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私の持っている参考書には
「固体を加熱していくと,ある温度で液体への状態変化がおこる。融点とは融解がおこる温度であるとともに,固体と液体が共存し,両者が固液平衡の状態にあるときの温度でもある。」
と書かれています。
ここで、温度が融点に達して融解が始まり、そして固体全部が融解し終わるまでに、時間がかかると思います。
その間、固体と液体が共存しているのは分かるのですが、ずっと固液平衡の状態なのでしょうか??
だんだんと液体が増えていき、最後には液体だけになるのに、固液平衡なのでしょうか??

A 回答 (3件)

>では、加熱している時は本当は固液平衡の状態ではないという


>ことでしょうか??

そのご質問への回答は下手にすると長くなって混乱してしまう危険が大きいですね。
話を単純化して考えてみます。相の間の平衡は各相の化学ポテンシャルが等しいということです。今の場合
μ(s)=μ(l)...(1)(ここでμ(s), μ(l)はそれぞれ固相、液相の水の化学ポテンシャル)
です。
今の例ではこれが本当は成り立っていないから全部水に変わるということです。

圧力一定のもとでの化学ポテンシャルの温度変化は、
(∂μ/∂T)(P一定)=-S<0...(2)
ですから、化学ポテンシャルは温度があがればさがります。勾配の大きさに対応するS(エントロピー)は、
S(s)<S(l)<S(g)...(3)(ここでs, l, gは固体、液体、気体に対応)
になることは物質の性質からも理解できます。また、横軸にT、縦軸にμ(s),μ(l),μ(g)をとった場合、μは勾配を-Sとする負の勾配の直線になります。温度が下から上に行くにつれμ(s),μ(l),μ(g)が一番小さい値になるからs→l→gと相転移します。ここでもし固体のS(s)(勾配)がS(l)よりも大きかったら、温度が上がってμ(s)のラインがμ(l)のラインとぶつかっても、μ(s)の方が急勾配の直線で落ちていきますから、液体のラインに乗り換えることはありません。よって(3)の大きさの序列になることはあきらかです。

固液平衡は、融点Tmで緩い勾配の固体のμの線が、もう少し急な勾配の液体のμに交わるところです。しかし加熱の結果、水温は、ほんのすこしTmより高いところにあるから、水の化学ポテンシャルがほんの少し氷よりも小さくてみんな水になってしまう。つまり化学ポテンシャルが水と氷で微少量ずれているから平衡ではないと考えられます。

また、別の見方として、エントロピーで考えます。融解は融解熱を吸収しますし、凝固は凝固熱をだします。両方が同じ速度でいくのなら、吸熱も発熱もなく、固相、液相の量も変わりません。融解が多くすすむのなら、熱量を供給しなければなりません。それは周囲よりの加熱と内部伝熱によります。加熱は微小ながらも温度差を必要とします。高温から低温へ熱が流れればエントロピー生成があります。(温度の逆数の差に熱量をかけた量です。)エントロピー生成があるなら平衡ではない、ということです。(もし、完全に温度差ゼロで熱が供給できるのなら勿論平衡成立ですが、それは不可能ですね。)
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水の状態図の場合、縦軸平衡圧、横軸温度で固液平衡線は三重点からほぼ垂直に立ち上がっています。

即ち、三重点より上の任意の圧力の下で、固液の二相が共存させられるのは温度ほぼ0℃の線の上だけです。この条件のもとで任意の割合で水と氷をいれて放置したら、そのままで留まります。
さて、質問者さんの訊かれているのは、”最後は水に変化するものなのに、もと固液平衡は平衡だったのか”と聞こえるのですが、もしそういうことでしたら、質問者さんの例では系を加熱していて真の平衡でなく、供給された熱により水が昇温し、温度が上がった水が対流し、氷の融解の潜熱につかわれて、最後に全部水になるのです、というのが答えと思います。加熱が遅いから系全体が0℃近くつまり平衡に近いところに留まるので、急速加熱なら、下は沸騰温度の水、上が0℃の氷ということにもなりえるでしょう。

この回答への補足

回答ありがとうございます。
では、加熱している時は本当は固液平衡の状態ではないということでしょうか??

補足日時:2008/07/31 18:54
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最後には液体だけになるのに、固液平衡ではなく、引用しますが


「液体を加熱していくと,ある温度で気体への状態変化がおこる。沸点とは蒸発がおこる温度であるとともに,液体と気体が共存し,両者が気液平衡の状態にあるときの温度でもある。」
なので,融点以降は気液平衡です
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