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よく、登記した抵当権には追及力はあるという表現が教科書に出てきますが、追及力って、何か条文上の根拠はあるのでしょうか?

要するに、抵当権の目的不動産が売却されて、第三者の手に渡っても、被担保債権に不履行があれば、そのまま抵当権実行ができるということですが、内田先生の教科書でもいきなり「抵当権には追及力があるから」の一言で、根拠条文も定義もなく、言葉だけが登場するので、とても違和感があります。

もし、ご存じの方がいらっしゃったら、助言いただけると助かります。

A 回答 (1件)

簡単に言えば、物権の本質的効力であり、制度上は対抗力の実体的な効力だと思えばいいです。


担保物権も物権である以上、原則として誰にでも主張できるのですから、抵当権は所有者が変わってもその効力は新所有者に主張できるのが本来です。つまり、追及効とは、所有権の帰属(と占有がどうなっているか)に関わらず物権的効力は主張できるという物権の本来的な効力です。ただ、取引安全の見地から対抗要件を要求しているだけで、それが抵当権においては登記。従って制度上は、対抗要件を備えて対抗力を有する場合に主張できる物権の本質的効力という意味で、対抗力の実体的な効力。

ただし、占有質においては対抗力は占有によって生じる(占有が効力要件の場合でも占有により対抗力があることは同じ)ので「追及」ということを考える必要がありません。第三者対抗力を主張できる場合には権利者に占有があるのでそこで「追及」という発想をする必要がありませんから。結局、追及が問題になるのは担保権者に占有がないから。
そうすると実際には非占有質である抵当権と先取特権くらいでしか問題にならず、動産先取特権は追及効がないことが明文で規定してあるのでそれ以外の抵当権と不動産先取特権でしか問題になりません。

条文上の根拠をあえて上げるなら、動産先取特権のような追及効を否定する規定(333条)が"ない"こと。
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この回答へのお礼

大変、的確なご回答ありがとうございます。

物権の対世効+対抗力の組み合わせだけの考え方で、
その中には特殊な要素はなにもないということがよくわかりました。

なにか、抵当権だけに突然、前触れもなく「追及力」「追及効」などという、いかにもという雰囲気の用語が出てくるわりには、教科書に説明がないので、引っかかりました。

個人的には、追及力とか追及効とかいう用語は紛らわしいので使わない方がいいような気がしました。

ありがとうございました。

お礼日時:2008/08/19 12:51

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