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民法物権法の共有について勉強しています。
共有の性質については、(1)単一説(または分量説)と(2)複数説がありますよね。
共有権に基づく訴訟(持分に基づく訴訟ではなく)の場合、(2)複数説にたつと、「共有権なる一個の権利を訴訟物として観念できない」(民法百選(1)75番より)と書かれていました。

しかし、複数説でも、保存行為は各共有者がすることができます。そして、その行為は共有物全体に及びます。だから、複数説でも「共有権なる一個の権利を訴訟物として観念でき」ると思うのですが、どうでしょうか?

説明不足で分かりにくい質問かもしれませんので、分からない個所は指摘していただければ、補足します。
よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

 まず,共有者が単独で保存行為として妨害排除請求訴訟を提起できるという場合,その訴訟物は,持分権とされています。

これは,最高裁判決の判決文からも明らかです。例えば,昭和31年5月10日判決・民集10巻5号487頁。

 最高裁がいいたいのは,あくまで持分権に基づいて保存行為ができるというに尽きるのであって,その背景に,「共有権なる一個の権利」があるかどうかには,触れていないと考えられます。

 実質的に考えても,保存行為は,明らかに無権原の侵害行為の排除を求めるにすぎないもので,それ以上に積極的な権利の行使(その不動産全体の単独所有権を主張する者に対し,全体が共有であることの確認を求めるなど)を主張するものではありません。

 そういう意味で,質問の議論は,説得性に欠けると思います。もちろん,法律の議論ですので,そのような考えが,明らかに間違っているとはいえません(法律論は,実験によって実証される科学的真実を述べるものではありませんので,言うだけなら何でも言えます。)が,それを他人に認めさせるには,相当積極的な理由付けをする必要があると思います。

 この議論をどうとらえるか,難しいところですが,法律論が,単なる哲学ではなく,実践的な議論であることからすると,共有権確認訴訟が固有必要的共同訴訟とされていることを,どう説明するか,その説明の適否とか,あるいは,もっと遡って,共有権確認訴訟を固有必要的共同訴訟とする必要があるかどうか,という議論に,どう答えるか,その基となる議論であり,それによって,よりよい法の在り方を考えていくベースとなる議論ととらえることができると思います。

 ということで,単なるロジックの問題に止まらず,実践的にみて,どちらが適当か,という視点から見ていく必要があると思います。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。
保存行為は積極的な権利の行使とは言えないのですね・・・。

共有権とは何か調べてみると、「共有物に対して各共有者がもっている権利。持分権。」と書かれており、共有権=持分権??と少し混乱してしまいました。

最高裁が持ち分権に基づいて保存行為ができるという点を指摘しているということは分かるのですが、やはり「共有権なる一個の権利」という表現は分かりにくいと思います・・・((+_+))

まだまだ勉強不足ですが、今私が持っている知識で単一説と複数説についてまとめると、
★単一説でも複数説でも共通
・保存行為(物権的請求権に基づく主張も含む)ができる
・単独所有を主張する者に対抗するなど、共有権に基づく訴訟(共有権に基づく訴訟というのが、そもそもよくわからないですが・・・共有権=持ち分権だとしたら余計分からないです・・・)では、共有者全員でしなければならない

★単一説と複数説で異なる
・損害賠償請求において、単一説では全員でしなければならないが、複数説では単独でできる??(427条の「別段の意思表示」に単一説としての共有をする意思は含まれるのでしょうか?)

ということになりましたが、合っているでしょうか?

お礼日時:2009/10/19 08:27

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