No.1ベストアンサー
- 回答日時:
ビームの方から考える。
jは単位時間にやってくる電荷量だから、それをeで割れば単位時間にやってくる電子の個数 N = j/e が分かる。この電子1個が標的中を通過するときに、起こる散乱の数は、散乱断面積σを底面として電子の進行方向に延びた円柱内にある標的の数mによって与えられる。円柱の体積は σL で密度がρだから、m=σLρである。ビーム全体で考えると、時間tの間に起こる散乱数はn = t N m = σLρ (j/e) t
となる。(ここで右辺全体が無次元量になっており左辺と一致していることを確認すべきである。)ここでσを実験条件を満たす散乱の断面積、すなわち、立体角ω中に散乱される散乱の断面積と考え、微分断面積をdσ/dωと書けば、σはdσ/dωをωに渡って積分したものであるが、(通常の実験で想定されるように)ωは充分小さく、ω中の散乱方向によるdσ/dωの変化は無視出来ると考えれば、
σ = (dσ/dω) ω
と書くことが出来る。以上の2式から、弾性散乱微分断面積は
dσ/dω = n / [Lρ (j/e) t] / ω
と表すことが出来る。
No.6
- 回答日時:
違います。
第2回答者様の参照している散乱断面積の解説ページの記述には重大な書き落としがあり、その冒頭部分は「単位面積を通して入射する毎秒当たりの粒子数をNとし」と「単位面積を通して」を付け加える必要があります。そうしなければΔN = σ*N*ΔΩ
という式の左右で次元が一致しませんね。σは面積の次元を持ち、Nは単位面積で割られているのです。更に、この式は散乱体の数が一個であることを仮定しています。ビームから見て単位面積の中に一個の散乱体が在る場合に成り立つ式です。一個で無ければ、その数mを右辺に掛けておく必要があります:
ΔN = σ*N*m*ΔΩ
この式でσは微分断面積dσ/dωのことですので、ΔN = n, ΔΩ = ωとおいて
dσ/dω = n / [N*m*ω]
第2回答者様の式は、この式で N = (j/e)t、m = 1 と置いたものに対応しています。しかし、これは正しくなく、このように書くのであれば、本来は
N = (j/e)t /S、m = ρL×S
とすべきものです。但しSは「単位面積」を表し、上の式の中でN*mの積を取るので最後には残りません。(単位面積は任意に取れる。)
インターネットの解説ページを読む時は、(この私の回答も含めて)自分が考えるきっかけにするのは良いですが、そのまま信じるのは危険です。
No.5
- 回答日時:
その通りです。
測定器の方に電子が飛んでいくような散乱の数を数えれば良く、そうなるようにσを「dσ/dωを与えられたωに渡って積分したもの」として定義したわけです。通常σは全断面積を表すので、本当は記号を変えてσ(ω)等と書いた方が良かったかも知れません。理解していただけたようでうれしく思います。No.4
- 回答日時:
もう1つ気になることがあるので申し添えます。
第2の回答者様は単位のことを言っておられますが、物理量の次元を考えることと、単位を与えることとを混同しています。この問題は単位をどうとうるかとは関係なく、答えは一意に決まります。もちろん、次元を考えるのに、仮に単位を与えてみる、というのは良い方法の1つではあります。例えば電流をAという単位で測ることにすれば A = Coulomb/s なので、jは電荷を時間で割った次元を持っているということを思い出すのに役立ちます。でも、あくまでも重要なのは次元であるということを認識しておくべきです。
それから、散乱断面積は粒子の反応を考える際に最も基本的な量です。定義を徹底的に理解することを強く勧めます。
No.3
- 回答日時:
補足コメントへの答え
・電子1個が標的中を...散乱断面積の定義です。そうなるように断面積というものを定義するのです。というか、散乱断面積にはそういう解釈が成り立つと言うことです。
・電流で表される定常ビームを考えており、j/eが単位時間中に標的にやって来る数だからです。時間tの間にやってくる数は(j/e)tとなり、これが無次元になる(数だから)ことに気をつけて下さい。標的中での散乱数は、やってくる全数に比例し、tに比例することになります。また、どういう散乱を考えるかによって、どういうσを使うかが決まります。今は、「弾性散乱で立体角ωに散乱されるような散乱」を考えているのでσは微分断面積dσ/dωを与えられたωに渡って積分したもの、を使うということになります。このようにすることで、検出された電子数と「散乱数」とが一致するわけです。
・ビームの太さではありません。あくまでも、電子1個に仮想的に付随させた面積です。ビームから見た標的の面積がビーム自体よりも大きければ、この議論にビームの太さは関係しません。
最後の答えに、私のものを含めて2つの異なるものが出て来ましたね?σは面積の次元を持つべきだということから、どちらが正しい答えなのか判断出来るでしょう。ちなみに、私の答えの中で、 dω = dcosθ dφ (但しφは方位角)は無次元で、系が軸対象ならば dω = 2π dcosθ と書けます。dcosθ = sinθ dθ のことです。
No.2
- 回答日時:
ハンドルネームからすると、ある程度の物理学の素養を持たれている方と思われますが、どこが分からないのでしょうか。
原子核反応の「断面積」の概念は理解されていますか?
「解き方」云々ではなく、「定義を知っているか」の問題ですよ。
入射電子数を N のとき、原子核の弾性散乱によって空間内の立体角 ΔΩ で検出した電子数を ΔN とすると、比例定数を σ として
ΔN = σ*N*ΔΩ
と書き、比例定数を σ を「微分散乱断面積」と呼びます。これが定義。対称性から、σ は散乱角度 θ の関数であることが分かります。
↓ ご参考「散乱断面積」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%A3%E4%B9%B1 …
これが分かれば、もう解けますよね?
電子ビームの電流が J (A) (問題に単位が書いてないのはミスだと思いますが)なら、測定時間 t (s) 間の入射電子数 N は、電子素量を e (C) として
N = J/e (個/s) * t (s)
測定器の立体角がωなので
ΔΩ = ω
測定時間 t (s) 間の検出電子数が n (個) なので
ΔN = n
以上より、定義式にあてはめて
n = σ*(J/e)*t*ω
よって
σ = n*e/(J*t*ω)
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詳しい説明ありがとうございます!疑問に思ったことが3つあるので、よかったら教えてください。
・電子1個が標的中を通過するときに、標的の数と等しいm回も散乱すると考えることができる理由
・"標的中での時間tの間の散乱数"と"測定器で検出された電子数"が同じnで書ける理由
・"ビームの太さ"と"散乱断面積"が同じσで書ける理由
以上です。よろしくお願いします。
お返事と丁寧な補足ありがとうございます。
・"標的中での時間tの間の散乱数"と"測定器で検出された電子数"が同じnで書ける理由
に関して、"散乱数"と"検出された電子数"が同じということは散乱された電子が全て測定器の方に飛んでいくことになるからおかしいと思っていたのですが、そうではなく、"散乱数"を"測定器の方に飛んでいく電子の数"と等しくなるように定義しているという解釈で正しいでしょうか。
ありがとうございます。
最後に、第2の回答者様の微分断面積(dσ/dω)の定義だと
n=(dσ/dω)Nωということになっていると思うのですが、それがphyonco様の
σ=(dσ/dω)ωと等価ならば
σ=n/Nということになるのかなと思ったのですが、これは正しいでしょうか。
すいません、これは違いますね。
散乱断面積の定義をよく勉強したいと思います。