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私は関西出身者です。年寄りを中心に「こんな『夜さり』に出掛けたら危ないで」など「夜さり」という語を用いることがあります。

関西出身者として、「夜さり」の意味は分かっています。「夜分」ってことですよね。幼いころは「夜が去るころ≒明け方」と勘違いしていたものです(笑)。辞書によると古語らしいですが、関西では立派に現役です。高知の「よさこい祭り」の語源でもあるそうですね。

さて、それはともかく、手元の辞書によると「夜さり」の意味として、

>(「さり」は、来る、近付くの意を表す動詞「去る」の連用形から)「夜になったころ」。

とありました。

意味自体はよいのですが、私は「夜さり」とは(先述の子供のころは除いて)「夜更り」(夜が更ける)ということだと思っていました。「更る」で「さる」とは通常読みませんが、例えば「更に」(さらに)や「更科」(さらしな)などとも読むからそこから来たのかも、と一人勝手に納得していました。でも、辞書に「去る」から来たとあるのだから、まあそうなのでしょう。

それよりも気になったのは、そもそも「去る」には「来る」や「近付く」という意味が本当にあるのでしょうか?普通とは逆の意味ですよね。

ちなみに、同じ辞書の「去る」の語を見ても、そのような意味は載っていませんでした。

「来る」や「近付く」という意味で「去る」を用いる例で、「夜去り」以外のものがあればぜひ知りたいと思い、質問した次第です。よろしくご教示のほどお願いいたします。

A 回答 (6件)

万葉集に「春さり来れば」という例がありました。


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うちなびく 春さり来れば 小竹の末に 尾羽打ち触れて 鴬鳴くも(作者未詳)
冬ごもり 春さり来れば 鳴かずありし 鳥も来鳴きぬ・・・(額田王)
冬ごもり 春さり来れば あしひきの 山にも野にも 鴬鳴くも(作者未詳)
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時代が下って、良寛さんにもこんな歌がありました。
「あづさゆみ 春さり来れば 飯乞ふと 里にい行けば 里子供 道のちまたに 手鞠つく・・・」
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この回答へのお礼

早速のご回答ありがとうございました。「春さり来れば」ですか。素敵ですね。どうやら季節や時間の「移動」という意味があるようですね。大変参考になりました。

お礼日時:2008/09/30 09:16

>そもそも「去る」には「来る」や「近付く」という意味が本当にあるのでしょうか?



>「来る」や「近付く」という意味で「去る」を用いる例で、
>「夜去り」以外のものがあればぜひ知りたい

たしかに現代の感覚では違和感がありますね。
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●まずは『広辞苑』(第5版)から。

「去る」(自五)の項には、

 (常時そこに存在するものが、共に存在するものの意思・感情にかかわりなく)移動する。
 古くは、遠ざかるにも近づくにもいう。

とあり、第一の語義として

 (時・季節などが)移りめぐってくる。
 万葉集1「冬ごもり春―・り来れば」。
 万葉集15「夕―・ればひぐらし来鳴く生駒山」

とあります。
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●次に、旺文社『古語辞典』(改訂新版)を引っ張りだしてみると、

「去る」の項では、第三の語義として、

 (季節や時を表す語に付いて)近付く。来る。
 「秋―・らば見つつ偲へと妹が植ゑし庭の石竹花咲きにけるかも」<万・三・四六四>
 「ぬば玉の夜―・り来れば」<万・七・一一〇一>

とあり、[参考]として

 「さる」の原意は「時間的にも空間的にも進行する、移動する」意である。

 ……の用法は「夕されば」「春されば」など已然形を用いた特定の用例が多く、
 未然形・連用形の用例は少なく、終止形の用例は見いだせない。

とあります。
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「さる」には「来る」や「近付く」といった意味が確かにあるけれども、
 ・季節や時を表す語に付いて
 ・特定の語形で使われる
 ・古い用法
ということのようです。

以上ご参考まで。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。もともと基点から近付こうが離れようが関係なく、要するに「移動する」という意味だったんですね。とても身近な言葉なのに、意外な語源を持っていたものだと驚きました。

お礼日時:2008/09/30 09:19

旺文社古語辞典から


【去る】
1.離れて行く。遠ざかる。 以下略
2.(季節や時を表す語に付いて)近づく。来る。 
(金葉)秋「夕去れば門田の稲葉おとづれて葦のまろやに秋風ぞ吹く」
3.変化する。移り変わる。 以下略
4.退位する。退く。 以下略
以下略

上の2.が、それですね。
その辺のことを書いた解説を以下に書きます。

進行する、移動するが原義。現代語ではもっぱらこの場を基点として移動する意で用いるが、上代以来2.のそれまで存在していた場を基点として移動する(この場から見ると近づく)意でも用いる。この用法は、中古以降、「春さる」「夕さる」のほか、「夜さる」の連用形名詞「夜さり」(←出てきました(^-^ ) など、固定した表現にだけ残った。
なお、座ったまま膝で進む意の動詞「ゐざる」(ラ四)は「居去る」で「去る」の原義が生きている。
(動詞だけでなく、差別用語の名詞にも生きています(^-^ )

辞書の丸写しで恐縮ですが、小生が下手な解説をするよりもいいと思いましたので、そうしました(^-^ 。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。
>進行する、移動するが原義。現代語ではもっぱらこの場を基点として移動する意で用いるが、上代以来(2.の)それまで存在していた場を基点として移動する(この場から見ると近づく)意でも用いる。
・これが最も分かりやすい解説ですね。なるほど、基点ですか(「場」だから「基点」ですが、考え方次第では「視点」といってもいいかも)。自分中心ではなく相手中心の視点ですね。う~ん、深い。日常生活でもこの視点は大切にしたいものです(笑)。

お礼日時:2008/09/30 09:28

ANo.3です。


>「来る」や「近付く」という意味で「去る」を用いる例で、「夜去り」以外のものがあれば・・・。

同じ言葉でも、基点が変れば違う意味になるという例をお一つ。

「いらっしゃる」は、「行く」「来る」「いる」の三つの言葉の尊敬語になっています。
お客が「来る」=お客の側からすれば、「行く」
お客が来て部屋に「居る」=お客の側からすれば「行って、入って、坐って居る」です。

「いらっしゃる」の元は、江戸時代にできた「いらせらる」ですが、平安時代の「おはす(おわす)」も、「行く」「来る」「いる」の尊敬の言葉です。
現代語の「おいでになる」も、「行く」「来る」「いる」の敬語に使えます。

昔の日本人は、自由に基点を変えられる、すなわち他人の立場で考えられる頭のいい人々であったに違いありません(^-^ ) 。
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この回答へのお礼

重ねてのご回答ありがとうございました。
>他人の立場で考えられる
・あ~、これです。No.3の「お礼」に書いた「日常生活でも大切にしたい視点」とは。社会人や大人にはこういう視点が不可欠ですよね。「思いやり」にも通じます。おっと「去る」からはずいぶん離れてしまいましたね(笑)。大変勉強になりました。ありがとうございました。

お礼日時:2008/09/30 09:32

たびたびお邪魔してすみません。


これは読みやすくて面白いです。
 ↓ ことばの虫めがね
http://homepage3.nifty.com/motokiyama/kotoba/kot …

よさこい節の「よさこい」は「夜さり来い」とのことです。
そんなこと全く知らずに、何十年も蛮声を張り上げて歌っていました。
(「うさぎ美味しかの山」を笑えません)

よさこい節
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%88%E3%81%95% …

関西の方なら「いぬ【去ぬ/往ぬ】 」は、最初に覚えた古語ではないでしょうか。
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この回答へのお礼

重ねてのご回答ありがとうございました。分かりやすいサイトをご紹介いただき感謝いたします(質問文にもあるように「よさこい」については知っていました)。「いぬ」も古語だったんですか?単に方言だと思っていました。ほかに、まわり(準備)、おとろしい (面倒くさい)、もむない (まずい)、あんじょう (うまく)、てんご(いたずら)など懐かしい言い方がありますが、古語か方言かの判別は私にはできません(笑)。(分かる方は分かるかもしれませんが、出身地は奈良県です)
ちなみに、今にして思うと、最初に覚えた古語は「たばる」かも。これは広辞苑に載っていたのを見た覚えがあります。意味分かります?「仏さんのお茶、たばってきて」(仏壇にお供えしたお茶を下げてきて)という感じで、今でも実家では使っています。

お礼日時:2008/10/01 12:43

またまたお邪魔します。


「よさこい」は質問文にありましたね。
近頃は質問文をチョッと見て、これは自分に答えられそうだと思うと、ロクに中を見ずに(他の回答者に先を越されまいとして(^-^ )、あわてて回答してしまうことがよくあります。
また、質問文を勝手読みして、トンチンカンなことを言ってしまうこともあります。だいぶん耄碌してきました(苦笑)。
小生、和歌山や大阪南部に住んでいたことがありますので、その辺りの言葉は概ね理解できますが、奈良はどうでしょうか。

・まわり(準備):知りません。古語辞典になし。準備というのは、本番の周りのことをチャンとするという意味がありますので、そういことかな?
・おとろしい (面倒くさい):和歌山では恐ろしいを「おとろし」と発音していました。「恐ろしい」も「怖いも」区別なく、みんな「オトロシ」です。
・もむない (まずい):知りません。古語辞典にもありません。
・あんじょう (うまく)、これは今の辞書にありました。「あぢ(味)よく」の音変化らしいですね。
・てんご(いたずら):これは和歌山にもありました。「てがう」という動詞もありました。ちょっかいを出すという意味でした。
・たばる:全く知りませんでした。古語辞典を引きましたら、上代語「賜ばる(たばる)」「給ばる(たばる)」で、「たまはる(たまわる)」の前の言葉ですね。さすが奈良です。

標準語と方言と古語の境界は、あいまいでよくわかりません。
とくに関西の言葉は、都が東京に移るまでは、標準語(都の言葉)であったはずですから、「関西地方の方言」だといわれると、関西の人はムカッとくるんじゃないでしょうか。
方言というのは、「むかしことば」の宝庫だと思います。
交流の激しい都会は言葉はドンドン変化します。田舎は昔の言葉がそのまま残ります。柳田國男の方言周圏論の通りです。
琉球、八重山には「たばる」のような言葉が沢山残っていると聞いたことがあります。
方言というのは「塩湖の魚」のようなものでしょう。
昔は海であったところが隆起して陸地になったとき、海底のくぼんでいたところが、塩湖になったということです。
そこの魚は、大海の魚と交わることなく、古い形のまま残ったり、独自の進化を遂げたりしているとのことです(塩湖の魚の話は、又聞きのその又を、何回も繰り返した後の又聞きですので、責任は持てません。方言の話をするときは、これを持ち出すとみなさん納得したような顔をしてくれます(^-^ )。
脱線してきましたので、この辺で。
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この回答へのお礼

何度もありがとうございました。
>まわり(準備):知りません。古語辞典になし。準備というのは、本番の周りのことをチャンとするという意味がありますので、そういことかな?
・語源としては「本番の周り」もあるかもしれませんが、「自分の身の回り」という意味もあるかもしれません。ただ、以前住んでいた岐阜県では「まわし」と発音していました。そういえば岐阜にいたころ、私の結婚予定を知っている取引先の担当者との雑談中、「『嫁まわし』はもうしたのか?」と聞かれ驚いたことがありました。「結婚準備はもうしたのか?」という意味で、実際のところ結婚準備は順調だったのですが、私は一瞬、江戸時代以前のある地域で実際にあったといわれる「新郎の友人たちが新婦を輪姦することで、新婦が後ろめたさを持ち、良心の呵責に堪えることで、結果的に新郎に対する忠誠と貞操を誓わせる」という凄まじい因習を連想してしまい、「えっ?ま、まだです(汗)」「そりゃいかんわ。そろそろやっとかな間に合わんわなぁ」「ま、マジっすか?(泣)」「あったり前やろ。何言っとるの」「・・・(絶句)」という全くかみ合わない会話をしていたことを思い出しました(笑)。ちなみにその後、「まわし」は、ひょっとして「根回し」の語源かも?とも思いました。つまり「根=水面下」で「まわし=準備」する。しかし、語源辞典では「木を移植する際に周囲をあらかじめ掘って根を一部切り落とし、細根を発達させておくことから、意味が転じた語」とありました。残念。

お礼日時:2008/10/02 16:48

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