活性アルミナへの金属担持による触媒作成に関して幾つかお教え下さいませ.
尚,当方この分野に疎いと言うどころか,
イロハのイの字の1画目のうったてを打ったような段階ですので,
用語・用法の間違いや初歩的な誤解などありましたらご指摘頂けましたら幸いです.
1.このような触媒を作成するとき,
その比表面積,細多孔質から「活性アルミナ」と銘打つものを
使うことは道から外れていないでしょうか?
(φ1mm又はφ2~3mm程度の大比表面積の活性アルミナに,
銀又は白金又はその他金属を担持させた触媒を作成したいと考えております.)
2.活性アルミナとありますが,これはα-アルミナ,γ-アルミナと
呼ばれるものとは異なったものでしょうか,又はそれらの総称なのでしょうか.
3.活性アルミナは「表面活性を持つ」「活性表面を持つ」と表現しても良いのでしょうか.
4.アルミナへの金属担持の方法として,
a)蒸着(真空蒸着)などのPVD
b)CVD
c)めっき(と表現されているのを聞いたことがあります)
があろうかと思いますが,これらが活性アルミナの表面を平滑化して
比表面積が小さくなったり,細多孔質が埋まったりしないかと思うのですが,
如何でしょうか.
5.上記に関しまして,それぞれの方法のメリット・デメリットがありましたら
お教え下さい.例えば,活性アルミナに単に金属膜を形成することで
高効率の触媒として機能するのかどうか,など.
初歩的な質問ばかりかと存じますが,どうぞ宜しくお願い致します.<(__)>
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
> 1.このような触媒を作成するとき,
その比表面積,細多孔質から「活性アルミナ」と銘打つものを
使うことは道から外れていないでしょうか?
意味がわかりません.高比表面積の担体を使う,それがアルミナであったというだけでは? 担持触媒の活性は担体にも強く影響されます.アルミナなら何でも同じ結果になるわけでもありません.
また,細多孔質というのは聞き慣れない言葉です.
> 2.活性アルミナとありますが,これはα-アルミナ,γ-アルミナと
呼ばれるものとは異なったものでしょうか,又はそれらの総称なのでしょうか.
αとかγというのは酸化アルミニウムの結晶構造の違いです.活性アルミナというのは結晶構造がどうであるかは別に,何らかの「活性」を持つ酸化アルミニウムというだけのことです.
> 3.活性アルミナは「表面活性を持つ」「活性表面を持つ」と表現しても良いのでしょうか.
そもそも「表面活性」とは何を指していますか?
> 4.アルミナへの金属担持の方法として,
a)蒸着(真空蒸着)などのPVD
b)CVD
c)めっき(と表現されているのを聞いたことがあります)
があろうかと思いますが,これらが活性アルミナの表面を平滑化して
比表面積が小さくなったり,細多孔質が埋まったりしないかと思うのですが,
如何でしょうか.
そりゃ大量につければおこりうるでしょう.触媒調製時には,当然のことながら,担持量は検討しなくてはなりません.どのくらいにしたらどのような性能になるのか.
ただし,ポアがふさがるくらいに大量につけると,そもそも担持触媒にする意味がないでしょう.担持触媒というのは,バルク金属等とは違う性質が出てくるくらいに高分散な状態,言い換えれば非常に小さなクラスタのような状態で担体に乗っているものが大半です.
> 活性アルミナに単に金属膜を形成することで
高効率の触媒として機能するのかどうか,など.
ほんとに「膜」になってたら,高効率の触媒にはならないでしょうねえ...
>高比表面積の担体を使う,それがアルミナであった
>というだけでは?
はい,これは私が「活性アルミナとは何ぞや?」を理解できていないことが
混乱の原因だったかと思います.比表面積が大きくて,
金属が担持出来て,使用環境に耐えるならばアルミナ以外でも良い訳ですし,
アルミナにもいろいろあると言うことも理解致しました.
>そもそも「表面活性」とは何を指していますか?
「高比表面積を持つ表面状態」と言う意味・・・程度の理解でした..
触媒で「活性中心」などと言うときとは違った理解でおりました.
>当然のことながら,担持量は検討しなくてはなりません.
この重要性に気付きました.
これは,その都度,分解性能及び顕微鏡で確認して行くこととしました.
ふがいない質問にご丁寧にご回答頂きまして理解が少し深まったと思います,
ありがとうございました.<(__)>
No.4
- 回答日時:
大学の研究室では,粉末触媒全体の比表面積を測るのに,
No3の方が最初におっしゃっている,
窒素の吸脱着量から求めるBET表面積を利用していました。
(BET表面積に関しては,本をお読みください。
ココで説明できるほど単純ではないので・・・)
真空系ではなく,ガス流通系です。
触媒の研究室だったので,明らかに手作りの装置がありましたが,
0から組むのは結構大変だと思いますよ。
ちなみに,市販のBET表面積測定装置は何百万とすると思います。
あと,白金担持触媒に限っては,白金露出表面積をCO吸着法で測定していました。
(CO吸着も,文献を参照下さい)
顕微鏡で見ることのできる表面積は,当てにならないと思いますよ。
触媒表面はかなりでこぼこですので,それを計算することは無謀かと思います。
表面積測定に関しては,依頼できる機関があれば,依頼した方がいいのではないでしょうか。
これから,触媒部門が発展するのであれば,立ち上げも考えてもいいかと思いますが・・・
質問者さんの研究の目的が,
「とにかく,質量あたりの活性の高いものを探してみよう~。」
というぐらいでしたら,測らなくてもいいのかもしれませんね。
ただ,他人に説明するには,必要かと・・・・
大学の触媒研究や,論文発表には正当な評価がいるので,比表面積は必須です。
この回答への補足
ここにてみなさまにお礼申し上げたいと思います.
みなさまの精通した知識に,不明点が明らかになり,又,次の行動を触発され,
大きな助けとなりました.心より感謝申し上げます.
ただ・・・ポイントは2名まで・・・です,
みなさまのご回答全て大変有意義ですので,大変判断に困るところですが,
ご回答順につけさせて頂きました.その代わりと言うのもナンですが,
「この回答は参考になった」を押させて頂きました.
みなさま,ありがとうございました.
また機会がありましたらどうぞ宜しくお願い致します.<(__)>
ご回答頂きましてありがとうございます.
やはりこの辺は定量的に把握すべきだと言うこと理解すると同時に,
当方では無理そうなので協力して頂けるところを探して相談したいと思います.
何せ少量ですので・・・なかなか苦労しています.
ありがとうございました.<(__)>
No.3
- 回答日時:
#2の方の補足になりますが,比表面積の測定は必須でしょう.
通常は液体窒素温度での窒素吸着で求めます.
より望ましくは吸着等温線をきちんと測定して解析するべきですが,簡易式の装置とかもあります.吸脱着等温線からは細孔経分布や細孔容量といった細孔構造も解析できるので,多孔体を扱う上ではこれらの評価を省くべきではありません.
装置的には真空系とそれに接続された液体窒素にどぶ漬けできる試料容器,ある程度分解能のある圧力計があればできなくはないですが,通常は市販の専用装置を使います.
一度,吸着に関する教科書を当たることを強く勧めます.
ご回答頂きましてありがとうございます.
比表面積の測定は,当方だけでは無理ですので,
何とか協力して頂けるところを探し,相談して行きたいと思います.
また,私自身勉強致します.
ありがとうございました.<(__)>
No.2
- 回答日時:
1.
「活性アルミナ」って,「ある触媒反応に活性を示すアルミナ」であったり,「ある気体を吸着するアルミナ」であったりします。
研究の目的が,担持金属による違いを検討することであれば,
ぶっちゃけ,ある程度の表面積があれば,どんなアルミナでもいいと思います。
もちろん,各種アルミナによる違いも出るとはあると思いますが,(不純物の影響など)
手始めにやってみるにはいいんじゃないですか?
2.
活性アルミナは,XRD的にはγ-アルミナである場合が多いと思いますよ。
一部,ηとか,θとかも混ざっているとは思いますが,
1200℃ぐらいの高温で焼成すると,表面積の小さいα-アルミナになっちゃうと思います。
3.
これは,業者が「何らかの使い道があるアルミナだよ~」といっているだけだと思います。
じっさい,用途が書いてあったりしますよね。
質問者さんの反応に対して,吸着能力,触媒活性を持っているかは,はなはだ疑問です。
4.
担持量にもよりますよね。
0.05w%とか,ごく少量の担持で,焼成温度もそれほど高くなければ(500℃ぐらい?),表面積はそれほど下がりません。
それが,10wt%なんてなっちゃえば,細孔はつぶされるでしょうし,担持金属の触媒活性も,バルク金属(担持していない白金)とあまり変わらなくなってしまうと思います。(若干,金属表面席は稼げるかもしれませんが・・・・)
どのあたりの担持量が適しているかは,やってみなけりゃわからないといった感じ。
大学で触媒を専攻していた身としては,触媒調製後に比表面積を測るべきだと思います。
5.
活性アルミナ上に,均一な白金金属膜,銀金属膜を作ることはかなり困難だと思います。
大学時代,友人が含浸法(蒸発乾固)でアルミナに白金を担持していましたが,
モノレイヤーにアルミナ表面を均一に覆っていくのではなく,
アルミナ上に小さな粒が乗っている状態です。
白金量を増やすと,ある程度まではこの粒の数が増えますが,
途中からは白金の粒子が大きさが大きくなっていくだけです。
でもって,非表面積が落ちました。
ですので,x軸に白金担持量,y軸に触媒活性を取ると,山形のグラフになりました。
いろいろがんばってくださいね。
>質問者さんの反応に対して,吸着能力,触媒活性を
>持っているかは,はなはだ疑問です。
このご回答を受けまして,私の理解が浅かったことを痛感して
改めて調べたところ,「活性アルミナ」でもいろいろな用途があって,
その一部に「触媒担体用」と言うものがある程度,でした,これは全く私,
考えていなかったことですので,大変助かりました.
>活性アルミナ上に,均一な白金金属膜,銀金属膜を
>作ることはかなり困難だと思います。
これに関しましても,アルミナ上にある金属を析出させ,
その上に他の金属を下塗り?のようにして,そして目的の金属を担持させる,
と言う手法を知りました.ちょっと私,単純化し過ぎて考えていたようです.
この辺は加工業者さんと相談して行きたいと思います.
ご回答頂きましてありがとうございました.<(__)>
最後に再質問となりますが,
>触媒調製後に比表面積を測るべきだと思います。
比表面積の測定とは,具体的にどのように行うのでしょうか?
もし特殊な装置が必要となりますと当方でできない場合があるかもなので,
その場合は顕微鏡による観察と,マクロ的に実際に触媒による分解率を
測定して,と言うことを考えております.
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