この春から免疫染色をすることになったのですが、当方が行っていることはセロトニンの線維を染めるという作業を行っています。PAP法に加えてビオチン標識した2抗体にアビジンをくっつけてDABでペルオキシダーゼを発色させます。
手順は
(1)非特異反応のブロッキング(ヤギ血清)
(2)内因性ペルオキシダーゼのブロッキング(メタノール+過酸化水素水)
(3)1抗体としてウサギから作ったセロトニン抗体
(4)2抗体としてヤギで作ったウサギの抗体
(5)3抗体としてHRPがくっついたストレプトアジビン
教科書には「2抗体の動物の血清で非特異反応をブロックする」と書いてありますが、
(1)これは2抗体のヤギで作ったウサギ抗体がターゲット以外の箇所に付かないようにするということですよね?1抗体とは無関係で1抗体が目的ではないところに付くことをブロックしうるものではないのですか?
(2)そもそも血清のブロックは抗原もブロックしてしまうことはないのですか?
学部の学生が入ってきたので分かりやすく図で説明してやりたいのですが、ブロッキングの様子がイメージできずに困っております。当方は「渡辺・中根 酵素抗体法」で勉強中です。
よろしくお願いします。
A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
非特異的吸着と非特異的反応(交差反応)を区別する必要があります。
ブロッキングで防げるのは非特異的吸着です。サンプル全体をコーティングするというより、吸着しやすいところに、飽和するまでブロッキングタンパク質を吸着させるというイメージです。個々のハプテンはそういうレベルよりもっと微小ですから、それをマスクするということではないです。それが起こってしまうなら、タンパク質のかたまりである組織の中で、抗体を反応させるということは不可能ということになります。
交差反応はブロッキングでは防げません。なぜなら、交差反応は、意図しないターゲットと反応したというだけで、れっきとした抗原抗体反応だからです。これを防ぐには、抗体の精製、前吸収などで、交差反応する抗体成分を除くか、抗体を変えるしかありません。
なるほど、よく分かりました。血清は組織の表面をおおざっぱにタンパクで覆ってやるイメージですね。セロトニンなどの抗原は勿論生きている。
2抗体にはヤギで作ったウサギ抗体を用いるわけですが、ブロッキングをヤギと同じにしておけば組織表面のタンパクに付着してしまうことはないということですね。
プロトコールには血清で1次抗体の非特異反応のブロッキングとしか書かれておらず、不思議でした。内因性ペルオキシダーゼの死活には本によく目にするのに非特異的吸着と非特異的反応の違いなどは当たり前すぎたのかもしれませんね。
親切なお答え、ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
組織にしろメンブレンにしろ、タンパク質を吸着する性質があるのはわかりますね。
タンパク質をかけたらそのタンパク質で「汚れる」わけです。洗濯洗剤がタンパク質汚れの落ちやすさを競って酵素配合だとか、新成分配合だとか言っていることからもわかるように、一度汚れるとなかなか完全には落ちません。完全に落ちるほど洗ったら組織もだめになってしまうでしょう。いきなり抗体をかけると、抗原抗体反応とは関係なく吸着によって組織が抗体で汚れます。そこで、非特異的吸着を起こすところに、あらかじめ適当なタンパク質を吸着させてそれ以上吸着が起こらないようにする、これがブロッキングです。
ブロッキングに使われるのはBSAでもカゼインでもヘパリンでも、うまくいくならどれでも良いのです。
抗体染色では二次抗体と同じ由来動物の血清が良く使われます。この理由は、
・タンパク質種によって非特異的吸着の起こりやすい部分が違うかもしれないので、抗体の非特異的吸着を防ぐなら抗体を含む血清が良い。抗体の定常領域が組織中のFcレセプターやケラチンに特異的、選択的にくっつくことも知られています。
・二次抗体は、一次抗体の由来生物種とは別の生物種の抗体とも多かれ少なかれ交差反応がある。したがって、二次抗体がブロッキングに使った血清中の抗体に反応してバックグラウンドをあげる可能性がある。極端な話、ご質問の例で、ウサギ血清でブロックしたら、二次抗体が一面についてしまいますね。二次抗体が一番交差反応しない血清は、それと同じ由来生物のものです。
geneticist12さん、ありがとうございました。先日、お礼を投稿したのですがアップされていなかったようです。
表面にはヤギのタンパクで覆われている状態で、それでも抗原決定基はある程度生きていて(ここの認識が不安ですが)、それに1次抗体がくっつく。2抗体をヤギで作ったあるのでヤギタンパクで覆われているところには反応せずに、ウサギの部分のみにくっつく・・・ということでよいのでしょうか。
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