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熱を与え、液体の蒸気圧を大気圧と等しくすると、液体が沸騰して気体になり、液体は次第になくなる、というのはわかるのですが、大気圧と同じ圧に達する以前の状態でも放置すると蒸発して液体がなくなるのはなぜなのでしょうか?エネルギーを与えなくても、液体の分子が気体になるエネルギーをもつということなのでしょうか?
宜しくお願いします。

A 回答 (5件)

相平衡というものがあります。

簡単に言ってしまえば、ある温度の液体の水(あるいは氷)に対して、温度に対応する圧の気体の水(水蒸気)が存在します。100℃なら1気圧(101.3 kPa)ですが、300 K(27℃)ならば0.86 kPa、272 K(-1℃)ならば0.562 kPaの水蒸気圧が存在します。もし密閉容器ならそのままの蒸気圧で安定です。つまりある温度で決まる水蒸気圧と、液体の水が平衡になります。
すなわち自由エネルギーに差はありません。エンタルピーは吸熱でプラス(ΔH>0)に対して、蒸発でエントロピーが増大し(ΔS>0)、ΔG=ΔH-TΔSでゼロの所が水と蒸気圧の平衡のところです。
乾いた空気が来る、などの外乱によってその温度での飽和の水蒸気が持ち去られるから平衡を保とうとして蒸発が起こるのです。
蒸発部分にだけ着目するならエネルギー供給は必要ありません。

しかしもし、系が断熱系で真空排気すればΔH>0ですから、温度がどんどん下がって行きます。もし系が等温系ならば、たとえば周りの空気などと熱平衡を保ちつつ(熱をもらって)温度は維持されつつ蒸発が起こります。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
難しい理論があるんですね。
参考になりました。ありがとうございます。

お礼日時:2009/04/09 14:23

>エネルギーを与えなくても、液体の分子が気体になるエネルギーをもつということなのでしょうか



蒸発が起こるためには熱(エネルギー)が必要です。蒸発熱とか気化熱とか言われているものです。そのエネルギーは周囲から貰います。体が濡れたら寒くなるのは蒸発熱の分だけエネルギーを奪われるからです。
沸騰の場合は加熱したというイメージがあるからそのように思ったのでしょう。でも圧力さえ下げれば常温でも沸騰は起こります。加熱するというイメージのない沸騰もあります。その場合でも気化熱が必要であるという事情は変わりません。周囲から熱を貰っています。

水を加熱していって温度変化を測定したとします。蒸発が起こると蒸発熱が必要ですから蒸発がないとしたときよりも温度上昇は弱くなります。やかんでお湯を沸かす時、ふたをとって沸かすとふたをしたときよりも時間がかかる事になります。水の量が少なくなるので速くなるような気もしますが気化熱の分の影響の方が大きいです。1gの水の蒸発に必要な熱は100gの水の温度を6°ほど上昇させるのに必要な熱量と同じぐらいですから。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
大変参考になりました。

お礼日時:2009/04/09 14:28

No1です。


>エネルギーを与えなくても、液体の分子が気体になるエネルギー
>をもつということなのでしょうか?

説明が足りないかもしれないので補足します。水は温度で定まった平衡蒸気圧をもちます。そしてその圧力では双方の自由エネルギー差はありません。”蒸発部分にだけ着目するならエネルギー供給は必要ありません。”とかきましたが、これはGibbsの自由エネルギーについて言っております。蒸発は吸熱(ΔH>0)ですが。その分をエントロピー増大でいわば補償します。よって飽和蒸気圧以下ならば、熱の供給がなければ自分の温度が下がってでも蒸発します。周囲から熱をもらう必要はありません。
固体の塩(NaCl)を入れた容器に水を入れたときを考えますと、丁度飽和食塩水になったところで、固体の塩と水溶液が平衡です。塩は水に溶けるのも吸熱(ΔH>0)です。従って断熱系では溶解にともなって温度が下がります。これも飽和溶液以下の濃度であるかぎり周囲から断熱容器の中にいて熱を貰わなくても自分の温度が下がってでも溶解します。エネルギーが要らない、という意味は上記のような意味合いです。
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この回答へのお礼

補足の回答ありがとうございます。

お礼日時:2009/04/09 14:24

No1&3です。

No3の回答で感覚の説明をするつもりで書き忘れました。

塩に水を注げば解けます。水が十分に多ければ固体の塩はなくなります。しかもこれは吸熱反応です。しかし塩が水に溶けるエネルギーの心配はしませんね。成り行きに従って溶けます。それと同じで蒸発は平衡化なのです。
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この回答へのお礼

回答ありがとうござます。

>蒸発は平衡化

大変参考になりました。

お礼日時:2009/04/09 14:26

#2です。


私もちょっと補足をします。
水が蒸発する時には「周囲」から熱を貰う(奪う)と書きました。
この「周囲」は水を含んでいます。蒸気になる分子にとっての「周囲」です。
水面からの蒸発が起こるときで言えば蒸気は水に接触しているのですからエネルギーは水から貰っているということになります。その分水の温度が下がります。水に外界(大気、その他)から熱が伝われば水の温度は元に戻ります。その意味では外界の熱が水を通じて蒸気に渡されたということになります。蒸発が激しくて外界からの熱の移動が追いつかない場合は水の温度が下がるのが観察されるという事になります。

分子論的なイメージでは熱的な揺らぎである特別な大きさのエネルギーを持った分子が生じるということからを考えます。そういう大きなエネルギーを持った分子が蒸気になる候補者です。ある確率で周囲の分子との間に働く引力を断ち切って飛び出していくのです。平均よりも大きなエネルギーを持った粒子が飛び出していきますから残りの分子のエネルギーの平均は下がります。全体の平均エネルギーの大きな状態(高温)では蒸気候補者になる分子の数も増えますから蒸発が盛んになリます。
蒸発が表面からしか起こらないのは上半分に水の分子が存在しないのですから分子間力の合計が小さくなるからです。
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この回答へのお礼

補足の回答ありがとうございます。
なんとなくですがイメージできました。
ありがとうございます。

お礼日時:2009/04/09 14:30

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