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抽出したゲノムDNAの質の検定を行いたいと思い、アルカリアガロースゲル電気泳動について調べています。
『バイオ実験イラストレイテッド 第二巻』の123ページにはこう書かれています。

“(中略)高品位のゲノムライブラリーの作製などの特殊な用途には、調製したDNAにできるだけニックが入っていない事が望ましい。これを検定するには、DNAを変性した状態で平均鎖長を調べればよい。ここではそのための、アルカリアガロースによる変性条件下でのDNAの電気泳動法について解説する”

ここで不思議に思ったのですが、DNAを95℃で熱変性→4℃急冷→1本鎖DNAにした状態で、普通にアガロースゲル電気泳動を行えば同様の結果(効果)が得られるのでないか?
わざわざアルカリアガロースゲルで泳動する必要があるのだろうか?と思うのです。

電気泳動中は泳動バッファーの温度も上昇していきます。中性アガロースゲル電気泳動ではそれによって泳動中に1本鎖DNAが再結合しまうから、アルカリ条件下で再結合を阻害しつつ泳動するのだ、という事なのでしょうか。

どなたが宜しくお願い致します。

A 回答 (1件)

熱変性しただけでは、露出した水素結合する部分が不安定なので、適当な相手と水素結合しようとします。

適当な条件で、時間をかけて再会合すれば、相補鎖同士完全な二重鎖に戻ることができますが、そうでなくても短い範囲でも、不完全でも、相補性がある部分で水素結合を作るので、

1.部分的に自己二重鎖を作り、ヘアピン構造をとる。結果として移動度が大きくなる。
2. 異なるDNA鎖同士で部分的に二重鎖を作る。結果として、見かけの分子量が大きくなり移動度が小さなる。

ということが起こります。

アルカリ条件ではDNAは二重鎖を作らないので、鎖長と移動度の関係が正しく反映されます。RNAを泳動するときはアルカリでは分解してしまうので、フォルマリンなどで変性状態を保つのです。DNAシークエンスでは尿素を使いますね。

>(中略)高品位のゲノムライブラリーの作製などの特殊な用途には、調製したDNAにできるだけニックが入っていない事が望ましい。

これは、同意しかねます。そりゃニックが入っていないに越したことないですが、ニックが入っていてもligation stepで、あるいは宿主に導入したところで修復されますから、気にしなくて良いと思います。
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この回答へのお礼

有難うございました。とても勉強になりました。

お礼日時:2006/12/18 23:50

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