No.6ベストアンサー
- 回答日時:
これはまた興味深いテーマですね。
竜は西洋的なイメージとして、また、龍は東洋的なイメージとしてあるようだとのご指摘は、なるほどと思いました。この違いは一体どこからきたものでしょう?私も大いに気になったので、ちょっと調べてみました。Dragon の起原を遡ってみると、古代バビロニアの天地創造叙事詩である Enuma elish が Dragon に関する最古の記述ではないかと思われます。
Enuma elish はバビロン第1王朝前後にシュメールから継承されたものと言われていますので、B.C.1700年頃には存在していたようです。
この Enuma elish によると、世界が混沌としていた原初に海水を表わす女神ティアマト(Tiamat)が現れます。ティアマトは水の神という位置付けのようで、その形は海で体をくねらせる蛇(ドラゴン)、または7つの頭を持ったドラゴンの姿をしていたとも言われるそうです。
この話では、ティアマト即ち竜は悪竜であり、善の神々によって倒され、その血肉から天地が創造されたとしています。
では、ギリシャ神話ではどうかと調べてみますと、こちらはテュポーン (Typhon) という神が出てきます。
テュポーンはギリシア神話の中で、もっとも強く恐ろしい神で、台風 (Typhoon) の語源ともいわれています。下半身は大蛇、上半身はたくましい男ですが、頭の代わりに100のドラゴンの頭がはえ、その目からは雷や炎を発する悪竜の姿だそうです。日本の天狗はテュポーンの変型とも言われています。
テュポーンには女性竜エキドナ (Echidna) が与えられました。エキドナは、半身が美しい顔をした若い女性であり、もう半身は恐ろしい大蛇であったようです。このテュポーンとエキドナの間にはスフィンクス (Sphinx) や、金田一少年の事件簿にも登場した地獄の番犬ケルベロス (Cerberus) などが生まれます。
西洋の竜を調べてみても、竜と龍の違いは出てこないようなので、今度は中国の龍を調べてみました。
中国では、龍は地上の水(海、湖、池、川)の支配者であり、また、地上に雨となって降る天の水、雲や風、稲妻や雷の支配者であるとされているようです。
中国における皇帝たちの祖先であり一番最初に出現した神とされるのが伏義と女禍です。彼らは人間の如き上半身と蛇の如き下半身とを持つ龍神だそうです。中国では龍は神の力を持つ生物として崇められていました。
ティアマトが水の神であったことと比較すると、水というのは龍の重要なキーワードのようです。ただ西洋の竜と違うのは、中国を始めとした東洋では、龍は悪ではなく、比較的肯定的な意味を持つということです。
さて長い前置きはこれくらいにして、実際に龍の字が出現したのはいつ頃かと調べてみますと、『龍という字をあらわす甲骨文字』が紀元前1700年頃にあるようです。
ということは、竜ではなく龍という文字が最初にあったのかな?と思って甲骨文字の画像を検索してみますと、私の目には現在の龍という文字には似ても似つかないただの Dragon の絵柄のように見えました。これは龍という文字ではなく、龍(竜)の絵の象形文字という意味に捉えたほうがいいのかなと思います。
尤も、私は素人ですから、専門家の方が見れば龍の字なのかもしれません。辞書によると『龍が正しく、竜は略字である』と記載されているものもありますが、字の形だけを見ると竜の方が実象に近いかなという気もするので、先に竜の字が出来たのではないかという気がしました。
そこで、しつこく検索していきますと、故宮博物館に収められている殷~西周時代の金石文(甲骨文字を含みます)の中から龍の文字を集めた『龍在故宮』という書が見つかりました。
これによりますと、古い時代のものは(私の目には)『竜』の字に似ているように思えます。現在の『龍』の字に似ているものはやっと紀元前8世紀頃に登場しているようです。
従って(全く私の想像ですが)、『竜』の文字が古く、『龍』はずっと後の時代に作られたと考えるのが自然かなという気がします。
『龍は、みずち龍やら何やらいろんな物が居るらしい』というのは、よくご存じですね。
龍は千年ごとに成長すると言われています。
蟠(ばん。最下位の龍で、天にも昇れない)
↓
蛟(みずち。鮫龍・水霊とも書く。大蛇のこと)
↓
虹(古代、虹は龍の一種で恐ろしいものと考えられていました。虹が美しいものであるというのは、近代になってからのことです。虹が虫へんであるのもそのためです)
↓
蜃(しん。蜃龍は気を吐いて蜃気楼を見せる龍)
↓
龍(最高位ですべての特性を持つ)
(尚、龍のランクは諸説があるようです)
どうもまとまりのない文章になってしまい、申し訳ありません。興味あるテーマを自分なりに調べてみて、楽しかったです。学説等については当方は全くの門外漢であり、自信はありません。誤りが多々あると思いますが、ご容赦ください。
有り難うございます。実は 私も大学のとき、「文字工学」という授業でレポートを書いたのですが、昔の中国の皇帝がワニに乗ってきたとか、太陰の絵も蛇、龍がお互いの尻尾をかみ合っているとか、ラーメンのお椀の模様は実は龍だとか、いろいろ出てきました。本当に奥深いです。
No.8
- 回答日時:
「大漢語林」(大修館書店)
常用漢字の竜は省略体による。
「新字源」(角川書店)
常用漢字竜は省略形の俗字による。
「角川漢和中辞典」(角川書店)
新字体(竜をさすと思われます・kimosabe)は俗字。
以上手許の漢和辞典の説明です。
ためしに龍の右側の部分を「し」のような形に省略して、左側の月の部分と重ねてみてください。「竜」に似た形になります。
というわけで、「竜」は「龍」を省略した字体で、意味の違いは無いと考えてよいでしょう。
No.7
- 回答日時:
漢和辞典で引くと、「瀧」は「滝」の旧字体となっていますが、どちらが「正字・略字」とも記されていません。「龍」と「竜」もそうで、わたしが引いた漢和辞典では、どちらが正字、他方が俗字または略字とはありません。
「解字」として、「会意・形声」文字であるとして説明が載っているのは、「龍」の方です。それによれば、左の部分は、「立」と「月」からできており、「立」は「童」の略で、音を表し、「月」は「肉月」で肉を示し、右の部分は、「肉が飛ぶ様」を示すとなっていますが、どうも変な解字です。
別の説明では、頭に角があり、口を開き、足のある長身の蛇の姿を表したものだと説明しています。「頭の角」というのは、「立」の上の部分だとすると、この下に口があり、長い蛇の身体だと、それは「甲」に似た「竜」の「立」より下の部分のようにも思えます。また、「龍」の右の部分が、とぐろを巻いた長い身体なのかとも思えます。
「龍」の方が古い字のように思え、「龍」が正字で、「竜」が俗字ないし略字のような気もするのですが、漢和辞典にはそうは書いていません。仮に、そうとしても、「正字」だから古い字だとは限らないのです。正字と俗字の区別は、主に、康煕帝辞典での区別で、後世のある程度恣意的な区別です。
龍は、天候、ときに雨と関係があると思うのですが、漢和辞典では、この文字単独では、関係性が述べられていません。「蛟龍(こうりゅう)」は、「蛟」が「みづち」で、水に棲む龍なのですが、この場合は、天気の雨雲などと関係します。しかし、龍自体は、漢和辞典で見ると、特に水とは関係がないように見えます。
ただし、調べている漢和辞典で、単に記載していないだけという可能性が高いです。何故なら、「瀧・滝」を調べると、扁のさんずいは水ですが、それ以外に、「龍」という字に、「かすか」という意味や、「水・雨がぽたぽたと落ちる」意味があると載っています。
そんな意味があるとは、「龍・竜」の漢字の意味説明では書かれていません。しかし、「瀧・滝」で、そういう意味があると出てくるのは、何か根拠があるからでしょう。
元々、竜や龍は、蛇の変形と考えられ、水辺にいるのが自然と思えます。
以下のURLには興味深いことが記されていますが、何を根拠・典拠にそういうことを書いているのか、明確でありません。従って、こういうことを述べている人がいるということですが、確かに納得できるところがあります。
つまり、「竜」には、「鰐」のような意味があったはずだと思うのです。「竜」の字の形は、「鰐」の姿に似ているのです。頭部がとがり、尾が巻いているというか、カーヴしているのは、鰐の姿で、「甲」の部分は、鰐の背中の鱗模様のようにも見えます。また、実際、中国の南の方には、鰐がいて、これを「竜」と呼んでいたようです。
参考URLは、「竜」と「龍」は別の漢字であるのみならず、別の意味で、「竜」の方が、遙かに古い字だと主張しています。そして、「竜」という字が示す架空の動物のイメージこそ、普通に考える「竜・龍」で、「龍」という漢字は、どういう動物なのか、イメージがはっきりしないと述べています。
「龍」は、水辺にいる、「大きな蛇」というような意味だろうと参考URLの筆者は述べていますが、果たしてどうなのかです。
ただ、「瀧」は、「滝」の旧字体とされているということは、「滝」は古くは「瀧」であったということで、「龍」には、水がぽたぽた落ちるというような意味があり、そこから「瀧」ができ、これが簡略体として「滝」になったと考えるのが自然なようにも思えます。ただし、よく分かりません。もっと詳しい、大きな漢和辞典などで調べないと分からないと思えます。
(なお、別の方が、この文章を書いているあいだに回答されたので、別のことを記しますが、甲骨文字での字形では、確かに「竜」に近い形に見えます。また、このことを根拠に、参考URLでは、「竜」の字の方が古いということになるのだと思います。
ただ、龍・竜や蛇・蛟・虹などを混同して考えるのは、どうであるかという疑問があります。龍は水や天候に関係するはずであるが、漢和辞典の記載では、そういうことがない、と述べているのは、「竜・龍」の基本的な意味からは、そういう関係がなく、虹などとの関連が付けられたのは、龍を至上の王者生物として、皇帝などにたとえてから、龍の身分の上昇階梯などが作られたのではないかとも思うからです。
また、世界中にあるドラゴンまたはその類似想像動物と龍・竜を比較するのは興味深いことかも知れませんが、西欧のドラゴンも、その他の文化のドラゴン類似生物も、深層心理学的には、「無意識の力」の象徴であり、それは自然の暴威の象徴であり、ギリシア神話のテュポーンとか、オリエント神話のティアマトなどは、こういう自然の力を人間が克服したという神話で出てきます。
中国の「伏義と女禍」にしても、神聖な龍というより、むしろ、無意識の怪物であり、河川を氾濫させて人間がそれと闘う怪物であるということになります。それに対し、竜・龍は、聖獣で、吉瑞動物であり、「めでたい動物」なのです。
従って、「龍」を問題にする場合、色々な文化での「原初の大蛇(これがドラゴンやテュポーンです)」とは区別する必要があります。十二支でも、「辰(龍)」と「巳(蛇)」がいる訳です。
また、中国の神話では、氾濫する河川である自然の暴威の力を統制した、つまり治水したのが、太古の聖なる帝で、その子孫乃至役割を継承するのが歴代皇帝で、皇帝が龍に比されるのですから、太古の悪をなす大蛇と、龍は違う存在だと考えなければなりません。
西欧のドラゴンは悪い動物に対し、中国の龍は、めでたい動物だというのは、意識・無意識での把握意味で、違った意味を持つ動物だからです。「悪をなす大蛇」が龍ではないということです)。
>Short Stories
>http://www5d.biglobe.ne.jp/~miya_mk/box/oka/oka_ …
参考URL:http://www5d.biglobe.ne.jp/~miya_mk/box/oka/oka_ …
No.5
- 回答日時:
そういう時、女は黙って漢和事典!(すまん、古くて(^_^;))
……で、引きました。そうすると「龍は竜の旧字体」という説明でした。つまんないですね。
わたしは意味の区別はないと考えています。
今から長いときがたてばそれぞれ別の意味を表すようになるかもしれない/それともずっと以前は使い分けがなされていたかもしれないのですが(言葉は変わっていくものですからね)現行ではとりあえず「意味の違いはないんだ」と考えていた方が無難かもしれません。リュウ好きの方はわりあいこだわりを持って「竜」を使う人、「龍」を使う人分かれているようですね。
この質問を最初に見た時、わたしも#4さまがおっしゃった、田中芳樹の創竜伝のその記述を思い出しました。
常々気になっていたので、これを機会にちょっと見てみたのですが、おそらく(わたしの理解では)
文字の黎明期に絵文字のごときもの(甲骨文字)として書かれた「リュウ」を表す文字は、しっぽがヒュッと伸びているところなど、より「竜」の形に近い。しかし漢字として確立したのは「龍」の方なのではないかと。(なのでどっちが「字」として早いというのは考えようによる……(^_^;)「漢字として」なら……)最古の字書といわれる(らしい)「説文解字」(漢代成立)には龍の字で載っているようです。
更に「竜」が他の漢字の部分を構成することが少ないこともあり、(龍は聾・襲・壟・籠などわりと多い)龍が古いかなという感じは受けます。
後半は少々脱線しましたが、以上で終わりますm(__)m。
有り難うございます。
龍の立の字は角をあらわし、全能であると言う話を聞きました。
龍は、みずち龍やら何やらいろんな物が居るらしいとも。
更に 英語で言うDragonは竜であるような気もします。日本昔話にでてくる蛇のような龍とは違いますよね。
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