No.2ベストアンサー
- 回答日時:
すでに詳しい回答が寄せられていますが,
数式の部分について私なりに説明してみますね。
べき法則の「べき」は漢字では「冪」と書き,累乗のことを指します。
心理学の教科書でよく見かける冪法則の式は,
E=k*I^n (k,nは定数)
ここで * は乗算,^n は n乗,すなわち冪を表わします。
これを高校までの数学の流儀で書くなら,
y=a*x^b (a,bは定数)
となります。
この関数のグラフはどのようなものになるでしょうか。
前提として
スティーブンスの冪法則では x も y も正の範囲だけ考えればよいので,
座標平面の第1象限にだけ注目します。
また a と b についても正の値だけを想定すればよいでしょう。
グラフの形は b の値によって大きく変わります。
【1】b=1 のとき。
b に 1 を代入すると,式は
y=a*x
となりますから,これは正比例です。
【2】b>1 のとき。
たとえば b=2 ならば
y=a*x^2
となって,これは2次関数。
同様に b=3 なら3次関数,b=4 なら4次関数・・・となり,
いずれも第1象限では右上がりに急激に増大するグラフとなります。
【3】0<b<1 のとき。
たとえば b=1/2 ならば
y=a*x^(1/2)
これは x の平方根に比例するということですから,
先の2次関数のグラフを y=x (右上がり45°の直線)について対称移動させたものとなります。
(参考:http://homepage2.nifty.com/sintakenoko/Cabri/CGr …)
同様に b=1/3 なら3乗根,b=1/4なら4乗根・・・となり,
いずれも第1象限では右上がりで増加率がしだいに低減するグラフとなります。
以上をまとめて言葉で表現すると,
マグニチュード推定法によって得られる心理量の変化は
感覚モダリティや刺激の種類によってさまざまで,
【1】刺激に比例して増大するもの
【2】刺激が増大するにつれて急激に増大する(だんだん敏感になる)もの
【3】刺激が増大するにつれてゆるやかに増大する(だんだん鈍感になる)もの
があるということです。
実験データによれば
目で見た線分の長さ(b=1.0),腕における冷たさ(b=1.0)は【1】,
塩辛さ(b=1.3),指への電撃の強さ(b=3.5)は【2】,
サッカリンの甘さ(b=0.8),単耳での音の大きさ(b=0.3)は【3】
ということになります。
フェヒナーの法則はこのうちの【3】の近似ということで
スティーヴンスの冪法則に包摂されていると見ていいでしょう。
No.1
- 回答日時:
スティーブンスのべき法則も,刺激の物理量とそれに対応する感覚量との間に成り立つ関係を述べた(記述した)法則です.
フェヒナーが,感覚量を直接測定することはできないという前提に立って,フェヒナーの法則を作りましたが,スティーブンスは,マグニチュード推定法を用いることで感覚量を直接測定できると考えました.
このマグニチュード推定法による測定結果にもとづいて刺激の物理量と感覚量との間の関係を数量的に示したものが,スティーブンスのべき法則です.
マグニチュード推定法とは,たとえば,20dbの音の大きさを標準として,それに「10」の数値(基準値)を割り当てます.その上で,さまざまな強さ(この例では,音の大きさ)の刺激を提示し,その刺激に応じた感覚の強さを,基準値の10に対して,いくつになるかという比率で,数値として報告させる方法です.つまり,ある音の強さの刺激が,基準値の倍くらいの感覚と感じられたときには,「20」と応えるのです.
このマグニチュード推定法をさまざまな種類の感覚に用いて測定した結果,感覚の大きさEと,刺激の強度Iとの間には,
E=kIn乗<感覚の大きさEは,k(定数)×I(刺激強度)のn乗>
という関係が成り立つことを見いだしたのです.
この式で,kは定数,nは感覚の種類の応じて異なる,べき数です.
このように,刺激と感覚の間に,べき関数(power function)が成立するため,「スティーブンスのべき法則」と呼びます.
グラフとしていえば,横軸に刺激の強さの対数(log)を取り,縦軸に感覚の大きさ(マグニチュード推定法によって得られた数値)の対数(log)を取って,プロットすると,感覚の種類によらず,線形的な関数(一次関数)となります.
「べき乗」ということと,「対数グラフ」が理解できた方が,分かりやすいでしょうね.
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