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文学作品を評論する文章として、これはスバラシイというのがあったら教えて下さい。

立派な小説を扱っていなくても、
内容も主張もどんなものでもいいのですが、

作品の紹介の仕方から、章の組み立て、引用の仕方などなど、自分で評論を書くときに参考にしたい、と思うようなものをお願いします。わたしも参考にさせて頂きたいので。

A 回答 (7件)

補足拝見しました。


比較的「理論」というものが表面に立たない、内容よりも、書き方、スタイル、引用の方法など、「評論を書く」という観点から参考になるのではないかとわたし自身が思うものをいくつかあげていきます。

まず、古典的名著として
『曖昧の七つの型』(ウィリアム・エンプソン著 岩崎宗治訳 研究社)
イギリスに文学批評という形式が誕生して間もない1930年の作品です。 内容はあくまでも詩学についてですから、読んでいくのは相当にしんどいです。わたしもなにしろ典拠とされる作品がよくわからないので、評論をどこまで理解しているか、はなはだ心許ないのですが、それでも「曖昧性」をキー・ワードに、分析を絞り込んでいくスタイル、「意味」の微妙なニュアンスをときほぐしていくときの鮮やかさ、なんかすごいです。
いまさしあたって読まなくてもいいけれど、こんな本もある、と視野のなかにだけは入れておいてください。

「ひとの欲望というものは他者の欲望を模倣することから発生する」という欲望の理論を、フローベールやプルーストから解き起こしていくものとして、ルネ・ジラール『欲望の現象学』(吉田幸男訳 法政大学出版局)を。欲望の主体をS、対象物をO、欲望を媒介するモデルをMとする欲望の三角形理論が、作品の中からどのように浮かび上がってくるか、ジラールの手法も見事です。

このジラールを援用しつつ漱石の『こころ』を読み解いたものが作田啓一の『個人主義の運命』(岩波新書)に所収されています。これも大変に刺激的。作品を引用しつつ、論を展開していく手法として、参考になるのでは、と思います。

理論とも思想とも無関係に、ここまで読めるんだ、というか、もうひたすら読むことの快楽に身を任せたくなるような本として、ウラジミール・ナボコフ『ヨーロッパ文学講義』と『ロシア文学講義』(ともにTBSブリタニカ)。

さて、つぎは日本の評論に行ってみましょう。
おそらくここらへんはどれも読んだことがおありかと思いますが、念のために。

吉本隆明『悲劇の解読』(ちくま学芸文庫)

大江健三郎『小説の方法』(岩波現代選書)

蓮實重彦『表層批評宣言』(筑摩書房)

中村光夫は『二葉亭四迷論』でもいいし、『風俗小説論』(ともに新潮文庫――絶版ではあるけれど、古書で比較的簡単に手に入ります)でもいい。

もし『風俗小説論』をお読みになるんでしたら、合わせて後藤明生『小説――いかに読み、いかに書くか』(講談社現代新書)も併せて読むとおもしろい。田山花袋の『布団』について、中村と後藤の評論は合わせ鏡のようになっていて、両方を読むと『布団』が非常に立体的に浮かび上がってくる。これは小説を読むより、評論を読む方が圧倒的におもしろいです。同じことは、同書に収められた後藤の志賀直哉の『城之崎にて』と、伊藤整の『文学入門』(講談社文芸文庫)に収められている「下降認識と上昇認識」で読む『城之崎にて』の対比にも言えて、ひとつの作品を別の論者がそれぞれに扱うとこんなふうになっていくのか、と目が醒めるような思いがします。評論読みにはこたえられないたのしみ。

前田愛はとりあえず『樋口一葉の世界』(平凡社ライブラリー)を。

あとは阿部昭『短編小説礼賛』(岩波新書)。

比較的新しいものから何かあげると。
『漱石と三人の読者』(石原千秋 講談社現代新書)
「書き手にとっての読者は作品に組み込まれている」という問題意識から、漱石の作品の読み直しを行っています。非常に刺激的な本。

翻訳された評論となると、どうしても文学理論が中心のものが多いような気がしたので、結構重要なものもバサバサ落としていますが、おそらくサイードやスピヴァクなんかはお読みだと思うので。読み返してみると、なんかバランスが悪いんですが、まぁこんなところで。
これだけあげておけば、とりあえず一冊や二冊、参考になるものが見つかるんじゃないでしょうか。
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この回答へのお礼

思慮深くご丁寧なアドバイスありがとうございます。
だいぶ前に読もうとして挫折したものもありますが、今ならもっと読み込める気がします。
おかげさまで意欲がグンと湧いてきました。

みなさまに教えていただいた本は必ず手にとって
勉強させて頂きたいと思います。

これからしばらく知的刺激に満ちた生活になりそうです。
またわからないことを質問させていただくと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

お礼日時:2005/03/27 22:03

マニアックなものを紹介します。



宮本顕治「敗北の文学」新日本文庫(新日本出版社)
プロレタリア文学評論で、著者は日本共産党幹部としても有名です。
いくつかの評論が収録されてますが、表題作は芥川龍之介論です。芥川の自殺の動機となった「漠然とした不安」を、階級闘争論の観点から作品分析しています。今から見ればわかりにくいことですが、芥川が社会主義運動に同情的だったことを考えれば、おかしな分析ではないと思います。「改造」の懸賞の第1席に入選したもので、第2席が小林秀雄だったことも語り草になっている、プロレタリア文学評論の最高傑作です。「芥川氏の文学を批判し切る野蛮な情熱を持たねばならない」「敗北の文学を――そしてその階級的土壌を、我々は踏み越えて往かねばならない」というのは名文だと思います。

マニアックすぎて驚きました? いまどきプロレタリア文学でもないだろう、という時代ですからね。
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この回答へのお礼

興味深い本のご紹介、ありがとうございます。

実はわたしプロレタリア文学、好きです。
でも文学評論は読んだことはないのでとても興味があります。近所の図書館は所蔵していないようなのですが、なんとか探したいと思います。

忙しくてしばらくチェックしていなかったので、お礼が遅れてしまいました。お詫びいたします。

お礼日時:2005/06/29 00:20

好みが分かれると思いますが、


ドストエフスキーの「罪と罰」
ジッドの「狭き門」
が私は心に残っていますね。ありきたりですいません。
ネットで本を注文できるところで、作成者や一般の方のレビューを見てみると参考になるかもしれません。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
どちらも過去に読み、わたしも感銘を受けました。
(「狭き門」はわたしには難しくて狭くて高き門でもありましたが。)

それらの評論で面白いものはありますかしら、、?

お礼日時:2005/06/29 00:26

こんばんわ。


私は、余り本格的なものは読まないのですが、明治以来の日本語の変遷や各時代の代表作家の文体、歴史的意義等に関して、中村真一郎の「文章読本」に関心いたしましたし、未だに、その章立てや分析手法を敬愛いたしています。
平凡ですみません。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。難しそうですが、さっそく図書館で借りてみます。特に章立てや分析手法に注目したいと思っています。

みなさまからアドバイスを頂いたおかげで、読まねばならない本がたくさんできました!
また何か思いつかれましたら、是非教えて下さい。

お忙しいところ、本当にありがとうございます。

お礼日時:2005/03/27 01:04

最後に読んでから10年も経っているので、内容を良く覚えていませんが、柄谷行人の「日本近代文学の起源」かなりいいと思います。

最初に読んだ時の驚きは今も忘れません。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。柄谷行人のものは以前どこかでナニカを読んだと思うのですが、不勉強なので忘れていました。「日本近代文学の起源」探して読んでみます。
余談ですが、最初に読んだときの驚きがいつまでも残る本があるってすばらしいですよね。わたしにもそれを読み取る力があるといいですが、、。

お礼日時:2005/03/27 00:50

ちょっと質問者さんがおっしゃる「文学評論」というのが、どのようなものをイメージしておられるのかわからないので、回答もしにくいのですが。



文芸評論というのは、たとえば「日本の自然主義文学の変遷」といったように、文学を通時的に扱うものもありますし、作家に焦点をあてていくもの、個々のテクストを読解していくもの、あるいは「ポストコロニアル」のようなある視点からさまざまな作品を見ていくもの、あるいはロラン・バルトの『S/Z─バルザック「サラジ-ヌ」の構造分析』のように、文芸評論というよりは、哲学の領域で扱われることの多いようなものもあって、ものすごく幅が広いものなんです。

>わたしも参考にさせて頂きたいので。

と書いていらっしゃいますが、どのようなものを書いていこうとしていらっしゃるのか、たとえば、web上で「書評」や「感想文」を書いているサイトもたくさん見受けられますが、そのようなものなのか、あるいはもうすこし本腰を入れて、文芸評論というものを学んでみたいと思っていらっしゃるのか、それによってお薦めする本も変わってきます。

これまでどのような評論を読んでこられたのか、そして、どのようなものについて評論を書いてみようと思っていらっしゃるのか、そういうことをもう少し教えていただけたら、と思います。
#1の方のあげていらっしゃる中村光夫の『二葉亭四迷伝』、これは大変いい本で、わたしも大好きなのですが、これを読もうと思ったら、最低限、明治文学に関する文学史的な知識――同じ中村光夫の『明治・大正・昭和』(岩波同時代ライブラリー)や『日本の近代小説』(岩波新書)、もちろん二葉亭四迷の『浮雲』やツルゲーネフを訳した『あひびき』(いずれも青空文庫で読めます)は読んでおかなければ、なかなかよくわからないのではないかと思います。

とりあえず、一冊あげておくとしたら、石原千秋・木股知史・小森陽一・島村輝・高橋修・高橋世織共著『読むための理論』(世織書房)を。
これを読むと、文芸評論とはどのようなものなのか、文学理論にはどんなものがあるのかがわかるかと思います。

この回答への補足

再びすみません。
もしかしてものすごく邪道なのかもしれませんが、「書き方をみたい」程度の目的です。できれば一つの文芸作品を扱ったものがいいのですが、どのような視点でどのような作品であっても構いません。主張と作品分析との関係の付け方に注目したいので。よろしくお願いします。

恥ずかしながら「読むための理論」という本があることも知りませんでした。さっそく図書館で探してみます。

補足日時:2005/03/27 00:51
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この回答へのお礼

ご丁寧にありがとうございます。

わたしは文芸批評を学びたいと思っています。

実は、ポストコロニアル理論もジェンダー論もそれなりに勉強してきた(つもり)ので、それらの理論をいかしながら、一つの作品について何か書きたいと思っています。

いま、わたしが知りたいのは、文学理論にどのようなものがあるかではなく(もちろん、それによって書かれ方も全然違うと思いますが)文学理論の文章の書かれ方です。
特に、一つの文学作品を扱ったものが、どのように論を展開させているかに興味があります。
 あえて「内容」と「技術」を別に扱わせて頂くと、文学理論の理論内容ではなく、書き方の技術を知りたいのです。

文学理論を成立させている『「理論」と「具体例としての作品」の融合(?)』のさせ方、と言っていいものかわかりませんが。

自分で一度書いてみたのですが、
気が付くと、一方では「イワユル理論」だけが独立してしまい
もう一方で「作品の解説(というより紹介)」をしていました。
結果、二つの別個の文章(拙い主張と拙い作品紹介)
が、混じることなくできてしまいまい、これをどう合わせたものか途方に暮れるばかりです。

(色々な「理論」が整理できてないのも、上手くいかない原因だとは思いますが。)

そんなわけで、スバラシイ評論では
「作品とどのように対話してるのだろう」
「自分の主張と文芸作品とをどのように融合させているのだろう」
「どうやって作品のネタばらしをしてるのだろう」
ということから、もっと機械的に
「紹介や引用を、どの程度、どのようなキッカケで挿入しているのか」「どのような章に分けられているのか」
に注目したいと考えています。

恥ずかしながら、
今までは文芸批評を読むことがあっても、
「ふーん」くらいで済ませるか、あるいは
その批評を支える理論にばかり気をとられていたので
あらためて、
「人が上手と思う批評とはどういうものなのか」
を意識しながら読んでみたいと思っています。

(自分が考えている作品に関しては、それをとりまく歴史や作者のことを含めて一応調べがついています。主張したいことも決まっているのですが、それを文章にすることがいかに難しいか身にしみて感じています。)

拙い説明で申し訳ございませんが、もしもアドバイス頂けたら嬉しく思います。

お礼日時:2005/03/27 00:46

中村光夫「二葉亭四迷伝」などはどうでしょう。



参考URL:http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/stroll/cult …
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この回答へのお礼

ありがとうございます!!
さっそく図書館などで探してみます。


どこで訂正すればいいのかわからないので
この場を借りて付け足させて頂きます。

質問の見出しが拙かったなと思うのですが
「お気に入り」でなくて全然構わないので
他にも「上手な作品分析だ」と思われるものが
ございましたら、教えて頂きたいです。
日本語に訳されていれば、外国文学のものでも
嬉しいです。よろしくお願いいたします。

お礼日時:2005/03/26 12:55

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