偏光の意味は、例えば直線偏光の場合ですと、電場の振動方向が常に一定である光として理解しています。
しかし、自然光と部分偏光の意味がいまいち理解できません。
調べた限りでは、
自然光・・・『振動方向が一様でランダムに分布している光』
部分偏光・・・『振動方向が特定の方向に強く分布している光』
となっていましたが、これは、次のように理解すればいいのでしょうか?
【自然光】
ある位置において、ある瞬間を見れば振動方向は1つに決まっているが、次の瞬間を見れば振動方向は別の方向を向いている。
その振動方向がどこを向くかは全くのランダムであり、かつ、振動ベクトルの大きさはどの方向においても等しい。
【部分偏光】
自然光と同様だが、振動ベクトルの大きさが特定の方向でのみ強くなる。
この考え方で合っているのでしょうか?
分かる方いましたら、よろしくお願い致します。
ちなみに、何故こんな疑問を持ったのかの理由は、以下のようになります。
良くみかける自然光の図、例えば
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%81%8F%E5%85%89
を見ると、自然光の図として3方向の成分を持つ光が同時に伝搬しているように描かれている。
しかし、このような図では、その3方向成分をベクトル的に足し合わせてしまえば結局1方向の成分のみを持つことになるので、自然光じゃなくて単なる偏光なのではないか。
したがって、様々な偏光方向を持つ光が『同時』に伝搬していくという書き方は、正しくないのではないのか?
No.1
- 回答日時:
自然光と部分偏光については、上記のとおりで正しいと思います。
「様々な偏光方向を持つ光が『同時』に伝搬していくという書き方は、正しくないのではないのか?」
360度全ての方向に偏光方向を持つ光が「同時」に伝播していくと考えると
足し合わせても一方向の成分のみにはならないと思います。
ahoahoaho3さん、回答ありがとうございます。
>360度全ての方向に偏光方向を持つ光が「同時」に伝播していくと考えると
足し合わせても一方向の成分のみにはならないと思います。
それは、位相や振動数などが異なるからでしょうか?
No.2
- 回答日時:
自然光の発生のメカニズムを考えれば自明のように思えます。
高温物体からの光です。この場合、構成原子が加熱されて、励起状態に上がって、その時の双極子の方向に偏光した光(ある時間しか継続しない)を放出する。
双極子の方向はランダム。自然光はそういった光の集合体。
すると、「様々な偏光方向を持つ光が『同時』に伝搬していくという書き方」もありじゃないですか。ただし、それぞれの光は有限の時間しか継続せず、始まりもランダム。
leo-ultraさん、回答ありがとうございます。
つまり、どの励起状態からいつ基底状態に落ちてくるかもランダムだから、位相や振動数や波長などが異なるので、
「様々な偏光方向を持つ光が『同時』に伝搬していくという書き方」
はOKということでしょうか?
No.3
- 回答日時:
>【自然光】ある位置において、ある瞬間を見れば・・・
>【部分偏光】自然光と同様だが、振動ベクトルの・・・
>この考え方で合っているのでしょうか?
根本的に間違っています。自然光は、振動方向、位相、振幅、波長がさまざまな、偏光の混じった光です。このような光の振動ベクトルを加えることは意味がありません。自然光について干渉が起きるのは、原則として点光源から発した光の場合のみです。部分偏光は、自然光と偏光の混じった光です。このことを、定量的に表現する指標として、ストークスパラメーターが用いられます。
ojisan7さん、回答ありがとうございます。
ojisan7さんの回答や他の方の回答を拝見させて頂いても、
自然光なのに同じ振動数・位相しか考えていなかったから、私の考えは間違っているようですね。
ストークスパラメーターというものについて、もう少し勉強してみます。ありがとうとざいます。
もう1つ質問なのですが、『偏光』と言った場合は、振動方向以外に、位相・波長も揃っていなければならないのでしょうか?
No.4
- 回答日時:
いきなり色々な用語を調べてしまったがために、混乱されているようです。
(失礼。)本質を理解するには、たとえ話が有効な場合があります。
本件もそうです。
まずは、直線偏光だけを理解しましょう。
沢山の回転するブーメラン(ジャグリングの棒でも同じ)が、次々と、あなたの目に向かって直進してくる様子を想像してみてください。
1.
飛んでくるブーメランの傾きが全てそろっていれば、それが直線偏光に相当します。
2.
ブーメランの傾きがばらばらで、360度方向に平等に全くランダムであれば、それが自然光に相当します。
3.
一見ランダムに見えても、360度方向に平等でなく、どこかの角度に偏っていれば、それが部分偏光に相当します。
以上ですが、下記は、おまけ。
光が進む方向をZ方向と置けば、光の振動方向は(ベクトルの)X成分とY成分とに分けることができます。
直線偏光は、X成分とY成分とが常に同一であり、かつ、X成分とY成分との位相のずれがゼロ。
位相がずれると楕円偏光や円偏光になります。
「偏光板を通り抜けるのは、ある角度の直線偏光だけ」
というのは、よくある誤解ですが、実際は(約)2分の1が通り抜けます。
偏光板は、いわば、Y成分をカットしてX成分だけにしたものだからです。
sanoriさん、回答ありがとうございます。
回答していただいたのに申し訳ないのですが、ブーメランのたとえ話や、偏光板に関しては分かっています。
問題は、光が波動であって、重ね合わせの原理を使えることなんです。
>2.ブーメランの傾きがばらばらで、360度方向に平等に全くランダムであれば、それが自然光に相当します。
自然光の場合には、位相と振動数が同じだとすると、それは全てが打ち消しあって、光がないということにならないのか?
と初めは考えていました。
ですが、他の方もおっしゃっているように、『自然光は位相も振動数も偏光方向も様々な偏光の集団であり、そもそも重ね合わせができない』
という感じで納得しました。
No.5
- 回答日時:
自然光については、おっしゃっるとおり、
位相も振動数も異なる光の重なりなので、打ち消しあうことはありません。
また、自然光も偏光板を通過させえれば、(例えば)直線偏光しますので、
偏光といっても必ずしも位相や振動数がそろっている必要はないと思います。
ahoahoaho3さん、再び回答ありがとうございます。
偏光で、位相・振動数がそろっている必要がないことが分かりました。
ありがとうございます。
No.6
- 回答日時:
#4の者です。
再びお邪魔します。そういうことでしたか。
では、前回回答の内容を踏まえ、以下、補足します。
光というものを、1個のフォトンとして考えるか、沢山のフォトンの集団として考えるかで、話が変わってきます。
沢山のブーメランは、フォトンの集団です。
そのすべてのフォトンの振動方向が全て揃っているとき、それを偏光と呼ぶのが一般的です。
しかし、
直線偏光、楕円偏光、円偏光という言葉は、1個のフォトンのことを指します。
つまり、1個のフォトンのXY成分の位相が一致しているのが直線偏光、ずれているのが楕円偏光・円偏光です。
>>>
自然光の場合には、位相と振動数が同じだとすると、それは全てが打ち消しあって、光がないということにならないのか?
と初めは考えていました。
ですが、他の方もおっしゃっているように、『自然光は位相も振動数も偏光方向も様々な偏光の集団であり、そもそも重ね合わせができない』
という感じで納得しました。
いえ、それで納得されては困ります。
文脈から判断するに、「重ね合わせ」とは、干渉のことですね?
光の干渉というのは、2個以上のフォトンが互いに干渉するのではなく、1個のフォトンの、それ自身への干渉です。
例えば、
2つの直線状の穴を開けたスリットを用い、その向こうにスクリーンを配置してスリットの手前から光を発射すると、スクリーンに光の干渉を示す像が現れる、ということはご存知と思いますが、
実は、たとえフォトンを1個ずつ発射しても、スクリーンに干渉を示す「像」が現れます。(1個1個が到着した各場所の到着数を集計したものが「像」です。)
(量子力学の話になります。)
自然光であれ、偏光であれ、検出器や目に入ってくる光は、多数個のフォトンの集団ですが、
干渉するか否かは、あくまでも1個のフォトン自身で完結する話ですので、いったん検出器や目に到着してしまえば、他のフォトンと干渉はせず、単に何個のフォトンが到着したかをカウントするだけであって、それが明るさ(強度)として観測されるわけです。
到着するまでの行程でも同じことです。
sanoriさん、再び回答ありがとうございます。
>直線偏光、楕円偏光、円偏光という言葉は、1個のフォトンのことを指します。
つまり、1個のフォトンのXY成分の位相が一致しているのが直線偏光、ずれているのが楕円偏光・円偏光です。
そうなんですか、1個のフォトンに対して定義する言葉だったんですか。
そうすると、例えばフォトンの集団としての直線偏光というのは、
『1個1個のフォトンのXY方向の位相が一致しており、それと同じフォトンが集まったもの』
という考え方で合っているのでしょうか?
>いえ、それで納得されては困ります。
そうです、干渉のことです。正しい言葉を使ってなくて申し訳ありません。
2つのフォトンが干渉しないということは、例えば、E=Eoexp(i(kx-ωt))の光と、E=-Eoexp(i(kx-ωt))の光は、干渉して0にはならないということなのでしょうか?
質問ばかりで申し訳ありませんが、お答えをいただけると幸いです。
No.7
- 回答日時:
横から失礼します。
(回答ではないですが・・)
もちろん「フォトン」からの概念を把握しておくことは大切なことですが
もっと単純に古典電磁気、つまりMaxwell方程式だけからで理解しておいても良いと思いますよ。
この辺の話はLandauの場の古典論に少し書いてあったと思います。
nomercyさん、アドバイスありがとうございます。
>もっと単純に古典電磁気、つまりMaxwell方程式だけからで理解しておいても良いと思いますよ
そうかもしれないんですが、考え出すと止まらなくなってしまいました。
ご紹介頂いた、Landauも読んでみたいと思います。
ありがとうございました。
No.8
- 回答日時:
三たびお邪魔します。
>>>
そうすると、例えばフォトンの集団としての直線偏光というのは、
『1個1個のフォトンのXY方向の位相が一致しており、それと同じフォトンが集まったもの』
という考え方で合っているのでしょうか?
はい。1個についてXとYの位相が一致し、かつ、多数個について振動の方向が一致したフォトンの集団です。
それが偏光板を通過した後の姿になります。
>>>
2つのフォトンが干渉しないということは、例えば、E=Eoexp(i(kx-ωt))の光と、E=-Eoexp(i(kx-ωt))の光は、干渉して0にはならないということなのでしょうか?
Eは電場のことですよね。
はい。そうです。2個のフォトンの干渉でゼロにはなりません。
フォトンの個数が単純に足し算でカウントされるだけです。
自然光(振動方向が360度方向にランダム)であれば、位相も偏光方向もベクトルの総和や平均はゼロであるはずです。
ですから、もしも別々のフォトン同士で干渉するならば、太陽からの光は、まったく地上に届かないことになってしまいます。
実際はそうなっていませんので。
sanoriさん、何度も回答してくださってありがとうございます。
>2個のフォトンの干渉でゼロにはなりません
おそらく、このことが私の一番分かっていないことだと思います。
2個のフォトンが干渉しないというのが分かっていないために、sanoriさんが書いてくださった、
『自然光(振動方向が360度方向にランダム)であれば、位相も偏光方向もベクトルの総和や平均はゼロであるはずです。
ですから、もしも別々のフォトン同士で干渉するならば、太陽からの光は、まったく地上に届かないことになってしまいます』
というように考えてしまい、質問文にもあるような訳の分からない解釈をしてしまったのです。
もう1つだけ質問させて頂いてもよろしいでしょうか?
偏光板を通過するときや、境界条件を適用して反射率などを求めるときに、直線偏光の電場ベクトルを便利なように2つのベクトルに分解しますよね。
電場ベクトルを2つのベクトルに分解できるのならば、2つのベクトルを合成して1つの電場ベクトルにすることも可能ですよね。
このことと、2つのフォトンは干渉させることはできないということとの繋がりが分かりません。
2つのベクトルを合成して1つの電場ベクトルにできるのなら、
E=Eoexp(i(kx-ωt))と、E=-Eoexp(i(kx-ωt))も足し合わせて0、
というようにはならないのでしょうか?
恐縮ですが、よろしければご回答お願いします。
No.9
- 回答日時:
疑問の回答ではないですが
波数 k のフォトンが一個ある状態
と
E=Eoexp(i(kx-ωt))
の(巨視的な)光
って別物じゃなかったでしたっけ?
フォトン一個の状態で電場の期待値を計算すると零になるような。
というのは
電場はベクトルポテンシャルの第0成分の微分であり
ベクトルポテンシャルは生成消滅演算子の線形結合だから
光子数が揺らいでないと有限の期待値が生じないのでは?
疑問には直接関係ないかな?
この回答への補足
nomercyさん、アドバイスありがとうございます。
単一のモードのフォトンしかない場合は、確かに0になりますねえ。
ということは、個々のフォトンの振る舞いについて議論しても意味がないということでしょうか。
ただ、量子光学の理解が乏しくて、自分の疑問に関係あるんだかないんだかもわかりません^^;
No.10
- 回答日時:
4回目。
(笑)補足と#9さんのご回答に関してコメントします。
フォトンが到着する場所、あるいは、その場所に到着する/しないの確率は、
考えられる限りの無限通りの経路(つまり色々な曲線経路を含む)について、
その、ある場所に到着したときの、フォトンの位相ベクトルを
すべて合算(積分)したベクトルの大きさで決まります。
また、
前回回答をした後に、考えていたのですが、
偏光板を通るとき、X、Y成分の一方が吸収されるわけですが、
単純に考えると、一方が吸収された結果、そのフォトンのエネルギーが
減少することになります。
一方、
フォトン1個のエネルギーは、E=hν だけで決まる、つまり、
振動数νが決まれば、一義的にエネルギーが決まるはずなので、
上記と矛盾します。
この矛盾に対して私は知見を持っていないので、うまく説明できません。
(もしかしたら、前回までの回答における説明も、どこか間違えているかも?)
というわけで、
申し訳ありませんが、本件、これにて退散いたします・・・
sanoriさん、4度回答ありがとうございます(笑)
>>この矛盾に対して私は知見を持っていないので、うまく説明できません。
(もしかしたら、前回までの回答における説明も、どこか間違えているかも?)
仮にそうだとしても、回答を頂いたことにとても感謝しております。
色々なことを考えるきっかけを与えてくださりました。
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