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昔の恐竜の本では、
恐竜はあまりに巨大であったため、
手足に石がぶつかっても、脳に到達するまで
数秒も時間がかかるのろまな動物だった、とありました。
現在では、俊敏な動きをする恐竜像が確立しつつあるようですが、
神経伝達が遅くなるのをどうやってクリアしているのでしょうか?

よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

こんにちは。



>神経伝達が遅くなるのをどうやってクリアしているのでしょうか?

「大男、総身に知恵が回りかね」ということわざがありますが、象でも恐竜でも、このハンディをクリアする手段はどうやってもないと思います。
神経伝達速度といいますのは、
運動神経系で「秒速70~120m」
痛覚神経系で「秒速30~70m」
とされており、我々哺乳類でも恐竜のような爬虫類でも、この速さにそれほど大きな開きはないと思います。
たいへん大雑把で申し訳ないのですが、例えば体長50mのセイモスサウルスの場合でしたら、身体末端の痛覚信号が終脳中枢に到達するのにだいたい1秒以内、運動中枢から発せられた命令が各筋肉に届くのは0.5秒程度ということですから、往復で1.5秒近く掛かるということはあり得ますよね。これをのろまというかどうかは別としましても、昔の本のように数秒も掛かるというのは、やはり話が大袈裟過ぎますよね。

そして、もうひとつ考えに入れておかなければならないのは、痛覚に対して回避行動を選択するという反応は、ほとんどが「(無条件)反射」に当たり、哺乳類でも爬虫類でも、このような反応は「脊髄反射」として行われているということです。
痛覚信号が送られるならば、脊髄はそれを無条件で危険と判断し、終脳大脳に信号が到達しなくとも、即座に回避という運動命令が下されます。これが「脊髄反射」ですね。つまり、セイモスサウルスの足に発生した痛覚は、50m離れた終脳ではなく、せいぜい数メートル先の腰椎に到達するならば脊髄反射という回避行動は確実に実行されてしまうというわけです。ですから、如何に体長50m、史上最大の陸上動物といえども、往復で1秒以上も掛かるなどという反応は、恐らくほとんどなかったのではないかと思います。
まして、爬虫類の行動というのはあらゆるものがこのような反射の組み合わせであり、その生活のほとんどが本能行動です。我々人間のように余計なことを考える機能を持っていませんので、それで危険が回避できてしまうならば世は全て事もなし、ああ痛かった、などと感じる必要も特にありません。
このように、脊髄反射というのは考えるという作業を必要としません。ですから、脳に信号が到達するのに何秒掛かったとしても、それはたいした問題にはならないわけです。爬虫類の場合、脊髄を通った痛覚はそのあと中脳まで送られるのですが、中脳の働きといいますのは、そこに留まるべきかはたまた移動すべきかといった程度の単純な判断でしかなく、その出来事を記憶するといった機能などはありません。我々人間のように、痛い、怖いなどと考える必要がないのは、仮に考えたとしても、それを憶えておくという機能が元々ないからです。

では、問題にされなければならないのは脳に信号が届くのに何秒掛かるかではなく、実際の反応の早さです。余計なことばかり書いてしまってたいへん申し訳ないのですが、人間の足の長さがだいたい1m弱としますならば、ティラノサウルスの足の先から腰椎までの距離は、やっぱり4mくらいにはなるんでしょうか。ちょっと詳しくは知りませんが、何れにしましても、神経伝速度というものが決まっています以上、この反応速度の差を埋めるということはどうしてもできません。ですが、秒速100mに対して1mと4mの差をどのように解釈するのかは微妙な問題ですし、動物の運動能力によってもだいぶ変わってしまうのではないかと思います。
昔とは違い、肉食恐竜なんてのはその身体に似合わずたいへん俊敏な動物であったというのは現在では広く受け入れられていますよね。我々人間には、ティラノサウルスのように動いている獲物を口で捕らえるなんて芸当はとてもできません。そして、野生動物であるならば、このような行動はほとんどが生まれ持った鋭敏な反応の組み合わせです。
では、神経伝達速度の差をカバーしようとするならば、野生動物としてそこに生きてゆくための的確な反応や運動機能を、その進化の過程で確実に獲得してゆかなければならないということになります。恐竜たちにはそれができましたので、0.何秒の遅れも決定的なハンディ・キャップにはならなかったと解釈することができるのではないでしょうか。さもなくば、彼らが地上であれほど繁栄することはなかったと思います。
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