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AとBがXを殴っていて、AはBに内緒でXが場合によっては死んでもかまわないと思っていることは、AはXに対して殺人の未必の故意ですか?それともただの故意ですか?

A 回答 (4件)

まず最初に断っておくと、「未必の故意」は「故意の一種」です。

したがって、「未必の故意かただの故意か」という設問はおかしいです。「ただの故意」という発想は刑法理論上ありません。
理論的に区別する場合は、例えば「(不確定的故意の一種である)未必の故意か確定的故意か(確「信」ではありません。確信的故意などという概念は刑法理論上ありません)」という言い方をします。

#いずれも故意であることに変わりはないので情状の問題以外としては法律効果に何の影響も与えません。

「故意とは何か」という話をすれば、それ自体争いがあるわけですが、概ね通説的な説は、簡単に言えば、「自分のやっていることが何だかわかっていて、その結果について是認している」状態を言います。
そこでよくある故意犯というのは、一定の犯罪行為とその結果の発生を「意図して」行う場合です。しかし、時に「結果が起こることはわかっているがそれを意図してまではいない」という場合があります。いいかえれば、「別にその結果を意図しているわけではないが起こり得ることは分かっているし仮にその結果が生じたならそれはそれで構わない」という心理状態。これを「未必の故意」と呼び、「意図している」場合である確定的故意と区別することがあるわけですが、それだけの話です。これもまた「故意犯処罰の対象とすべきである故意である」ということに変わりは一切ありません。

というわけで、「行為者本人に殺す意思がない(死亡の結果が起こると思っていない状態)」のであれば「いかに客観的に死亡しうる状況を"一般的に認識しえた"状態であったとしても故意はない」です。あるといっているのは間違いです。故意というのはあくまでも「行為者本人の内心における認識」の問題であり「一般的にどう認識するかという話ではない」のです(もっとも、訴訟手続き上、事実認定の問題として一般的に認識しえればたとえ本人が否定していてもそれは嘘で実は本人も認識していたであろうという推定は働きます。しかし、これはあくまでも事実認定の問題で、もし仮にその推定が間違っていれば即ち「冤罪」ということになります。故意犯において故意の立証が非常に面倒なのはこういう事情があるからです。一般人基準だけで立証が済むのなら「自白の強要をしてまで故意があったことを示す証拠を収集する」必要はないのです)。

ところで後学のために少し補足をしておきます。
故意の要素として何を要求するか、という話があります。
幾つか学説がありますが、主なところは大雑把に言うと以下の通り。
1.表象説=犯罪事実を認識していれば足りる。
2.蓋然性説=結果発生の蓋然性の認識を基準とする説。
3.動機説=認識が行為者の行為動機となったことを要する。
4.認容説=結果が発生してもやむを得ない程度の認容が必要。
5.意思説=結果発生を望んでいることが必要。
ここで気をつけねばならないのは、「いずれの説も認識は絶対必要」だということです。その上で、「認識のみで足りるか。足りないなら何が必要か。足りるとしてその認識の程度はどうか」という区別が各学説の違いです。従って、設問は若干不明確な部分もありますが、自分の暴行で相手が死亡することが起こりうることを知っていてそれならそれでいいと思っているのですから、5以外の説ではほぼ間違いなく故意があるとなります。ちなみに、「認容しているのだから当然認識している」(認識しないで認容はあり得ません)です。認容云々は認識が前提です。ですから、「いずれの説も認識は絶対必要」なのです(そもそも故意犯の処罰根拠の本質論から言って、認識しない行為に故意責任を問うことはできないのです)。
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いくつかの学説が対立していますが、


とりあえず認容説の立場から判断しますと、
これは未必の故意に当たります。
(他の、たとえば認識説の立場からは、質問文のみでは判断できません)

なお法文上、未必の故意とそうでない故意は特段区別されていません。
どちらの場合でもXを殺せば殺人罪になります。

対するBは、殺人の故意はなかったということのようですので、
暴行・傷害の結果Xが死んでしまった場合、
傷害致死罪が該当するかと思います。
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殴ったこと自体暴行罪であり死亡したら立派な殺人罪です。

確信的故意ですね。
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Aが死んでも構わないと思っているのであれば「故意」です。



未必の故意は、自分では殺す意思がなくても(死んでしまうということを予想していなかったとしても)、状況などから判断して被害者が死ぬことを一般的に予想できる場合などに使われます。

まぁ、、、取り調べなどで本心をいわなかったことによって、未必の故意と認定され殺人罪になることはありますがね。
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