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尺八の音名が ロ ツ レ チ のようになっていますが、
どのような経緯で このようになったのでしょうか、教えてください。

A 回答 (2件)

これは簡単な話ではありません。


「ロツレチ」は、音名というよりは指使いを表す符号で、
尺八都山流の祖、中尾都山が考案したものです。
それ以前は、「フホウエヤリヒ」という別の呼び名が使われていました。

日本の伝統楽器では、管楽器の指使いや弦楽器の指のポジションに文字を当て、
唱歌として歌って覚える方法が古来用いられてきました。
その場合の個々の文字は、何かの省略とか頭文字とかではなく、
むしろ擬音語に近いものといえます。
言いやすく、覚えやすいことが優先され、
個々の文字よりも、決まった旋律形での文字のつらなりの口調の良さも関係していると思います。
楽器によっても使われる文字列が全く違うので、
個々の指使いの文字が音階の理論と直接関係しているわけではありません。

尺八の前身である一節切(ひとよぎり)という楽器が17世紀ごろからありましたが、
その古い楽譜である『短笛秘伝譜』(1608年)には「フホウエ」という名称が見られます。
中尾都山が「ロツレチ」を考案するまでは、この「フホウエ」という表記の流れが続いています。
この『短笛秘伝譜』や、それに続く古い尺八の譜には雅楽の用語などが書いてあり、
カタカナで音名や指使いを表記する方法が雅楽からの影響であることがわかります。
ただし、各音と文字の対応は、雅楽のそれとは異なるものです。

古代中国にはオクターブを十二分割する音楽理論があり、これが日本にも古くから伝わっていました。
各音に名称があり、日本では中国とは違う名称に置き換えられましたが、
『短笛秘伝譜』と古い尺八の譜には、各カナ文字とこれらの音名の対照が書かれています。
いくつかの譜を総合すると、だいたい以下のような対応になっていますが、
現在の尺八の音階とは異なります。

「フ」=「黄鐘」(ラ)
「ホ」=「盤渉」(シ)
「ウ」=「壱越」(レ)
「エ」=「平調」(ミ)
「タ」=「下無」(ファ#)
「チ」=「黄鐘」(ラ)[フのオクターブ上]
「ヒ」=「盤渉」(シ)[ホのオクターブ上]

上の通り、一節切と初期の尺八では、「フホウエタ」は「ラシレミファ#」という音階になるように書かれていますが、
のちに「レファソラド」の音階へと変わります。

中尾都山も初めは「フホウエタ」を使用していました。
なぜ「ロツレチ」に変えたかについては、中尾都山に直接話を聞いた人の証言が残っていますが、
あるとき稽古をつけていて、箏や三味線などとの合奏で合いの手が細かい動きになると、
従来の「フホウエ」では舌が回らず困ったことから、
翌日教える個所を前の晩に「ロツレチ」に書き直したということです。
それ以上のことは書かれていませんが、速くても言いやすい音の字に書き換えただけで、
それぞれのカタカナが何らかの意味を持つわけではないようです。
http://shaku8.blog.shinobi.jp/%E6%98%8E%E6%9A%97 …
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この回答へのお礼

遅くなり申し訳ありません。
ご丁寧にご説明いただきありがとうございます。
私は本格的に尺八を吹いたことはありませんが、
音階のドレミはわかりますが、尺八の音階の呼び方が
どうしても理解できず、お伺いした次第です。
本当にどうもありがとうございました。

お礼日時:2018/11/05 03:08

尺八の音階は、中国の五声(五音)から来ていると思いますが、それらが何故ロツレチで表現されるようになったのかは分かりませんでした。

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この回答へのお礼

わざわざどうもありがとうございました。
大変参考になります。

お礼日時:2018/11/05 03:09

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