[庭氏⑧]
 親に似ぬ子[大辞林⑥]
 君に似ている[大辞泉11]
  (キ)変化の結果
 赤に変わる[庭氏⑨]
 学者になる[大辞林⑨]
 水泡に帰する[大辞泉4]
  (ク)動作・状態の行われ方・あり方の表示。
 左右にゆれる・ぴかぴかに光る[大辞林⑩]
 直角に交わる・会わずに帰る[大辞泉8] 委員に君を推す[大辞泉9]

3.被動的行為の動作主の表示。
  (ケ)動作・作用の起こるみなもと
 人にもらう[庭氏⑤] 親に叱られる[庭氏⑪]
 彼に本をもらう[杉村氏5-b]
 人にぶたれる[大辞林⑦]
 犬にかまれた[大辞泉10]
  (コ)原因
 物音に驚く[庭⑦]
 前祝いに酒を飲む[大辞林⑤] ごほうびに千円もらう[大辞林⑧]
 あまりのうれしさに泣き出す[大辞泉7]
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お礼欄の質問に答えていませんでした。


>これはニの典型的な働きにひとつでしょう。「みなもと」という言葉が曖昧ですが、要は庭先生のサイト(以降は「庭サイト」と書きます)の〈⑪受身の「元の文」の動作の主体(→「25.1 受身」)
     親に叱られる   雨に降られる   スリに財布をすられる 〉のことでしょう。「迷惑の受身」などという表現を見たことがあります。

この「受身」の「元の文」の動作の主体とは、「事実上の動作主」としてどの辞書も取り扱っているものですから、そう書けば誰にでも分かることです。
 「(わたしが)先生<に>叱られた」(受動態)の 元は「能動態」で「先生がわたしを叱った」となり、わたしは何も動作をせず、事実上の動作主は「先生」です。だから「先生<に>」という形が出てきます。受動態の主格は「わたし」ですが、「事実上の動作主」は「叱る」という動作をした「先生」ということです。
 「父がわたしを走らせた」という使役の場合は、ほとんど見て分かるとおり「父」は主格ですが、実際に走った者(事実上の動作主)はわたしです。
「動作作用の起こるみなもと」とはどのような動詞にもあるものなんでしょうか。(わたしにはそうとしか受け取れません)それは、「人物」でしょうか。「動物」や「事物」でしょうか。「自然現象」でしょうか。思想・感情でしょうか。あるいは、心の中の「衝動」のようなものか。それとも「条件」なのでしょうか。例文からみれば、「人」や「盗人」というように人物としか思えません。しかし、「受身」の例を考えると、人や動物(「蚊にに刺される」)以外に「電車や自動車」(「電車に轢かれる」)も出て来るようです。また、自然現象(「雨に降られる」「風に吹かれる」)もあり得ます。
辞書とは「分かりやすくするためのもの」でもあるのですが、「みなもと」は分かりにくくしているだけです。(わたし自身は「大辞林」のファンであり、書籍版以外に「逆引き大辞林」まで持っています。しかし、よくない点は批判すべきです)
 さらに、「みなもと」を「もらう」の相手とするなら、どういうものがあるのでしょう。「犬に舐めてもろう」を考えて見ました。これぞ、杉村氏らが言う「密着性」の代表になるかも知れません。人と犬以外なら(「何かにバイ菌をもらった)とか、ま、冗談です。

   >親に叱られる   雨に降られる   スリに財布をすられる 〉
 のことでしょう。「迷惑の受身」などという表現を見たことがあります。
 ただ、これを「先生にお電話をいただきました」のニの働きといっしょくたにするのは無理があります。
 単純に言ってしまえば、「親に叱られる」以外は「から」にできません。

 中心の問題からはずれますが、「迷惑の受身」は通常「雨に降られる」のような「自動詞の受身」を言います。類例は「赤ん坊に泣かれた」「畑を人に歩かれた」「朝早く客に来られた」。ところが金田一春彦が「隣に高い塀を建てられた」というような「他動詞」の例をあげたことから、ちょっと分かりにくくなりました。「迷惑」「被害」といえば、むしろ被害の大きいのは「他動詞」です。「親に叱られる」も「スリに財布をすられる」も「被害」です。「見知らぬ人に殴られる」「人が電車に轢かれる」これには限りがない。「迷惑の受身」は自動詞限定にすべきです。
 
 「親から叱られる」は確かに言いそうです。「人から笑われる」はいいとして「友達から蹴とばされた」「自動車から刎ねられた」は言わないですね。したがって、「受身形」は「に」が中心。

『明鏡国語辞典』です。
≪使役や受身、やりもらいなどの表現とともに使って≫もとの動作・作用の主体を表す。
ア、≪受身や授受の表現とともに使って≫動作をしかけてくる側の物事を表す。「友達に(=から)もらう」「先生に(=から)教わる」「警官に(=から)助けてもらう。」「時間に追われる」「波にのまれる」(「時間から」「波から」はないと言うことのようです。)
 【語法】ものや精神作用などが向けられるときは「から」とも。

 イ、使役の動作を仕向けられる側の人を表す。「太郎に書かせる」「息子に習い事をさせる」
  【語法】「子どもを立たせる」など、もとの動詞が自動詞の場合は、「を」とも。「赤ん坊〇を/に 立たせる」など、仕向けられる側の自主性が強い場合は「に」にならない。

[私注] ここの説明の特徴は、≪使役や受身、やりもらいなど≫とまとめながら、実際には『「受身」及び「もらう」』と『「使役」』の二つに分けているのが気になる所です。ということは、「受身」と「もらう」や「受ける」という動詞にはよく似た点があるということです。それは「に」格をとってあまり違和感がないということです。

 過去に、「人に恩を受けた」という質問があって、その時「に」か「から」かで理屈を言ったのを覚えています。
 また、「もらう」ものは恩恵とは限りません。「げんこつ」や「とばっちり」など不要なものも「もらい」ます。
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この回答へのお礼

ということで(何が?)、No.5に入れる予定だったお礼コメントです。
【「先生ニお電話をいただきました」 二の特殊用法?〈2〉】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12166767374.html

お礼日時:2016/06/02 23:23

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