https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstre …
論文について三つ質問があります。
2.2.2「限界達成性」(ページ157-158)による、スルのアスペクト的意味は「将来性」と「過程性」二つを表すことが可能とします。
質問一
論文
『動作,変化過程の段階にあること〈過程性〉を表す。
(43)翌8月10日,衛生兵が私の背中のガーゼを剥ぐときには,思わず私も叫び声をあげてし まった。
(44)ここへ来るとき,護送車のなかで,きみはそう言ったが,嘘だったんだな
従って,動作動詞の場合には,スルとシテイルのどちらでもいいようなこともある。
(45)小さい郵便局の前を通る/通っている時 に丁度4 持が鳴 っていた 。』
つまり、
動作動詞
A 始まり B 終わり C
——————|—————————|——————
変化動詞
A 変化 B
—————————|——————————
例文から見ると、動作動詞はAとB二つの場面を表せます。
でもページ165の(60)による、
(60)窓が*開く/開いている時は、どろぼうが入りやすい。
そして、開いているは開くに言い換えができません。
つまり、スル形の変化動詞はAを表し、Bを表すことばできません。それでは、「変化過程の段階にあること」はどんな場面を指していますか?
質問二、
前に書いた通り、動作動詞のスル形とシテイル形は同じ場面を表すのは可能です。(アスペクト的は過程中、相対テンスは現在)
でも、
砂川(1986)は,「現在形」という用語についてなんのことわりもしてないが,日本語の動作動詞の場合, ル形はアクチュアルな現在時を表さないのが特徴であり,初歩的な間違いを予防するためにも充分な説明が必要だと思う。(ページ165の下、166の上)
動作動詞のスル形は現在を表すことができません。この二つ論述は矛盾していませんか?
そして問題三、ページ165の38-3による、
大通りをあるくときは車に気をつけなさい。
歩いているではなく、歩いているを使う理由は、これは「一般的な条件」、「するときはいつも」という繰り返しのような場面にあります。
でもページ165の(60)は、
(60)窓が*開く/開いている時は、どろぼうが入りやすい。
一般的な場面を表すのも可能だと思います。開くを使えない理由はなぜでしょうか?
その下は説明がありそうですが、よくわかりません。
問題はちょっと長すぎるんですけれど、よろしければ教えていただけませんか?
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
No.1 の質問に応えて
質問一
>>「ている」は動作の継続や進行、
「ている」の「て」は話者による確認を、動詞「いる」が動作の継続・進行というアスペクト(相)を表します。
>>『「開く」は動作全体を表しており』とはよく捉えられません。
「開く」は動作の開始から終了に到る全過程を時間的に変化する特殊な属性として捉えたものです。
>>アクチュアル時間との関係はない」ということでしょうか?
アクチュアルな時間だけではなく、過去、現在、未来の全ての対象と話者は現在の関係を結び現在として対峙しないと対象を認識、表現することができません。
話者は過去の「小さい郵便局の前を通る/通っている時」に現在として観念的に対峙し、「通る」「通っている」と表現し、その時点を「時」と表現しています。これは対象と、現在の関係を結んでいます。時制とは対象と話者の相対的な関係で、対象を認識する際には眼前にない過去、未来の対象には観念的に自己分裂し現在として対峙、認識します。そしてそれが過去のことであることを表す場合には現在に戻り「た」と表現し、未来の場合は「う」と表現します。
>>「する」だけではそういう進行している意味になりませんと思っていたんですけど。これは本当同じ段階や意味を表しますか?
「する」は抽象的な動作を表すだけで、進行(相)を表しているのは「いる」です。「て」がその動作を確認し、「いる」が継続・進行を表しています。
質問二
普通の動詞は現在を表すのは可能ですか?
動詞は時間的に変化する属性を表し、話者は対象に現在として対峙するので、全ての動作が現在として表現されます。
>>主節のル形は現在を表せないが、従属のル形は相対的現在を表せるということでしょうか?
主節であれ、従属節であれ、話者はまず対象と現在の関係を結ばないと対象を認識することができません。言語は映画や演劇、TVと同じで表現であり、映画や演劇、TVが現実の現在として目の前に現さなければ見ることができないのと同じです。
それが過去のことであることを表す時に、現在に戻り「た」と表現します。
(過去)ご飯を*食べた/食べていた[時]
(過去)ドアが*開いた/開いていた[時]
「た」と言っている時点で話者は現在に戻っています。「ご飯を*食べ/食べてい」ドアが*開い/開いて」の時点では観念的に自己分裂した観念的な話者が過去に移行し、現在として対象と対峙し認識、表現しています。
下記は英語の時制表現の図式ですが、話者の認識の動きは同じなので参考にして下さい。
英語時称の言語過程
―レールカメラ図による図示の試み―
http://elib.bliss.chubu.ac.jp/webopac/bdyview.do …
また、工藤真由美
『現代日本語ムード・テンス・アスペクト論 (ひつじ研究叢書(言語編)第111巻)』については、
認識を扱えない言語実体観による非科学的な欠陥言語論
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R33 …
『アスペクト・テンス体系とテクスト―現代日本語の時間の表現 (日本語研究叢書) 』については、
言語本質を解明できない非科学的機能主義言語論の限界
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2S …
を参照下さい。■
No.6
- 回答日時:
ぎゅうにゅうさんおはようございます。
能動と受動を区別します。開くをひらくと発音します。開けるはあけると発音します。食べるに対応するのが開けるです。ご飯を食べるが扉を開けるです。扉が開くに対応する食べるがありません。開くの屈折語尾による能動と受動が他の語と違います。朴恵欄『日本語の従属節のテンス・アスペクトの指導について : 「とき」節を中心に』https://cir.nii.ac.jp/crid/1050001338992727168がよかったです。紹介ありがとうございます。『日本語のエッセンス(6)【開く・開ける】【焼く・焼ける】はなぜ自動詞・他動詞が逆なのか』http://urgell.blog62.fc2.com/blog-entry-351.html …さんがよかったです。
スロさんこぶさんおはようございます。
No.5
- 回答日時:
#2です。
>この「する時はいつも」というのは僕はスル形の「繰り返し」、「習慣」、「事実」という働きと思います。
:
おっしゃるとおりです。
1.
ただ、「開く」は [ A.1 限界動詞完成相 ] であり、〈アクチュアルな時間的限界有〉です。
「(どろぼうが)入りやすい」は、[ B 形容詞 ] であり、〈アクチュアルな時間的限界無〉ですから、
(60-a) 窓が開く時は、どろぼうが入りやすい。
という文は、部分的同時性(従属節 Aー主節 B)の構図になる。
【部分的】なので、
・(毎回、)窓が開くたびに、(いつも)どろぼうが入りやすい。
という意味になってしまい不自然、ということです。
2.
「開いている」の場合は、[ B 運動動詞持続相 ] であり、〈アクチュアルな時間的限界〉がありません。
(60-b) 窓が開いている時は、どろぼうが入りやすい。
という文は、全体的同時性(従属節 Bー主節 B)の構図になる。
つまり、
・窓が開いている状態の時は、(常に)どろぼうが入りやすい。
という自然な意味になります。
腑に落ちない点がございましたら、さらにお知らせください。
hakobuluさん、返事遅くなってすみません。
この説明はわかりやすいで、この違いはもうちゃんとわかりました。説明してくれてありがとうございます。
No.4
- 回答日時:
No.1 です。
少し補足しておきます。
過去、現在、未来は属性ではなく、時間的な関係にある二者の間あるいは二つの在り方の間の相対的な関係をさす言葉です。
過去から現在への対象の変化は、現実そのものの持つ動きです。これを、言語は、話し手自身の観念的な動きによって表現します。ここに、言語における「時」の表現の特徴があります。
>>テンスとは「発話時における発話内容との時間的関係性」を表わします。
というのは「発話時」を絶対化した誤りです。『吾が輩は猫である』という猫の発話は作者である漱石の発話内容との時間的関係性ではありません。漱石は既に亡くなっており過去の存在です。
明日は晴れる。
は未来を表していますが、現在形で表現されています。このように、時制は相対的な関係を指す言葉です。■
アスナロウさん、返事遅くなってすみません。
この理論は大体わかりましたと思います、参考も後でちゃんと読みます。親切に説明してくれてありがとうございす。
No.2
- 回答日時:
【質問一】
>それでは、「変化過程の段階にあること」はどんな場面を指していますか?
:
1.
(45)小さい郵便局の前を [ 通っている ] 時に丁度4持が鳴っていた。
[ 通っている ] は、 [ 通る ] という動作が《変化過程の段階》にあることを表す<過程性>の表現である。
「通る」は【動作動詞】なので、
(45)小さい郵便局の前を [ 通る ] 時に丁度4持が鳴っていた。
という表現で同じように、《変化過程の段階(=過程性)》を表わすことができる。
2.
(60)窓が開いている時は、どろぼうが入りやすい。
[ 開いている ] は、 [ 開く ] という動作が《変化過程の段階》にあることを表す<過程性>の表現である。
「開く」は【主体変化動詞】のなので、《変化過程の段階(=過程性)》を表わすことはできない。
よって、
(60)窓が開く時は、どろぼうが入りやすい。
という表現で《変化過程の段階(=過程性)》を表わすことはできない。
【質問二】
>この二つ論述は矛盾していませんか?
:
《動作動詞のスル形とシテイル形は同じ場面を表すのは可能》というのは、
《動作動詞の(相対的テンスとしての)スル形とシテイル形は同じ場面を表すのは可能》のように解釈すると良いでしょう。
テンスとは「発話時における発話内容との時間的関係性」を表わします。
(45)小さい郵便局の前を [ 通る ] 時に、丁度4持が鳴っていた。
こうした複文の場合、従属節は主節に対して基本的に相対的テンスである。
[ 通る ] は、「丁度4持が鳴っていた」という主節に対して《相対的な現在》である、と言える。
これは、[ 通る(通った) ] と「丁度4持が鳴っていた」との間に時間的な差異は無かったという意味であり、決して(45)の発話時における現在を意味するわけではない。
《 ル形はアクチュアルな現在時を表さない》というのは、そういう意味でもあります。
【質問三】
>一般的な場面を表すのも可能だと思います。開くを使えない理由はなぜでしょうか?
:
2でもお示ししましたが、「開く」は【主体変化動詞】のなので、《変化過程の段階(=過程性)》を表わすことはできません。
「窓が開くという状態になっている時は、どろぼうが入りやすい。」
という意味で《変化過程の段階(=過程性)》を表わすためには、
(60)-a 窓が開いている時は、どろぼうが入りやすい。
のように、過程性の「テイル形」で表現するしかない、ということです。
一方、
(60)-b 窓が開く時は、大きな音がする。
という表現は可能です。
「(窓が)開く」は《変化過程の段階(=過程性)》ではなく、瞬間的動作を表わす主体変化動詞として使われているためです。
hakobuluさん、説明してくれてありがとうございます。
質問一と二はわかりました。
でも三に対して、ちょっと質問あります。
論文による、する形は従属節としての働きは将来、現在、「するときはいつも」という一般的な場面。
この「する時はいつも」というのは僕はスル形の「繰り返し」、「習慣」、「事実」という働きと思います。
毎日七時に「起きる」。
春になると花が「咲く」。
のように、変化動詞だとしても成立すると思います。
従属節の中での「するときはいつも」の一般的な場面についてhakobuluさんはどう思いますか?
No.1
- 回答日時:
このテンス・アスペクト、の捉え方、説明は基本的に誤っています。
「スル」は現在を表し、「シタ」は「スル」+過去の助動詞「た」で、これは対立ではなく、「スル」という現在の対象との対峙から、観念的な移行により現実の現在の立場に戻りそれ以前の内容が過去であることを「タ」と表したものです。
このテンス・アスペクト論では話者の観念的な自己分裂が捉えられない形式主義的な誤った理解、議論を展開しています。
動詞に動作動詞、変化動詞などという区分はありません。
動詞は時間的に変化する属性を表すものです。
質問一
>>(60)窓が*開く/開いている時は、どろぼうが入りやすい。
そして、開いているは開くに言い換えができません。
「開く」は動作全体を表しており、その時にどろぼうが入るのではなく、「開いている」の「いる」は継続・進行を表す動詞で、その継続状態の場合に「どろぼうが入りやすい」ということで、「開く時に、どろぼうが入りやすい。」ということではないのでこの表現は誤りで、使用しないということです。
「スル」「シタ」と「テイル」を形式的に対立と捉えること自体が誤りです。
質問二、
前に書いた通り、動作動詞のスル形とシテイル形は同じ場面を表すのは可能です。(アスペクト的は過程中、相対テンスは現在)
アスペクト的は動作の過程中、つまり進行・継続相を表し、それが過去の場合、話者は観念的に自己分裂し現在として場面を構成し認識しなければなりません。そしてそれが過去のことであることを示す場合には現在に戻り「た」と表現します。「た」と表現している話者は現在に立っており、この観念的な移行を正しく捉える必要があります。
>>ル形はアクチュアルな現在時を表さない
ル形はアクチュアルな現在または、観念的な移行による仮想の現在を表し、この相対的な関係を正しく捉えることが必要です。ル形はアクチュアルな現在時を表さないのではなく、アクチュアルな現在を含む相対的な現在を表すということです。
問題三
大通りをあるくときは車に気をつけなさい。
大通りをあるいているときは車に気をつけなさい。
この場合、歩く時点、あるいは歩くという動作の進行・継続相ともに注意が必要でありどちらも正しい意味、表現になります。
このように、現在の形式主義的な文法論では時制と相の相対的なありかた、話者の観念的な自己分裂による移行を正しく捉えられないため正しい理解、説明はできません。
詳しくは、三浦つとむ『日本語はどういう言語か』(講談社学術文庫)他を参照下さい。
■
アスナロウさん、説明してくれてありがとうございます。
質問一
「ている」は動作の継続や進行、そして、「する(開く)」は未然を表します。でも、『「開く」は動作全体を表しており』とはよく捉えられません。これは、「動作の中の時間の流れを表して、アクチュアル時間との関係はない」ということでしょうか?よかったら例文一つを貰えませんか?
そして、論文の『小さい郵便局の前を通る/通っている時 に丁度4 持が鳴 っていた 。』が同じ段階を表すのも不思議と思います。「ている」をつけると、継続の意味になります、それに、「する」だけではそういう進行している意味になりませんと思っていたんですけど。これは本当同じ段階や意味を表しますか?
質問二
『アクチュアルな現在を含む相対的な現在を表すということ』
状態動詞、感情、思考、知覚とかのル形は現在表せますけど、普通の動詞は現在を表すのは可能ですか?
(現在)ご飯を*食べる/食べている
(現在)ドアが*開く/開いている
そして、相対的な現在
(見ている時点による現在)ご飯を食べる時/食べている時、テレビを見ている。
主節のル形は現在を表せないが、従属のル形は相対的現在を表せるということでしょうか?
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