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 第2次世界大戦前は、超一流国であった英国が没落したのは、自国の財政状況を考慮せず戦費を支出したことが原因の一つだと、ある本に記載してありました。たしかにそうかもしれません。
 ただ、そうであれば米国はどうなるのでしょう。米国も英国以上に戦費を支出しているはずです。
 また、米国の戦費はどのように調達されたのでしょうか。国債を募集して戦費にあてていたとしたら、戦後、その返済に苦しむことになりそうですが、私の知る限りそんなことはなかったと思います。
 お手数ですが、次のことをおしえていただけませんか。
 ・ 英国の没落は膨大な戦費が原因の一つであるか
 ・ 米国は膨大な戦費を支出しながら超大国になったのはなぜか。

A 回答 (7件)

#5です。



追記として、手に入る範囲の数値も載せておきます。どうでしょうか。

1.「帝国主義」の時期でもイギリスの工業力は「衰退」していた?
2.WW2より前のアメリカ合衆国では軍事費÷GDPは極めて低い
3.戦後、植民地を失ってもなおイギリスの経済成長率は過去最高級ではあった

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1.「帝国主義」の時代でもイギリスの工業力は「衰退」していた?
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1870年当りから第一次世界大戦まで、
極めて海外植民地の征服活動が盛んになります。
いわゆる帝国主義の時期です。
ただ、資本輸出がどうだったかというのを置いておき、
工業生産力の方を見てみると、イギリスの相対的な重みは
アメリカ・ドイツからの追い上げを受け急速に低下しています。
イギリスの工業生産のシェアは、1880年代にアメリカに抜かれ、
1900年代にドイツに抜かれました。

保護貿易、技術導入、低賃金、アメリカは移民流入といった要因がありましょうが、
追い上げた方のアメリカやドイツは、イギリスやフランスと比べると
植民地活動は明らかに少なかったのです。

・工業生産シェア
1870年 イギリス31.8% アメリカ23.3% ドイツ13.2% フランス10.3% ロシア3.7%
1913年 イギリス14.0% アメリカ35.8% ドイツ15.7% フランス6.4% ロシア5.5%
ソース:図説西洋経済 史

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2.WW2より前のアメリカ合衆国では軍事費÷GDPは極めて低い
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第二次世界大戦より前のアメリカの軍事費用は非常に少なかったようです。
年代が古いため誤差は大きいかもしれませんが、
この時期のアメリカのGDP対比防衛支出の割合は戦後の日本程度です。
こういった時期に発展の土台を築いていたということにも着眼できるかと思います。
東西冷戦の時期になるとアメリカの軍事支出は肥大化します。

・10年毎のGDP対比防衛支出の割合
1870~79 イギリス1.7% アメリカ0.8% ドイツ(2.2%) フランス3.2% ロシア不明
1880~89 イギリス1.9% アメリカ0.5% ドイツ2.6% フランス3.7% ロシア(4.1%)
1890~99 イギリス2.1% アメリカ0.7% ドイツ2.9% フランス4.0% ロシア4.5%
1900~09 イギリス3.4% アメリカ1.0% ドイツ3.0% フランス3.9% ロシア6.2%
1910~19 イギリス22.7%★ アメリカ2.9%★ ドイツ(21.7%-1919不明) フランス(4.3%-戦時中不明) ロシア(4.5%-戦時中不明)
1920~29 イギリス2.7% アメリカ0.9% ドイツ(1.0%) フランス6.5% ソビエト不明
1930~39 イギリス3.7% アメリカ1.1% ドイツ9.1% フランス(7.0%-1939不明) ソビエト(6.5%)
1940~49 イギリス31.6%★ アメリカ18.0%★ ドイツ(56.5%-1944~49不明) フランス(6.7%-1940~46不明) ソビエト(44.0%-1945~49不明)
1950~59 イギリス7.1% アメリカ10.2% ドイツ4.2% フランス(8.2%) ソビエト不明
1960~69 イギリス5.8% アメリカ8.4% ドイツ4.0% フランス5.3% ソビエト不明
1970~79 イギリス4.9% アメリカ5.6% ドイツ2.9% フランス3.8% ソビエト不明
1980~89 イギリス4.8% アメリカ5.8% ドイツ3.1% フランス4.0% ソビエト(16.1%)
1990~98 イギリス3.3% アメリカ4.1% ドイツ1.9% フランス3.2% ロシア(6.7%)
 ※括弧:一部年次不詳、アメリカGNP、ドイツNNPorGDP、ロシアNNPorNMPorGDP
ソース:Richard Syllaから作成

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3.戦後植民地を失ってもなおイギリスの経済成長率は過去最高級ではあった
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戦後イギリスは植民地を失い、スエズ戦争の失敗で威信を失墜したようではあります。
しかしGDPや福祉制度は過去と比べ大きく成長し、
イギリス人の生活水準としては向上した時期になります。
問題はこれが他の地域と比べて低かったということです。
80年代からは大陸ヨーロッパよりも高い成長率になっています。

なお国債について、1946年にイギリスはGNP対比274%、アメリカはGNP対比114%になっていたのが、
イギリスは75年に48%、アメリカは57年には49%まで下がっています。
ただこの当りの事情は私は知りません。

・10年毎の年率換算GDP(PPP)成長率
1870→1880 イギリス0.86% アメリカ5.02% ドイツ0.80% フランス1.23%
1880→1890 イギリス1.43% アメリカ2.94% ドイツ2.00% フランス1.14%
1890→1900 イギリス1.14% アメリカ3.82% ドイツ2.09% フランス1.93%
1900→1910 イギリス0.26% アメリカ3.95% ドイツ1.15% フランス0.31%
1910→1920 イギリス-0.14% アメリカ2.57% ドイツ-1.79% フランス0.85%
1920→1930 イギリス1.81% アメリカ2.62% ドイツ3.58% フランス3.45%
1930→1940 イギリス2.34% アメリカ1.93% ドイツ3.12% フランス-1.14%
1940→1950 イギリス0.12% アメリカ4.59% ドイツ-3.25% フランス2.69%
1950→1960 イギリス2.22% アメリカ3.46% ドイツ7.10% フランス3.65%
1960→1970 イギリス2.22% アメリカ4.18% ドイツ3.47% フランス4.45%
1970→1980 イギリス1.85% アメリカ3.22% ドイツ2.68% フランス2.62%
1980→1990 イギリス2.42% アメリカ3.21% ドイツ1.22% フランス1.82%
1990→2000 イギリス2.07% アメリカ3.29% ドイツ1.77% フランス1.63%
ソース:Angus Maddisonから作成
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この回答へのお礼

まずは、お礼が遅くなったことをお詫びいたします。
回答していただき、大変ありがとうございました。

とても詳しい資料を提供していただき、とてもありがたく、また興味深く感じています。

資料を見て、特に感じたこと。
・19世紀のイギリスの経済成長率は、意外と低い。(2桁近くあるとおもっていました。)
・第2次世界大戦前は、軍事費の負担割合が低い。

ありがとうございました。

お礼日時:2007/03/27 22:10

> ・ 英国の没落は膨大な戦費が原因の一つであるか


 戦費よりはるかに大きなものを失っています。植民地です。イギリスの金ズルは、つまるところインドと対中貿易です。第二次大戦の結果インドを失い、中国も共産化していきます。この二つの金ズルを失ったことが、イギリスの大損失です。
> ・ 米国は膨大な戦費を支出しながら超大国になったのはなぜか。
既出ですが、ヨーロッパと日本が丸焼けになりました。これで世界の工業製品は一手にアメリカの輸出に頼ることになります。アメリカが供給した兵器代もありますが、そんなものは(請求される側には痛いが)アメリカにとって微々たる物です。(今でもロシアに請求しています。)そしてなにより大きいのは、英仏独の没落により、正真正銘ドルが世界の基軸通貨になったことです。
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この回答へのお礼

まずは、お礼が遅くなったことをお詫びいたします。
回答していただき、大変ありがとうございました

とてもよくわかりました。ありがとうございました。

お礼日時:2007/03/27 22:05

>超一流国であった英国が没落


二度の世界大戦がヨーロッパの経済を疲弊させたのは然りです。
ただどちらかというと、アメリカよりも人口が少ないという要因が大きいかと思います。

覇権国とかいった言葉はとりあえずおいておくとすれば、
イギリス人の暮らしぶりが没落したわけではないので、
国が衰退するという見方はちょっと語弊があります。
とりあえずこの辺りの経済統計参照。

>米国も英国以上に戦費を支出
第一に、19世紀にはもうアメリカの経済規模はイギリスを追い越しており、
WW2の前でも経済力には圧倒的な差が付いていた点。
第二に、軍事ケインズ主義が経済を疲弊させるというのには反論がある点。
軍事支出は自国産業保護のための研究・開発費用の投下を伴っています。
アメリカに関してはWW2の下で経済は絶好調だったはず。

ただし、戦後の予算で見て、相対的に軍事負担が少なかった
大陸ヨーロッパの方がイギリスよりも成長してはいるでしょうか。
できるならば軍事よりも他の予算配分を拡充した方がベターだとは思います。
ソビエトのブレジネフ政権に関しては、
軍事拡張と技術革新の怠りが超大国からの没落を招いたといえるのではないかと。

参考:New Internationalist Sep 1986 "WAR AND PEACE - THE FACTS"
http://www.newint.org/issue163/facts.htm
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武器貸与法とうは何だったのか?


日本人の一般的な理解では、アメリカが友好国に武器を貸し与えたいい法律ですが、アメリカはイギリスに対して、日本の敗戦後二日後に、武器貸与法の停止を通告しています。
つまり、戦争が終わったので、返してください。
と、言っても、戦争で武器は破壊されているので、それと同額の金品となります。

英国の没落には、友好国であったアメリカの武器貸与法停止があった。英国政府やケインズなども、すぐ返せとは言わないだろう…と高をくくっていたのだが、即刻停止、返せないなら利権をよこせとなりました。
これがイギリスのマネー敗戦となります。イギリス経済の不振は戦争中よりも戦後の方がきつくなったのは、アメリカからのマネーの流通が無くなっからデス。
返せと言われて返せないのですが、それまで、輸血に頼って、なんとか生きながられていた患者に、手術が終わったので、輸血を止めるというようなもので、これによって、イギリス経済は、根底から破綻しました。
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この回答へのお礼

まずは、お礼が遅くなったことをお詫びいたします。
回答していただき、大変ありがとうございました

イギリス経済が衰退した理由がとてもよくわかりました。
ありがとうございました。

お礼日時:2007/03/27 22:13

アメリカはいまだかつて自国(真珠湾や今回の世界貿易センタービルなど狭い範囲は除く)を攻撃された事がないため、工場が破壊されずに生産を継続できています。

これは特に第二次大戦の時には、ヨーロッパの国には無いメリットでした。
イギリスはドイツの空爆で被害がありましたし、フランスもイタリアもオランダもスペインも、国土で戦火を交え生産力が著しく低下しました。
アメリカはヨーロッパと離れているために、これらの国へ兵器など各種産品を輸出し飛躍的に経済力をつけることができました。同時にヨーロッパから逃げてきた移民の中には優れた化学者もいたため、新しい製品の開発・発明も伸ばすことができました。
あの国はちょっと前までモンロー主義といって、ユーラシアへの不干渉の立場をとってきましたが、今でも都合が悪くなると孤立主義をとることがあります(京都議定書への批准拒否などいい例ですね)。
都合が悪いときには孤立し、利益が出ると見れば積極的に干渉する。
この政策の使い分けが発展の一番の秘訣だったかと思います。
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この回答へのお礼

 まずは、お礼が遅くなったことをお詫びいたします。
 回答していただき、大変ありがとうございました。

 簡潔に要点を押さえた説明、ありがとうございました。

お礼日時:2007/03/27 22:04

・英国の没落は膨大な戦費が原因の一つであるか


大体そうだと思います。

・米国は膨大な戦費を支出しながら超大国になったのはなぜか。
二度の大戦を経てイギリス経済は決定的に没落してしまったが、
アメリカが戦争特需による輸出増加で巨大な債権大国に急成長した。
アメリカは結局この戦争でボロ儲けしているのです。

詳しいことはこちらをご覧になってください。
http://inri.client.jp/hexagon/floorA6F_he/a6fhe6 …
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この回答へのお礼

まずは、お礼が遅くなったことをお詫びいたします。
回答していただき、大変ありがとうございました

とても興味深いホームページを紹介していただき、大変ありがとうございました。

お礼日時:2007/03/27 22:01

>・ 英国の没落は膨大な戦費が原因の一つであるか


それもありますが、英国が戦後没落したのは英国病と
いわれる事情が大きいです。

>・ 米国は膨大な戦費を支出しながら超大国になったのはなぜか。
米国は自由と民主主義の布教者として世界に布教活動をし
その国に準傀儡政権を作ることで利権を自国に還元してき
ました。イラク戦争を敗北と認め、ネオコンが政権から去
ろうとしている今回のケースは珍しいことです。ベトナム
ももしアメリカが勝利すれば、今頃は中国を南から脅かす
存在と自国の利権を確保するアジアでの有望な国になった
でしょう。その戦略の最大の成功例は日本です。
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この回答へのお礼

 まずは、お礼が遅くなったことをお詫びいたします。
 回答していただき、大変ありがとうございました。

お礼日時:2007/03/27 21:57

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