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今年度法学部に入学し、前期試験を間近に控えております。
さて、民法の勉強をしていたところ、少し行き詰ってしまった部分があります。
タイトルの通り、契約の無効と取り消しの違いなのですが・・・。

まず、無効はその契約が締結された時点から契約そのものが存在していないということ。
取り消しは契約が締結された時点では契約は有効であり、その後表意者あるいはその後見人などの新たな表意によって契約がなかったものになる、ということ。
以上の解釈で良いのでしょうか?

さて、そこで疑問が出てきたのですが、これらは実質的にどう違ってくるのでしょう?
脅迫の取り消しの場合を除いて、どちらも善意の第三者には対抗できないのではなかったでしょうか?

とすると・・・例えば、
「AがBに土地Xを1000万で売った。しかしその土地Xは実際には2000万の価値があった。」
という事実が存在するとします。
その状況で、Aが勝手にXの価値を錯誤していた場合(ややこしくなるので重過失はなかったものとします)=無効
Bが詐欺を働いてAがXの価値を勘違いした場合=取り消しor無効
となりますよね?

これらは法律学的にではなく、実質的あるいは現実的に、どのような違いとなってあらわれてくるのでしょうか?

A 回答 (8件)

みたび私です。


いやあ、私などよりよほど緻密に勉強なさっていますね。こっちが勉強になります。

第3者というのは仰るとおり善意の第3者ということでいいと思います。
心裡留保についても、相手方が善意であれば心裡留保による意思表示がそのまま確定してしまいます(要するにこの場合、土地を1000万で買われてしまいます)ので、相手方が悪意または有過失であることが条件となるでしょう。

あとの場合わけについてですが…
(5)について、結論はあっていると思うのですが、この場合のAの行動を「過失」とは表現しないと思います。「Bに対する土地売り渡しに関し意思の不存在があった」というような言い方になるのではないでしょうか。
(6)について、これも結論は正しいですが、「取り消し得る」取引であるに過ぎないので、あまり悠々と構えているわけには行かないと思います。できるだけ早く取り消しを提訴すべきでしょう。
(8)は少し違うと思います。文章から「取り消し後に現れた第3者Cとの関係」と判断しましたが、この場合、AとCとは対抗関係に立ちますので、登記を先に備えたものが土地所有者になるという関係になるかと思います。

そのほかについては私も同じ考えです。

前の回答に書き忘れたのですが、一番最初に私は「最初からなかったことになるから第3者にわたっていても取り戻せる」のが無効で「取り消されるまでは一応有効なものとして扱われるので有効な間に第3者にわたってしまったら取り返せない」のが取り消しだといいました。実はこれは私が無効と取り消しを理解する取っ掛かりになるために非常に大雑把に分けた分け方ですので、無効でも第3者に対抗できないこともありますし、逆に取り消しでも対抗できる場合もあります。ですので私の説明はかなり乱暴な分け方です。
法学部でどういう順序で法律を勉強されていくのかわかりませんが、行政法などでも無効・取り消しという言葉は頻繁に出てきますので、そのときそのときに応じて「これが無効(あるいは取り消し)だからそのあとどういう処理がなされるのか」をひとつづつ見ていくと、なんとなくああ、無効あるいは取り消しってのはこういうことか、というのが肌で実感されてきます。特に行政法で見ていくと「取り消し」が取消権者が決まっており、取り消しを提訴できる期間も短く設定されているのに対し、「無効」はいつでも誰からでも提訴できるとかそういう例が多く、「似てはいるけどぜんぜん違うものなんだなあ」という感覚が自然と身についてきます。
ですのでここはまああまり深く考えず、「無効…初めからなかったことになる/取り消し…取り消されるまでは一応有効になる」と単純化して覚えておいて、あとは「慣れ」だと思いますので勉強を進めていってください。

私も11月の行政書士試験に向けて勉強しているに過ぎない身なので、間違っている部分などありましたらどうかお許しください。
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この回答へのお礼

みたびありがとうございます!
毎度詳しいご説明で勉強になります。

(5)、(6)、(8)について、補足ありがとうございます。
なるほど。それぞれ確かにその通りですね。

現在は大学1年で、民法の総則ですね。
民法とは何か、から始まり、心裡留保・通謀虚偽表示・詐欺・強迫・94条2項の類推適用・96条3項と177条の対比・成年後見制度と行為能力などについてです。
どれもこれもさっぱりで、はっきりきっぱりテストがやばい状況です。。

行政書士、私も受験してみようかなぁと考えています。
是非がんばりましょう!!

お礼日時:2007/07/22 22:07

>現実的にどちらが帰責性が高いかより考え方を優先するなんて、いかにも法律学っぽいですね(苦笑)



別に法律学に限りません。たまたま問題解決の道具という実用的側面が強いから法律学が槍玉に上るだけで特に社会学的な理論なんてそんなものです。ただ、あくまで「理論的な原則」なのでそれが結論として妥当にならないことはよくある話です(ちなみに古典的意思表示理論自体、既に破綻しているという評価もあります)。ですから条文あるいは解釈で色々修正をしているわけです。究極的に言えば、法律なんて利益衡量の産物でしかないです。法律の本質は「対立利益の調整にある」と言っても過言ではないですから。
ですから究極的には法律解釈というのは「実は妥当な結論が先にある」ということになるのです。先に結論があってそれをいかに法律的に説明するかという話なのです。極端に言えば「理屈は後付け」なのです。もちろん限界があるのでその場合は「法改正するしかない」のですが。
理論から論理的、演繹的に妥当な結論が出るなどと思うのは、概念法学というかつてドイツで流行った思想で、今時支持する人はいないです。

#個人的には概念法学の発想がかたちを変えたのが「法律万能主義」だと思っているのですが。

>ただ、対抗要件としての登記や無過失要求などは議論のあるところですよね。

仰るとおり。それも結局は「どう考えるのが一番妥当な結論を導けるのか」という話の結果であるということです。解釈論に争いがでるのは、「原理原則だけから演繹的に結論が出てくるなどとは誰も思っていない」からに他なりません。そして理論は、「その事案で妥当な結論が出る」だけでは足りず「他の事案でも可能な限り上手くいく」ことが肝要で、その上「他の制度との整合性も図る」ことが必要なので、なかなか全部を上手く満たす説明は難しいということになるわけです。そこが争いの元であると。

#で、最後の手段は信義則ということになります。

それが分からない人が法律万能主義に陥るのですが……。

>判例・通説としてはどうやらとにかく「第三者の保護を最優先」という風に考えているようですが・・・。

一般論として言うなら、民法では原則的には静的安全が原則で取引安全は例外という傾向が強いです。その意味で第三者保護最優先ということはありません。典型的には制限能力者などはかなり手厚く保護します。しかし、それだとどうしても不都合があるので、「帰責性」を考慮して利益衡量できる理論を考えるわけで、その端的な例が取消後の第三者の議論であるわけです。
未成年者の詐術にしても原則は未成年者を保護すべきだけど「相手を騙すような悪質な場合まで保護するのは行きすぎ」という価値判断があって、それではそういう場合は本人の帰責性があるのだから不利益を受けてもしょうがないということで、詐術の場合の条文ができるわけです。そこで更に「具体的にどの程度の帰責性があれば未成年者に不利益になってもいいのか」ということを「詐術の要件で調整する」ということになるのです。
外観法理にしてもそれを一般的に保護する条文を置いていないのは、やはり静的安全が原則であり、外観法理は例外であるという面があるからで、94条2項類推というのはこの例外を拡充して妥当な結論を得るための典型的な理論と言ってもいいくらいです。

まあ、民法全文口語化において94条2項を外観法理の原則規定にすべきだったのではないのかとは個人的には思うのですが、立法技術上の都合があったのかもしれません。立法技術上の問題というのも無視できない話で「現状の解釈論で妥当な結論が出せるならあえて条文に手をつけない」ということも次善の策としてはやむを得ない部分があります。
古典的意思表示理論を前提にした条文に手を付けないのも、「改正条文の意見が集約できなかった」からかもしれませんし「現状の条文と解釈で結論自体には問題がないから面倒なことをしなかっただけ」かもしれませんし、あるいはそれ以外の何かかもしれませんが、いずれにしろ、立法技術上の問題があるのかもしれません。

なお、判例と学説には傾向の差があり、判例は割りと「形式的判断によることで"一般的に"取引法秩序全体を保護することで"個別の"取引安全を図る」し、学説は割りと「実質的判断により"個別的な"取引の有効性をできるだけ維持することで"一般的な"取引安全を図る」という傾向があります。商法(取引法なので組織法である会社法ではなくて手形小切手法など)をやるとすぐわかるのですが、民法以上に取引安全重視なのでその違いが随所にでてきます。それを考えると、登記という形式で問題を解決する117条で処理するか実質的利益衡量で問題を解決する94条2項で処理するかという違いも根は同じだと分かります。
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#あまりに長いのでどこかに書き間違いがあるかもしれません。



1.話がずいぶん広がっているのでどこから手をつけたものか悩むのですが、まずはおおもとの質問について指摘しておきます。

>これらは法律学的にではなく、実質的あるいは現実的に、どのような違いとなってあらわれてくるのでしょうか?

これは実は命題自体に問題があります。「法律学的にではなく」というのはもはや法律論ではないということなので、法律的に回答することができないことになります。単に「事実上の話」としてみるなら「無効と取消は結果的に同じになることもあるし、違うこともある」としか答えられません。これは、たとえ無効でもそのまま放置すれば事実上の結果として有効だったのと同じことになるのと同じ話です。
しかし、だからと言って法律的には無効であっても有効と同じことがあるなどとは言いません。あくまでも「法律的に」ではなく「事実上そうなるだけ」だからです。事実上の問題はもはや法律の解釈適用の問題ではなく、法律学の範疇ではないです。

2.さて次に、前提として最低限理解しておくべき話をしておきます。

無効=何をするまでもなく初めから効力がない。客観事由なので(本来)誰でも主張できる。時間的制限がない。
取消=取消すまでは有効だが、取消すと「遡って」初めから効力がなかったことになる。取消権者以外主張できない。取消権には時間的制限がある。
(参考)撤回=撤回すると「撤回の時点から」効力がなくなる。

民法における無効と取消の原則的な違いを端的に表す条文は、

119条本文 無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。

です。無効は「最初から効力がないので追認の余地がない」のですが取消は「取消すまでは有効なので追認が可能」ということになります。

原則的な効果を見れば「取消せば遡及的に効力を失うのだからそれは初めから効力のない無効であったのと同じ」ということになります。
つまり、取消の効果は「基本は無効と同じ」です。すなわち、「給付物は不当利得になり、原状回復義務を負う」とか「占有は遡って権原がなかったことになる」とか。
と言っても実際にはそう単純には行かないので「それぞれの場合に応じて妥当な結論になるようにする」必要があります。それが、条文に規定する各種の特則であり、解釈論における一定の修正というわけです。結局、効果における無効と取消の違いは絶対的ではなありません。錯誤無効では「取消的無効」などという概念すらでてきます。
このような状況を無効と取消の接近化の傾向とか言ったりします。

3.更に一言。

>しかし私が思うに、「無効」となるのは錯誤や虚偽表示、「取り消し」となるのは詐欺や脅迫であり、無効となる詐欺や虚偽表示のほうが表意者の帰責性が大きいのではないでしょうか?

これは実は単純な話です。古典的意思表示の理論的帰結として、「ほとんど理論上の都合だけ」でそうなってしまっているのです。つまり、古典的意思表示理論によれば「意思表示の意思とは効果意思を言う」というところから理論上そうならざるを得ないということにすぎません。
理論上、「意思表示の意思とは効果意思を意味する」以上、「(効果)意思の不存在は意思表示が無効とならざるを得ない」し、「瑕疵ある意思表示は、たとえ問題があるにせよ少なくとも表示に対応する(効果)意思がある以上、意思表示は無効とはできない」というただそれだけのことです。

4.最後に事例分析。

以下は、重箱の隅をつつくような細かいチェックをわざと入れています。
これをやると文句を言う人が時々いるのですが、細かいところに配慮できないで法律など理解できるわけがありません。と言いますか、細かいと言ってもそれは要件を「きちんと」検討するとそうなるということであり、法律的結論を導くにはよっぽど自明でない限り「法律要件該当事実をきちんと検討し要件該当性判断することが必要」です。
もし設例にそれを欠く場合には、事実がないものと擬制できる場合を除いては、場合分けにより処理しなければなりません。それをきちんとしていない場合、「法律要件を理解していない」ということになります。つまり「法律が分かっていない」ということになります。
なお、実用的な話をすると、資格試験の択一式問題はこういう細かいところで引っ掛けてきます。単に「そうでもしないと差が付かない」だけかもしれませんが。

(1)細かいことを言えば、(2)との関係でおそらく正しいということになります。というのは、設例の事実だけでは93条ただし書に該当しないとは断定できないからです。
(2)理由に少々問題があります。これはどう考えても「過失」ではなくて「悪意」です。
(3)「言いくるめられて」が少し気になるのですが、「AB間の譲渡契約は無効になるが、94条2項類推適用によりDは有効に本件土地を取得する可能性がある」ことにはなります。注意点は、「94条2項類推適用ができるかどうかはまた別に検討しなければならない」ということ。設例だけではこれは判断できません。
(4)細かいことを言うと設例は少々説明不足だとは思いますが、94条1項で無効で正解。
(5)94条2項そのものです。なお、94条の「通謀」は過失というよりはお互い知っているいるという意味で悪意と言った方が合っていますが、理論的には悪意とか過失とかとは一応別の「帰責性」です。
(6)設問だけでは、Bが2000万円の価値があるということを知っていたかどうかが不明なので詐欺とは限りません。詐欺であれば96条1項そのまま。
もし仮に詐欺でないとすると動機の錯誤の問題になります。動機の錯誤になると、判例に従えば「動機の表示があったかどうか」「表意者に重過失がなかったか」を検討する必要があります。
(7)一応正解。しかし仮に詐欺でないとすると動機の錯誤の問題になるのは(6)と同じ。
なお、理論的には、「第三者の権利保護要件としての登記が必要」という説も有力で、これについての「直接の判例はない」です。「必要とする理由がないと述べた判例」はありますがこれは「仮登記があった」という事案なので「全く何もなくてもいいとは言い切れない」です。
(8)取消後の第三者との関係は判例は対抗問題として処理しますので117条により登記を先に備えた方が勝ちます。ちなみに有力説は94条2項類推。
(9)95条ただし書により重過失があると駄目です。
(10)95条ただし書により重過失があると駄目です。
(11)契約の取消ではなくて意思表示の取消で、しかもこれは形成権なので「要求」する必要はありません。「相手に何かを求める必要もなく、一方的に取消せばそれで効果を生じる」ということです。
(12)正解。ちなみに細かいことを言えば、「取消せば返還請求できる」です。無効とは違って「取消さないと返還請求はできない」です(実際には返還請求は取消しと同時にするわけですが)。
(13)(8)と同様、取消後の第三者は対抗問題で117条により登記を先に備えた方が勝ちます。これも有力説は94条2項類推。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
事実上の話については、法律学の話ではちょっとわかりづらかったからお聞きしたわけです。
なるほど、大体のところはわかりました。

3.については、要するに内心的効果意思と表示行為が合致していればそこに瑕疵があろうがなかろうが、とりあえず正しい意思表示でしょ?
ということですか?
現実的にどちらが帰責性が高いかより考え方を優先するなんて、いかにも法律学っぽいですね(苦笑)

細かいご指摘ありがとうございます。
ただ、対抗要件としての登記や無過失要求などは議論のあるところですよね。
判例・通説としてはどうやらとにかく「第三者の保護を最優先」という風に考えているようですが・・・。

お礼日時:2007/07/23 18:05

第三者に対する保護要件は、きちんと整理しておく必要があります。



誤解なさらないようよに。

私は、これ以上は申し上げません。
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この回答へのお礼

ええっと・・・すみません。それはどういうことなのでしょうか・・・?
もしよろしければ補足説明をいただけるとありがちのですが。。

お礼日時:2007/07/22 17:19

再び#1です。


ひとつひとつお答えしますと、虚偽表示(通謀虚偽表示のことでよいのですよね?)に関しては、相手方保護の必要性がない(相手方もグルだから)ことにより無効ということになっています。この場合の第3者保護は、仰るとおり94条2項に書かれているとおりです。
錯誤については、間違いというのは誰でもやることで、ちょっとしたいい間違いや何かで大損害をこうむってしまったらかわいそうでしょ、という意味で表意者を保護しています。ご存知かもしれませんが、錯誤について考えるときは
動機→内心的効果意思→表示意思→表示行為
というステップで最終的に意思表示がなされるとされています。このうち民法で直接保護しているのは法律上意思表示の要素であるとされている内心的効果意思、表示意思、表示行為の3つで、法律上典型的な「錯誤」は内心的効果意思と表示行為の不一致です。建物Xを売りたいと思っていたのになぜか「建物Yを売るよ」と言ってしまったような場合ですね。このほかにも細かく言えば錯誤はいくつかに分類できますが、事情は大体似たようなものです。
ご質問の「「自分が錯誤していたのだから無効だ!」とさえ言えばCから土地を奪い返せるということなのでしょうか?」の件ですが、これについては取引の安全を図るため、法律行為の要素(上で挙げた3つです)に錯誤がある場合に限り意思表示を無効とし、さらに、重過失がある表意者は無効を主張できないという条件をつけています(95条但し書き)。
ではそうなると動機の錯誤はどうなるのかという問題になります。動機の錯誤とは、受胎している良馬と間違えて駄馬を買ってしまったような場合です。動機の錯誤は意思表示の要素ではないので、判例・痛切では95条の錯誤にあたらないとしています。しかし、それでは表意者の保護に欠け、また錯誤の多くは動機の錯誤であるため、動機の錯誤を認めないと取引の安全を害することにもなります。
そこで、動機の錯誤は、「動機が明示若しくは黙示に示されて意思表示の要素となった場合は『錯誤』として扱う、ということになります。ですのでご質問のようなケースですと、常日頃「この土地の価値は1000万ってところだから、そのくらいの金額で買ってもらえる人はいないかなあ」みたいな発言をしていたなら、動機の錯誤として無効を主張するのは法廷戦術としてありだと思います。
さて、次に詐欺ですが、これが「無効」に出来ないのは、一言で言うと「騙されるほうも悪いでしょ」ということです。もう少し丁寧に言うと、内心的効果意思と表示意思が一致しているため、売る気になったことは間違いないという理屈なのです。
最後に強迫ですが、これも内心的効果意思と表示意思の一致がありますので、理由はともあれ売る気になったことは間違いないという理屈で取り消しえる事由となっています。ずいぶんな感じもしますが、動機から表示意思までの4ステップを踏んでいるかどうかというのが法律の解釈の分かれ目ですので、4ステップのどこにも間違いがないなら「取り消し得る」にとどまってしまうのです。

ですので、2000万の土地を1000万円で売っちゃった人が悪いやつなら保護したくないけど、かわいそうな人なら保護したい、という観点からこの取引を見るなら、無効か取り消しかよりもむしろ第3者に対抗できるか出来ないかという視点から分類したほうが納得がいくと思います。
対抗不可…心裡留保(無効)、通謀虚偽表示(無効)、詐欺(取り消し)
対抗可…錯誤(無効)、強迫(取り消し)
どうでしょう。いくらかすっきりした気がしませんか?(しないかな?)でもこの対抗可/不可の分け方で覚えておくと割と勉強がしやすいと思いますよ。対抗可に「制限行為能力者(取り消し)」を加えてもいいでしょう。
私も勉強中の身ですのであまり説明がうまくないですが、少しでもお役に立てばと思います。

この回答への補足

詳しいご説明ありがとうございます。

最後の部分非常にわかりやすいですね!
仰っている第三者というのは、常に「善意の第三者」と置き換えて読んで良いのでしょうか?(過失性については議論があるようですが)

ところで心裡留保は但し書きに該当しなければ「その効力を妨げられない」のではないのでしょうか?
これも心裡留保(相手方に過失のある場合)と読み替えてよろしいので?

一応、自分なりに場合分けしてまとめてみたので、間違ってないか教えていただけると嬉しいです。

(1) 「Aは売るつもりがないのにBに土地Xを1000万で売るよと言った。Bは後日Aに土地Xを1000万で売る債務の履行を要求できるか」
    =心裡留保=有効なので【要求できる】
(2) 「Aは酒の席で売るつもりが無いのにBに土地Xを1000万で売るよと言った。BはAが酔うと冗談を言うことを知っていたが、しめしめと思って後日Aに土地Xを1000万で売る債務の履行を要求した。」
    =心裡留保だが相手方に過失あり。=無効なので【要求できない】
(3) 「(2)のとき、うまくBに言いくるめられてAは一旦は1000万で土地Xを売ってしまった。しかしその後弁護士Cに相談したところその契約は無効だと言われたが、既に土地XはBから善意の第三者Dに2000万で売られていた。AはDに返還を要求できるか?」
    =本来無効だが、Aは善意の第三者Dに対抗できないので、【要求できない】
(4) 「Aは財産隠しのため、Bに土地Xを譲渡したように見せかけ、登記を変更した。その後AはBに土地の返還を要求できるか?」
    =通謀虚偽表示は契約が無効となるので【要求できる】
(5) 「(4)のとき、Bはこれ幸いとばかりに善意の第三者Cに土地を売ってしまった。AはCに土地の返還を要求できるか?」
    =Aに重大な過失があり、善意の第三者には対抗できないので【要求できない】
(6) 「AはBに土地Xの価値は1000万だといわれて土地Xを1000まんで売った。しかし後に実は2000万の価値があることを知った。AはBに土地の返還を要求できるか?」
    =Bの詐欺行為によるものなので【要求できる】
(7) 「(6)の際、土地Xは既にBから善意の第三者Cへと売却されてしまっていた。AはCに土地の返還を要求できるか?」
    =Aは善意の第三者に対抗できないので、【要求できない】
(8) 「(6)の際、Aが契約の取り消しを申し出た後に土地XはBからCへと売却されてしまった。AはCに土地の返還を要求できるか?」
    =契約の取り消し後の新たな契約なので、【要求できる】
(9) 「Aは常日頃から「土地Xは1000万くらいの価値だから誰か1000万で買ってくれないかな」と言っていた。それを聞きつけた不動産屋Bは土地Xの本来の価値が2000万だと知りながらAから土地Xを1000万で買った。Aはその後本来の価値を知ったが、Bに土地の返還を要求できるか?」
    =Aの錯誤であり、動機が明示されているので【要求できる】
(10) 「(9)の時、さらに土地XはBから善意の第三者Cへ2000万で売られてしまっていた。AはCに土地の返還を要求できるか?」
    =Aの錯誤によりAB間の契約は無効なので【要求できる】
(11) 「Aは不動産屋Bから「土地Xを1000万で売らねぇと大変な目にあうぜ?ごるぁ!」と強迫され、土地Xを1000万で売った。その後AはBに契約の取り消しを要求できるか?」
    =強迫行為による意思表示なので【要求できる】
(12) 「(11)の時、さらに土地XはBから善意の第三者Cへ2000万で売られてしまっていた。AはCに土地の返還を要求できるか?」
    =そもそもが強迫行為による意思表示であり、Aの帰責性が極めて低いので【要求できる】
(13) 「(11)の時、Aが契約の取り消しを主張した後にBからCへ土地Xが売られてしまった。AはCに土地の返還を要求できるか?」
    =取り消し後の新たな契約なので、当然に【要求できる】

特に(10)と(12)が正しいか不安なのですが・・・。
長文となってしまって申し訳ありませんが、是非ともよろしくお願いいたします!

補足日時:2007/07/22 17:23
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#1の方が非常に丁寧に説明されています。



あと、無効、取消をだれが主張できるのかという問題もあります。

また、おっしゃるとおり、詐欺、強迫されても取消なのに、錯誤、心裡留保の場合には無効だというのも、なんだか合点が行かないように思います。

しかし、意思表示の原則から、「瑕疵ある意思表示か否か」という観点から考えた場合、納得できるのではないでしょうか。
もちろん、強迫が過ぎた場合には、無効になる場合もあるのですから。

これからも、がんばって勉強して下さい!!
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

なるほど、誰が主張できるのか・・・ですか。
無効は表意者と相手方両方が、取り消しは表意者側のみが主張できる、と考えて良いのでしょうか?

お礼日時:2007/07/22 17:19

無効は、当事者の意志に依らず、初めからなかったことになる。



取り消しは、意思表示以後無効と同様な効果がある。
ただし、親族法などでの形成された関係などは無効とはならず、意志表示以後、その効力がなくなるとするものがある。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

それは法律学的な意味で、ですよね。そこは当然のように文面では理解しています。
しかし、「だから実際問題どう違うの?」ということなんです。

お礼日時:2007/07/22 14:28

無効と取り消しの違いというのは最初は誰もが苦しむところですよね。

心中お察しします。
無効と取り消しの違いは民法に限らず行政法でも出てきます。ですので早い段階で押さえていかないとわけがわからないことになって行くと思います。
最大の違いは、無効が「初めからなかったことになる」のに対し、取り消しは「取り消しが決まるまでは一応有効な取引となる」というところにあります。
一番単純でわかりやすい違いは無効は「最初からなかったこと」になるのですから、取引がなかった状態にされるのに対し、取り消しは「取り消しの決定があるまでは一応有効」なのですから、取り消し前に現れた第三者を保護する必要が出てくる場合がある、ということです。
たとえばご質問の「Bが詐術を用いてAに土地Xの価値を勘違いさせ、それによって不当に安く土地Xを購入した」という場合を考えましょう。ここで、Aが詐術に気付き裁判所に訴え出て取り消しの決定がなされたとします。ところがここで、取り消し決定の前にBがCに土地Xを転売してたらどうしましょう。ここで、AもCもそれなりに土地所有権に対して言い分があることになってしまいます。こういうときに「無効」と「取り消し」の違いが出てくるのです。
この場合、AとCは「対抗関係」という関係に立ち、「対抗要件」(この場合土地ですから登記ということになりますが)を先に備えたもの勝ちということになります。
そういう面では法律は案外シビアです。Aの言い分ももっとも、Cの言い分ももっとも、そういう場合は「早い者勝ち」の世界に、往々にしてなります。
あとは細かいことを言うとほとんどの場合「無効」はいつでも誰からでも訴えることができるのに対し、「取り消し」は取消権者しか訴えられないとかいろいろありますが…。
とりあえず、「取り消し」には、取り消し前に現れた第3者を保護する規定が何かある、「無効」にはないと理解しておくといいと思います。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
しかし私が思うに、「無効」となるのは錯誤や虚偽表示、「取り消し」となるのは詐欺や脅迫であり、無効となる詐欺や虚偽表示のほうが表意者の帰責性が大きいのではないでしょうか?
虚偽表示については、第三者の保護が94条2項で明示されてはいますが。
つまり、「AがBに土地Xを1000万で売った。しかしその土地Xは実際には2000万の価値があった。その後BはCに2000万で土地Xを売った。」
という場合で、実際にはBの詐欺による契約だとしてもAが「自分が錯誤していたのだから無効だ!」とさえ言えばCから土地を奪い返せるということなのでしょうか?

お礼日時:2007/07/22 14:26

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