No.5ベストアンサー
- 回答日時:
ローマ帝国では、帝国に反感を示さない限り、宗教には立ち入らない方針を貫いていました。
そのため、ローマ帝国内には、エジプトのイシス神が大ブームを引き起こしたり、オリエントのミトラ教が広く信仰されたり、ギリシャ哲学の流れを組むオルフェウス教などが広まっていました。
ローマによるユダヤ滅亡においては、ユダヤ人がローマに反抗したために起きた事件で、ユダヤ教を弾圧したわけではありません。
マニ教やイスラムの弾圧は、キリスト教がローマの国教となってからの話で、当時のローマ帝国には存在していませんでした。
その中で、キリスト教だけが絶えず迫害を受けていました。
これは、キリスト教が当時の貧民層に広がっていったためです。
従来の宗教が、現世の利益をもたらす事を説いているのに対し、キリスト教は、死後の安泰を求める宗教でした。
現世において苦境にある貧困層にとって、脱出できない現状を捨てて、来世に望みをつなぐキリスト教は、当時唯一縋れる宗教だったため、貧困層に広まっていったと思われます。
現世よりも来世に望みをつなぐ宗教は、当時の為政者には不都合なものでした。
死を恐れないキリスト教貧困者は、為政者のいう事を聞かず、反感や暴動などに簡単に参加する事になります。
こういった危険な宗教に対しては、払底的に弾圧して消滅させるか、体制内に取り込むかしかありません。
コンスタンティヌス帝以前は、弾圧し消滅させる方向でしたが、弾圧せせきれないほど大きくなってしまい、最後には体制内に取り込む事で、キリスト教をコントロールする事になります。
キリスト教の弾圧を行ったのは、
ネロ帝(64年)、ドミチアヌス帝(95年)、トラヤヌス帝(107年)、ハドリアヌス帝(118年)デキウス帝~ヴァレリアヌス帝(250年~260年)、ディオクレティアヌス帝(303年)が、年表に記載されています。
とても詳しい説明ありがとうございます。
ローマが宗教に寛容なのは知っていましたが、そこまで宗教に富んでいたとは知りませんでした。
ギリシアが流行るのは、内容的にも民族的にも自然なことだと思いますが、ミトラ教やイシス神まで流行っていたとは驚きです。
マニ教やイスラムの弾圧はキリスト教国教化の後なんですか。
納得です。
きちんと歴史を勉強していなかったので(学校のテストという意味でなく)、何故宗教に寛容なローマが弾圧など…と思っていたら、キリスト教が国教化していたんですね。
それにしても、弾圧をした皇帝は多いですね。
ネロ帝、ディオクレティアヌス帝くらいしか知りませんでしたが、こんなに多かったとは思いもしませんでした。しかも、結構有名な皇帝ばかりですね。
回答ありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
実はこの件については「クリスチャン側の問題」の方が大きいのです。
ローマは元々多神教国家ですから、国民がどんな神を信仰しようが迫害したりしません。その為にローマではゲルマンの神々とギリシャの神々と言う全く由来の異なる神が習合され同一視される事まで起きている位です
例:ギリシャ-ヘルメス&ゲルマン-オーディン→ローマ-メルクリウス
ではなぜキリスト教ばかりが(正確にはユダヤ教も)迫害されたのか。
それはユダヤ-キリスト教が「一神教」だからです。
ローマ皇帝としては国民が何を信仰していようが、国民の義務さえ果たしていれば問題ではありませんでした。国民の義務、すなわち納税や兵役、それから「神の代弁者として皇帝を指示する事」、「他の神々を信仰している民を尊重すること」などです。
しかし、クリスチャンはこれらを拒絶しました。特に初期クリスチャンは原理主義的(当たり前ですが)ですから、ヤハウェ以外の神を是認する事、一国家の旗に敬意を表す事、ましてやヤハウェ以外の神を信仰している民を尊重する事など、考えられなかったのです。
※事実、何度もキリスト教を懐柔する皇帝からの布告が出されています。
何度形だけでもこれらの事を行う様にと言う皇帝からの布告を無視し続けた為、国民からの圧力に屈する形でローマ皇帝は「キリスト教を迫害せざるをえなくなった」のです。この迫害は当然ですがキリスト教が少数派でなくなるまで行わざるをえなかったのです。
どんな国家の専制君主であっても、国民の支持が無くては政治を行う事は出来ません。国家元首と言うのは「良くも悪くも国民の代表者」なのです。
納得しました。
というか、以前似たようなことを本で読んだのに思い出せなくて困っていたのですが、全く同じことを書いてくれたのでとても助かりました。
1つの神しか信じないというのはやはり治安上好ましくないですよね。
事実、キリスト教徒のせいでギリシアの叡智が失われたわけですし、オリンピックも禁止になりましたし…
ただ、皇帝の布告が実は市民からの圧力というのは初めて知りました。
独断でなく、半ば圧力、市民からの要望によるものだったのですね。
もやもやがとれて、すっきりしました。
ありがとうございます。
No.2
- 回答日時:
私も世界史を少しかじっただけですが、現代の政治でも似たような事例はあります。
ローマ帝国では、当初、キリスト教は庶民に広がった新興宗教です。
そのため、支配階級や帝国への忠誠や社会秩序に対立しかねない状況に陥ったからではないでしょうか?
しかし、ローマ帝国はキリスト教を公認し、それ以後のヨーロッパ世界ではキリスト教は、当初の姿から権威に変わっていきます。なので、同じ宗教でも政治的、社会的な役割が大きく違っている点に注意するべきです。
基本的に中国の法輪功への迫害も似たような理由です。また、中国がカトリックを管理し、ローマ法王の権威を認めない信者組織を作らせたのも、共産党や政府の権威を無視する信者を作らないためです。
まぁ、法輪功がキリスト教ほど広がるとも思えませんが。。。
No.1
- 回答日時:
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
似たような質問が見つかりました
- 歴史学 世界史Bの問題です。 問題文は「十字軍について論述しなさい」です。 改善すべき点をおしえてください。 4 2022/05/22 23:52
- 宗教学 本当の原始キリスト教を忠実に受け継いでいるのは『東方正教会』ですよね? 2 2022/06/24 18:18
- 戦争・テロ・デモ ゼレンスキーがロシア正教会を禁止にしたのは、何を破壊したいから? 2 2022/12/03 05:40
- 歴史学 ヒトラーのコンプレックス 3 2022/12/07 08:50
- 宗教学 バチカンの教皇は、国家や民族が無くなることに賛成? 1 2022/12/07 12:29
- 歴史学 中世ヨーロッパに度々出てくる「教皇位」というのは一体何でしょうか 各地で各帝国の勢力図が大小に様変わ 4 2023/06/24 16:40
- 心理学 ゼレンスキーの深層心理 4 2022/12/03 06:18
- 世界情勢 ローマ教皇は何しにロシア行ったんですか? 2 2022/05/08 18:40
- 倫理・人権 世界で弾圧や迫害を作り出してるのは、誰なんですか? 1 2022/12/02 07:20
- 世界情勢 ユダヤは、ローマ帝国の「双頭の鷲」の紋章を使っている国を滅ぼし征服したいのでは? 2 2022/12/06 08:43
おすすめ情報
デイリーランキングこのカテゴリの人気デイリーQ&Aランキング
-
なぜ、かつての巫女は呪術など...
-
教皇の権威
-
もしも キリスト教がなかったら...
-
戦国時代のキリスト教とゼウス...
-
エルサレムに、なぜ3宗教の聖...
-
キリスト教が布教活動が盛んだ...
-
昔の人って本当に神様を信じて...
-
なぜ宗教は信仰する人々の考え...
-
ユダヤ教について
-
スペインでのマリア様信仰
-
ヨーロッパでキリスト教がひろ...
-
魔女狩り
-
世界史で「なぜイスラーム教は...
-
''異端''の意味を、簡単に説明...
-
天動説・地動説について教えて...
-
鬼っ子とは?
-
キリスト教とユダヤ教の神様に...
-
旧約聖書のイスラエルの民の宗...
-
キリスト教の偶像崇拝について
-
ヨーロッパ カトリック教会
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
-
教皇の権威
-
戦国時代のキリスト教とゼウス...
-
エルサレムに、なぜ3宗教の聖...
-
鬼っ子とは?
-
もしも キリスト教がなかったら...
-
昔、19世紀以前のヨーロッパの...
-
聖書の神ヤハウェと洪水起こし...
-
キリスト教の偶像崇拝について
-
イスラエルに3つの宗教の聖地...
-
スペインでのマリア様信仰
-
キリスト教と自然崇拝について
-
キリスト教カトリックは一神教...
-
「時」をつかさどる神っていま...
-
働くのは卑しいこととされた時...
-
キリスト教が布教活動が盛んだ...
-
なぜイスラム教の礼拝日は金曜...
-
世界史で「なぜイスラーム教は...
-
エヴァ エホヴァ イフリートの...
-
キリスト教が世界中で信仰され...
-
イスラム教徒の信仰心が強い理...
おすすめ情報