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立木法に基づく登記や明認方法は、177条の対抗要件に該当するもの、あるいはそれに代わる物権変動の公示方法であることは、多くの民法の基本書に記されていると思います。(例、佐久間物権p157、内田総則物権p452など)

しかし、立木法を読むと、1条において、「立木と称するは一筆の土地又は一筆の土地の一部分に生立する樹木の集団にして其の所有者か本法に依り所有権保存の登記を受けたるものを謂ふ」とあり、 2条1項において、「立木は之を不動産と看做す」とありますから、立木法における保存登記をすれば、立木は、独立した所有権の対象となりうると考えることができると思います。
つまり、立木法の登記は、物権変動が生じた場合に備えた対抗要件として機能する以前に、本来であれば土地に附合(民法242条1項)するはずの立木を、(物権変動うんぬん関係なく)独立の所有権の対象にしてしまう法律効果を持っているのではないでしょうか?((1))

もし、この考えが正しいとすれば、立木を植林したXが立木の所有権を確認する場合に、土地の所有者Yが、242条1項による附合の抗弁をしてきたときには、Xは、立木法による登記がある旨の再抗弁をすることができると思うのですが、正しいでしょうか?((2))

そして、立木法登記と明認方法がパラレルな関係にあるとするならば、先述した事例で、Xは、立木に明認方法がある旨の再抗弁をすることができることになりそうです。(これは、正しいでしょうか?)((3))

もし、以上が正しいとするならば、例えば、他人の土地と知らずに、植林をした者は、立木法登記をする※か明認方法を施せば、土地所有者に対して、立木の所有権を主張できることになりそうです。この結論は、不法占有の助長にもなりそうなので、間違っているのではないかと思い、不安です。

どなたか、教えてくださると助かります。
よろしくお願いいたします。

※ 立木法の保存登記を申請できる者について、同法16条は、
一  立木の存する土地の所有権又は地上権の登記名義人
二  土地の登記記録の表題部に自己又は被相続人が立木の存する土地の所有者として記録せられたる者
三  第一号に掲げたる者の提供に係る証明情報に依り自己の所有権を証する者
四  判決に依り自己の所有権を証する者
とする。理論的には、勝手に立木を植えた者であっても、3号か4号により、登記を申請できる可能性があると考えた。

A 回答 (2件)

1番の回答で十分かもしれないけど、本質的に間違ってるからもう少し詳しく話をしよう。


242条本文(242条1項なんて条文は存在しないよ)を見れば判るけど、立ち木は土地に付合して土地所有者の物になるのが原則。同条ただし書で「権原」に基づいて附属させた場合には所有権を留保できるだけ。だから、

>他人の土地と知らずに、植林をした者は

権原に基づいていないから立ち木は土地に付合して土地の一部となるし、その所有権も土地所有者に属する。立木法とか明認方法を論じる以前の問題だよ。

という前提の下で1番回答になるのね。ちょっと重複しちゃうけど、詳しく説明しておくよ。
(1)は、「242条ただし書により所有権を留保した者」あるいは「土地所有者から立ち木だけを譲り受けた者」のように
「その立ち木について所有権を有する者」
が登記して初めて意味があるの。
そもそも、立木に限らず凡そ登記というのは「事実が先にある」の。解る?「事実があってそれを登記する」というのが「登記制度」なの。だから本来なら「存在しない事実について登記をしても効力はない」の。不実の登記は無効なの。たとえ登記をしても「存在しない事実は存在しない」の。ただ、例外的に虚偽登記について虚偽であることを主張できない場合があるけど、これはあくまでも取引の安全とかの都合上の法政策の問題であって、原則はあくまでも「登記は事実を公示するものであって、推定力はあっても、登記によって存在しない事実が生じるものではない」の。
その上で、虚偽の登記の存在を放置していたりすると、94条2項類推とか、商業登記なんかだと商法9条2項のような話が出てくるわけなんだけど、これはあくまでも「登記に事実を創出する効力がない」という大前提の下での議論なの。
登記は「事実を創出しない」し「その結果原則的には公信力もない(商法9条のような条文で公信力を認めない限り)」というのが原則。だから例外的な話として虚偽登記についての主張ができない場合という議論になるの。

(2)は意味が解らない。少なくとも、

>もし、この考えが正しいとすれば

残念ながら正しくない。だから前提が間違っているので命題としては意味がないだろうね。
ともかく、(2)にしろ(3)にしろ、Xに所有権があるのかないのか、それがまず前提問題なの。所有権があれば、それだけで本来は土地所有者に対抗できる。ただ、その場合に対抗問題になるような事例だと対抗要件として立木法に基づく登記なり明認方法なりが必要というのが別に問題になるだけ。だから、もし所有権がなければ、いくら登記なり明認方法なりがあっても、所有権の主張はできない。対抗問題にすらなり得ないの。それだけ。

>理論的には、勝手に立木を植えた者であっても、3号か4号により、登記を申請できる可能性があると考えた。

「理論的には」大間違い。
条文にはっきり書いてあるでしょ。「自己ノ所有権ヲ証スル者」って。「所有権があることが前提」なのよ(実際には所有権は目に見えないから、それに代る何らかの方法によって「証スル」ことを要求しているが、これはつまり「所有権がなければ登記はできないから」に他ならない)。不法占拠者が土地に立ち木を植えても242条本文により「立ち木の所有権を取得しない」のだから、登記なんてできないのよ。
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この回答へのお礼

丁寧なご回答いたみいります。
私は、前提(1)が間違っているのですね。
当然、(2)と(3)も間違いとなる。ご指摘ありがとうございました。

不法に植林した者についてですが。
明認方法や立木法登記は、立木所有権(←土地所有権でなく。どちらにせよ同じことだが。)が、明認方法や登記を施す者に属していて、初めて効力を持つのですね。
なるほど、植林した瞬間に、立木所有権は、植えた者から土地所有者へと附合により移転してしまう。その後、明認方法を施したところで、何の意味もない。

16条「自己ノ所有権」にしたって、私は、立木は、立木を植えた人が立木の所有者だから、所有権を証することができると考えてしまっていたのですが、やはり植林した瞬間にこれを喪失してしまっており、「証スル」ことなどできるわけがない。


もはや自己の不明を恥じるのみです。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2009/12/07 15:47

((1))立木の所有者が保存登記をするから、その登記が有効なのであって、無権利者が保存登記をしても、無効な登記です。



((2))そもそも、XとYはその立木の所有権について対抗関係にある事例なのですか。単にXが植林した立木がY所有の土地と附合するかどうかの問題なのですから、Xは権原(例えば、土地の賃借権)によりY所有の土地に植林をしたと主張すればそれで足ります。
 仮に、たとえば、Z所有の土地にXが権原により植林をしたところ、Zがその土地を(立木とともに)Yに売却し、Yが土地の所有権移転登記を備えたが、その登記より前にXは立木の保存登記をしていた事例だとしても、立木の登記が有効でなければ、対抗要件具備による所有権喪失の抗弁として成立しないのですから、Z所有の土地にXが権原により植林したということも主要事実として主張しなければなりません。

((3))2で述べたとおりです。

従って、

>もし、以上が正しいとするならば、例えば、他人の土地と知らずに、植林をした者は、立木法登記をする※か明認方法を施せば、土地所有者に対して、立木の所有権を主張できることになりそうです。

ということにはなりません。
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この回答へのお礼

いち早くお答えをいただき恐縮です。
(2)は、対抗関係にあるなし関係なく、できると勘違いをしておりました。

お礼日時:2009/12/07 15:53

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