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網野善彦著の「続・日本の歴史をよみなおす」から引用します

<列島西部とは明らかに炉の形が異なる製鉄が、かなり早い時期から、東北、関東で独自に行われており、しかも西では砂鉄からの製鉄であるのにたいして、東の製鉄は鉄鋼石からではないかということも考えられています。>

質問は、古代、東北、関東では(砂鉄からでなく)鉄鋼石からの製鉄が行われていたのですか?

A 回答 (4件)

この下のPDFのP35以降をみると、東北地方で出土する古代鉄器(蕨手刀)で原材料が砂鉄ではないものの記載があります。


https://www.sff.or.jp/content/uploads/H29houkoku …
3 世紀末から 4 世紀代の遺跡から出土した鉄器を分析した結果、地金は鉄鉱石を原料としており、関東以南から交易等によりもたらされた物であることが分かった。
7 世紀代の遺跡からの出土品を分析した結果、東北地方北部において鉄器地金の製造に砂鉄を使用し始めたのは、7 世紀中葉第 3 四半期であることが分かり、時代が下がると共に砂鉄を使用した鉄器は増大する。
7 世紀中葉から 8 世紀代の出土品の分析結果からは、砂鉄を原料とした製鉄地金の割合が高いことが分かった。同時代の出土品である蕨手刀の分析結果からも同様の傾向が見られた。
このことと、東北地方南部、関東地方の出土品の分析結果から、わずか半世紀で東北地方北部まで製鉄技術が伝播したといえることが分かった。そして、さらに半世紀後に北海道に鉄素材もしくは製品として伝播している。
一方、含銅の鉄鉱石を産出する鉱山は日本においては岩手県釜石鉱山、新潟県赤谷鉱山である。しかしながら、これらの鉱山周辺には7世紀第3四半期以前の製鉄遺跡は発見されていない。そのため、含銅の鉄鉱石を原料とした鉄器は、同種の鉄鉱石を産出する中国の山東省から揚子江付近の鉄鉱石を原料として製造された可能性が高い。(交易で中国から日本に伝わった)
古代末(8 世紀中葉以降)では青森県の岩木山麓をはじめとして東北地方北部でも数多くの鉄生産関連遺跡が発見されてきている。これらの遺跡から出土した鉄滓、鉄塊系遺物の分析によって、鉄鉱石、とりわけ含リンの鉄鉱石を原料として生産された銑鉄塊を素材として、砂鉄を使用して脱炭、精製して鋼を製造するという間接製鋼法(ズク押し)が行われている。その素材となった銑鉄塊は外部から供給されたものであり、同素材の銑鉄塊が中世の館跡からも検出されていることから、間接製鋼法による鉄器の製作が中世(16 世紀代)まで継続されていたことが判明した。
東北地方北部では古代末、秋田県米代川流域、青森県岩木山麓一帯に半地下式竪型炉が出現する。考古学的にはこの炉は「製錬炉」として考えられてきたが、これらの竪型炉が「精錬炉」であった可能性が高い。このように考えることにより、出土する鉄器地金の分類結果とも矛盾なく説明することができる。古代末の東北地方北部では銑鉄塊の供給(流通)が行われ、「精錬炉」により、脱炭材として砂鉄を用いた間接製鋼法による鋼の製造と鉄器の製作が行われていた。そして、出土した銑鉄塊の分析結果から、これらは、含リンまたは含イオウの鉄鉱石を原料として生産されたものであることが分かった。
<赤沼氏は、上記のうち含銅の銑鉄塊の供給は中国大陸であろうと解釈している。しかし、北上山系、釜石周辺の山には豊富な鉄鉱石の鉱脈があり、それらが河川に供給されて「餅鉄」が大量にあった。この餅鉄を素材として銑鉄が作られ、それが東北各地に供給された可能性もあるのではなかろうか?(少なくとも釜石鉱山は含銅の鉄鉱石を産出する)
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この回答へのお礼

早速の御回答ありがとうございました。
東北地方では砂鉄も鉄鉱石も産出するのですね。
中国から交易で鉄器も手に入れたのですね。
そして、これらを活用して、鉄器の生産がおこなわれた、ということですね。
単純な歩みではなかったのですね。

お礼日時:2023/01/03 18:05

日本で鉄鉱石で製鉄をするようになったのは近世後期に洋式の製鉄技術が伝わってからです。


何故なら、日本には長時間高温を出す技術が無かったからです。
それ以前は、全国的にたたら製鉄と呼ばれるような砂鉄と炭を使う製鉄技術しか無かったのです。
低品質な鉄を少量しか作る技術しかなかったので、日本では鍛造することで鉄を高品質化しました。ひたすら叩いて鍛えるという極めて非効率的な事をやっていたおかげで、鉄はずっと貴重品でありましたが、日本刀が産まれたのです。
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この回答へのお礼

早速のご顔等ありがとうございました。
<日本には長時間高温を出す技術が無かった>のですね。

お礼日時:2023/01/06 15:50

猪苗代湖の湖岸では磁石に砂鉄が付着します。


この砂鉄で鉄製品がつくられました。
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この回答へのお礼

早速の御回答ありがとうございます。
猪苗代湖付近では砂鉄が産出するのですね。

お礼日時:2023/01/03 17:55

おそらくないと思います。



鉄鉱石(磁鉄鉱、褐鉄鉱)が少ないですし鉄鉱石由来の鉄であれば組成分析などで解りますがそのような調査については見たことがありません。
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この回答へのお礼

早速の御回答ありがとうございます。
考古学上の証拠が見つからない、ということですね。

お礼日時:2023/01/01 14:28

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