No.1
- 回答日時:
核力は、近距離では非常に強い相互作用を示しますが、その力の大きさは指数関数的に減衰します。
クーロン力は逆二乗法則に従いますから、ある距離を越えますと、陽子間の核力の引力に、クーロン力の反発力が打ち勝つわけです。核分裂反応では、質量欠損分のエネルギーが放射されますが、これは、ガンマー線や中性子線、分裂した粒子の運動エネルギーなどになります。
この回答への補足
ありがとうございます。
ただ、質問の意味がよく伝わらなかったようです。すみませんが、
よろしくお願いいたします。
1)まず、短距離力である核力が外れた時に大きな反発力が生ずる
ことはOKで、お聞きしたかったのは、この反発力が、
クーロン力 か、パウリ排他律によるフェルミ粒子の斥力か、
ということです。一見、p-pのクーロンは強そうですが、通常の金属中
の電子でさえ、フェルミ粒子の斥力が圧倒的に強く、クーロンは無視できる
ほどです。核の場合は、さらに粒子間距離が小さいので、後者が効きそう
な気がしているのですが、、、。
2)質量欠損についてのご説明で、
>>質量欠損の、、中略、、などになります。
ということですが、すみませんが、この、「など」をお聞きしたかったのです。
生成粒子の質量+運動エネルギー+ガンマ線で、全てきっちり説明でき
るのでしょうか?
お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。
No.2
- 回答日時:
原子核理論は専門じゃなんで余り自信はありませんが,
重い原子核の不安定性は陽子間のクーロン斥力によるとされています.
それで,2つに分けちゃえば,もっと安定になると言うわけです.
こういうことからすると,クーロンエネルギーが主要という気がします.
陽子数(Np)依存性も考慮しないといけないかも知れません.
クーロン力は Np^2 でしょうが,フェルミエネルギーは Np^(2/3) ですね.
> 質量欠損mc^2は全てガンマ線の分だと思って良いのでしょうか。
核エネルギーがどういう形で放出されるかということでしょうか?
これについては,J. F. ジョリオ・キュリーの有名な実験があり,
核分裂破片の運動エネルギーが放出エネルギーの大部分を占めていることが知られています.
ありがとうございます。
>>重い原子核の不安定性は陽子間のクーロン斥力によると「されて」います.
そうですか。やはりクーロンの方が強いわけですか、、、。
>>クーロン力は Np^2 でしょうが,フェルミエネルギーは Np^(2/3) ですね.
こういうオーダーの評価を「さっと」出来るようになりたいものです。
精進します。
>>核分裂破片の運動エネルギーが放出エネルギーの大部分
すみません、主要項はどれ?、ではなく、「単純足し算」でOKなの?
をお聞きしたかったのです。が、OKそうですね。
良く、統計力学とか固体物理の教科書のコラムか何かに、
中性子星でもE_Fが効いている、と書いてあるので、核でもそうなのかな、
と思ったのですが、どうやら違うようですね。ありがとうございました。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
素粒子物理が専門ですが、扱っているものはクォーク3つまでの粒子ですので、
重い原子核についてはあまり詳しいとはいえません。
次の式は原子核(質量数A、原子番号Z)の半実験的質量公式です。
M(A,Z) = Z*Mp + (A-Z)*Mn - a*A + b*A^(2/3) + c*Z(Z-1)/A^(1/3) + d*(A-2Z)^2/A + Δ
すると、結合エネルギーは
ΔE = Z*Mp + (A-Z)*Mn - M(A,Z)
なので、質量の式の第3項以下の符号を入れ換えたものになります。
・第1、2項:それぞれ陽子中性子の質量です。
・第3項:強い相互作用によるもので、
相互作用が短距離力であるためそれぞれの核子は自分の周りの核子としか
相互作用しないので核子数(体積)に比例しています。
・第4項:表面付近の核子は内部より相互作用する核子数が少ないので、
表面積( A^(2/3) )に比例した結合を弱くする方向に働くものとなっています。
・第5項:クーロン力の項です。e^2/r の形になっていますね。
・第6項:パウリ排他律に関する項です。
陽子と中性子の数が同じであればフェルミ準位もほぼ同じですが、
どちらかが多いとき、より高い準位に核子が入るので結合が弱くなります。
・第7項:少し自信なしですが、原子核では陽子、中性子がそれぞれ偶数か奇数かで
結合の様子が変わります。そのことに関する補正項だと思います。
さて、ご質問はどの項が一番効くのかということでしたが、
残念ながら私はきちんとした答えは持っていません。
ただ、大きな原子核はかなり複雑なので一概には言えないのかもしれません。
原子核の形も様々で、球形からは程遠いものもありますね。
昔聞いて印象に残っている話です。
原子番号100程度の原子核の崩壊の話ですが、
ある同位体と別の同位体では寿命のオーダーが10桁も違うということでした。
かなり内部で起こっている出来事が異なることがわかります。
また、ある質量数で安定な核が出来るという話(魔法数)などもあります。
>生成粒子の質量+運動エネルギー+ガンマ線で、
>全てきっちり説明できるのでしょうか?
当然そうなるはずです。
だたし、生成粒子の中で大きなものについては、
運動エネルギーは重心の並進運動以外に回転や振動なども入っています。
ありがとうございます。
>>半実験的質量公式です。
>> d*(A-2Z)^2/A
>>パウリ排他律に関する項です。
少なくとも、そういう項が存在している、ということが
わかって大変安心しました
(少なくともそれほど的外れな質問ではなかったようなので、、、)
>>陽子と中性子の数が同じであればフェルミ準位もほぼ同じですが、
あ、そうですね。pとnとで別々の準位なわけですね。
数が違う場合は、一方がどんどん準位が上がるので結合が弱く
なるわけですね。固体物理のE_Fのように「何かの距離の-2乗」という
表式になっていないのが少しわからないのですが、きっと、核小間距離
は殆ど一定で、定数となってしまい、どこか(d?)に繰り込まれている
のでしょうね。
>>魔法数、、、
>>大きな原子核はかなり複雑なので
「核の問題は、複雑で泥臭い計算が沢山必要で難しい」
という専門家の方の話を伺ったことがありますが、
本当にそうなのですね。ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
No.4
- 回答日時:
一般的に、電子同士には、クーロン力の斥力は働き難いのです。
その代わり、電子は、フェルミ粒子として、パウリの排他律に従います。この効果によって、電子は、一箇所にまとまり難くなります。これを端から見れば、電子に斥力が働いているように見えます。しかし、この斥力は、見かけの力であって、クーロン力のような実際の力ではありません。核分裂の理論としては、ボーアの液滴理論が有名ですが、これによれば、中性子を飲み込んだウランの原子核は、不安定になって二つに分裂します。こうしてできた二つの原子核の間にはクーロンの斥力が働きますから、すごい勢いで飛び散るのです。
欠損分の質量エネルギーは、生成粒子の運動エネルギー+電磁波になります。
ありがとうございます。
>>しかし、この斥力は、見かけの力であって、
>>クーロン力のような実際の力ではありません。
ここがポイントなのでしょうか。そもそも「近くに来ない」から、
斥力も働きようがない、と、、、、。
ただ、中性子星が重力崩壊に抗している理由とか、
アルカリ金属の体積圧縮率などは、すべてE_Fに起因している
と言われています。私は、これが頭に残っていたので、標題の
ような疑問が持ち上がってきたのですが、、、。
No.5
- 回答日時:
パウリの排他律は、”物質がなぜこんなに大きいのか?”という問いに対する答えとして、挙げられることがあります。
中性子星(パルサー)の重力崩壊を防いでいるのも、この原理で説明されます。しかし、これは、内に向かう力に逆らって崩壊を防いでいる場合については当てはまりますが、核分裂の場合は、あまり適当でないのではないでしょうか?ありがとうございます。一旦離れると、もはや効かない、という
ことなのかな、と確かに思うのですが、定量的には、E_F~r^-2
ですから、力学を単純にあてはめると、F~-dE/dr~r^-3
と、遠距離力になってしまいます、、、、。
ですが、多くの人からご解答をいただき、
事実としては、ほとんど効かない、ということは納得できました。
なぜ効かないか、については、
1)数の問題(絶対数が少ないのと、数依存性の問題)
と、今思いついたのですが、
2)パウリの排他律が効くのは、波動関数の重なりが起こり得る
ときに限るのですから、おっしゃるように、一旦離れたら、
全く効かない、と思ってよいのでしょうか。で、波動関数は、
大抵、指数関数で減衰して行きますから、EFも、ちょっと離れたら、
べきではなく、指数関数的に小さくなって行くと思ってよいのかな、
と思っています。
これからも何卒よろしくお願いいたします。
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