No.2ベストアンサー
- 回答日時:
梶井基次郎の「檸檬」でしょうか
昔、高校時代に読んだ覚えがあります。その時は、丸善の本屋に爆弾に見立てて置いた、鮮やかな黄色をした檸檬の光景だけが印象に残りました。
今その作品は著作件も切れていて、インターネットで読めるようになっていました。
これを機会に久し振りに読み返してみました。
作者の梶井基次郎は当時肺炎を患っていて、精神的にも参っていた様子がうかがえます。
高校時代には分からなかったことですが、これは不条理の小説だとおもいました。
現実から阻害され打ちひしがれて、かつてのような瑞々しい感性が失われつつある時、その感性を取り戻すがごとく喝を与えてくれたのが檸檬でした。それは色といい、形といい、手触り重さ温度までも全てが、彼の病んだ感性に訴えかけてくるものがありました。それを違和感有る丸善店内の本の上に置いた時、たった一つの檸檬が現実のなかで調和をもたらしたのです。そしてある意味現実への復讐を果たすべく、檸檬を置き去りにして爆弾に見立て、店もろとも吹き飛ぶ様を想像し、爽快感を味わうことが出来た。そのような内容だと思います。
死を前にした作者がこの世の不条理を感じ、檸檬に重ね合わせた自分もろとも世の中を吹き飛ばす。そんなイメージを楽しみながら、檸檬を象徴として心の浄化作用を小説に求めたいい作品だと思います。
今の時代ではアメリカのアクション映画とか、心のもやもやを吹き飛ばす娯楽的なものが多く想像しづらいと思いますが、大正当時の時代背景を考えると作者のやるせなさが伝わってくるように思います。
No.6
- 回答日時:
とりあえず・・・
現在ほどカラフルでなかった重厚な専門書
との色と匂いの対比をお楽しみください、
そのワンシーンだけのための話ですから。
嗅覚は他の感覚と違い脳に直接届く裏道
を持ち、他の視床を通る感覚による世界像
を壊すという点では、まさに爆弾です。
(他の感覚は視床でまとめて管理されます)
柑橘類は鬱病に有効ですが、難解な哲学
書や誤字チェックとは相性悪そうです。
参考URL:http://www.jsme.or.jp/bio/news/26/26-2-1.html
No.5
- 回答日時:
まず、私の「感じたこと」です。
私も高校の教科書で「檸檬」に出会いました。(授業では結局やらなかった)
当時、病気でもないし、特に悩みもなかったと思いますが(たぶん・・忘れたけど)
私には考えるまでもなく「こっ・・これだー!」ていう感じでピッタリきました。
本は好きな方だったけど、国語はつまらなかったんです。ある文章に対して
妙に理屈こねまわして、意味を先生が説く、ていうのが。ひねくれモノなんでしょうね。
そんな授業中の私にとって、「檸檬」はまさに著者にとっての檸檬と同じでした。
時代も、私の環境も全く違うけれど、そんなのはすっ飛ばして、共感できたのです。
読みながら、あのとりとめのない感覚がほんとに、自分の代弁をしてくれるようで・・・
それまで、「何となく」感じていて意識しなかった部分を、ピッタリ言葉にしてくれてる!
・・・そんな感じでしょうか。
他の作品も含めて感じたことですが、
梶井基次郎は表面的なだけの美しさや、偽善的なもの、
生活にそぐわない空々しいものに違和感があったんじゃないでしょうか。
逆に果物の本質的な美しさが感じられる果物屋や、生活感ある安物、
裏通りなどはささくれた精神を逆撫でしなかった。(安っぽさや、生活もさらけ出してるから)
『透明なもの』と、その下にある『どろどろした沈殿物』。
私にはこの危うい、それでいて綺麗なバランスが、梶井基次郎の作品のイメージで、魅力なんです。
よく授業を無視して「檸檬」読んでました。あの内容そのままに、
ふらふらと頭の中でさまよい出てる感じを楽しんでました。
(私もやはり気が病んでたのかも!(笑))
ちょっととりとめのない感覚的な文章ですよね。共感できれば
「良い」「好き」ということになるでしょうが、
「共感」がなければ、「結局、なにが言いたいの?どこがおもしろいの?」
と思っても当然だと思います。「なんとも思わない」人だっているとおもいます。
私も共感抜きでは、これほど魅力を感じることはなかっただろうと思います。
(私は、ですよ。専門科さんは、私情なしに作品を評価するのかもしれません)
むしろ、あの作品になんとも思わないのは健康的なあかしかも・・?!
長々と失礼しました。参考になれば幸いです。
←経験者!?丸善にレモンを置いた事はありません。
No.4
- 回答日時:
考えたというほどのものでもないですが、高校のとき授業でやりました(梶井基次郎の方です)。
その後すぐに大学の入試があって京都に行ったんですが、その帰りに檸檬に出てきた八百屋(でしたよね?昔のことなんでいまいち記憶が‥)に行って話を聞いたこともあります。
丸善も小説にある場所とは違いますが今でも京都にあります。そこのパンフレットにはレモンの絵が書いてありました。やはり今でも洋書で有名です。
こうやって小説の舞台になった場所を訪れてみると結構面白いと思います。
No.3
- 回答日時:
私は、読んでもおもしろくなかったですね。
丸谷才一さんと山崎正和さんと大野さんだったかとの鼎談で、以下の話が出ました。
日露戦争後に日本の資本主義が進み、それが制度上も現れたのが、大正7年の大学令だそうです。これは、高等教育を受けながら、以前のようにエリートではなくただの勤め人というインテリ階級が層として現れたことを示しているそうです。ここで、「大衆」「インテリ」「アカデミシャン」の三つの階層が成立します。
階層同士では、隣り合う階層を憎みます。間違われる可能性があり、近い存在故に違いを出したいのです。
まず、「アカデミシャン」に対しては、「彼らは、抽象的なことばかりいっている。それは嘘に決まっている。だから、具体的なことを書く。」となります。
次に「大衆」に対しては、「彼らは、おもしろいものを喜ぶ。だから、おもしろいものはいけない。」となったみたいです。
すると具体的で、おもしろくないものとなります。私小説がこれにあたるのでしょう。
「檸檬」もこれにあたると考えるとなんだか納得しました。
初めて聞いたことで驚きました。
本当はもっとお礼が言いたいのですが何て言ったらよいのかわかりません。
ごめんなさい。
どうもありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
こんばんは。
高村光太郎の詩ですか?
「そんなにもあなたは檸檬を待っていた」という?
私は智恵子に檸檬を渡した時の「がりり」という表現が印象的でした。
病人が檸檬を目の前に正気にもどり「がりり」とむさぼりついたのですから。
高村氏にも印象的だったに違いありません。だから冒頭の詩が生まれたと思っています。トパーズ色の香り気が立つというところも、檸檬の清々しさをよく表していると思いました。あの詩を読んでからずいぶん経ちますが未だに印象的です。
もし詩が違った作者でしたらすみません。
ごめんなさい。梶井基次郎の檸檬です。
高村光太郎さんの詩にもあったんですね。
なんだか面白そうな詩です。
是非一度読んでみたいです。
どうもありがとうございました。
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